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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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意外な動きと衝撃発言!――前検日のピット

2007_1220_0460  すでにUP済みの記事でも触れていることだが、「決定戦組」の一番手として三嶌誠司がピットに出てきたのは、午前10時25分のことだった。
 ピットに姿を見せると同時に、三嶌は自分のボートを整備室付近に移動させたので、その行動の早さには驚かされたものだが、すぐに作業を始めるほど、焦りの色を見せていたわけではない。リラックスしているのがわかる笑みを浮かべており、『神田川』の作詞でもお馴染みの喜多条忠先生となごやかに談笑をしてから、ゆっくりと動き出している。
 ただ、そうはいっても三嶌はやはり三嶌であり、まずはモーターに手をつけたが、一日を通して12人のなかではいちばん長く、モーター整備を行なっていたのだ。
 あとから確認したところによると、大がかりな整備などを施したわけではなく、「ひと通りの点検」をしていたということなので、これは“いつもの三嶌流”といえるパターンである。
 まず、その三嶌について書いておくなら、「気力・機力」ともに抜群のコンディションにある一人として挙げられるだろう。この後の特訓を終えたあとに行なわれた共同会見でも、いつも以上に雄弁になっており、モーターについては「いいのが残ってましたね」(=抽選は最後に引くかたちになっていた)、「回転も上がっていたし、前検としては合格点です」と言い切っていたのである。他選手と足合わせをした感触も上々だったようだが、それでも「(精神的に)イレこんでいるわけではなく、12番目に流れ込んだ流れに乗っていきたい」「地に足はついています」とも言っていた。
 明日は6号艇からの発進といえども一番の注目株になってきたともいえるだろう。もちろん、進入についても「行きたいですね! 行く一手のつもりですけど」と、少しの迷いも持ってはいないのだ。

2007_1220_0709  そんな三嶌に続いてピットに現われたのが魚谷智之で、自分のモーターを確認したあと、ボートにモーターを装着した「一番手」にもなっている。
 そこに“落とし穴”があったわけではないのだろうが……。
 夕方の公開会見では「残念なお知らせがあります」との驚きの切り出し文句から「まったく出ていません! すべてにおいて、なんじゃろってくらい悪かったんです」と言い切ったのである。
 衝撃の発言である!!
 2連率では44.5%という数字を誇っているものの、実際に走った感触としては、相当……というか、アンビリーバブルなくらい出なかったようなのだ。
 12番目の男・三嶌の口から「絶好調宣言」とも取れる言葉が出た一方で、“賞金トップ”の魚谷からこんな言葉が飛び出したのだから、賞金王決定戦は本当に怖い。
 ただし、ピットに姿を見せたときから、表情的にはとても明るく落ち着いている様子が窺えた魚谷は、これである意味、「開き直った状態」に近づいたのかもしれない。
 なにせ自分から「残念なお知らせがあります」と切り出したほどなのだから、その表情は少しも暗くなってはいなかったのである。魚谷本人も「(優勝した)ダービーのときも最初は出てなかったし、チャレンジャーの気持ちになれるんで、逆にいいかもしれないですね」と言っていたように、“怖い存在”であり続けるのは疑いようのないところだ。
「ペラには自信がある」とも言っているし、明日からは、大がかりな整備をする可能性も高いとほのめかしていた。

2007_1220_1320  三番目にピットに現われたのは井口佳典だったが、まず受けた印象は「最初の二人にくらべれば、表情が硬いな」というものだった。さすがに決定戦初出場なのだから、どんな選手であっても平常心ではいられないものだろうとも思っていたが、これについては、こちらの思い違いだったのかもしれない。
 共同会見でも、最初に「緊張感」についてを質問されたが、「まったくないです!」と即答!! それも、単なる強がりには見えなかったのである。
 エンジンについて質問されたときにも「OKです! 出てます」と、やはり即答していたのも心強い。
「最後に、賞金王決定戦への意気込みを、明日のスタートで表現してください」という“誘導尋問”を受けると、苦笑しながらも「ぶち込みます」と言っていた。インタビュアーは「無理やり言わせたわけではないですけど……」とも言いかけていたが、井口は「無理やりですよ」と返して、記者陣を笑わせていたのだ。「本当はリスクも高いので、こうした発言は控えたい」と話を続けて、記者陣を笑わせ続けていたのだ。
 いつだったか井口が、ぎりぎりのスタートを続けていることで「気持ちが切れそうだ……」とピットで洩らしていたことも思い出されたが、こんな闘いを続けていけるのは、それだけの心の強さがあるからには違いない。この心の強さを維持できたなら、「穴」以上の存在になり得るはずである。

2007_1220_1048  井口のあとには、次々と残りの選手たちがピットに姿を見せていった。
 その誰もが報道陣に囲まれることになっていったわけだが、最初にプロペラを叩き出したのは松井繁だった。松井もまた、いい精神状態になっているのがわかる表情をしてピットに入ってきたので、この動き出しの早さは少し意外なほどだった。
 しかし、そこはやはり賞金王決定戦である。
 松井がペラを叩き出したのを合図にしたかのように、その直後には、服部幸男、高橋勲、湯川浩司、吉川元浩らもその傍でペラを叩き始めたのだ。
 もちろん、松井をはじめ、モーターを見ることもなくこうした作業を始めたわけではなく、とりあえずのチェックは済ませたあとにペラ叩きを始めたわけだが、「まずはペラ派」が今回の前検の多数派になっていたのは意外なところだった。決定戦のモーターはどれも基本的には好機であるのが前提になっていることと、予想よりは気温が高いことなどが、こんな傾向と関係しているのかもしれない。

2007_1220_0204  そんな中、どちらかというと、「ペラ男(ぺらお)タイプ」といえる濱野谷憲吾が、モーターに手を付けるところから作業を始めたのだから、それぞれの思惑については、なかなか掴みにくい。
 3カ月の休み明けである濱野谷は今回、新ペラを作ってきたということなので、自信のあるペラができているということなのだろう(もちろん、その後にはペラ調整もやっていた)。
 3カ月のブランクに関して、レース感については「走ってみないとわからない」とも言っていたが、12月に入ってからの1カ月の準備で、心身のコンディションやペラ作りなどの面でいい状態を作り上げてきたのは間違いないようだ(ちなみに体重は52キロとのこと)。
 ピットで作業をしている様子を見ていても、その感じは本当にいいし、「名前を売らせてもらった水面」と本人が言うように、思い入れも強く、相性もいい福岡なので、ブランクだけを理由に見限ることなどは、とてもできないはずである。

2007_1220_1108  なお、出だしの段階でモーター整備に取り組む時間が長かった選手としては、三嶌と濱野谷のほかには湯川浩司の名前が挙げられる。
 湯川の場合、表情からは心理状態がわかりにくい面もあるのだが、一日を通してマイペースで過ごしていた印象を受けたものだった。最初こそ、モーターの確認に余念がなかったものの、比較的、早い段階で作業は落ち着いたようで、その後は、他の選手たちの作業の様子を眺めていたりしているところも何度か見かけられたのだ。
 モーターについては「正直いって普通」とコメントしていたが、慌てる必要はないと判断できる範囲にあるとは考えてもいいのではないかと思う。
 ……また、「足の感触は悪くない」とコメントしていた寺田祥も、今日一日を通して、あまり目につくことがなかった選手だった。単なる見落としだとすれば申し訳ない限りだが、慌しく作業をする必要はなかった一人だとはいえるだろう。

2007_1220_0364  ピットに入ってきた直後に少し変わった動きを見せていたのは、田中信一郎だ。
 慌てて作業を始めることもなく、近くにいた人たちと談笑していたり、シリーズのレースが始まると、モニターに見入っていたりしていたのだから、さすが「賞金王男」(=言うまでもなく、過去優勝3回)は経験と余裕が違うと思ったものだった。
 ただ、そこはやはりメリハリというもので、「ペラの森」でのペラ調整を始めたあとは、その集中力は「さすが」の一語でしか表現できないほどのものだった。
 その傍に“兄弟分”の湯川がやって来ても、話し込んだりすることはなく作業を続けていたし、最終的には、スタート特訓が始まる「間際」までこれを続けており、スタート特訓に向かう際には、申し訳なさそうに、シリーズ出場の須藤博倫に、道具を移しておいてほしいと頼んでいたほどだった。

2007_1220_1302  ただ一人の地元選手である瓜生正義については、「シリーズのピットリポート」でも、何度か名前を出している。
 心強い“親分”上瀧和則が傍にいてくれる時間が長いうえに、決定戦の魚谷、シリーズの原田幸哉というように“強い絆を持つ同期たち”がいることも影響しているのかもしれない。プレッシャーもかなり強い立場にあるはずなのに、今日一日を通して、いちばん笑顔が見られる回数が多かったのが瓜生だったのだ。それも、緊張を隠すための笑顔といった感じではなかったのだから、精神面のコンディションなどはいい状態にあるのだろう。
 公開会見においても「気合い……みたいなものはあるけど、リズムはあまりよろしくないかも」などと言って、記者陣を何度も笑わせていたほどだった。
「行き足はちょっと重たい」と言いながらも、モーターに対する評価は、決定戦メンバーのなかでは「普通」と言っていた。
 明日は、10Rに2号艇で出場。「2コースはいいか悪いかのどちらかで、1等か6等が多い」と、瓜生はまたまた記者陣を笑わせていたが、個人的な印象でいえば、前者になる可能性が高いのではないか、と感じられたものだった。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/内池久貴)


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