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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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強い心の持ち主たち――決定戦2日目前半のピット

_u4w3507  早朝スタート練習がひと段落ついた頃の1R前のピットではまず、待機ピットを歩いている瓜生正義の姿が見かけられたが、昨日のアクシデントはあっても、落ち着いている印象を受けたものだ。
 それでいて、作業は着々と進めているといった感じで、その後、装着場でモーターやボートを入念にチェックしている時間が長かった。
 2Rがスタートする間際には、整備室へと走っていったが、これは上瀧和則のレースをモニターで観るためだったようだ。レース後の引き上げを手伝ったあとにはボートを下ろして待機ピットに着けていたので、この後に試運転などをしながら調整作業を進めていくものと予想される。

_u4w3586  1R前にはボートからプロペラを外して整備室へと入っていく湯川浩司の姿も見られたが(その後、整備室でプロペラを磨いていたので、この段階ではペラ調整はしなかったものと考えられる)、こちらは昨日、好結果を出していながらも、瓜生とは対照的に、昨日よりも表情が硬くなっているようにも思われた。初日の勝利によってファイナル進出が現実味を帯びてきて、逆にプレッシャーが大きくなってきたということもある得るはずだ。
 ただ……、2R前にもう一度、見かけた際の湯川は、手持ち無沙汰にしているほど落ち着いているようにも見えたものだ。2Rには大阪・兵庫の選手は出走していなかったにもかかわらず、のんびりとした感じで選手たちの引き上げを待ち、徳島の烏野賢太の引き上げを手伝っていたのだから、慌てて行なうべき作業はなくなっている状態になっているものと判断していいはずだ。
 このときには、その表情もやわらかくなっていたので、「気持ちが入る時間帯」はあっても、基本的にはマイペースを保つことができているものと受け取るのがいいのかもしれない。

_u4w3550   朝早くから、屋外にある「ペラの森」は大繁盛状態になっていた。大きなテーブルでは、田中信一郎がペラを叩いていたが、その周りを囲んでいたのが鎌田義や倉谷和信、上瀧和則だったこともあり、なごやかなムードで、笑い声もよく聞かれてきたものだ。
 それとは対照的に、テーブルの脇で並ぶかたちでペラを叩いていた服部幸男と高橋勲は、終始、無言だった。服部は昨日のレースでペラを壊したそうなので、とくに集中する必要があったのだろうし、傍で見ているこちらにも緊張感が伝わってきたものである。
 この「2ショット・ペラ叩き」は、2Rのスタート直前まで続いていた。まず高橋がのんびりした足取りでペラを手にして整備室へと入っていくと、ほとんど間を空けずに服部がそれに続いた。その後、二人は整備室のテーブルでそれぞれに自分のペラを確認していた。そのときは、少し声を掛け合っていたようで、服部の顔にも笑顔が浮かんでいた。
 その後、高橋はすぐに整備室を出てきて、ゆったりとした足取りで控室のほうへと歩いていき、服部はその場に残ってペラの確認をしばらく続けていた。

_u4w3623_2  田中については、のんびりしたムードだったと書いたが(写真は川﨑智幸、寺田千恵と一緒にいた時間帯のもの)、作業に対しては積極的で、1R後には試運転に出て、鎌田義と足合わせをしたあと、また少しペラ調整を続けて、2R後にも試運転に出ていった。
 この時間帯としては珍しい動きだともいえるだろうが、鎌田と足合わせをしている様子や、互いの感触を話し合っているときのムードからいって、この二人の足は、それぞれに出ているものと判断できた。
 それでも田中はそこで満足はせず、さらなる上昇を目指していると見るのがいいだろう。

_u4w3618  試運転といえば、早い時間帯には、整備室内にある「ペラの大奥」でペラ叩きをしていた濱野谷憲吾が、2R後に須藤博倫と足合わせをしていた(なお、ペラの大奥の手前のスペースでは、ずっと三嶌誠司がペラ調整を続けていた)。
 そして、濱野谷もまた感触が良かったのか、試運転のあとには須藤と話をしていて、「ヒャハハハハ」という大きな笑い声も発していたのだ。
 過去において、140日ほどの休み明けで出場した節では、「初日はダメだったけど、優出はできました」とも話していた濱野谷なので、ここにきて手応えを掴んできているということも充分に考えられよう。

_u4w3470  午前中には、こうしてそれぞれにマイペースで作業をしている選手が多く、松井繁や魚谷智之もそうしたタイプに分類できる。
 それぞれに装着場に上げているボートで装着したままのモーターをチェックしている時間が長かったので、大がかりな整備までは必要がない状態になっているのだろう。
 山本隆幸と話している松井は、この後、ペラの森でのペラ調整を始めたが、隣で鎌田義がペラを叩いていても、無言で作業していたのだから、いろんな意味でメリハリがきいている。

Uchr0015591  無言といえば、松井とカマギーがテーブルのところでの作業をしている同じ時間帯に、その脇では井口佳典と田村隆信が並んでペラ調整をしていたが、こちらもやはり、声を掛け合うこともなく、それぞれに作業していたのだから、集中できている。
 ただし、早い時間帯の印象でいえば、湯川よりもリラックスできているとも感じた井口だが、何かの作業をしていないと落ち着かない、といった感じになっているのではないかとも勘繰られた部分もなくはない。
 もちろん、この大舞台なのだから選手の誰もが緊張と無縁でいられるわけはなく、それをいかにコントロールできるかが問われてくるものである。

_u4w3486  早い時間帯においては作業をしている場面があまり見られなかった選手としては吉川元浩と寺田祥が挙げられる。とくに吉川は、落ち着いた顔つきをしているようにも見えて、好感が持てたものだ。普段は職人そのものといった顔つきで一日中作業をしていることが多い吉川がそうなのだから、その存在は本当に怖いものになっている。
(PHOTO/池上一摩+内池=井口&田村のみ  TEXT/内池久貴)


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