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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

水上のサンタスティック・智也!!

10R 賞金王シリーズ優勝戦

①太田和美(奈良)
②赤岩善生(愛知)
③今村 豊(山口)
④秋山直之(群馬)
⑤山崎智也(群馬)
⑥上瀧和則(佐賀)

2007_1224_r10_0908  私たちの智也がイブの昼下がりに還ってきた。ド派手な<6コースまくり差し>というプレゼントとともに。スランプスランプと言われた今年だが、やっぱりこの男はタダでは終わらない。
 進入は16/23/45の2対2対2。インを奪うほどの勢いで上瀧が攻め、太田が枠を死守したために内2艇は深い。赤岩のポジションは3カドにも近いものだった。下馬評では「節イチの伸びを誇る今村が自力で仕掛ける」と見られていたが、この隊形になっては赤岩も黙っていない。ほぼ同体のスリットからあっという間に半艇身伸びてまくり態勢に入った。
 強攻する赤岩の面倒を見たのは、インの太田だった。きっちり艇を合わせて赤岩をあさっての方向に送り届けてから我が道を行く。今日の太田のレース足は格別だった。まくりに抵抗したというのに、それでも勝ちきれそうな勢いだ。
2007_1224_r10_0953  だが、寄り道したイン選手を勝たせるほど甘いメンバーではない。秋山を除く5選手が制した通算SGはなんと19V!! 賞金王ファイナルをはるかに凌ぐほどの面子なのだ。とんでもない高い位置から、黄色いカポックが飛んできた。太田の度肝を抜くアウトコースからの決め撃ちまくり差し。
「逃げられたと思ったけど、見えないところから智也が出てきた」(太田)
 少し時間を戻し、智也の姿に目を向けてみよう。アウトコースの智也のスタートはコンマ11。赤岩と同タイムだ。すぐ内の同僚・秋山が少し凹んでいたので、智也には絞りまくりという戦法もあった。が、智也は内の動向には興味がないかのように、艇を遊ばせている。やがて、内水域がもつれはじめた。大回りで艇を流していた智也のスピードと舳先が一変する。ボクシングの右フックのような航跡だ。超鋭角な割り差し。これでは太田からは見えないし、見えてもどうにもならない。あっという間に突き抜ける。
2007_1224_r10_0969  が、パワーは太田が断然上だ。すぐに智也の艇尾に取りつき、1周2マークで渾身の差しを放つ。本当に、凄まじいパワーだ。入った、と思った。ここで智也は第2の秘術を施す。太田の艇が内フトコロに突き刺さる直前に、ハンドルをキュッと内に絞った。わずかに接触し、たまらず減速する太田。何気ないテクに見えるが、1秒早ければ空振りに終わるし、もう1秒遅ければ深刻なアクシデントもありえる斜行になる。これしかない!という絶妙なタイミングでの揺さぶりであり、この高等テクでやっと大勢が決した。
 6コースからの勝ち方を熟知した明晰な頭脳、内の艇の動向を焦らずに見届ける冷徹な判断力、中堅パワーで怪物級のパワーを完封する超高等テクニック……智也は智也にしか持ち得ない天賦の才をすべて魅せて、1年半ぶり通算5度目となるSG優勝のゴールを通過した。クリスマスイブの、6コースまくり差し復活V。ちょっと悔しくなるほどに、できすぎなストーリーだ。
2007_1224_r10_0929  今夜、この天才レーサーにはサンタなんかいらない。智也自身が我々にとってのサンタクロースだったのだから。智也、お帰りなさい。そして、素晴らしいレースをありがとう!(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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