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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

チャレカクイズ結果!

皆様、大変お待たせしました。チャレカクイズの結果でございます。

① 服部幸男はベスト12に残ることができるかどうか。

② ①をふまえて、賞金王決定戦、残り3つのピットは果たして誰がゲットするのか。その3名をお書きください。

これが問題でしたね。いや~、12番目のイス争いは凄絶でしたね~。ほんと、興奮しました! これぞまさにDRAMATIC KYOTEI。三嶌選手、原田選手、池田選手には心から拍手をお送りしたいですよね。というわけで正解は……。

① 残った!

② 服部幸男 寺田祥 三嶌誠司

①は正解者多数でしたが、②のほうはなかなか難しかったようで、パーフェクト的中はゼロ、でございました。2人正解もお二人だけで、その結果……モンキーたんさんとジローさんが合計220Pでトップでございます! おめでとうございます! このお二人には、おみやげをお送りしますので、いつものように tanakakogyo@hotmail.co.jp にご送付先をお願いします。そして……本当にすみません、めちゃくちゃ遅れている蒲郡、平和島、そして児島も、明日か明後日には送付します、必ず! あと少しだけお待ちくださいませ。本当にすみません。

それでは皆様、福岡の賞金王決定戦、思い切り楽しみましょう!


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優勝戦 私的回顧

「やんちゃなスター」誕生!

チャレンジカップ優勝戦

①湯川浩司(大阪)
②佐藤大介(愛知)
③倉谷和信(大阪)
④寺田 祥(山口)
⑤川﨑智幸(岡山)
⑥西村 勝(埼玉)

2007_1125_r12_0531  パワー万全、リズム完璧の湯川であっても、不安がなかったわけではない。
 イン戦はスタートまで相手が見えない孤独な戦いなのだが、今日の湯川はとりわけ孤独だったはずだ。他の5艇はすべて賞金王への勝負駆けで、そのうち4艇はSG初Vへのアタック。モチベーションは高く、失うものがない挑戦者の立場で水面に向かう。その5艇の新鮮なパワーを、湯川はひとりで受け止めなければならなかった。
 「呪われた1号艇」とでもいうべき不吉な現象も、湯川の脳裏をかすめたかもしれない。森秋光の展示後状態変更、大嶋一也の内規違反、今村豊の疾病、そして昨日は瓜生正義のF……悪魔に魅入られたように、1号艇に不測のアクシデントが連続して起こった。返還による主催者のダメージも少なくない。
「絶対に無事故完走を遂げなければ!」
 そんな気持ちがいつにも増して強かっただろうし、それが守りの姿勢につながる危険もあったはずだ。他の5艇と違ってすでに今年SGを制覇し、賞金王へのキップも手にしている湯川なのである。攻めより守りを重視してもおかしくはないだろう。
2007_1125_r12_0542  だが、そんな傍観者の勝手な心理分析や不安を、湯川は一閃のインモンキーでぶっとばした。コンマ11のトップスタート。昨日の準優とまったく同じタイミングで、湯川はスリットを通過したのだ。攻めすぎず守りすぎず、平常心で臨んだ証である。2、3コースがともにコンマ15、パワー的に当面の敵と見られていた寺田祥がコンマ20だから、勝負はほぼスリットで決したといっていい。
 誰からもまくられることのない隊形から、湯川は豪快に1マークを制した。これも完璧。まったく隙のないインモンキーに、佐藤が差し場を逸して減速する。倉谷の二番差しは、もちろん届かない。三番差しの寺田はもっと届かない。ただ、回ってからの寺田のレース足は、やはり恐るべきものだった。バックの中ほどで楽々と倉谷を捕まえて、前だけを見据える勢いなのだ。先頭が並みのパワーの選手であれば、残りの2周半で逆転さえありえたかもしれない。
2007_1125_r12_0577  しかし、湯川のレース足も超抜だった。逃げた湯川と三番差しの寺田。ここで発生した5艇身ほどの差が、いくら回っても変わらない。変わらないということは、追う寺田の方が強いのかもしれないが、縮まらなければ意味がないのだ。ダービーは4着で今回が2着。この2着で賞金王の当確が点るとはいえ、道中、寺田は悔しかったことだろう。敗因はパワーではない。初日から準優までの些細な要因が今日の枠番の差を生み、5艇身の差を生んだ。スタートでの精神力の差も含めて……そのシビアな現実を、悔しさとともに痛感しただろう。それでいい。湯川の背を見る寺田に無念と悔恨の思いがあったとしたら、それはすべて寺田の糧になる。寺田は素晴らしい経験を積んだ。4着から2着へ。次に残された着は、頂点しかない。
2007_1125_r12_0600  最終ターンマーク、湯川は豪快に艇をぶん回した。そのままスタンドに衝突しそうな勢いで艇を流す。やんちゃな男だ。堤防すれすれを走りながら、ゴールの150mほど手前でもうガッツポーズを繰り出している。やんちゃで、華がある。ダービーあたりから「魚谷の時代が到来する!」と騒がれはじめたが、この男も負けてはいない。華がある、という一面だけを見れば、湯川の方が上かもしれない。
 ゴールでまた湯川は右手を高々と突き上げた。2度目のSG優勝。私の勝手な見解だが、「SG1Vは超一流選手、SG2Vはスター選手」という思いがある。この優勝で湯川は艇界のスターダムに乗った。半年足らずの間に強いA1選手→超一流選手→スター選手へと進化した湯川。来月、福岡で大仕事をやってのければ、このやんちゃなレーサーは問答無用のスーパースターに変身する。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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終わらない宇宙最大の勝負駆け――優勝戦のピット

2007_1125_0007 ――優勝して、率直なお気持ちは。
「正直…………ほっぺたが痛いです」
 場内大爆笑。
――ゴールしたときのお気持ちは?
「そのときは痛くなかったです」
 再び場内大爆笑。
 やはり、この男はエンターテイナーである。湯川浩司、競艇王チャレンジカップ優勝。初っ端に書いたくだりは、その共同記者会見の冒頭のやり取りである。
 本場やJLCで表彰式をご覧になった方はご存知だろうが、表彰式後に賞金王出場選手(の一部)がステージに登場し、本日のイベントゲストだったアントニオ猪木と握手をした。そして、代表として湯川が闘魂注入のビンタを受けて、派手に倒れてみせたのだった。会見での冒頭は、すなわち、このシーンを受けてのもの。会見場でそれを見ていた記者さんたちは、湯川のウィットに富んだ答えに腹を抱えて笑った。湯川浩司、本領発揮である。
2007_1125_0068  しかしながら……レース後、ウィニングランを終えて戻ってきた湯川には、実は笑顔はなかった。銀河系軍団の井口佳典、山本隆幸らがバンザイで出迎え、重野哲之、横澤剛治、金子良昭、渡邉英児ら、重鎮や選手班長を含めた地元勢が笑顔で祝福しても、湯川は決して笑おうとはしなかった。ただただ、唇をキッと結び、目にグッと力を込めて、「勝ったぞ」とばかりにうなずくのみだった。金子や渡邉の大先輩たちにも、その表情を崩さないまま、何度かお礼の意味を込めた会釈をしただけだ。
 グラチャンを優勝したときの湯川は、とにかく笑顔笑顔笑顔であった。それなのに、今日はまるで違う湯川がいた。この違いは何なのだろうか。
 間違いない。今日の湯川は勝つべくして勝った。SG優勝戦1号艇のプレッシャーにも怯まない心を作り上げて、勝つべくして勝ったのだ。「(スタートは)遅れられないから、早めに仕掛けて、他の5艇の伸びシロはわかっていたから、それに合わせていきました」というスリットでの精神力は、少なくともインからS遅れで惨敗した昨年の総理杯の時には培い切れてはいなかったものだ。おそらく、グラチャンのときもまだ完全ではなく、だからこそ「今度はスタートをきっちり行って、勝てたこと」に、湯川は笑顔を爆発させた。しかし、今日は違う。冷静に戦略を立て、それを実行し切っての勝利。グラチャンがコンマ07、今日がコンマ11と、グラチャンのときのほうがSTは早かったが、しかし中身は今回のほうが断然に濃い。今日のレース後の湯川の表情は、すなわち充実感を表現した顔だ。勝つべくして勝った。やっぱり、そのことに間違いはない。
 もちろん、エンターテイナー湯川は、その後は地上波テレビのインタビュー、報道陣からの祝福、表彰式、共同会見と、いたるところで笑顔を見せていたし、周囲を笑わせる言動でサービス精神も発揮していた。そりゃあ、湯川浩司だもの、そうならないはずがない。だが、勝利の真実はまた別のところにあった。実は硬骨で男っぽい勝負師の顔をもつ湯川――しかも、さらに成長して完成に近づいた湯川が全開になったあのレース後こそ、彼が何者かの証明でもあったのだ。

 唯一の賞金王当確だった湯川の勝利で、宇宙最大の勝負駆けに臨んだ敗者たちは、ほぼ一様の表情をしていた、と言っていいと思う。一言で言うと、「悔しさ混じりの笑み」ということになるだろうか。もちろん、優勝を逃した悔しさ。そして、賞金王行きを逃した悔しさ。そのうえで、やるべきことはやったのだという、爽快な笑み。いや、爽快な苦笑い、と言ったほうが正確か。日本語として不思議なものになってはいるけれども。
_u4w1330  特に印象的だった笑顔は、倉谷和信のものだった。仲間に囲まれて、「仕方ないな」と言いながらも、ひまわりのような(ヒゲの生えたひまわりはないけれども)笑顔を見せていたのである。闘志溢れた、コワモテの倉谷。誰をも癒すであろう、笑顔の倉谷。このギャップは、全力で何かを成し遂げようとする者にしか手にできない魅力である。
2007_1125_0116  川﨑智幸は、どちらかといえば、静かな笑み、であった。モーター返納作業をしながら、仲間の会話を耳にして、穏やかに微笑む、というか。優勝を逃しても、2着なら賞金王の目があった。しかしその2着をも逃して、川﨑は数分の間に多くのものを失った。だが、川﨑とて、何もせずに負けたわけではない。だからこそ、勝負のあとに微笑むことができる。淡々と返納にいそしむ川﨑の表情は、ひたすらクールであった。この「クール」とは、「カッコいい」という意味である。
_u4w0948  西村勝は、それほど破顔した笑いを見せていたわけではない。むしろ、目は完全には笑っておらず、敗戦を噛み締めつつの笑みであったように思えた。そして、佐藤大介もまた、笑顔にハッキリと「クソッ!」と書いてあった。前半のピットでも書いたように、レース前にもっとも笑顔を見せていたのは大介だった。展示から戻ってきたあとも、さすがに笑顔は見えなかったが、SG初優出のプレッシャーなどどこ吹く風の様子で、闘志のこもった、それでいて涼しい顔をしていたのだ。しかし、レース後になると、むしろもっとも笑顔に悔しさが色濃く混じっていたのが大介であった。あの柔和で優しい大介の胸の奥には、きらめくような勝負師魂が埋め込まれている。そう思うしかない表情であった。

2007_1125_0170  敗者のなかで、やはり特異な表情を見せていたのは、2着の寺田祥である。レース前、どれだけ賞金ランクに関しての計算をしていて、自分がどういう状況にあるかを知っていたのかどうか、まったくわからない。いや、わかっていたとしても、レース後の表情を見てしまえば、頭に疑問符が沸いたであろう。とにかく、淡々、なのだ。レース後のコメントには「ダメでも2着が獲れるように走った」というものがあったから、「2着で賞金王当確」ということを知っていた可能性はある。だが、ホッとした表情も見せず、かといってレースに敗れた悔しさを露わにはせず、さらに賞金王当確を喜ぶような態度も見せず、ひたすら淡々としているのだから、驚くしかない。返納の際、周囲と話しながら、ごくごく細い微笑を見せていたことだけが、印象に残る“表情を変えた瞬間”。こうした、とことん平常を貫くあたりに、テラショーの底知れぬ力を感じるしかない。賞金王決定戦、初出場決定。福岡での聖戦でも、この平常心が見られるのだろうか。

 さて、宇宙最大の勝負駆けだから、やはりこの人たちのことも記しておかねばならない。まず、昨日当確が出た服部幸男。今日は、表彰式後のイベントに登場しているが、その前にピットに挨拶に訪れている。たまたま、特別選抜A戦を戦い終えた松井繁と顔を合わせて、「松ちゃん!」「おめでとう!」と短いやり取りを笑顔で交わしている。
 今日時点で12位の三嶌誠司は、早々と競艇場を後にしていて、優勝戦前のピットではもう姿を見ることができなかった。前半には、スッキリした表情を見せていたけれども。
2007_1125_0052  そして、13位の原田幸哉。三嶌との12個目のイス獲り合戦が、月末の記念(初日と2日目のみ)にまで持ち越されている。優勝戦後、記者さんたちに囲まれた原田は、かなりサバサバとした表情で、むしろもう気持ちを切り替えているようにすら見えた。「記念の賞金は一緒だけど、旅費が違うからなあ(幸哉は地元の常滑、三嶌は香川→尼崎)」。いやいや、旅費は賞金額には含まれませんよ。そんな指摘を受けて、「えっ? ほんと? 選手間では、旅費も含まれるって言ってましたよ」。どうも暢気にすら思えるのだ。「まあ、とにかく頑張りまーす」、力強さなどまるで感じさせずに決意を表明して、幸哉は控室に向かったのだが……とにもかくにも、ひとつの勝負駆けが終わったことが、幸哉をリラックスさせているのだろうと思う。現状を認識した彼は、常滑では鬼の幸哉に変わるはずである。もしかしたら、競艇場を出るときにはすでに、心に炎を宿したかもしれない。

 宇宙最大の勝負駆けは終わった……いや、終わっていない。最後の1つのイスだけが、待ちぼうけを食っているのである。to be continuedのROAD to 福岡。我々競艇ファンは今、もっとも贅沢な月末を送っている。(PHOTO/中尾茂幸=湯川、川﨑、寺田、原田 池上一摩=倉谷、佐藤 TEXT/黒須田守)


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速報!「賞金王サバイバル」

 チャレンジカップの優勝戦が終わって、賞金王の11議席までが決まりました。残りの1議席が……大変なことになりそうです!
 まずは賞金ランキング表を。

【25日終了時点での獲得賞金額と順位】
1位 魚谷智之  16267万円
2位 湯川浩司  13458万円
3位 瓜生正義  10704万円
4位 濱野谷憲吾 8626万円
5位 松井 繁   8412万円
6位 吉川元浩  7739万円
7位 高橋 勲   7382万円
8位 田中信一郎 7323万円
9位 井口佳典  6937万円
10位 寺田 祥  6425万円
11位 服部幸男  6301万円
12位 三嶌誠司  5665万円
    ★
13位 原田幸哉  5656万円

(千円以下は切り捨て)

 はい、「大変なこと」は一目瞭然ですね。12位の三嶌と13位の原田の差は、なんと9万3500円ポッチ!! 両選手は29・30日の2日間、雌雄を決するべく別のGIステージで火花を散らすことになります。三嶌は尼崎、原田は常滑(地元!)。ともにドリーム戦に出場予定なのでマックス3走、仮に両者とも3走として3連勝なら賞金は50万円、3連続6着なら14万円……もちろん現状では三嶌が有利ですが、原田が地元で走ることを考えると、ほぼ互角の形勢といえるかもしれません。
 決定した11人の皆さん、おめでとうございます。そして、ファイナルバトルに臨む三嶌と原田には、熱い声援を送りましょう! とにかく29・30日は、尼崎と常滑から目が離せませんぞ!!


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浜名湖グルメは最高です

浜名湖グルメといえば、うなぎ。場内でも、この名物を美味しくいただけるわけでありますが、今回はアトリウム付近で行なわれていた「B級ご当地グルメ」を食してまいりましたよ。

Cimg3596 まずは全国的にも有名になった「富士宮やきそば」。もちもちした面が特徴で、食してみると、たしかにもっちもちのうっまうま。ソースもそれほど濃厚すぎず、私好みでありました。浜名湖競艇場は新居町にありますが、お隣浜松からは「浜松餃子」。あらぁ、餃子が名物だったのですか。まったく知りませんでした。やや小ぶりな餃子は、実にジューシー。味はオーソドックスですが、サイドメニューには最高ですねえ。

Cimg3599 つづいて、「奥美濃カレー」。奥美濃といえば、飛騨。ということは、飛騨牛が使われているんでしょうか。そういわれると、ルーに飛騨牛エキスが染み込んでいたような気がしましたよ~。もっとも行列を作っていたのは「各務原キムチ」。岐阜県各務原市は独特のキムチで有名のようで、そのキムチの入ったキムチたこやきと、キムチフランクフルトを食してみましたよ。ハッキリ言って、絶品でした! たこやきにキムチって合うのかしらん……と思いきや、たこやきの生地から漂うキムチの風味が、ピッタリんこ! これは行列できるよなあ、と納得した次第でありました。

このほかに、静岡おでんや、串かつでおなじみの浜名湖食堂の屋台も出ていましたぞ。浜名湖グルメ、最高!


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6人の勝負駆け――優勝戦、前半のピット

 優勝戦の朝のピットは、やはり柔らかい空気に包まれている。和やか、と言ってもいい。ちょっとした解放感もあるような気がする。整備室はガランとしているし、ペラ室の人口密度も薄い。もちろん、まだレースを残しているわけだから、緊張感が消えてなくなることはないが、しかし誰もが昨日までと比べて、リラックスした表情で過ごしている。
 そんななかで、まったく違う空気を感じているのが、言うまでもなく、ベスト6の面々。特に今日は、SG制覇という栄誉のみならず、賞金王のイス獲得という命題も重なっているのだから、気合や緊張感はいやがおうにも高まっていく。
 とは言うものの、早い時間に始動していた選手は西村勝のみ。西村はペラ室で、気に食わないヤツにメンチ切っているかと思うくらいに鋭い目つきでペラを叩いていたが、優勝戦メンバーで昼前までに目立った動きを見せていたのは、これだけ。あとの5人は、比較的のんびりと過ごして、ファイナルのメンタルを作り上げようとしている。

Qy3u5099  もっとも気になっていたのは、実は湯川浩司である。湯川は唯一の賞金王当確で、SG制覇も経験しているわけだが、しかしSG優勝戦の1号艇にかかるプレッシャーは並大抵ではない。しかも、湯川はSG優出がすべて1号艇で、「(1日通して)ほんま、気持ち悪い」とその経験を語っているのだ。過去の2度は、S遅れ惨敗とプレッシャーを乗り越えての優勝。さて、3度目はどんな一日を送るのかに注目していたのである。
 1R後のエンジン吊りで、吉川元浩とじゃれ合うようにリフトまで走ってきたときは、「おっ、緊張してない」と思ったものだった。満面の笑みも浮かんでいたからだ。だが、エンジン吊りの作業にかかりだすと、やはり表情は自然と目つきがただならぬことになっていく。おそらく、こちらが彼の心の大きい部分を占めている感情ではなかろうか。吉川との光景は、きっと優勝戦へ向けて意識的にテンションを高めていく、心の制作作業の一環だと思う。湯川は己と必死に戦いながら、1号艇のプレッシャーを跳ね除けようとしているのだ。
Qy3u5094  倉谷和信も、やはり顔つきは非常に怖い。早くも、自ら闘魂を注入しているのだろう。仲間の輪の中では笑顔も見えているけれども、一人でいる時間にはぐっと厳しい目をしている。まあ、普段から闘志を感じさせる人ではあるけれども、今日の倉谷は一味違って見える。ただ、やはり緊張感が早くも倉谷を包んでいるのではないか、という光景もあった。2R、大阪の選手も近畿の選手も出場していないのに、倉谷はエンジン吊りに出てきたのだ。手伝ったのは、同期の烏野賢太で、出てくる必然性がなかったわけではないが、あまり見かけない光景ではある。動いていたほうが気が紛れる、そんなこともあるのではないかと思った。
Qy3u5034  その意味では、寺田祥はまったく、いつもと変わらぬクールな表情をしていて、これはこれで驚いてしまう。まあ、通常通りの淡々とした表情は、その奥にある心情を見えづらくさせているのは確かなのだが。もちろん、緊張感がないわけではないと思う。同期の池田浩二が寄り添うように話しかけているシーンを見て、これは池田がテラショーをほぐしているのだろうと思った。池田は選手食堂に寺田を誘って、寺田は「いや、控室へ」。「なんかあるの?」「伝票書かなきゃ」、今日は最終日、帰郷の準備にも追われつつ、テラショーは優勝戦を待つ。
Qy3u5104   川﨑智幸の歩行速度が、ぐっと遅くなっていた。出た、川﨑のスローウォーキング。やはり、ここ一番の大勝負で気合が乗ると、川崎はゆっくりゆっくりと歩を進めるようになるのだ。すなわち、これは彼にとっては、好気配ということになる。雲の上を歩くように、ゆっくりゆっくり。一歩前に踏み出すと、気合もひとつ乗っていく。
Qy3u5030  6人のなかで、もっとも多く笑顔を見ることができたのが、佐藤大介だった。SG初優出のプレッシャーは、少なくとも前半の段階では少しも感じない。すっかりリラックスした表情で、笑顔満開の原田幸哉とともに過ごしていることが多いから、それにつられる部分もあるのかもしれないが、それは言うまでもなく、ポジティブに働く要素となる。午後に向けて、徐々に表情が硬くなることは充分に予想できるが、少なくともガチガチになりすぎて、レース前に終わってしまうようなことはないはずである。
Qy3u5170  さあ、宇宙最大の勝負駆け。空間は完成に向けて進みだしたぞ。(←6R発売中には、サンホールで公開インタビューも行なわれました。みな、気合の入った表情を見せていましたぞ!)

Qy3u5109  さて、2R1回乗りで今節を終える気になる山崎智也。もうすっかり憑き物が落ちたように、ニコニコと笑う智也が前半のピットにいた。この悔恨を引きずることなく、来年へ向けて発進してほしい。今年はまだ賞金王シリーズが残っている。そこに登場することは屈辱かもしれないが、だからこそ異次元の存在感を発揮してほしいものだ。智也、お疲れ様!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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猪木ボンバイエ!

Qy3u4938 浜名湖に、燃える闘魂、登場! 本日、朝9時15分から浜名湖競艇場サンホールにて、アントニオ猪木トークショーが行なわれました。私、何を隠そう、30年来のプロレスファン、プロレス関係の仕事もしていたことがありますから、猪木は神様のような存在であります。というわけで、本日一発目の記事をアップしたあと、サンホールに駆けつけました…………が! うがぁぁぁ! なんだ、このものすごい人垣は! サンホールに入りきれないお客さんが、5重6重に取り囲んでいて、猪木の姿は小さく見えるのみ。真っ赤なネクタイに真っ赤なマフラーがやけに遠くに、しかし鮮やかに映るのでありました。

Qy3u4949 猪木といえば、闘魂ビンタ。ここ浜名湖でも、希望された6名が、ステージに上がってビンタを受けました。いやあ、羨ましいっす。赤ちゃんを抱いたお父さんもビンタされてましたが、そのおまけというか、むしろそちらがメインというか、赤ちゃんにも優しい優しいビンタ(というより、頬を撫でた、ですか)。あの赤ちゃんは、きっと幸せな人生を送りますよ!

そして、猪木といえば、もちろんコレ。トークショーの最後を締めたのは、おなじみ「1、2、3、ダーーーーーーッ!」でありました。……ん? 今日の優勝戦、1-2-3を買っとこうかな……。トークショーは第6R発売中にも行なわれます。また、表彰式では優勝者へのプレゼンターも務めます。これから浜名湖へいらっしゃる方は、ぜひサンホールへ! あ、でも、早く来ないとサンホールから溢れてしまう可能性もありますから、お早めに!(PHOTO/中尾茂幸)

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6日目 賞金王へラストチャレンジ!

おはようございます! 競艇王チャレンジカップ、優勝戦の朝を迎えました。浜名湖は今日も快晴、風は弱い追い風です。水面コンディションは比較的よさそうですね。波乱続出の今節、スッキリと感動的な優勝戦になってもらいたいものですね!

2007_1124_0113 昨日の10R、渾身のコンマ02をぶち込んで、マクリを放った渡邉英児。まさしく、気合がバリバリに表われていたスリット&ターンでした。結局、市川&原田の競り合いに巻き込まれるかたちで終戦を迎えてしまいましたが、地元SGに懸ける思いと賞金王への思い、その両方が尊かったと思います。今日は、リベンジを果たして、ぜひともカッコよく地元チャレカを締めてもらいたいものです。

我々も、おおいに盛り上がって、ROAD to 福岡の最終章を締めたいものですね。もちろん、舟券もバッチリとりましょう! それでは!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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賞金王サバイバル 5日目!!

 いよいよ大詰めを迎えた賞金王サバイバル戦線。まずは5日目終了時点のボーダー付近ランキング&優出選手の賞金を見てみましょう。

3位 湯川浩司 9456万円 当確
     ☆
10位 服部幸男 6301万円 当確!
11位 三嶌誠司 5655万円 △
12位 池田浩二 5558万円 △
13位 吉田弘文 5468万円 ×
14位 田村隆信 5296万円 ×
15位 原田幸哉 5296万円 △
16位 佐々木康 5104万円 ×
17位 山本浩次 4981万円 ×
18位 江口晃生 4956万円 ×
19位 寺田 祥 4823万円 △
     ☆
26位 川﨑智幸 4423万円 △
     ☆
42位 西村 勝 3866万円 △
     ☆
49位 佐藤大介 3680万円 △
     ☆
59位 倉谷和信 3468万円 △
(千円以下は切り捨て)

 はい、キーマンの原田幸哉が優出できなかったため、服部幸男に当確ランプが点りました。服部さん&服部ファンの皆さん、おめでとうございます!! それからクイズで「服部が残る」と答えた皆さんも、おめでとさんです~!!

 さてさて、まずは優出メンバーが自力で当確となる着順から。
優勝戦
①湯川浩司(大阪)…すでに当確。
②佐藤大介(愛知)…優勝のみ当確、他力なし。
③倉谷和信(大阪)…優勝のみ当確、他力なし。
④寺田 祥(山口)…2着以上で当確、3~6着でも他力あり。
⑤川﨑智幸(岡山)…2着以上で当確、他力なし。
⑥西村 勝(埼玉)…優勝のみ当確、他力なし。

2007_1124_12r_0555 こんな感じです。一目で分かるとおり、寺田祥だけが断然有利なポジションに立ちました。あ、もうひとり、ひそかに裏街道から逆転進出を狙っている男が……!?
特別選抜A戦
①原田幸哉(愛知)…1着を取れば他力あり。
 そう、A戦1着の賞金は350万円なので、単純加算で5649万円。11位の三嶌誠司と好勝負になるのですよ。

 では、さらに複雑な「三嶌と池田が生き残る可能性」を調べてみましょう。これをチェックすれば、寺田祥と川﨑、はたまた原田の他力ぶりも明確になるはずです。

★12位の池田が残る可能性

 正直、もう絶望的なんですけどね。たったひとりにでも抜かれたらアウトですから。でも、まだ一縷の望みが残されているのですよ。それは、優勝戦&選抜A戦でこんな着順になったときです。
・優勝戦で湯川1着&川﨑3~6着&寺田6着、さらにA戦で原田が2着以下。
 これで月末の記念も含めて、12位争いへの道が残されるのです。本当に針の穴に糸を通すような確率ではありますが、最後まで諦めずに頑張ってほしいですね。

★11位の三嶌が残る可能性

 こちらは池田に比べるとまだまだ可能性が高い。たとえば、池田の条件と同じ
・優勝戦で湯川1着&川﨑3~6着&寺田6着、さらにA戦で原田が2着以下
 という結果になったら、これはもう当確と言ってもいいと思います。当確は無理でも
・優勝戦で湯川か寺田が1着で、川﨑が3着以下、さらにA戦で原田が2着以下
 なら期待度十分、この優勝戦パターンって十分にありえそうじゃないっすか! あ、この場合、もしA戦で原田が1着でもまだまだ幸哉とのガチンコ勝負という感じなのであります!

★明日の優勝戦ですっきり12人が決まるパターン

a/1着・湯川、2着・川﨑、3着・寺田
b/1着・寺田、2着・川﨑
c/1着・川﨑、2着・ランダム、3着・寺田
d/1着・川﨑、2着・寺田

 この4パターンのときは、寺田・川﨑が当確になり12位までが確定します。これ以外は、月末の記念(2日分)に持ち越される可能性が大きいようです。とにかく明日の優勝戦が既存勢力に有利に働くか、はたまた寺田や川﨑が自力で決めるのか、優勝戦と合わせてこちらの戦いも楽しみましょう!(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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準優ダイジェスト

10R/波瀾の大競り

①市川哲也(広島)
②原田幸哉(愛知)
③佐藤大介(愛知)
④川﨑智幸(岡山)
⑤渡邉英児(静岡)
⑥西島義則(広島)

2007_1124_10r_0159  スタ展では16235/4だったが、本番では西島が回り直して1235/46に。進入ももつれたが、スタートも荒れた。ミクロを支配する市川が、まさかのコンマ20。2コースの原田が10で3/4艇身ほど飛び出している。佐藤が09、渡邉が02、川﨑が09と続いて、西島が……+07という怒涛のフライング!! Fも含めてこれほど凹凸が出てしまっては荒れるのは必然。2コースの原田が凹んだ市川を勢いまかせに叩き潰そうとする。じっくり差す戦法もあった原田だが、同体以上なら迷わず握る猛禽種族なのである。
 が、そこはSGの準優だ。インからジリジリと伸び返した市川が飛びつき、2艇は激しく接触した。たまらずぶっとぶ原田、落水しそうなほど体勢を崩す市川。さらに全速でぶん回した渡邉がドン突きになって失速……修羅場でというより地獄絵図のような様相だ。

 結果、何の不利も受けずに差し回った佐藤と川﨑が、バックで悠々と抜け出していた。早々に優出の2戦士が当確……通常のSGなら、これで明日への興味は色褪せるはずである。
 だが、道中4番手の原田幸哉には賞金王への勝負駆けがまだ残っていた。ここで3着を取り、明日の選抜A戦で1着なら、賞金ランク11位の三嶌とほぼ肩を並べる。A戦で好枠をキープするために、是が非でも3着の座を勝ち取りたいのだ。原田は3番手の市川を追い続けた。しつこくしつこく追って、最終ターンマークで渾身のダンプを決めて逆転した。これで、賞金王争いがさらに予断を許さぬ展開になった。
 1着・佐藤大介…SG初優出
 2着・川﨑智幸…SG10優出0V

11R/瓜生がF!?

①瓜生正義(福岡)
②平石和男(埼玉)
③佐々木康幸(静岡)
④倉谷和信(大阪)
⑤西村 勝(埼玉)
⑥上瀧和則(佐賀)

2007_1124_11r_0533   瓜生が、やってしまった。賞金ランク2位での+02フライング。10Rに続く、いや、瓜生が1号艇であることを考えると10Rをはるかに超えるアクシデントだ。
 進入は、西村に徹底ブロックされた上瀧が、その西村とともに回り直して1234/56。まさかまさかの枠なりになった。これで今度は穏やかな展開になるか、と思いきや、瓜生の勇み足である。
 波乱は波乱を呼ぶ。瓜生のFを知らない佐々木が「できれば1着!」とばかりに、瓜生と平石の狭い隙間をこじ開けるような割り差しを敢行した。その間隙はあまりに狭く、もし瓜生のFに気づいていれば(無理な話ではあるが)、最内を差して2着以上を楽々確保できただろう。佐々木決死のまくり差しは、平石と接触して共倒れに……異様なほどポッカリと開いた内水域を、倉谷と西村が猛スピードで駆け抜けてゆく。10Rに続く、差し差し決着で、第3第4の議席が埋まった。
 決着も10Rと同じなら、さらに賞金ランク16位の佐々木康幸の“勝負駆け”もまた原田と同様。特別A戦で好枠を得るべく上瀧とデッドヒートを演じ、しっかりと3着をキープしたのだった(後の計算ではほぼ絶望的でしたが……)。
 それにしても、圧倒的1番人気でのF……今節は一度たりともゼロ台がなかった瓜生に、ギリギリのS勘は難しすぎたのだろう。あまり見えていなかったのかもしれない。もちろん賞金王決定戦はOKだが、このFで来年はオーシャンカップまでのSG出走がアウトになった(ちなみに西島は賞金王シリーズ~グラチャンまでアウト)。主催者への迷惑と思い罰則と、その両方を激痛として感じたのは瓜生自身だ。実直すぎるほど実直な男ゆえ、しばらくは落ち込むことだろう。が、首をうなだれて己を見つめなおすのは、決定戦が終わってからでいい。心機一転、地元福岡での大暴れを期待している。
 1着・倉谷和信…SG7優出0V
 2着・西村 勝…SG3優出1V

12R/唯一のパワー決着

①湯川浩司(大阪)
②寺田 祥(山口)
③松井 繁(大阪)
④白井英治(山口)
⑤太田和美(奈良)
⑥中島孝平(福井)

2007_1124_12r_0551  6号艇の回り直し、フライング、接触、差し差し決着、賞金王への勝負駆け……2戦連続で似たような波瀾が続いたわけだが、このレースは違った。「準優の王道」とでも言うべき展開になった。
 進入はすんなりの枠なり3対3。スタートはほぼ横一線に見えるきれいな隊形。インの湯川が逃げて、2コースの寺田祥が差し、3コースの松井が握って回る。あとはバック直線でのパワー勝負だ。こんなオーソドックスなレースばかりが続くと、どこか喰い足りない気分になるものだが、大波乱連発の後ではこの展開が逆に新鮮に見えた。
 とにかく、パワー比較がはっきりできたのはこのレースだけだ。バック直線、もっとも力強く見えたのは湯川でも松井でもなく、寺田だった。浜名湖の2コース差しは難しい。若い寺田がこの難関を克服できるのか、と見ていたのだが、1マークを回ってからグンと押していくパワーが凄まじい。湯川の引き波を難なく突破して、むしろウルトラパワーの湯川に迫る勢いを見せた。もちろん、スピードを出しすぎず落としすぎず、冷静的確に旋回した寺田のテクがあってこそ、だ。ダービーの優出4着はフロックではない、と胸を張れる絶妙なターンだった。全速で握った松井も、この寺田のパワーには脱帽するしかなかっただろう。バックで両者の差はあっという間に開き、すでに2マークでは逆転するための要素は潰えていた。
 もちろん、こんな寺田の超抜パワーをきっちり振り切って逃げた湯川もまた天晴れだった。瓜生のFでプレッシャーも倍増していただろうに、スタートも絶品のコンマ11。「賞金王当確組」の実力とプライドを見せ付けて、ただひとりだけ優勝戦に駒を進めたのである。凄いぞ、湯川。
 レースとしては、逃げて、差しての決着。見た目には淡白なレースだったが、今節でもっともハイベレルのパワーとテクがフル稼働した名勝負だと私は思う。嗚呼、パワー的に優勝戦のヒントになるレースがひとつだけでもあってよかったなぁ。たとえ湯川と寺田が甲乙付けがたい互角の見立てであっても。
 1着・湯川浩司…SG2優出1V
 2着・寺田 祥…SG1優出0V

(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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銀河系最大の勝負駆け 準優ピット②

11R
2007_1124_0027  今度は、瓜生正義がフライング……。賞金王当確の瓜生だから、ショックは薄いのかといえば、そんなことはありえない。準優Fは、しかも1号艇のFは、誰にとっても激しく痛恨だ。ピットに戻ってきた瓜生は、顔色を失っていた。西島と違って、瓜生はボート洗浄を仲間に任せて、すぐに競技本部へ向かって走り出した。フライング選手は、レース後呼び出されて説諭を受けるが、瓜生はもっとも足を踏み入れたくないだろう場所に、自ら向かったのだった。童顔がひきつっていた。
2007_1124_0146   その後に戻ってきた5人のなかで、もっとも肩を落としていたのは、やはり佐々木康幸だった。地元SGで気合が入るのは当然のこと、さらに彼には師匠・服部幸男とともに賞金王に行くのだという決意があった。しかし、それがかなわなかった……。どうしても乗り越えたかった準優の壁に跳ね返されたことへの落胆しかないのは、当然のことだ。たしかに優出“失敗”かもしれないが、誰に迷惑をかける“失敗”ではない。期待に応えられなかったという思いはあるかもしれないが、しかしもっとツラいのは本人だ。だというのに、佐々木は取り返しのつかない失敗をしてしまったかのように、顔をゆがめていた。彼にとって、この敗退はそういう性質のもののようだった。
 10Rと同様に、ボート洗浄が行なわれていたレース後、そこに瓜生が競技本部から戻ってきた。他の5選手に、詫びを言って回っている。皆、瓜生に手をあげて応える。しかし……ここからのピットの主役は、上瀧和則だった。
2007_1122_0876   上瀧は、瓜生が「すいませんでした」と言った瞬間、声を荒げた。
「お前、頭使ってしっかり考えろっ!」
 一喝だった。瓜生はフリーズしたかのように立ち尽くし、深刻な表情で上瀧にもういちど頭を下げた。上瀧は憮然とした表情で、ボート洗浄に視線を戻した。
 僕は、この一喝で瓜生は救われたと思う。誰もが瓜生を気遣うなかの、上瀧の激怒。自分を責める気持ちになっていただろう瓜生の心に、グサリと突き刺さったはずだ。しかし、心の傷を本当に癒すには、実はいちど傷をえぐる必要がある。というより、そうしたほうが治癒が早い場合が多々あるものだ。ましてや、瓜生は仲間や主催者に迷惑をかけたという思いがある。だが、多くはそんな瓜生を気遣う。瓜生にとって、それがツラいことでもあるだろうことは、誰しもが想像できるはずである。そこで、あえて責める言葉を投げた上瀧。意味としては、事故多発の今節ということを考えろ、賞金王当確だからムリする必要があるのか考えろ、賞金王に荷物を背負っていかねばならないということを考えろ……いろいろ考えられるが、そういう部分を超えて、僕は上瀧は本当に優しい男だと思った。本気で叱ったからこそ、瓜生の救いとなる。きっと、上瀧は僕らの目が届かないところで、瓜生をフォローしている。
 上瀧と瓜生は、支部こそ違うが、師弟のような絆を結んでいる二人だ。そういう関係だからこそ、可能だった叱責だったのは間違いない。
 そのことを証明しているかのように、瓜生が去ったあとの上瀧は、一転して表情を変えている。同期の倉谷和信が1着で優出を決めたのだ。
「おっちゃーーーーーーーん! やったなーーーーーーっ!」
 倉谷に駆け寄った上瀧は、天に届くかと思えるほど両手を掲げて(すなわち、バンザイ)、瓜生を叱ったより何倍も大きな声で、倉谷を祝福した。そう、上瀧は不機嫌だったわけではない。むしろ、同期生の快挙にゴキゲンなくらいだったのだ。
「おっちゃん、任せたで!」
 倉谷が、「おぅっ!」と笑顔を返す。任せたで、の前に何かを言っていて、それが「明日は」なのか「賞金王は」なのかは聞き逃したが、とにかく倉谷以上に笑顔を弾けさせる上瀧がいた。
 言っておくが、上瀧は同じレースで敗れたのである。優出を逃したのである。ということは、賞金王行きをも逃したのである。悔しくないわけがない。自分に腹を立てていないわけがない。だが、上瀧はむしろ、瓜生のことを、倉谷のことを、考えていた。その後、2着の西村勝をも笑顔で祝福していたが、上瀧は真剣勝負に敗れたあとでもこんな芸当のできる男なのである。男・上瀧和則。彼の人徳に、感動するしかなかった。
2007_1124_0072  同県勢で明暗を分けたのは、埼玉勢だ。平石和男は、溜め息をついた。優出を決めた西村勝は、たった今書いたとおり、上瀧と笑顔でレースを振り返っていた。二人は賞金王決定戦を経験していて、しかもともに03年。一緒に、賞金王に行った二人なのだ。しかし、今回、埼玉の威信は後輩に託された。その思いを感じ取ったわけではないだろうが、普段からピットでは硬派の表情を見せる西村の顔つきは、ことさらに引き締まっていたのだった。
2007_1123_0162  1着は、倉谷和信。チャレンジカップには選出順位52位で出場した、すなわちメンバー中賞金ランク最下位の男が、チャレカ3回目の優出を決めた。一言、すばらしい。
 共同会見のことだ。終始、淡々と、しかし丁寧に質問に応えていた倉谷が、ふと表情を緩めた。代表質問の記者さんがすべての質問を終えて、他の報道陣に「他に何かありますか?」と追加質問を募ったときだ。倉谷は、その「他に何か」を受けて、ニカッと笑って語りだしたのだ。
「川﨑だけには、負けたくないね。絶対に川﨑には負けない」
 言葉にすると、強い決意表明のようにも思えるが、顔はもう、ニッコニコのニッカニカだ。倉谷と川﨑は同期。すなわち、同期には負けたくない、というライバル宣言だが、僕にはそれが、「同期で優出できて、本当に嬉しい」という意味にしか思えなかった。
「むっかつくわー、ホンマ。絶対に負けませんから」
 まったくもって、何がむかつくのかはわからんのですが(笑)、倉谷はひまわりのように(ヒゲの生えたひまわり、なんてないけど)ニコニコと笑い続けているのだった。こちらまで、嬉しくなるほどに。それにしても、クールに見える川﨑智幸、実はこうしてイジられるキャラ、なんですかね。

12R
 10、11Rに比べれば、平穏に終わった、と言うべきなのかもしれない。事故艇は出ず、インの湯川浩司が逃げ切った。たしかに平穏だし、関係者は胸をなで下ろす結果だったと思う。
2007_1124_0176  そう思ってレース後のピットを眺めれば、王者の敗退もそれほどの事件ではないように思えてくるから不思議なものだ。松井繁は4着に敗れた。そして、レース後は予想外に淡々としていた。
「テラショー、おめでとう!」
 ボート洗浄の最中に、やや離れたところから大きな声で、2着・寺田祥の優出を称えた松井。ヘルメットをかぶったままだったにもかかわらず、10数mは離れていた僕にも声はハッキリと届いてきた。
2007_1122_0295  初のSG準優で6着大敗という苦さを経験した中島孝平は、むしろスッキリした表情で、まず松井繁に「ありがとうございました」と挨拶をした。松井は、高い声で「どうもーっ!」と、偉ぶったところなど少しも見せずに、むしろ丁寧なくらいに挨拶を返していた。自身も敗れているのだから、大先輩の威厳のままに「どもっ」くらいでもよさそうなのに、松井はそれをしなかったのだ。その瞬間、中島はさらに、経験したことのないプレッシャーから解放されたようだった。
2007_1124_0189  白井英治も、まず松井に声をかけていた。松井は、中島に対するのと同じように、挨拶を返す。その振る舞いも、実に丁寧な物腰に見えた。12Rのメンバーのなかでは、真っ先にボート洗浄の輪から離れたのが、白井だった。同県の後輩である寺田に歩み寄って、降りていたシールドをあげて「おめでとっ」と言っていたりもしたが、控室へと駆け出そうと仲間の輪に背を向けた瞬間、目つきがキッと厳しくなった。明らかに、悔恨を噛み締めている表情だった。それを考えると、松井の穏やかさがむしろ不自然にさえ思えてきたものだった。これまで見てきた王者の敗戦のなかでは、かなり異質のもののように見えた。
 それが、実は思いを押し隠しているものだったことに気づくのは、もう少し後のことになる。共同インタビュー出演のため、やや遅れてスタートした湯川浩司の共同会見のため、会見場に駆け込もうとするとそのとき、隣のドアから人影が現われた。松井繁だった。会見場の隣は、医務室。松井は古傷のヒザを手術していて、そのチェックのために医務室を訪れていたのだろうが(ヒザの状態自体は、まったく問題ないそうです)、ドアを開けて出てきた松井の顔には、敗退への悔恨が貼り付いていたのだ。僕と目が合った瞬間、ふっと通常の表情に戻って、一瞥しただけで控室へと去っていったが、その直前の表情だけが印象に残った。王者は、人知れず悔しさを表に出す。これぞ、王者の姿。これぞ、王者の孤独。孤独に打ち勝つ者のみが、真の王者になれるのである。
2007_1123_0316  2着の寺田祥が、共同会見で口ごもった。優勝戦のコース獲りに関する質問に対してだ。今節は、スローのほうが合っているアシ色、だという。しかし明日は4号艇。順当ならば、カドが有力と考えるのが自然なところだ。しかし、ダッシュに引くのは決して本意ではないらしく、「微妙ですね……」と言いながら、悩み込む場面もあったりした。明日は一日、戦略を練り続けることになるかもしれない。ひとつ付け加えておきたいのは、メンバー表を見ながら考え込むなかで、「アシ負けはないです」と言い切ったことだ。機力には、絶対の自信を抱いているのだ。その安心感のなかで、コース獲りの正解を出したとき、テラショーは脅威の存在となる。
2007_1124_0181  1着は、湯川浩司。これがSG3度目の優出だが、なんとまあ、すべてが1号艇、となった。過去2度は、昨年の総理杯が痛恨のS遅れ、その悔しさを活かして今年のグラチャンでは優勝。果たして、今回はどちらに出るだろうか。
 今日は一日通して厳しい表情が目立った湯川は、レース後も、共同会見もほとんど相好を崩すことはなかった。緊張感もあるだろうが、それ以上に、心に期するものがあると見た。会見後に顔を合わすと、力強くうなずいて見せた湯川。実は、次号のBOATBoyの賞金王特集で彼に取材しており(井口佳典との賞金王対談!)、その際に賞金王への決意はもちろん、さまざまな思いを聞かされているのだが、その思いの強さを証明することができたのだ、とばかりの強い視線に、僕は圧倒された。優勝戦、勝とうが敗れようが、この男はチャレンジカップで一皮剥ける。きっと彼は、さらに強くなって賞金王を迎えるだろう。
2007_1123_0335  最後に。こうした雰囲気の中で、太田和美の淡々とした、しかししっかりと悔しさの光を瞳に宿した姿に、感嘆するしかなかった。強烈な気合、せつない哀しみ、目につきやすいのは、そういう類いの空気だ。しかし、太田は自分を見失うことなく、しかし敗戦を良しともせず、自然体でいることができる。すぐに激してしまう僕など特に、なかなかできることではない。次の機会でのリベンジを信じている。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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太陽系最大の勝負駆け 準優のピット①

2007_1124_0001  最初に、あえて言っておきたい。たしかに、今節は事故が多発している。“呪われたチャレカ”、そんなささやきも耳に入ってくる。だが、選手たちは栄誉を得るため、勝負師としての魂を満たすため、特別な思いを抱いて戦っている。その結果が、時に事故へとつながってしまっているだけだ。考えられる要因もいくつかあるだろう。いずれ問題点を指摘しなければならない時も来るかもしれない。しかし、選手たちのきらめきに、いささかも影を落とすものではないと、断言しておく。無事故完走が基本ではありながら、しかし勝利を求めてやまないレーサーの本能というものがある。それを否定することはできないし、こうして溜め息に包まれる一節が生まれてしまうのも仕方ない。反省するべきは反省し、そのうえでこれもDRAMATIC KYOTEIなのだと認識することも必要だろう。
 正直、僕も今日のピットでは、溜め息ばかりが出た。あまりにもツラく哀しい場面がいくつもあったからだ。それでも、これを受け入れなければならないとも思った。要因については、改めて考えることにしよう。今はただ、賞金王決定戦という特別に輝かしい舞台に立つために、身を切るような勝負を戦ってきた選手に、またそんなステージを用意している競艇という競技に、敬意を表したい。優出選手はもちろん、悲しみに包まれた選手も、事故多発に肩を落とす浜名湖競艇も、みんな頑張れ!

 というわけで、準優のピット。レース前よりもレース後にスポットを当てて、お送りしたい。

10R
2007_1124_0031  フライングを切った選手は、戦線を離脱するため、真っ先にピットに戻ってくることになる。バタバタと駆け足の音がいくつか聞こえて振り向くと、山口剛を先頭に、辻栄蔵、池本輝明がボートリフトに駆けつけていた。西島義則、フライング……。
 ボートが引き上げられて、広島勢はすぐさまボート洗浄にかかる。5日目というのは、その日のレースを終えると、選手が一丸となってボートを洗剤でいったん洗うのだ。スポンジを使ってボートをこする山口たちを、西島が沈痛な表情で見つめている。いや、その瞳が後輩たちの作業を捉えていたかどうかは、何とも言えない。西島はややうつろな目つきで、表情を固まらせて立ち尽くしていた。そんな西島に、後輩たちは声もかけられない。黙々とボートを洗うのみ、である。作業に加わっていた隣県の寺田祥も、端正な顔を崩して、痛恨を分かち合っていた。
2007_1124_0036  まだ西島のボート洗浄が終わり切らないうちに、他の5名もピットに戻ってきた。人気を背負った1号艇の市川哲也は、1マークで原田幸哉、渡邉英児ともつれ合って敗れていた。西島のボート洗浄を終えた辻たちは、もう一人の先輩のボート洗浄に取りかかる。それを、眉間にシワを寄せ、時折、唇を強く結んで、市川は見つめていた。いや、市川の目も、その作業を捉えていたかどうか……。1号艇を活かせなかった市川も、西島と同じような悔恨を抱いていたと思う。
 とにかく……10Rは広島勢にとっては、魔の刻であった。今日、もっともツラい思いをしたのは、彼らだったかもしれない。
 暗澹たる表情をしていたのは、原田幸哉も同じだった。優出していれば、ほぼベスト12を確実なものにできていたはずだった。だが、1マークでその夢は潰えた。優出を決めた佐藤大介にコブシを合わせて祝福を送っていた姿も、少し痛々しく感じられた。その佐藤が、「足合わせしたら、原田幸哉にはかなり分が悪かった。原田幸哉は出てました」と言っていたのだから、幸哉にとってはなおさら痛恨の敗戦だった。
2007_1124_0182  レース直後、幸哉は特別選抜A戦の着順次第で、まだベスト12への可能性を残していることを理解していただろうか。そう、幸哉のROAD to 福岡はまだ幕を閉じていない。自力で賞金王のトビラをこじ開けることが、まだ可能なのだ。
 おそらく、3着に敗れた時点で、幸哉のなかでは諦めが生まれていただろう。モーター格納作業中に整備室に現われた笠原亮が声をかけると、抱きついて顔を笠原の肩にうずめ、泣き真似をしてみせているのだ(笑顔で、だが)。また、その後、記者さんたちと賞金ランクについて話し合う姿が何度も見られた。つまり、幸哉は優出しか考えていなかったのだと思う。
 それでこそ、幸哉だと思う。徹底して勝負にこだわり、自力で道を切り開いていく、それが幸哉だ。その代償として、敗れて落胆する幸哉がいる。その姿が美しいのだ。明日の特別選抜A戦は、優勝戦並みの激闘となる。
2007_1124_0028  2着は、川﨑智幸である。優出を決めたあとも、とにかく冷静。川﨑らしさといえば、このクールなたたずまいだ。優出会見でも同様だった。淡々と質問に応えていく姿が、彼らしかった。
 その表情がちょっとだけ崩れたのが、「優勝=来年3月の地元総理杯への出場権を手にする」という質問を投げかけられた時だった。川﨑はまだ、総理杯出場を確実なものにはしていない。ちょっと苦笑いを見せて「次のSGのことを考えてもしょうがないから」と言って、目の前の戦いに集中したいと語っている。
 それを契機に、川﨑は一気に饒舌になった。ダッシュを選んだコース獲り、スタートタイミングについての質問への答えだ。
「(イン屋である西島がいるから)最初から外を考えてはいました。とにかく、Sだけはフルダッシュで行きたいと思って。今節に限り、(スリットで)僕の前にいたら、フライングですね」
 ニヤリと笑うと、川﨑はさらに続ける。
「西島さんは速いと思ってました。やめなきゃ(放らなきゃ)フライングなのにな、って。西島さんはまず外にはいかない人なので(回り直して6コース。1年以上、アウト発進はない)、西島さんのスタートに惑わされたらダメだと思っていて、だからこっち(右側)には誰もいないもんだと思って行きましたね。普通の選手なら、西島さんについていったんじゃないかな。僕は見えてるから(ついていかなかった)。明日も全速で、このくらいのタイミング(コンマ09)で行きたいですね」
 語っている内容はいたって冷静な判断であり、まさに川﨑らしい。しかし、その語り口のアツさ、スタートへの自信に、特別なものを感じるしかなかった。川﨑は、静かに燃えているのだ。
2007_1124_0099  1着は佐藤大介である。SG初優出。まずは、その喜びに顔をほころばせていた。大介の場合は、それよりも印象に残ったことがある。共同会見を終えて会見場を出ると、JLCの展望番組スタッフと打ち合わせしながら歩く大介と出会った。「おめでとうございます」と声をかけたが、打ち合わせ中だった大介は、軽く会釈する程度で通り過ぎた。ところが、数m歩いたところで、突如「あっ。すいません。ありがとうございます!」とわざわざ立ち止まって、言葉を返してきたのだ。むしろ、こちらが「声かけるタイミングが悪かったな」と反省していたくらいで、だから背中から大介の声が聞こえて、慌てて振り向いたくらいだった。そう、佐藤大介というのは、こんなにも好漢なのである。こんな男が、究極の勝負駆けを突破して、賞金王のピットに立つことになったら、こんなに痛快なこともあるまい。優勝戦の水面では、“ヒール”に変身して、激しい走りを見せてもらいたい。(続く)

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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優勝戦メンバー確定!

準優勝戦も終わり、優勝戦のメンバーが確定しました。賞金王への条件については、後ほどアップする記事をご参照いただきたいのですが、①湯川は当確、④寺田は着条件があり、⑤川﨑は2着で届きそう(たった今暫定順位が届き、ざっと計算してみました。失礼しました)、その他3名はほぼ優勝のみが条件となりそうです(重ね重ね、後ほどのアップする記事をご参照ください)。ベスト12入りが決まれば、②~④は賞金王初出場(当確の①も)、⑤~⑥は賞金王出場の経験があります。⑤は昨年も出場していましたね。

①湯川浩司(大阪)
②佐藤大介(愛知)
③倉谷和信(大阪)
④寺田祥(山口)
⑤川﨑智幸(岡山)
⑥西村勝(埼玉)

※念のため、主催者発表をご確認ください。


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ピリピリ勝負駆け――5日目、前半のピット

2007_1123_0001  前検日に競艇場入りした際、当確者も含めて52名全員が、賞金王決定戦を意識していたはずである。しかし今日、その意識を持ち続けられる者は半分以下に減ってしまった。湯川浩司、瓜生正義、松井繁の当確組を除いた準優進出者15名+胃をキリキリさせながら結果を待つ三嶌誠司&池田浩二の17名。三嶌と池田にしても、自力ではどうにもできないところにいるわけだから、実質15名だけが特別な思いを抱いて、ここにいる。
 もちろん、実際のところ、賞金王決定戦を強く意識して、一日を過ごしているわけではなかろう。準優勝戦という、一節の中の最大の剣が峰を勝ち抜くことだけが、15名の関心事に違いない。勝てば賞金王、そんなことを考えて作業をしている者は、少なくとも前半のピットにはいないと思う。だが、意識の水面下に12コのピットが存在していることも、間違いのないことである。それが無意識のなかの意識だからこそ、今日の戦いに臨む気合に特別な力強さが生まれるのだと思う。
2007_1123_0036  準優に残れなかった者が今日戦うのは、単なる敗者戦ではない。5日前には強く意識していたはずの舞台を、意識から消して戦う、いわば12ピット争いの敗者戦でもある。つまり、今日のピットはどこか特異な空間となっている。普段の5日目以上に、心中に抱く思いに差のある5日目なのだ。
 妙にピリピリしているように感じられた前半のピット。準優組がピリピリしているのは当然とはいえ、敗者戦組もそうであるように思えたのは、そういったことが理由だったのか。レースが終わるごとに選手が集結し、和やかな雰囲気が支配するエンジン吊りの作業で、ほとんど笑顔が見られないのには驚いた。ようするに、そういう日、なのだろう。

 準優組の様子をざっと記しておこう。
10R
①市川哲也 ピリピリ指数20
2007_1123_0258  いきなりだが、もっとも雰囲気がよく見えたのは、市川だった。18名のなかで、もっとも笑顔が多かったように思う。賞金王決定戦優勝、モーターボート記念完全優勝、そんな緊張を強いられる舞台を経験している彼には、今日の緊張感も特別なものではない。
②原田幸哉 ピリピリ指数80
 市川とは逆の意味で、もっとも雰囲気がよく見えたのは、幸哉だ。表情がとにかく怖い。目つきの鋭さが尋常ではないのだ。もっとも気迫を表に出しているのが、この男ということ。空回りしなければ、壮絶なレースを見せてくれるはずだと思う。
③佐藤大介 ピリピリ指数40
2007_1123_0703  柔和な顔つきでいることの多い大介だが、さすがに今日は厳しさがうかがえる表情。幸哉とおそろいのウェアで歩いていると、なかなかに迫力がある。
④川﨑智幸 ピリピリ指数30
 川﨑も、こんな雰囲気のなかでの戦いは手馴れたものだ。2R前には、ボートごと整備室に運び込んで本体整備。それほど時間をかけたわけではないが、戦いの準備に怠りはない。
⑤渡邉英児 ピリピリ指数20
 整備室の奥の「工作室」と掲示されている部屋で、整備に励む。今日も“英児スタイル”を貫き通している。装着場に出てきた際の表情は、平常と変わらないように見える。
⑥西島義則 ピリピリ指数70
 幸哉ほどではないが、とびきりの気迫を感じる一人だ。昨日、勝負駆け成功後の足取りを伝えたが、比較すると踏み込みがやや浅い。同時に、しっかり規則的な足の運びで、力強さは感じる。進入のキーを握る男だけに、何十何百種類のシミュレーションをフル回転でしているのではないか。

11R
①瓜生正義 ピリピリ指数40
2007_1123_0273  ここ一番の場面では、頬がぎゅっと引き締まるのが瓜生。もちろん今日も、そんな瓜生が見られた。緊張に震えているわけではないだろうが、普段よりも顔つきは厳しい。
②平石和男 ピリピリ指数35
 穏やかな振る舞いを見せる平石も、大一番の前には迫力を感じさせる。時間を追えば追うほど、その度合いは強くなり、前半はまだ強烈ではない。これからの時間帯でどう変化するかに注目したい。
③佐々木康幸 ピリピリ指数35
 ピット内を駆け足で移動しているのを何度か見かけている。焦ってドタバタしている印象はないものの、少しだけ気になった。
④倉谷和信 ピリピリ指数50
2007_1123_0376  怖い。もともと、いかつい顔である(失礼だけど)。それが、こうした場面ではさらにすごいことになるのだ。思い出すのは、一昨年の芦屋チャレンジカップ。準優、優勝戦でのコワモテぶりには、ひたすら圧倒されたものだ。あのときの状態に、近づいているという印象を受けた。もっとも怖い(顔がじゃなくて)存在だと思う。
⑤西村勝 ピリピリ指数45
2007_1123_0326  準優や優勝戦の賞典レースに限らず、どんなレースでも気合を感じる男である。その意味で、今日は特に変わった様子は見えないと言うべきか。
⑥上瀧和則 ピリピリ指数??
 ピットではほとんど姿を見ないが、池上一摩カメラマンによると、選手食堂で烏野賢太と並んで食事をしていたとか。仮に、ピットで姿を見たとしても、その心中は判然としなかったに違いない。ピリピリ指数は常に高いように見えながら、選手仲間とは笑顔で冗談を飛ばし合う。そんな上瀧を見れば見るほど、惑わされるに決まってる。

12R
①湯川浩司 ピリピリ指数75
2007_1123_0245  あの湯川が、まったく笑っていない。むしろ、眉間にシワを寄せて、不機嫌にすら見える顔つきなのだ。準優1号艇というのは、もっともプレッシャーがかかる局面でもある。その重圧と、真っ向から対峙し、戦っているのだろう。賞金王当確なんてことは、今日の湯川の頭にはない。ただただ、予選1位の栄誉とプレッシャーのなかで、優出することだけを考えている。
②寺田祥 ピリピリ指数25
2007_1123_0311  渡邉英児と同様、工作室でペラを調整していた。どんなときもクールな表情を崩さないテラショーだが、今日はなんと、検査員さんたちと大爆笑している姿を見た。少なくとも、妙な緊張はない。
③松井繁 ピリピリ指数50
 ピリピリ指数50は、普段と変わりはないものである。2R後、弟子の山本隆幸にアドバイスをしている姿があった。笑顔はなかった。
④白井英治 ピリピリ指数30
 透明な気合を感じる。必要以上に入れ込んではおらず、適度な緊張を胸に作業をしている感じだ。
⑤太田和美 ピリピリ指数35
2007_1123_0386  まったく普段と変わらぬ表情。ただし、気合は何割か増しな印象を受けた。朝イチで挨拶を交わしたのだが、返してきた会釈が妙に力強かったのだ。賞金王決定戦1V、賞金王シリーズ2V。決定戦とシリーズに横たわる深い溝を、もっともよく知るのが彼なのかもしれない。
⑥中島孝平 ピリピリ指数45
 もっとも緊張感をたたえているように見えたのが、彼だった。まあ、ムリもないかな、とも思う。SG初準優、しかもそれが夢の舞台につながっている。緊張するなというほうがムリだろう。しかし、浮き足立ったところはない。良好な気合に変化していく可能性もあると見た。

 ピリピリ指数は、あくまでも独断。ただ、いつもよりこちらの身も引き締まる雰囲気を18人がかもし出しているのは間違いない。太陽系最大の勝負駆け、その一発目まで2時間を切っている……。

2007_1123_0218  最後に、気になる山崎智也。穏やかに、リラックスして過ごしているが、こちらの勝手な思い込みだとしても、どうしたって強い悔いを感じずにはいられない。現実を受け入れはしても、納得はしていないのだろう。もちろん、納得していないのは自分に対してだ。つまりは、今日もまた、男っぽい智也に出会ったということだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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5日目! 準優勝戦です!

おはようございます。競艇王チャレンジカップ、準優デーを迎えました! 今朝の浜名湖は快晴の準優日和、しかも昨日まであれだけ強く吹いていた風がほぼ無風状態です。このまま穏やかな気候が準優までもってくれればいいのですが……。やっぱり、最高のコンディションで賞金王勝負駆けを戦ってほしいですからね。あ、はまくんでーすさん、市川選手はもちろん、今節出場選手は全員、優勝すれば賞金王には出られますよ。準優レース前の現時点では、10~12位の服部、三嶌、池田選手を超えることがポイントとなるため、3人の状況を記したわけですね。本日夕方~夜には、優出選手、および特別選抜戦の着順しだいではベスト12入りする選手の状況などをお伝えすることになりますので、お楽しみに。

2007_1123_0458 というわけで、本日は昨日の一枚の写真から。上瀧和則選手が首を傾げていますが……何やってるんでしょうか? この瞬間を撮影した中尾カメラマンによると、「耳に水が入ったらしくて、片足ケンケンして水を出してたよ。この写真、なんかかわいいよなー」だそうです。上瀧選手のような動くタイプは、レースにスペクタクルを巻き起こす。西島義則選手もそうですが、こういう選手が賞金王にいると、レースがピリリと引き締まりますよねー。本日は6号艇ですが、頑張ってもらいたいものです。

というわけで、皆さん、本日は「太陽系最大の勝負駆け」でございます。レースの行方を熱く見守りましょう!(PHOTO/中尾茂幸)


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賞金王サバイバル!!

 さあ、準優のメンバーが決まって賞金王へのキップ争いも徐々に輪郭が見えてまいりました。服部はどれほど安全なのか、三嶌と池田はどれほど苦しいのか。詳しくは明日に譲りますが、今日は大まかな可能性を考えてみます(手計算のため、錯誤があるかもしれません。何か気づいた方はお叱りとともに御一報くださいまし)。

【23日終了時点でのボーダー付近の獲得賞金額と順位】

10位 服部幸男 6301万円 CC不出場
11位 三嶌誠司 5640万円 賞典除外
12位 池田浩二 5532万円 
13位 吉田弘文 5462万円 CC不出場
14位 田村隆信 5274万円 賞典除外
15位 原田幸哉 5262万円 ◎
16位 佐々木康 5070万円 ◎
17位 山本浩次 4960万円 
18位 江口晃生 4932万円 
19位 寺田 祥 4779万円 ◎
20位 平石和男 4721万円 ◎
21位 白井英治 4627万円 ◎
(千円以下は切り捨て、◎は準優進出)

2007_1123_0348 ★10位の服部が逆転される可能性

 服部が12議席に入る確率が日々アップしています。服部が10位から13位まで落ちることがあるとしたら……
A/瓜生、湯川、松井以外の選手が優勝する。
B/なおかつ、優勝戦2着は佐々木、寺田、平石のうちの誰か。
C/なおかつ、優勝戦3着が原田。
 このABCの条件がすべて満たされた時のみ、13位まで転落するのです。たとえて言うなら、優勝戦で1着・中島、2着・寺田、3着・原田、こんな感じでしょうか。とにかくキーワードは「原田幸哉の優出3着」で、それ以外はほぼ大丈夫(月末の記念の結果次第では微妙な部分もありますが)。つまり、明日15位の原田が優出できなかったらその場で当確、原田が優出しても佐々木、寺田、平石の3選手が揃って優出漏れすると当確ランプが点ります。

★11位の三嶌が逆転される可能性

 服部に比べて三嶌と池田ははるかにシビアですね。様々なリスクが存在しますが、いちばん端的なケースは
「明日、原田と佐々木が揃って優出(完走条件、以下同)したらアウト」
 と思っていいでしょう。これが優勝戦になるともっと複雑かつシビアな条件が提示されます。たとえば、三嶌が生き残るには「瓜生・湯川・松井が上位を占め、下位ランクの選手が4~6着に」といった縛りになるわけです。まあ、崖っぷちの池田に比べれば、まだまだチャンスは残されているのですが……三嶌としては10円でも多くの賞金を積み上げる。これしかありませんね。

2007_1123_0441 ★12位の池田が逆転される可能性

 もう、逆転される可能性を書いたらキリがありませんね。ランク15位以下の選手が優勝したらアウトだし。明日でいうなら、原田か佐々木のどちらかひとりが優出した時点で赤ランプが点ります。また、原田幸哉が特別A戦で勝っても逆転……とにかく苦しい。
 逆に池田が奇跡の残留を成し遂げるとしたら、たとえば優勝戦で瓜生、湯川、松井が1~3着を独占し川崎、西島、上瀧などが4~5着。しかも原田が特別A戦で3着……なんて時ですかね。池田も三嶌同様に賞金を積み重ねて、できれば三嶌を逆転する(ほぼ不可能ですが……)。これしかやるべきことはないはずです。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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ドキュメント・ザ・勝負駆け

 準優へ、賞金王へ、1年でいちばん熱く激しい勝負駆けレースを時系列に振り返ります(選手名のあとの丸数字はボーダー6・00想定の着条件、☆は完走当確)。

2007_1123_0026 1R/金子②②、井口①①待ち、中島①②
ほぼ終戦を迎えたメンバーの中に、ひとり地元の大将・金子良昭が。番組さんの思いが染みる「1年2組」だが、初日にFを切った三嶌がインを譲らず2コース発進。1マークで後手を踏み、道中3、4番手の苦しい展開から気合いの連続差しで2着をもぎ取った。これで、10Rは2着条件に。井口6着、中島3着で脱落(※と、このときは思ったのだが )。

2R/寺田千①②、重成①①、横澤①待ち
このイン戦にすべてを賭けた寺田千恵が、とんでもなく早い起こしから痛恨のF。かなりアジャストしたのだが、それでも間に合わなかった(+03)。なんとかピンを取って吉報を待ちたかった横澤は2着、重成も3着でこのレースは全員が圏外に去った。

3R/池田②②、倉谷②②、高橋①②
賞金ランク12位……無類のイン巧者にして賞金王進出へ絶対に負けられない池田が圧倒的人気に。が、同じく背水の陣の倉谷がコンマ10のトップSから、今まで見たこともないような(失礼!)凄まじいまくり差しを決めて完勝。準優へ大きく前進した。逃げた池田も2着を死守して11Rに望みをつないだが、高橋は3着でほぼ脱落した。

4R/渡邉①、池本③④、村田①①、山口②、赤岩②②、松井②⑥
全員が超タイトな勝負駆け。前半最大の激戦カードになったが、地元の渡邉がコースを利して一気に逃げきった。勝負駆け成功! 2着の松井も12R完走当確に。今節好調な広島勢だが、山口が6着で脱落、池本も5着(最終マークで赤岩に逆転競り負け)で10Rは厳しい②着条件になった。村田、赤岩は絶望的に……。

2007_1123_0012 5R/今村⑤⑤、太田①、重野②②、瓜生☆、辻②③
呪われた1号艇? 昨日から森、大嶋、寺田千の返還欠場に続き、今村豊が展示後に急病を発して欠場・帰郷となった。大村の記念を制するなどリズムは良好、今節も予選突破がほぼ確実だっただけに本当に残念だ。今村に替わってインに入った太田和美が逃げきり、これまたギリギリの勝負駆けに成功。重野は4着で9R①待ちに。5着の辻は11R1号艇を残してほぼ絶望的な状況になった。すでに当確の瓜生は余裕の?2着。

6R/川﨑②⑥、佐々木☆、都築①⑥
1~3号艇がすでに終戦で、外枠が勝負駆けという難解な一戦。エース機を生かしきれずに戦線離脱した山本浩次がやっと仕上げたか、鮮やかなまくり差しで勝負駆け勢に一太刀を浴びせた。それでも2着の川﨑が完走当確。佐々木も4着ながら安泰で、5着の都築だけが12R1着条件という苦境に立たされた。この3連単が今日はじめての万シュー。枠番の妙というべきか。

7R/江口①、湯川☆、白井①、市川☆、山崎哲①待ち
S勘凄い山崎哲が5コースから飛び出したが絞りきれず、替わって1着勝負の白井が3コースから江口まで呑み込んだ。まくったピン勝負と、まくられたピン勝負と……江口は無念の4着終戦。明暗がくっきり分かれた。スリットで見せ場を作った山崎哲も6着に沈み、ダービーに続く連続予選突破の夢は消えた。湯川と市川はさすがのパワーで2、3着。

8R/上瀧③、西島③
これぞ勝負駆け! 着順の重さを踏まえれば、今日一番のデッドヒートといえるだろう。レース自体は逃げた中島~4コースからブン回した重成の順でやや単調な縦長の展開に。が、このレースは「3着」がキモ。その1枚の指定券を、なんとなんと当事者の上瀧と西島が奪い合っている。艇界が誇るイン屋ふたりの、過酷なサバイバルマッチだ。常にリードしているのは上瀧。2艇身ほどの差で追いすがる西島が、2周1マーク、2マーク、3周1マークと強ツケマイ連発でじわじわと差を縮めてゆく。そして最終ターンマーク、ついに外から同体まで肉薄した西島は、一転して差しハンドルに構えた。ツケマイを防ぎ続けてきた上瀧は、この差しに対応しきれず逆転。艇界を引っ張り続けているふたりのマッチレースは、美しいほどに凄絶だった。西島は6・00で文句なしの当確。一方の上瀧は5・80で微妙な結果待ちになった。

2007_1123_0212 9R/高橋①待ち、赤岩①待ち、原田☆、山崎智②、重野①待ち
これも勝負駆け……ボーダーが5・80付近で停滞し、当確の原田以外の5選手にも自力突破の可能性が生まれたこのレース。ここ一番の勝負レースになるとほぼ100%の確率でSを奮発する山崎智也が、奮発しすぎた。コンマ03の勇み足。今年、F禍に泣かされ続けた智也が、またやってしまった。残念な結果だが、さすが智也と言いたい。こうして己の身を切り裂いてでも虎穴に入る男だからこそ、常に信頼して舟券も買えるのだ。臥薪嘗胆、このFも肥やしにして来年は賞金王の舞台に帰ってくるだろう。一方、賞金ランク15位の原田幸哉はコンマ01!のタッチで残して2着。賞金王への逆転進出にグッと近づいた。1着は終戦ながらコンマ02と気を吐いた井口。1・2着条件の4選手がすべて消え去るという皮肉な結果になってしまった。

10R/瓜生☆、倉谷③、池本②、金子①
条件どおりに1着・金子、2着・池本、3着・倉谷になれば幸せなレースなのだが……準優も賞金王もお腹一杯の瓜生が豪快に逃げきり。3コースから気合いで握った金子は虚しく流れ、4着に散った。池本も5着で脱落、倉谷だけがしっかりと2着に粘りきって勝負駆けを成功させた。

2007_1123_0171 11R/佐藤⑤、川﨑☆、寺田祥⑤、湯川☆、池田②
準優ボーダーは中島の5・67。池田は3着でも5・83で当確ランプが点る。とにかくこのシリーズだけでなく、賞金王決定戦のためにブイに噛り付いてでも準優に行きたい池田。ここでの3着と4着は、そのまま天国と地獄を意味する。6号艇の池田は3コースに動いて、コンマ08の鋭発を決めた。が、さほどシビアな勝負駆けとはいえない他の艇もSを決めて、横一線の隊形に……中堅パワーの池田に勝つべき差し場を見い出すのは困難だった。
 超抜揃いのこのレースは、バックに移っても大混戦。内から寺田、湯川、佐藤、辻の順で艇をぶつけ合いながら併走している。その艇団の2艇身後方で池田はひたすら喘いでいた。前がやりあっているからチャンスも生まれそうだが、超抜艇団は激しく競り合いながらも、池田を置き去りにしたのだ。痛恨すぎる6着……。賞金ランク12位という嬉しいはずの御殿が、ひと吹きの息で消え去るような空中楼閣に変わった。残酷なレースだった。

12R/松井☆、都築②、市川☆、西村☆、平石☆
ボーダーは5・67か5・80か……上瀧の予選突破が確定し、最後の1議席を巡る争いは中島と都築に絞られた。自力駆けの都築は2着条件。コンマ09で外の市川を封じ、準優への差しハンドルを入れる。が、アウトから最内を突いた平石が、非情な伸び足で都築の内に舳先を入れた。池田同様、これもまた残酷なまでのパワー差だ。2マークで平石が楽々と先マイを打ち、都築の願いは断たれた。追っても追っても届かない3着。この結果、絶望的と思われていた中島孝平が幸運にも最後のチケットを手にしたのだった。(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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尊敬すべき勝負駆け――4日目、後半のピット

2007_1123_0490  整備室から出てきた江口晃生が、何かを発見して目を大きく見開き、唇を尖らせ、指を差して叫んだ。
「出すぎだよぉぉぉぉ~~~!」
 指を差した先には、瓜生正義がニコニコと笑っていた。江口は、瓜生のエンジンが噴きまくっている、と言っているわけだ。そのわりには、なんだか抗議しているような言い方だけど……。
「あんなこと言うから、ギアケースやったのに、元に戻しちゃったよ~~」
 瓜生はさらにニコニコと笑っている。「あんなこと」が何だったのかは確認できなかったが、推測すると、瓜生と江口は足合わせをやったか、あるいはお互いのアシ色を確認し合ったか、どちらかをして、瓜生の言葉は決して強気だったわけではなかったのだろう。それで自分のアシ色を顧みた江口は、調整したギアケースを元に戻した。そういうことだと思う。ところが……。7R、江口は1着で結果待ちという勝負駆けで、絶好の1号艇。しかし、4着に敗れてしまった。結果的にボーダーは5・67だったから、逃げ切っていれば準優に残っていた。一方の瓜生は、5R2着、10R1着。この対照的な結果に江口は、「出すぎだよぉぉぉぉ~~~!」となったわけだった。
2007_1123_0277  瓜生は、えへへ、といった感じでさらに笑ったあと、
「フルダッシュで行ったんですよ」
 だが江口は、また唇を尖らせて「そんなことじゃない!」。そして、もういちどビシッと瓜生を指差して、力強く言った。
「出てるっっっ!!」
 去っていく江口に、瓜生はぺこっと会釈を返した。
 たしかに、江口はこれで賞金王への道は閉ざされた。無念の思いも強いだろう。だが、ここに記した内容を、実は目をくにゃりと細めて、笑みを浮かべつつ話していた江口だったのである。つまり、これは激励だ。瓜生、お前のエンジンは出ている、それを活かせば勝てる! そう断じることで、瓜生の心にパワーを注入したのである。
 そんなシーンを見ていたら、江口が終戦を迎えてしまったことが、ものすごく残念なことのように思えてきたのだった。瓜生よ、江口の期待に応える激走を頼むぞ!

2007_1123_0445  8R、西島義則が鬼神のごとき追い上げを見せて3着に浮上し、勝負駆けを成功させた。もし4着だったら予選突破はならなかったから、見事な逆転劇であった。
 おそらく、西島は相当に気分よく、レース後を過ごしていた。もはやアシにはある程度納得しているのか、作業をしている姿はまったく見なかったが、エンジン吊りに出てきたときの西島は、まるで身体が弾んでいるかのように、力強い歩様なのだ。歩幅も大きく、スピードも速い。精神的な充実ぶりが、その肩から、背中から、あふれ出ているのである。かつては賞金王常連だった西島の、最後の賞金王出場は01年。02年グラチャン優勝戦のF以来、暮れの大舞台からは遠ざかっている。6年ぶりの聖戦に向けて、すばらしい気合乗りになってきたぞ。

2007_1123_0124  9R。気になる山崎智也。まさかのフライング。いや、男っぽい勝負を見せてくれる智也だから、しかも6コース発進となったのだから、スタートをぶち込んでくるのは予想の範囲ではあった。もちろん、それがフライングとなるとは考えていなかったし、もっともみたくなかった結果ではあったが……。山崎智也のROAD to 福岡は、終わった。
「これも勉強です」というコメントを残している智也は、11R前にはもうスッキリした表情を見せていた。さまざまな思いが胸中に渦巻いているのは間違いないが、しかし結果を受け入れているようだ。12R前には、村田修次、齊藤仁と談笑しながらエンジン吊りに出てきており、屈辱の結末を迎えた男のようには見えなかったものだ。かつて、敗北の悔恨を笑顔で隠す智也、というようなことを書いたことがあるが、今日の笑顔はそうは見えなかった。ただただ、ひとつの物語の終わりを吹っ切れた思いで迎えているようにしか見えなかった。それが正解かどうかはわからないが、智也はすでに来年に目を向けているのではないかと想像した。もしそうだとするなら、山崎智也はやはり、男っぽい男である。もちろん、崖っぷちに残れなかった雪辱は、来年、倍にして返すはずだ。

 11R。バックで5艇が並ぶという、激戦となった。勝負駆けだったのは、辻栄蔵と池田浩二。辻は賞金ランク22位、そして池田は12位という正真正銘のボーダー上だった。
2007_1123_0734 「びーっくりしたわ!」
 西島義則と並んで控え室に向かいながら、辻は大声で笑った。
「あれは普通、1等じゃ」
 西島が笑い返す。インから1マークを真っ先に回った辻は、結果的にだが、1着なら準優に残っている。そして、たしかに逃げ切る態勢を作り上げていた。ところが、そのふところに4艇が「どっこどこ入ってきた」(辻)。次々と差し込まれ、5艇併走という状況になってしまったのだ。しかも、辻がいちばん外、である。びーっくりするのも、当然だ。2マークをうまく捌いて2着を確保したあたりはさすがであったが、喜べない2着であろう。4年連続でベスト12のピットを手にしてきた一昨年の賞金王覇者は、この時点で5年連続を逃すこととなってしまった。悔しすぎる2着、であった。
 だが、辻はむしろサバサバと笑っていた。もしかしたら、ものすごいレースを戦った、もしくは作り上げた充実感があったのではないだろうか。カポック脱ぎ場では、他の出走選手も興奮気味にレースを振り返っていた。どの顔も上気し、誇らしげだった。勝った寺田祥以外の選手も、である。
2007_1123_0249_2「すごかったなー!」
 川﨑がともに戦ったライバルたちに話しかける。全員がうなずく。
「普通だったら、1等の展開だったのに、ヘタすりゃ6等だもんなー」
 実は、川﨑は6等でも予選を突破していた。だが、川﨑はそんなことを言っていたのではない。どれだけ激戦だったかを語っていたのだ。
 その後も、彼らは充実した表情で、レースを振り返り続けた。まるで、このすばらしい余韻にいつまでも浸っているように。
2007_1123_0477  ただし、一人だけ、ちょっと違った表情を見せていた男もいた。池田浩二だ。
「いいターンした手応えがあったのになあ」
 辻の内にどっこどこ入った一人であった。スーパーバトルを構成した一人だった。しかし、真っ先に脱落したのも池田だった。両側から挟まれるようにしてずり下がったのだ。結果、ただ1艇そのバトルに参加できなかった湯川浩司(予選1位の彼が参加できなかったのも意外だが……あるいは、だからこそなのか)との競り合いにも敗れて、シンガリ負けを喫してしまった。11Rがピットアウトした時点では、予選18位だった池田は、つまり3着で準優に残っていた。それがまさかの6着……。自力でベスト12のイスを手にすることは、かなわなくなってしまった。
「あー、今年が終わった」
 ヘルメットを脱いだ池田は、そう呟いた。実際は、賞金ランク12位の池田には、賞金王出場のチャンスは残されている。だが、先述したように、準優~優勝戦(場合によっては特別選抜戦)の結果待ち、自力で12位を守り切ることはできないのである。池田の呟きは、その意味で、妥当かもしれなかった。だが、池田浩二よ、諦めるな。信じながらあさっての夕方を迎えてほしい。他力出場を良しとしない心意気は、まさしく勝負師のソウルなのだから。

2007_1123_00902007_1123_00992007_1123_06912007_1123_0244  12R。勝負駆けには関係なかったが、インから圧倒的な走りを見せた松井繁に痺れる。ピットに戻ってきた松井の目には、力がみなぎっていて、また圧倒される。やはり、この男は王者だ。
 それよりも、エンジン吊りの面々に、改めて驚かされる。倉谷和信、太田和美、湯川浩司。帰郷した田中信一郎以外の大阪勢全員が、準優進出を決めているではないか。している作業はいつも通り、表情も特に変わってはいないのだろうが、全員の表情に特別な充実を感じたりしてしまう。もちろん、こちらの感じ方でしかないのだろうが。
2007_1123_0723  対照的だったのが、都築正治である。このレース、唯一の勝負駆け選手が都築だった。条件は2着。1周1マークを回って、都築は2番手を走っていた。そのまま押し切れば、見事な勝負駆け成功であった。ところが、内をするすると平石和男が伸びてきていた。思い切ったツケマイを放って攻めたが、結果は3着。わずかひとつの着順の差で、準優のピットはするりと逃げていった。
 ピットに上がった都築は、固まっていた。誰の目にも明らかな、落胆。視線は下を向き、足取りは重い。ヘルメットをかぶったまま控室へと向かう際も、ずっとうつむいたままだった。繰り返すが、わずかひとつの着順の差、である。しかしその差は、賞金王への道を眼前に開いてくれるか、あるいはぴしゃりと閉ざしてしまうかの差でもある。残酷なまでに大きな大きな、差なのである。決して下を向く必要のないレースぶりではあったが、胸を張れと言われてもできるはずはない。チャレンジカップ勝負駆けの非情を、都築は全身で味わうのだった。

2007_1123_0527  フライング6本。ボート変更11艇。さらに、途中帰郷4名。あまりに壮烈で、熾烈で、過激で、まさしく何が起こるかわからない、競艇王チャレンジカップ。事故多発は望ましい出来事ではないし、実際あまりにいろんなことが起こりすぎて、誰もが重々しい気分を抱えてはいるけれども、しかしその場で立ち上るドラマは、せつなく激しく、そして美しい。世界最大の勝負駆け、そこには艶やかに戦う、尊敬すべきレーサーたちがいた――。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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今村豊選手の欠場について

本日5Rを直前に欠場となった今村豊選手ですが、展示後に出場選手待機室で待機をしていましたが、締切3分前頃に急に体調を崩し、同室していた選手より連絡があって、すぐに医務室に搬送されたそうです。医務室の医師が、出走不可能と判断。欠場となりました。

2007_1119_0217今村選手は、一時体調を崩していましたが、最近はピットで元気な姿を見せていたし、今節もそうでした。しかも、1着2本をあげ、5Rは1号艇、準優はほぼ間違いないのではと思われる成績を残していました。それだけに、残念……。早いご快癒と、元気に水面に復帰されることを心より願っております。


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準優勝戦メンバー確定!

世界最大の勝負駆けが終わり、競艇王チャレンジカップ準優勝戦のメンバーが確定しました。この準優勝戦も、賞金王決定戦へめっちゃ重要な太陽系最大の勝負駆け。目が離せませんぞ! なお順位は本日終了時点での賞金ランキングです。

10R
①市川哲也(広島)23位
②原田幸哉(愛知)15位
③佐藤大介(愛知)50位
④川﨑智幸(岡山)26位
⑤渡邉英児(静岡)31位
⑥西島義則(広島)37位

11R
①瓜生正義(福岡)2位★賞金王当確
②平石和男(埼玉)20位
③佐々木康幸(静岡)16位
④倉谷和信(大阪)62位

⑤西村勝(埼玉)43位
⑥上瀧和則(佐賀)39位

12R
①湯川浩司(大阪)3位★賞金王当確
②寺田祥(山口)19位
③松井繁(大阪)
5位★賞金王当確
④白井英治(山口)21位
⑤太田和美(奈良)52位

⑥中島孝平(福井)29位

※念のため、主催者発表をご確認ください。


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聖戦士の勝負駆け――4日目、前半のピット

2007_1122_1047  装着場には、あまり選手の姿は見当たらない。ときどきポツリポツリとペラ装着などの作業をしている選手もいるが、着水するなどして姿が消えると、また閑散とした時が訪れる。「賞金王勝負駆け」の準優勝負駆け、しかしピットを見る限り、こちらが想像するようなアツさはない。むしろクールであるように感じるほどで、晩秋の冷気が身にしみる。
 そんななかを、川﨑智幸がゆっくりゆっくりと歩いていた。児島周年・競艇キングカップの優勝戦でも、ゆっくりゆっくりと歩く川﨑を見かけているが、そのときよりは速度は2~3倍。ゆっくりゆっくりとは言いながら、児島よりはちょいと速い。あのときは優勝戦、今回は予選最終日。優勝戦のほうがおのずと気合が強くなるのは当然で、それが速度に表われるということか。こうなったら、今節も優出を果たしてもらって、明後日、歩く速度を確認したい気になった。2年連続の賞金王出場も、俄然応援したくなったぞ。

2007_1122_0255  今節は本体の大手術もしていて、整備室で見かけることの多かった辻栄蔵が、今日はペラ室で作業している。辻はもともと、ペラ室で姿を見ることのほうが圧倒的に多かったから、ようやくいつもの辻栄蔵に戻ったという感じだ。3R前、ペラ室から歩み出て、ボートに装着。すでに締切時間は近づいていたが、「降ろしてもいいですかぁ?」と大声でリフト操作の職員さんに声をかけて、OKサインをもらうと「ありがとうございまぁすっ!」と急ぎ着水。軽やかな足取りでボートを押して、リフトへと向かっていった。そのスピードは、川﨑の2~3倍。まあ、辻はスタスタと歩いていることのほうが多いような気はするが。昨年まで4年連続賞金王出場、一昨年は優勝。言うまでもなく、連続出場を途切れさせるつもりは、微塵もないはずだ。

2007_1122_0169  3Rに出走した鳥飼眞のエンジン吊りに、上瀧和則が駆けつける。いや、駆けつけるという言葉はふさわしくないか。腕を組みながら、散歩でもしているかのように涼しい顔つきで、のんびりと歩いていたのだから。エンジン吊りには多くの選手が駆けつけるわけだが、リフトに到着したのはいちばん最後。そのスピードは、辻の3分の1、くらいだろうか。計算上は川﨑と同じような速度ということになるが、時間差があったから、ちょっとよくわからない。ただし、川﨑が雲の上を歩くような足取りだとするなら、上瀧は踏み固められた土の上を歩いている感じ。まあ、本人はそんなことを意識して歩いているわけはないのだが。
 鳥飼のボート引き上げを手伝いながら、上瀧はゴキゲンな笑顔を見せていた。これは、いつもの上瀧だ。選手仲間の輪の中では、上瀧はいつも笑っている。この勝負駆けに、上瀧はまったくの平常心で臨めそうだ。昨年まで3年連続賞金王出場の上瀧、もちろん4年連続を本気で狙っているはずである。

 昨年の賞金王戦士12名のうち、今年の出場をすでに決めているのは、4名。このチャレンジカップに出場しておらず、連続出場を逃したのが3名。残り5名が昨年に続いてベスト12に名を連ねるために、この浜名湖ですべてを懸ける。今日の勝負駆けが、そのための胸突き八丁。気合が高まらないはずがない。
2007_1121_0081 「クロちゃん、朝から仕事し続けて疲れたから、休憩してくるわ!」
 昨日よりずっとスッキリした表情になっていた三嶌誠司が、そう言って選手食堂へと消えていく。彼もまた“残り5名”の昨年賞金王出場組。初日のFで、あとは他選手の結果待ちという状況になってしまったけれども、緩めることなく、朝から仕事を続けているのだ。1Rでは初1着も出て、少しでも賞金を積み上げて逃げ込みを図る。全選手のなかで、もっとも間近に賞金王のスペシャルな雰囲気を知っている昨年の出場者たちは、今年もあの空気を味わいたくて、全力を尽くすのである。

2007_1122_0145   そして彼も昨年出場組だ、気になる山崎智也。彼は開会式や勝利選手インタビューで「崖っぷちに立っている」と言った。この言葉は、実は深い。なぜなら、彼が立っている崖っぷちとは、「賞金王決定戦の崖っぷち」だからだ。つまり、彼は「賞金王に出られないかもしれない」と考えている。「ここを勝てば賞金王に出られるかもしれない」ではない。山崎智也のなかでは、「賞金王決定戦出場は当たり前」ということになっている。だから、「出られないかもしれない」。それが、「崖っぷち」という言葉の意味である。山崎智也は、それほどまでの高いステージに立っている。それだけに、今日は最高の気合で走るのは間違いないのだ。……と言いながら、今朝の智也は昨日とまったく変わったふうはなく、佐藤大介とニッコニコで談笑していたのだけれど。

なお、5Rで今村豊が展示後に急遽、欠場となっている。発表は「急病のため」。記事執筆&更新のため、ピットを離れていたので詳しい状況はわからない。わかれば、後半のピットで続報したい。今村は12Rも欠場です。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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4日目!

おはようございます! 競艇王チャレンジカップ、4日目でございます。「すべてが勝負駆け!」チャレカの、準優勝負駆け。賞金王への道は、今日をクリアしなければ、閉ざされてしまうのであります。したがって、おそらく今日は、年間最大の、いや、世界最大の勝負駆け! 面白い1日になりますよ~。

2007_1122_0881 チャレンジカップ一昨年の覇者といえば、この人、上瀧和則。ピットではあまり姿を見ることがないのですが、昨日はピンピン。きましたね~。エースのジョーが、来ました! ここからは“スーパー上瀧”が見られるんじゃないでしょうか。……と書いていたら、上瀧とはライバル関係ともいえた、あの植木通彦さんが記者席にいらっしゃいましたよ~。そして、H記者に浜名湖水面の特徴などを話していましたから、今日のH記者の予想は期待できるかもしれませんよ~。皆様、お楽しみに。てなことはともかく、上瀧和則は賞金王に欠かせない男だと思います。ここはスーパー上瀧の勝負駆けに期待しましょう!

それでは皆さん、今日は祝日なんですね。一日、世界最大の勝負駆けで盛り上がりましょう!(PHOTO/中尾茂幸)


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ヒートアップ・ザ・勝負駆け!

 いよいよ予選の得点争い=賞金王トップ12への勝負駆けもヒートアップしてきました。今日は地元の笠原亮が沈没、夢の3億円を目指していた魚谷智之が転覆(負傷帰郷)、一発逆転の足を秘めた大嶋一也が内規違反(帰郷)などなど、無念のアクシデントも多発。明日の本チャン勝負駆けでは、どんなドラマが起こるのか……水神のみが知る過酷で熾烈な1日になりそうです。
 そんな中、1日早い勝負駆けで奮起した選手もおりました。とりわけ見事だったのは上瀧和則と原田幸哉でしょう。

火の玉ジョー、全開!

2007_1122_0173  まず、上瀧は3Rでコンマ07から鮮やかな逃げきり。まあ、今日は1R~7Rまですべて「逃げ」決着ですから、これ自体は驚くべきことではありません。圧巻は10R。6号艇の上瀧は例によって動き、2コースを奪取します。が、起こしでやや後手を踏み、コンマ26のワーストタイミングでスリットを通過しました。ただでさえ勝つのが難しい浜名湖の2コースで、致命的な遅れ。この絶望的な隊形から決め撃ちの小回り差しで、バック先頭に踊り出たのです。3コースの魚谷が握ったという展開にも恵まれた差し切りではありましたが、よほどの出足とレース足がなければ「2コース差し」が決まらないのが浜名湖水面。大逆転の賞金王進出へ、3日目にして上瀧らしいパワーが備わりましたね。
 ちなみに上瀧の賞金ランクは39位。ほぼ優勝だけが賞金王当確の条件ではありますが、勢いに乗ったときのこの男の強さは言うまでもないでしょう。明日も1走2着条件という厳しい勝負駆け。これを乗り切ったとき、「火の玉ジョー」のミラクル伝説が生まれるのかもしれません。

獰猛でクレバーな野獣

2007_1122_0133  今節、はじめて「2コース差し」という決まり手で勝ったのが、8Rの原田幸哉でした。まず、その布石になったのが4R。3コースの幸哉はスリット同体からインの江口晃生にツケマイを浴びせます。ギリギリ耐えた江口に、幸哉は2マークもツケマイ、2周1マークもツケマイ、さらにツケマイ、ツケマイ……最終ターンマーク以外はすべて全速で攻め続けておりました。結果は2着でしたが、このレースを見た選手たちは「今節の幸哉はいつにも増して外からの全速戦が怖いな」と思ったことでしょう。なんというか、獲物を追い詰める野獣のような連続ツケマイでしたから。
 そして、8R。2コースの幸哉はスリットで半艇身ほど覗き、インの齊藤仁にプレッシャーをかけます。なんとか伸び返した齊藤は、ひたすら幸哉の全速ツケマイだけを警戒したはずです。まともに喰らえば惨敗ですから。
 で、齊藤が内から握ったのを見た瞬間、幸哉は機敏な差しハンドルを入れておりました。獲物を追い詰めるだけ追い詰めてから、草むらに隠れて先回りをするように。幸哉の正味のパワーは中堅上位~よくて上の下程度でしょうか。バックでも他艇の追撃を振り切るのに苦労してましたが、そんなパワーだからこそ幸哉の並々ならぬ気迫と聡明さが浮き彫りになった「差し」でした。
 今節の幸哉はひと味もふた味も違う。
 前検からの中尾カメラマンの見立ては間違いなさそうです。まあ、当然ですけどね。今日現在の賞金ランクは15位。優出2着で10位の服部幸男を、3着で11位の三嶌誠司を超える位置にいるのですから。「勝負駆けで絶対に緩めない男」原田幸哉が、今年最大の勝負駆けでぶっとばさないわけがない。今節の原田幸哉は飢えた野獣なんです!!
 幸哉はこの2・1着で準優への当確ランプが点りましたが、野獣と化した男に満腹の二文字はありません。準優~ファイナルの1号艇を目指して、明日も獲物をとことんまで追い詰めることでしょう。獰猛に、そしてクレバーに。

池田が命がけの勝負に!

 さてさて、賞金王ボーダー付近の動向は……?賞金自体は予選で大幅に変わるわけではありません。が、今日あたりから準優~優勝戦も見据えた青写真が浮かび上がってきましたね。
【21日終了時点でのボーダー付近の獲得賞金額と順位】

10位 服部幸男 6301万円 CC不出場
11位 三嶌誠司 5618万円 賞典除外
12位 池田浩二 5508万円 予選23位
13位 吉田弘文 5462万円 CC不出場
14位 田村隆信 5263万円 賞典除外
15位 原田幸哉 5245万円 予選6位
16位 佐々木康 5058万円 予選3位
17位 山本浩次 4930万円 予選40位
18位 江口晃生 4921万円 予選26位
19位 寺田 祥 4757万円 予選9位
20位 平石和男 4704万円 予選7位
(千円単位は切り捨て)

2007_1122_0576  山本浩次は明日①①着でも5・50……一縷の望みは残されていますが、かなり厳しい状況になったようです。原田幸哉、佐々木康幸、平石和男は完走当確、寺田祥も5着当確と、この4人はおそらく準優に残るはず。池田浩二と江口晃生のふたりはバリバリの勝負駆けで、もし落選するような事態になると江口のみならず、池田もほぼ絶望的な状況になってしまうでしょう。当確4人のうちの誰かしらは優出しそうですから。池田の場合、逆に優出さえ果たしてしまえばほぼ12位以内が確定するわけで、明日の2走が生死を分かつ戦いになります。明日からはさらに詳しく賞金変動~ランク推移を紹介します!!(Photo/中尾茂幸、Text/畠山)


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ツラいツラい勝負駆け――3日目、後半のピット

 なんとなくピットの空気が重く感じたのは、気のせいなのだろうか。あるいは、僕が勝手に暗い気分になっているだけなのか。
 勝負には、何が起こってもおかしくない。しかし、今日はいろいろなことが起こりすぎた。しかも、予想だにしなかったことがたくさん。
2007_1122_0333  既報の通り、6Rで森秋光が、7Rで大嶋一也が欠場となっている。その内容については、別項を参照してほしいが、誰がこのような事態が起こると想像しただろうか。歴戦の名人が、まさかこのような勘違いをするとは……。大嶋は、「浜名湖モーターボート競走実施規程第69条により」即日帰郷となったが、競艇場を後にする際、森に対して心から申し訳なさそうにしていたそうである。森もツラかっただろうが、大嶋はもしかしたら森以上に落ち込んでいたのかもしれない。
2007_1122_1007  青天の霹靂なんて言葉が軽く聞こえるほどに、あまりに突然、戦いの場を奪われてしまった森は、それでも後半のピットでは淡々とした表情を見せていた。自身に過失などいっさいなかっただけに、吹っ切れるのも早かったのだろうか。ただ、心に妙な感覚が残っていないはずはなく、長嶺豊さんが慰めるように抱きしめると、苦笑いを浮かべて、思いもかけず降りかかった不運への嘆きを表現していた。森は昨日Fを切っていて、すでに終戦を迎えていたとはいうものの、しかしひとつひとつの勝負を捨てていたわけではないのだ。戦わずして剣を収めなければならないのは、児島55周年準優の寺田祥もそうだったけれど、戦士としてはもっともツラいことのひとつに決まってる。

2007_1122_0912  10Rでも、予想外の出来事が起こった。なんと、魚谷智之が3周1マークで転覆したのである。魚谷とて、こうした事故は常に身に起こりうることであるのは当然なのだが、しかし「あの魚谷が……」と呟いてしまうのは、彼のあまりにも強烈な近況を思えば、誰もが抱く感覚だろうと思う。まったくもって、信じがたい転覆だった。
 魚谷は、この転覆で負傷、途中帰郷となっている。11Rが終わった頃、ペラゲージの入ったプラスチックのボックスをいくつか手にしつつ装着場を歩いている魚谷を見かけたが、歩幅は狭く、やや足を引きずるような格好で、ツラそうな歩様だった。顔に精気もなく、傷んでいる様子がうかがえる(腰が負傷箇所のようだ)。ひとまず自力歩行が可能なので、賞金王決定戦には元気な姿を見せてくれると信じてはいる。だが、07年最強、賞金ランクも独走の魚谷の痛々しい姿は、衝撃的の一言しかない。早く傷を癒してほしいと願いながらも、彼の後姿を見ることさえツラいことだった。

 昨日、田中信一郎が負傷帰郷した。今日も2人が、帰郷した。事故もFも多発していて、水面は強風にあおられて波立っている。なんだか不穏なムードさえ漂ってしまっている「年間最大の勝負駆け」、これもドラマチックな要素と言ってしまえばそれまでだが、やはり心は浮かない。ピットで顔を合わせる人たちは、口々に「いろんなことがありすぎだ」と言い、そして「もう事故など起こってほしくない」と祈っていた。12R前には、何としても無事に今日という日を締めて、リズムよく仕切り直しの明日を迎えたいと、皆が願っていた。ツラい一日は、今日だけにしてほしい。きっと選手もそう思っていただろうし、選手たちを見つめる者たちの誰もがそう考えていた。
2007_1122_0921  12Rは1周バックで3艇が併走となる激しいレースながら、ひとまず何事もなくレースは終了している(寺田千恵がキャビってはいるが、大きな事故にならなかったのは何よりだ)。さまざまな出来事が巻き起こったことを認識してはいても、選手たちは力の限りに己をぶつけ合うのだ。しかも、最高に激しく。その闘志は誰にも止められないし、見る側としては激しいな戦いを望んでいる。だからこそ、選手が笑顔でレースを終えられることを願う。明日は爽快な空気の中での「年間最大の過激な勝負駆け」になってほしいと切に願う。

 12R発売中、笠原亮と目が合った。控室に戻るところだったようで、僕はその途上に突っ立っていたのだった。笠原は、すぐに苦笑いとも微笑ともつかない笑みを浮かべた。
「すみませんでした。せっかく載せてくれたのに」
 BOATBoy12月号のチャレンジカップ特集で、「地元」勝負駆け選手ということで、笠原亮にインタビューをした。笠原が言ったのは、そのことだ。期待に応えられず、すみません、というほどの意味だろうが、もちろん謝る必要など微塵もない。誰よりも、心に傷を負ったのは笠原自身だからだ。むしろ、こちらが煽ったことを謝らねばならない立場かもしれない。
2007_1122_0227  そのインタビューで笠原は、「本気で獲りに行く」と力強く言った。そして、「本気で獲りに行けば、ダメだったときにショックはものすごく大きい。でも本気で獲りに行く」とも言った。ダメだったときのショックを回避するために、自分をごまかすようなことを言うとか、本気度を下げるとか、そんなことをしない笠原が素敵だと思う。自分に逃げ道を作らなかったことが尊いのだ。結果、3Rで沈没失格を喫して終戦となってしまった笠原は、それ以降の一日を大きなダメージとともに過ごしただろう。「もうボロボロです……」と溜め息もついていたから、その心中は察するだにツラい。だが、笠原の戦いは決して否定されるようなものではないはずだ。落ち込むのは仕方がない。いや、今はひたすら落ち込めばいい。再び前を向いたときの笠原は、さらに強くなっているはずだからだ。
 明日からも頑張って、そう告げると、ひとつ頷いた笠原。明日の朝目覚めたとき、すでに前を向いていれば、きっと逆襲の機会は訪れる。

 その直後、整備室のほうに移動して突っ立っていたら、三嶌誠司が整備室から出てきた。「寒いなか、大変やね」、三嶌は笑顔で僕に語りかけた。しかし……笑顔が硬い、そう思った。
2007_1122_0629  前検日、「ええとこ見せる」と宣言して競艇場入りした三嶌。しかし、一昨日、第1戦でFを切ってしまい、早々と終戦を迎えていた。それ以来、ピットでその姿を見てはいたけれども、初めて顔を合わせ、言葉を交わしたのがこの瞬間。3日前の言葉を覚えているとは思わないけれども、彼が今立たされている場所に思いを馳せれば、すべてが吹っ切れているはずがないと考えるほうが自然だろう。
「寒いっすね」、そう返した僕に軽くうなずくと、三嶌は足早にペラ室へと向かった。取材者として、三嶌に聞きたいことはたくさんあったし、そうでなくとも心中を想像したくなる位置に彼はいる。しかし、それ以上、話しかけることはできなかった。拒絶していたわけではないだろうし、単に忙しかっただけだろうけど、それ以上は話しかけられたくないというような空気を、三嶌は発散しているように思えたのだ。取材者として情けない話かもしれないが、僕はその空気を受け入れるしかなかった。
 F後の三嶌は、まるで次に走るレースが勝負駆けであるかのように、整備やペラ調整に集中している。もちろん、目の前のレースを全力で勝ちに行く姿勢は変わっていないのだから当然のことだが、それでも決して勝負を投げない、つまり絶対に諦めないという思いが、作業をする背中からあふれ出ている。彼がこれから走る戦いの意味合いがどうであろうと、三嶌誠司は今節中に必ず「ええとこ見せ」てくれる。そう堅く信じる。

2007_1122_0180  さて、明日はボーダー6・00とすれば2着勝負駆けの山崎智也。崖っぷち度はさらに高くなってしまっているが、そんな智也にもちょっとだけツラいこと……というより、不運があった。10R前に発表された前夜版(概定版)番組では、智也は明日4号艇に入ることになっていた。後輩である秋山直之が、智也のボートに4番のプレートと青い旗を設置していたのだが……12R前、秋山が控室から走って装着場に現われた。「番組が変更になったんです~」。10Rで転覆した魚谷の帰郷により、概定版は変更に。その結果、智也は5号艇になったのである(9R)。秋山はダッシュで5番のプレートと黄色い旗を持って来て、智也のボートに取り付けた。勝負駆けの局面だけに、ひとつでも内のほうが望ましかったはずで、やはりこれは運が悪いと言うしかないだろう。まあ、4号艇に入った原田幸哉のマクリに乗れば展開はありそうだから、あながちネガティブな変更とばかりは言い切れないが……。智也自身、そんなことなど気にしたふうも見せずに笑顔を浮かべてもいたから、艇番がどうだろうと、渾身の勝負駆けで魅せてくれるはずである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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明日の勝負駆け状況!

 準優へ、そして賞金王決定戦へ……おそらく1年でもっとも厳しく激しい勝負駆けの状況をお伝えします。ボーダー6・00想定で完走当確は湯川、市川、佐々木、原田、平石の5選手のみ。残りの13議席を巡って激しい火花が散ることになりそうです。

 勝負駆け状況(☆は完走当確)

湯川浩司  ☆
市川哲也  ☆
佐々木康幸 ☆
今村 豊  ⑤⑤
瓜生正義  ④⑥
原田幸哉  ☆
平石和男  ☆
西村 勝  ⑤
寺田 祥  ⑤
佐藤大介  ⑤
川﨑智幸  ②⑥
松井 繁  ②⑥
池本輝明  ③④
上瀧和則  ③
都築正治  ①⑥
西島義則  ③
山崎智也  ②
山口 剛  ②
――以上18位ボーダー――
辻 栄蔵  ②③
重野哲之  ②②
赤岩善生  ②②
池田浩二  ②②
太田和美  ①
渡邉英児  ①
江口晃生  1待ち
倉谷和信  ②②
横澤剛治  1待ち
金子良昭  ①②
山崎哲司  1待ち
寺田千恵  ①②
高橋 勲  ①②
中島孝平  ①②
村田修次  ①①
重成一人  ①①
井口佳典  1・1待ち

※ボーダー6・00想定。ただし5・50~5・83程度まで下がる可能性も十分あります。悪しからず。


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明日の12R1号艇は……

「クイズ ぶっとばす!」の正解が出ましたよ~。

問題:4日目(11月23日)12レースの1号艇になる選手は誰でしょう?

2007_1121_0529 正解は……松井繁選手でありました! 王者松井ですか~~! 妥当な線といえば妥当な線、そして「ぶっとばす!ファイナル」にふさわしい1号艇と言えるかもしれません。今日はいろんなことがありましたが、明日の12Rはすっきりとした決着で、いいリズムで準優を迎えたいものですね。

正解者ははっしーさん、おっさんさん、モンキーたんさん、ジローさん、325さん、メイリーフさん、タッチスタートさん、人間さん、いとちゅうさん、はまくんでーすさん、サブマリンさん、ウォリアーズさん、うまっちさん、ママさん……1番人気の大本命だったようですね。正解者の皆様、お見事!


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6Rと7Rの欠場について

6R1号艇・森秋光が「展示後の状態変更」、7R1号艇・大嶋一也が「内規違反」で欠場となりました。その状況報告がありましたので、お伝えします。

「6R展示終了後、当日7R出場予定の3010大嶋一也選手が、自身のボート、モーターと誤り、6R1号艇3443森秋光選手のプロペラを自身のプロペラと交換してしまった」(浜名湖競艇 検査)

つまり、自身の展示を控えていた大嶋選手が、「ペラを交換しよう」と係留所に向かったのですが、その際、同じ1号艇の森選手の艇を自分の艇と勘違いして、ペラを交換してしまったわけです。そのときすでに、6Rの展示航走が終了していたため、森選手は「展示後の状態変更」となってしまったのでありました。したがって、両者ともに欠場、となったわけです。

※大嶋一也選手は、途中帰郷となりました。


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地元勢の勝負駆け――3日目、前半のピット

 空気が冷たいピットに、業務連絡のようなアナウンスが流れる。
「白井英治選手、ボート15から44に変更」
 2Rで白井のボートが破損したようだ。ボート変更は、これが今節6件目になる。重成一人、重野哲之、鳥飼眞、上瀧和則、高橋勲、そして白井だ。チャレンジカップの激しさを象徴するかのような、傷だらけのボートたち。ここが苛烈な戦場であることが、まざまざと思い知らされる。
2007_1121_0356  変更が告げられて、そのための作業をしている白井に、金子が歩み寄る。マウスピースをくわえたまま、白井と2、3言葉をかわして、がっくりとうなだれた。苦笑いまじりの笑みを浮かべて、目を細めたまま。そんな金子に白井も、目を軽く細める。金子は、「やれやれ」といった感じで両手を広げた。あまり浮かない話をしていたのは、間違いなさそうだ。
2007_1121_0132  対照的に、2Rを逃げ切った重野哲之は、嬉しそうに目を細めている。エンジン吊りに加わった松井繁に、手を結んで開いて結んで開いて結んで開いて……グーパーグーパーグーパーと左手を動かして、何かを説明していた。おそらくは、レバーを握って放って握って放って、なんとかスタートを合わせた、ということか。もし敗れていたなら、「こんなスタートだったからなあ……」といったところなのだろうが、勝利の後なら笑い話になる。防寒対策のため口元を覆っている松井も、目で笑って、重野を祝福していた。

2007_1121_0074  「かかりが来ないんですよ……」
 1R、2号艇からの差しハンドルが流れて敗れた渡邉英児は、表情こそいつもと変わらぬ優しく穏やかなものだが、むずかるエンジンに手を焼いているようだった。回り足を強力に仕上げて勝負するタイプの英児にとって、武器を繰り出せない現状。コツコツと整備をして機力を上向かせていく“英児スタイル”は今節も健在だが、しかし描かれるべき上昇カーブは彼が想定したほど、鋭角な弧ではないようだ。もちろん、それでもいつの間にかきっちりと機力が仕上がっていくことがあるのが、彼の手腕なのではあるが。
2007_1121_0034 横澤剛治は、整備室の奥にあるペラ室にこもっている。浜名湖のペラ室は、ボートリフトの脇にある装着場から覗き込めるものと、整備室の奥にあって装着場からは様子がうかがいにくいものと2つあって、横澤は後者を使っているのである。リフト脇部屋は、参戦していれば服部幸男がマイポジションを構築していて、佐々木康幸や笠原亮ら服部の弟子たちは今節、普段なら服部がいるはずの場所あたりで調整をしている。奥部屋は、参戦していれば菊地孝平が使用していて、同期の横澤はこちらに陣取っているわけだ。それぞれが、ここにいない仲間の思いを背負って、作業を続け、そして水面を走る。引き締まった横澤の顔つきには、何か決意のようなものが見えるような気がする。

2007_1121_0122  胸を張っているように見えた。好調・佐々木康幸である。師匠・服部幸男が賞金ランク10位。ともに賞金王に行くためには、自身が好成績を残し、下から這い上がろうとするライバルを叩く必要がある。そして、ここまでは順調に目標に向かって突き進んでいる。気分が悪かろうはずがない。地元勢では、もっとも雰囲気がよく見えるのは、やはりこの佐々木。ピット内を往来する足取りも力強い。
 その佐々木が、少し慌てた素振りを見せたのが、3Rだった。同じ服部門下の笠原亮が、沈没失格の憂き目にあった。重野とともに全力疾走でボートリフトに駆けつけて、水面に目をやる。「僕はあっちに行ってます!」と重野が救助艇の到着するほうへ走り出すと、佐々木はリフトの前でうなずいて、さらに心配そうに水面を眺めた。師匠とともに賞金王へ。おそらく、佐々木と笠原はそう誓い合っていたはずだ。しかし弟弟子をアクシデントが見舞ったことは、佐々木にとっても哀しいことに違いなかった。それまで明るい表情でいることが多かったのに、佐々木の表情が曇った瞬間だった。
2007_1121_0385  4Rのスタート展示が終わって数分後、笠原がバツの悪そうな表情で装着場に現われた。とりあえず、身体は無事のようでホッとする。ちょうどその頃、沈んだボートが引き上げられて、佐々木をはじめとする仲間たちがエンジンを外しているところだった。駆けつけた笠原は、ヘルプしてくれる仲間たちに申し訳なさそうにしながら、洗浄のため水をかけられているエンジンを見つめている。水をかけ終わって、分解洗浄のためにエンジンを整備室に運ぶ笠原に、金子良昭が背中越しに慰めの声をかける。笠原は、ほんのわずかに舌を出して、苦笑いするしかなかった。笠原は、この失格でほぼ終戦。夢は兄弟子に託すしかなくなってしまった。もちろん、これで勝負を投げる男ではない。明日からも全力投球するはずだ。しかし、胸に抱いた思いが空転したことは、彼の心に影を落としているようだった。

 地元でチャレンジカップを迎えられることは、非常に有利であることは言うまでもない。だから、気合も入る。それが奏功すれば、心は弾む。だが逆に、だからこそ気合が報われないとき、ダメージも大きい。アドバンテージが大きいほど、リスクも大きいということだ。そんな戦いを乗り切って、福岡への切符を手にできる者が現われるだろうか。また、御大・服部を12位内に残すことができるだろうか。王国静岡の緊張感あふれる戦いは続く。

2007_1121_1047  さて、浜名湖は相性がいいはずの気になる山崎智也。ヘッドホンを耳にあて、集中力を保とうとしている姿を見かけて、これはいつもの通り。切羽詰った表情もなく、平常心で過ごしているように見えてはいた。しかし、6R1回乗りは5着。明日はやや厳しい勝負駆けを強いられることになった。今日の後半、そして明日の智也に変化はあらわれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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3日目!

2007_1121_0016 おはようございます。あなたも私も勝負駆け、競艇王チャレンジカップ、3日目でございます。本日の浜名湖は曇天模様。先ほどは小雨もぱらついておりました。雲の切れ間から薄日は射しているのですが、なんだかすっきりしない空模様でございます。風は機能ほどは強くないですが、追い風がそれなりに吹いております。今日も荒れ水面になるのでしょうか……。

昨日、寺田千恵が中尾カメラマンに写真の弟子入りをしたことを書きましたが、中尾の一番弟子といえば、山崎哲司。テツは、中尾のことを本当に「師匠」と呼んでおります。その“中尾ファミリー”が会話をしているところを、師匠が押さえておりましたので掲載します。師匠は「二人そろって準優に出てほしいな~~~」と心から願っております。取材班としても、テツ&テラッチを応援する所存でございます。がんばれ!

それでは、本日もドトーの勝負駆けに熱狂しましょうね~!


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ニッコニコの勝負駆け――2日目、後半のピット

2007_1121_0668  まず、既報ではあるが、田中信一郎だ。7R前の試運転中に落水し、負傷。やはり試運転中の他艇が助け上げる場面もあり、また「脳挫傷」との発表があったため、非常に気を揉んだのだが、幸い大事にはいたらなかった。11R前には病院から競艇場に戻っており、ペラゲージなどの片付けのためにピットにも姿を見せている。野中和夫選手会長に笑顔も見せていたし、歩様もしっかりしていたので、ひとまずは安心してよさそうである。負傷の場所が場所なので、不安が完全に消え去ったわけではないけれども、賞金王決定戦には元気な姿を見せてくれると信じている。今は、大事に養生してほしい。福岡で待ってるぞ!

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2007_1121_0894  話題は一気に転換する。池本輝明の水神祭を待つ間、辻栄蔵が取り囲まれていた。何かと思えば、辻のシューズ。これが古いタイプのもので、白井英治が「ダサい、ダサい」と辻をからかっていたのだ。辻も「いや、これがいいんだって」と応戦するが、白井のダサい攻撃は止まらない。そこに登場した今村豊、会話の輪に加わり、加勢したのは弟子のほう。「こんなシューズ、ひっさしぶりに見たわ~」と、白井とともに辻をからかいまくり。さすがの辻も劣勢で、「辻のシューズ=ダサい」に決定したようであった。辻はまったく納得していないようだったが。

2007_1121_0001  8R、山崎哲司が6コースからの強ツケマイ一閃。イン優勢の水面でありながら、実に思い切りのいい走りで、劇的な勝利をあげている。ちょうど水神祭会場の前を通ったので声をかけると、テツはニヤリと笑って「いいレースしちゃったよ~」。おどけたようにそう言ったテツからは、充実感があふれ出ていた。STはコンマ02。ここまでの2戦、冴えない機力をカバーするためにスタートを踏み込んでいた。その成果が出たのではないか、そう告げるとテツは、「リスク背負って行ったよ~!」。その覚悟が尊い。テツは、2戦でゴンロクを並べても、少しも諦めることなく、むしろ挽回するために腹を据えて、スタートを決めたのだ。もちろん、スリーブ交換をはじめとする懸命の整備も、あのツケマイを後押ししたのは間違いない。さらにアシを上向かせるためにペラ室に入っていくテツに親指を立てると、テツもサムアップして、「グッジョブ!」と小さく言った。テツ、本当にグッジョブ!だったぞ!

2007_1121_0878  テツと別れて、再び水神祭会場に目をやると、あらら、まだ辻が囲まれている。しかも、囲んでいる選手が増えてるぞ。というわけで、話題の的となっていた辻のシューズはこちらです。ひらがなで「つじえいぞう」と書かれているのがかわいいっす。

2007_1121_0929  水神祭も終わり、選手控室近くに中尾カメラマンと陣取り、ピットを見渡す。かなり閑散とし始めていて、翌日の艇旗艇番を準備する若手の姿がちらほらと見えるくらい。風の冷たさも、身に沁みる時間帯となってきた。と、そこに寺田千恵が登場。中尾カメラマンのでっかいでっかいレンズのついたカメラをとって、ファインダーを覗き始めた。「シャッター押していいよ」と中尾カメラマン。さあ、寺田千恵カメラマンの大撮影大会のスタートだ!
 巨大なレンズは重量もあり、またズーム機能も相当なものだから、レーサーであってカメラマンではないテラッチは悪戦苦闘。中尾カメラマンが指導するが、まあこれがサマにならない(笑)。それを見ていた長嶺豊さんからも、「テラッチ! 腰が入ってへんぞ!」とヤジが飛んだ。撮影姿勢はともかく、さらに苦戦したのがファインダーに被写体を収めること。ピット内を歩く選手にピントを合わせようとしても、これがなかなか難しいのである。「甘く見てたわ~。プロってすごいね~」と、軽々使いこなしているように見える中尾カメラマンに感心するテラッチ。最後は「弟子にしてください!」ということで、中尾カメラマンには山崎哲司に続く2人目の弟子が誕生したのでありました。
2007_1121_0933  その後もファインダーを覗き続けて、何とかシャッターを押して撮影できるまでになったテラッチ。いつの間にか、姿勢もしっかりとしてきた。さすがプロのアスリート、といったところか。管理棟の奥のほうにレンズを向けて、カシャカシャとシャッター音がしたかと思うと、その先でポーズを取っていたのは、今村豊。これがまた、おどけたポーズなんです、はい(右の写真は中尾撮影です)。というわけで、興味をもった今村さん、つかつかとテラッチに歩み寄り、一緒にファインダーを覗き始めた。「このレンズだと、どれくらいズームが利くんですか?」と、1マークの奥のほうに貼ってある横断幕にピントを合わせて覗き込む。2007_1121_0941 「ん? ん? ピントが合わん。ん? なぜ? わしの目が悪いのかなあ。こっちの目は老眼だからなあ」。「ああ、だったら、ピントはしっかり合っているので、写真はちゃんと撮れてると思いますよ」……って、肯定するなよ、中尾! 我らがミスター競艇ですぞ! しかし今村さんは気にせず、さらにテラッチとともに撮影続行。「ほら、あっちに●●がいるぞ。撮って!」「はいはい」「ちょっと見せて……ん? ピントはどうやって合わせるの?」「シャッターを半押しすると、自動的に合いますよ」「ん? 合わんぞ」「半押しって、わかります?」……どれが誰の会話かはあえて記しませんが、テラッチも今村さんも、子供が新しいおもちゃを与えられたかのように、あちこちにレンズを向けまくるのでありました。
2007_1121_0945  気づけば、11R締切5分前。「じゃ、準備しよ」と去っていった今村さん、そうだ、12Rに出走じゃないですか! 当然、展示の準備をしなければならないのであります。そのギリギリまで遊んでいる今村さんには、とにかく癒されっぱなしなのでありました。それでいて、レースではきっちり2等を獲るのですから、さすがのミスター競艇!
2007_1121__0016  で、すでに自分のレースを終えているテラッチは、さらにカメラを手放さず、11Rのレースも撮影しておりましたぞ。というわけで、明日より新連載「テラッチカメラマン写真館」がスタートしますので、お楽しみに。ひとまず、その第一弾として、テラッチ撮影の三嶌誠司。今村さんに「あそこに誠司がいる! 撮れ!」と言われて撮ったものです。なかなかのデキ、ではないでしょうか。

2007_1121_0543  おどけた話ばかりに終始したが、もちろんピットにあるのは、こういった風景だけではない。11R、インを奪取し、堂々と逃げ切って、力強い表情を見せていた松井繁の風格、同じレースの1周2マーク、超絶ターンで2番手に浮上しながら、道中で抜き返されてしまった佐々木康幸の肩を落とした姿、10R、ターンミスでシンガリにまで後退してしまった笠原亮のやるせない顔つき、フライング後もまったく勝負を投げていない三嶌誠司の凛々しい表情、試運転用係留所でエンジンと向き合う高橋勲の真摯なまなざし……熾烈な勝負駆けの場にふさわしい、震えるような表情も山ほどある。だが一方で、メンタルの作り上げ方を知っている勝負師たちの、メリハリの利いたリラックスした表情もある。こうしたオンとオフが、彼らに全力疾走の原動力を与えるのだと、こじつけではなく、そう思う。これがチャレンジカップのピットだからこそ、そんなシーンもまた、輝いているのだ。

2007_1121_0892  さて、12Rで今節初1着をあげた気になる山崎智也。智也もまた、比較的リラックスしているようで、余裕すら感じられる。池本の水神祭の前に着水に向かった際には、ボートリフトに乗せた艇の上から、ニッコニコで池本が投げ込まれるのを眺めていた。やっぱり、智也の笑顔には突出した華がある。その直前には、ボートを運ぶ架台の車輪がリフトの溝に引っかかってしまうというハプニングもあって、同時に着水しようとしていた魚谷智之が手伝って正常な位置に戻すというシーンも。智也も魚谷も、やっぱりニッコニコで、だからこそそんな智也からは、レースへの集中力が感じられたりもするのである。ニッコニコだからこそ、レースでの激しさに注目、ということだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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クイズ ぶっとばす!

問題:4日目(11月23日)12レースの1号艇になる選手は誰でしょう?

 番組担当者は12レースの1号艇に誰をもってくるかを、常に考えているという話を聞いたことがあります。12レースは1日のなかでもっとも舟券が売れるレース。ここにどのような選手をすえるかで、売り上げが変わってくるからです。

 とくに4日目の12レースは、勝ち上がり戦で番組担当者の手が介在する最後のレース。しかも23日は祝日なので、全国の競艇ファンの目がこのレースに集中しています。まだ1号艇に入っていないあの銘柄級をすえるのか? はたまた地元の人気選手をもってくるのか? それとも意表をついてあの選手か?

 みなさんも番組担当者の気持ちになって考えてみてください。正解者へのポイントは50ポイント。締め切りは11月22日の正午まで。急いで投票しましょう!


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本日もギリギリの勝負が!(競艇王CC2日目私的回顧)

 大阪両者が圧倒的なパフォーマンスを発揮!

2007_1121_1017  チャレンジカップのドリーム戦をみれば、どの地区に勢いがあるかがわかるという。今年は圧倒的に近畿地区だ。とくに、松井、田中、湯川の3人を出場させた大阪勢は、その充実ぶりを誇示するかのよう。今年の賞金王決定戦の舞台は福岡であるが、彼らが福岡を住之江色に染めるような気がする。

 残念ながら、田中信一郎が本日試運転中に落水して帰郷となった。だがそれを補うかのように、今日も松井と湯川が大暴れをした。

2007_1120_0943  もはや松井には付け入るスキがない。11レースの競走を見ていると、そう言わざるをえない。ピット離れでインコースを奪い、ゼロ台のトップスタート。1マークに到達するまでに艇は伸びていき、楽々と先マイ。 もう、どうしようもない。
 11レース終了後のインタビューでも、松井はしきりにエンジンの良さを強調していた。実直な機力評を出す松井だけにその言葉は信用できる。

 湯川の勢いも凄まじい。
 6号艇となった6レースも、6コースから上手くさばいて2着にまとめる。道中の伸びはかなりのモノ。
 そして10レース。アジャストしながら、なんとかコンマ03にスタートを入れる。本人曰く
「放り放り放りのスタート」
 だとか。本来なら外に叩かれてもおかしくないのに、スリット通過後に握りなおすと、グイッと艇が伸び返した。あの内容でイン逃げが決まるのであれば、明日以降も戦いやすい。
 これで得点は30点。大阪の若武者が、昨日に引き続き予選トップを爆走中である。
 

 進入だけでもお腹いっぱい!

2007_1121_0156  内が強い。まくりが決まらない。初日にひきつづき、浜名湖水面は外の艇に厳しい顔をみせている。いきおい、外枠の選手がガンガン動く。普段はコースにこだわらない羊が、内がスキをみせた瞬間、狼になる。進入が激しくなれば、それ以上にレースが激しくなるのも必定。

 進入からヒリヒリした感覚が伝わってきたのが6レース。
「イン不動」と思われていた1号艇の井口佳典が、ピットアウトで遅れる。その刹那、何の躊躇もなく2号艇の森秋光が井口の道を塞ぐ。3号艇の木村もそれに続く。ファンファーレが鳴ってから数秒。目を離していた観客は何が起こったかわからない。気づくと圧倒的な1番人気の井口が、インに入れそうにない場所にいた。舟券を買っていたファンは呪っただろう。

2007_1119_0396  遅れたものは仕方がない。井口はインに執着するタイプではないので「引く」という選択肢もあったはずだ。ところが、井口はもクルリと回り込んで真っ先に艇をスリット方向にむける。インを譲るのはプライドが許さなかったのか。それとも1号艇でインを主張しないのはバカらしいと判断したのか。
 これをみた森秋光はインを明け渡す。これなら絶好の2コースに入れる。
2007_1119_0480  ヒヤヒヤながらも、井口がインを取り返して進入に決着がつい……てはいなかった! 井口とネトロンの隙間に3号艇が挟まっている。木村だ! 井口が開けたスペースに、木村光宏が艇をネジ込んでインを奪った。二転三転したイン争いは、最終的に木村の手に落ちた(レース後、待機行動違反を取られたが)。
 もうこれだけでお腹いっぱい。でもまだレースは動く。
 内2艇を置き去りにして、3コースの森が真っ先にスリットを駆け抜ける。そして内に襲い掛かかる。まくりが決まりにくそうな水面ではあるが、この態勢なら決まる。そして突き抜けた。

 ところが、ここで無常のフライングコールが流れる。チャレンジカップ4人目のフラングの脱落者は森秋光。コンマ01の勇み足。入っていれば、ピット離れから攻めた鮮やかなレースだっただけに、無常である。
 進入からめまぐるしく動き、待機行動違反が発生し、フライングが飛び出し……。荒々しく激しい競走である。
 この波乱のレースを制したのは、進入争いにやスタート勝負に参戦せず、冷静なハンドルを入れた西村。勝負はアツくなったら負けなのだ。ただ、アツくなった者たちにも労いの言葉を贈りたい。彼らがいるからこそ、戦いは盛り上がる。

 規格外!? 波風の激しい浜名湖を切り裂いた大外マクリ!

 内が強い。まくりが決まらない。それでもスピードで攻めようとする選手もいる。8レースの山崎哲司だ。
 昨夜出走表を見たとき、「なんともキツい番組に入れられたものだ」と思った。
 まず、賞金王にもっとも近い男・魚谷がいる。1号艇にはイン戦で安定感ある赤岩がいて、外にはコースを動くであろう西島と三嶌。さらには地元の横澤もいる。あきらかに山崎だけが格下である。
2007_1121_0796  進入。案の定、西島と三嶌が動いて山崎は6コースに追いやられる。昨日からの浜名湖の水面状況を考えれば、よっぽど展開がむかなければ絶望的な位置である。
 山崎は先頭でスリットを駆け抜けた。タイミングはコンマ02。それでも他5艇のスタートも、コンマ08から13の間におさまっている。6コースのビハインドを跳ね返すには、これでもまだ足りない。
 1マーク。差し場はない。山崎は意を決した。レバーを握って、ハンドルを左に入れる。
 波高4センチ。風速は2マークから1マークにむけて6m。大外マクリが決まる水面ではないはずなのに、山崎は全艇を抱きかかえて先頭に踊り出た。

 前節の児島から、ずっと山崎を見ている。スタートは決まっているしターンも問題ない。でもエンジンが低調。
 今節引いた18号機も2連対率30%の低調機。だが、今日のスリーブ交換で化けた。これまで山崎の足を引っ張ってきたエンジンが、武器に変わった。

 2日目が終わって得点は13点。予選突破には残り2走で17点が必要だ。
 SGの2走17点はかなり厳しい条件である。ただ、今日の浜名湖で6コースまくりを決めた山崎なら、とも思ってしまう。

 賞金王決定戦ボーダーライン付近の動向

2007_1121_0760  賞金王決定戦出場のボーダーライン付近の選手で、本日のレースぶりが目立ったのは賞金順位24位の市川哲也だろう。
 2レース。6号艇から積極的に動いて3コースを取ると、4コースからトップスタートを決めた山崎を受け止めたうえで、マクリを放つ。風と波が高い浜名湖はまくりが決まらない。そんな定説をあざ笑うかのようなマクリ快勝。2走目の7レースはケレン味のないイン逃げ。スタートタイミング08は、スタート巧者の面目躍如である。賞金順位こそかわらないが、獲得賞金額は4433万円となった。23位の前本(4458万円)、22位の辻(4481万円)に、にじりと近づいた。

2007_1119_0398  昨日時点で獲得賞金4650万円。順位20位の平石も本日の2走を3着1着にまとめた。
 9レースの逃げ切りは強い内容だった。足も上向き、スタート勘も問題なし、この勝利で得点率も20点に乗せた。ただ、1レースの3着のほうが印象に残るレースだった。
 重野と2番手争いをする同県の西村を上手くアシストしながら4番手を追走し、重野がスキをみせた瞬間すかさず襲い掛かったレースだ。派手さはまったくない。だが、平石のクレバーさが光るいい競走だった。

【21日終了時点でのボーダー付近の獲得賞金額と順位】

10位 服部幸男 6301万円 CC不出場
11位 三嶌誠司 5605万円 賞典除外
12位 池田浩二 5494万円 予選27位
13位 吉田弘文 5462万円 CC不出場
14位 田村隆信 5242万円 賞典除外
15位 原田幸哉 5209万円 予選17位
16位 佐々木康 5027万円 予選3位
17位 山本浩次 4921万円 予選35位
18位 江口晃生 4892万円 予選33位
19位 寺田 祥 4724万円 予選21位
20位 平石和男 4683万円 予選13位

  優勝戦進出でほぼ決定戦出場が決まる池田浩二の現在の得点は15点。明日は8レース1回走り。要注目である!

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/姫園淀仁)


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本日の水神祭 不惑のSG初勝利!

一昨日、前検だというのに今節初水神祭が行なわれていましたが、本日、正真正銘の水神祭が行なわれましたよ! 主役は、4RでSG初1着をあげた池本輝明! 40歳にして初SG出場を決めた遅咲きの男が、2戦目で初勝利。まさしく不惑の激走でありました。

Qy3u4405 水神祭は後半レースの10R後に行なわれました。会場となったボートリフトに集結したのは、もちろん広島勢。さらには今村豊、白井英治の山口勢も参加しておりました。ちなみに、今村さんと西島さんの大御所二人は、入念に場所の下見をしていましたよ。率先して後輩の壮挙を祝う大先輩……というと聞こえはいいですが、ようするに「どうすればより怖がらせられるか」を相談してたんですけどね(笑)。実際、池本がリフト操作の職員さんに「下げてください!」と懇願し、職員さんがリフトを下げ始めると、「もうええ!」とリフトを下げさせなかったのは、今村さんだったのであります。優しい先輩たちでありますな(笑)。

Qy3u4418 というわけで、いきましょう、水神祭。仰向けに持ち上げられる「ワッショイ・スタイル」で、さあ行こう、1,2,3でドッボーーーーーーーン! まるでトップロープからのバックドロップみたいな体勢で、冷たい浜名湖の水面に吸い込まれていく池本選手でありました。一斉に拍手が巻き起こって、池本選手、おめでとう! で、真っ先に係留所まで降りて、岸まで泳ぎ着いた池本に手を差し伸べたのは今村豊。ただ怖がらせるだけではないのであります。Qy3u4421 その今村に手を引かれて、陸に上がった池本は笑顔満開。そこで市川哲也が目をつけたのは、山口剛。「なんだ、ツヨシ、一緒に落ちなかったのか!」。そういえば、池本を投げ込む前に、辻栄蔵が「俺は北川さんのとき(北川幸典、ですかね)、一緒に落ちたなあ」などと言っていまして、どうやら最年少の山口に「一緒に落ちろ!」と迫っていたようですね。山口が、いやいやいやあ、と笑うと、辻が「よし、じゃあ、やり直し!」。すわっ、水神祭リターンズ!?……などということはなく、みんなで池本に再び大拍手の雨を降らせて、笑顔の中、幕を閉じたのでありました。

池本選手、華を咲かせるのはこれからです。これからもSGで活躍を見せてください! おめでとうございました!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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田中信一郎選手の状況

練習走行中に落水し9レースを欠場した田中信一郎選手ですが、病院搬送中に意識を回復しました。病院で検査の結果「異常なし」とのことです。

帰郷は残念ですが、ひとまず命に別状がなくよかったです。


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意外な光景!?の勝負駆け――2日目、前半のピット

2007_1120_0533 「太田くん、見なかった?」
 おなじみ野中文恵さんが、同期を探してピット内をさまよっていた。太田和美、ですか……見てないなあ。野中さんが太田を探していた理由は「ノリ」。昼飯につけるの? と聞いたら、「違う違う、糊、だよ」。ああ、文房具のノリ、ですか。なんでも、太田は出走表を切り貼りして、独自の資料を作っているとか。ところが、今日はノリが見当たらない。浜名湖は庭と言っていい同期の野中さんに調達するようお願いした、そして野中さんは仕入れてきた、ということだ。野中さんは69期のよき姐御ですな、といちおう誉めてみたのだが、「違う違う、パシリ、よね」。だはは、たしかに。二人して笑っていたら、はるか前方に太田の姿が見えた。太田は、いつも通りの淡々とした足取りで、試運転用のピットに向かうところだった。このアツい勝負駆けの場で、平常を保っている様子なのがすごいことだと思った。
2007_1120_0301  野中さんが言う。「69期って、下のほうの勢力が強いんだよねえ」。下のほうとは、登番が若いほう、すなわち年下組が強いということだ。3554仲口博崇、3556田中信一郎、3557太田和美、そして最年少が3558山本浩次。SGクラスはたしかに、下に固まっている(3555野添貴裕も記念覇者だ)。「上のほうでは誠やん(3541三嶌誠司)くらいだもんね」。なるほど。一方、銀河系軍団85期は、登番が上のほうにSG常連が多い。4024井口佳典が85期では上から2番目。4025山本隆幸、4028田村隆信、4030森高一真など、年長組はたしかに強い。4044湯川浩司が下のほうだが、この期のリーダー役である井口をはじめ、上のほうに実績を残している選手が多いのは間違いない。
「強い期ってのは、上のほうが強いか、下のほうが強いものなのよね。上が強ければ、全員を引っ張り上げる。下が強ければ、全体を押し上げる」
 なるほどなあ。最強レベルと言われる期には、そうした「強い勢力が上か下に固まる」という特徴があるわけだ。ただし、上か下かで期の性格は変わる、とも。
「上が強いと、全体がまとまるのよね。下が強いと……」
「野中さんがパシリにされる」
「アハハハハハ!」
 ともかく、元選手の視点というのは、さまざまなものを気づかせてくれるものだ。あ、下が強い期は「個性派揃いになる」が正解です。たしかに、69期勢はそんな感じですね。

2007_1120_0334  4R、池本輝明がインから逃げ切り、SG初勝利。40歳の遅咲き男が、嬉しい嬉しい水神祭だ。いや、嬉しい嬉しい表情を見せていたのは、本人よりもむしろ周囲のほうだった。もちろん池本もピットに戻ってくるとヘルメットの奥で目を細めていたが、むしろ淡々とした表情の池本に比べて、広島勢は笑顔満開。きっと池本の積み上げてきた努力を、仲間は知っていた。SG初出場が不思議な実力の持ち主であることも知っていた。だから、自分のことのように嬉しい。そういうことだと思う。
2007_1120_0813  池本がピットに戻ってくる前、リフトに集まった時点ですでに、仲間たちは浮かれていた。隣県の寺田千恵や、中国地区同士の今村豊もその輪に加わっていた。池本の姿がピットに近づくと、バンザイ! 次の瞬間、辻栄蔵がテラッチをお姫様抱っこに持ち上げる。「キャーッ! やめてぇぇ! やめてよぉぉぉ!」
2007_1120_0653  辻がそのままテラッチを“水神祭”しようとする素振りを見せたのだった。もちろん、フリだけですけど。「もぉぉぉぉ!」とふくれるテラッチに、西島が何か話しかけてからかった。テラッチは西島をひっぱたこうとして、西島は大笑いしながら逃げる。テラッチはなおも追いかけて、腕のあたりをバッチーン。今村も何か話しかけて、「私、訴えたらお金になると思うぅぅぅ!」とテラッチ。だっはは、池本のめでたい勝利を肴に、大盛り上がりの広島&中国勢なのでありました。これも池本の人徳! ともかくおめでとうございます!

2007_1119_0587  3R後の話だ。レースを終えて、カポック脱ぎ場に次々と選手がやって来る。一番乗りは、もちろん1着の赤岩善生。公開インタビューがあるので、さくさくとカポックを脱いでいく。そこに、白井英治がやって来た。赤岩がすかさず駆け寄る。「英治さん(英ちゃん、だったかもしれない)、ごめん!」。進入について「あれ、向けた?」などと回顧し始めていて、ややもつれ気味だったコース争いについての「ごめん」だったのだと思われる。いったんはスローに入った赤岩は、回り直しての5コース(秋山直之が6コースに引いたため)発進となっている。そこに返ってきた山本隆幸が、「すみません!」と今度は赤岩に駆け寄った。赤岩は、おぅ、と右手をあげて返した。続いてやってきた笠原亮は、そこにいた全員に対して、「すみませんでした!」。笠原は、1号艇ながらピット離れで遅れ、大きく外を回って前付けのような形から2コースに入っていた。
 そもそもレースというものは全員が敵同士だが、このチャレンジカップはさらに「賞金王のイス獲り合戦」でもある。ライバルたちを蹴落として、輝かしいピットを奪い合う、問答無用のガチンコ勝負なのだ。当然、スタートも踏み込む。コース獲りも激しくなる。己の勝利のために、ギリギリの戦いを繰り広げる。だが、それが正々堂々の真っ向勝負だからこそ、レース後はみなが相手を気遣い合う。「すみません」の応酬は、一見、ガチンコの場にはふさわしくないように思えるかもしれないが、そうではないのだろう。これこそが、真剣勝負の場の美しい真実、なのだと思う。

2007_1120_0485  さて、ともかく気になる山崎智也。4Rは3着で、そこそこの序盤戦といったところか。レース後は、張り出されたスリット写真をかなり長い時間、見入っている姿があった。その直前、写真を見る前に顔を合わせた松井繁が、「10入ったくらいだよな」とドンピシャの言葉を智也に投げかけていたのには驚いたが、それはともかくコンマ08のタイミングに智也は何を思っただろうか。智也の一発勝負は、まだまだこれからだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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H本記者の「せめて500円札の札束には届きたい」予想

 1レース、舟券はデキていたのに3番手の重野がターンミスしてハズレ。3レース、1号艇の笠原から勝負したらインを奪われる。そして4レース。池本アタマで勝負したら2着がヌケ……。もはや、悪魔に魅入られております。札束にチャレンジした結果、ハズレ舟券の束が目の前にうず高く積まれております……。24連敗だけは避けたい……。

7R
大嶋が動いてスロー艇はやや深い起こしに。そこを瓜生が叩いて、76期ラインの原田が連動。「笹川賞の恩返し」というのは、考えすぎでしょうか。まぁ、どちらにしろ原田の気合は買えます。
【3連単】6→245→全

8R
魚谷の真価が問われることになりそうな一戦。さばいて上位にからめないようであれば、今節は厳しいかも。舟券的には飛ばすのが正解のような気が。赤岩の逃げから。昨日のフライングで人気を落としている三嶌にも妙味あり。
【3連単】1→246→246

9R
きょうの1レースでクレバーなレースぶりをみせた平石の逃げ。機力が抜けているわけではないが、スタートさえトチらなければ持たせるだけの足はある。相手筆頭は中島。以下、辻と田中。
【3連単】1→234→234

10R
現在賞金ランク12位。賞金王決定戦にもっとも近い位置にいる池田がスタート踏み込んで捲り差し。バック水面はドリームを制した湯川との一騎打ちに。
【3連単】4=1→全

11R
なんとなく松井がツケマイを打ちそうな気がします。インの山本が張って、ソコに佐々木がズッポリ入って3連勝。今節の佐々木はモーゼのような力を持っている! かも。
【3連単】3→45→全

12R
なぜか常に人気のない高橋勲。昨日のドリーム戦や、今日の5レースも人気なさすぎではないでしょうか。今日の荒れた水面なら、2コース差しが決まらないでしょうか
【3連単】2→13→全

 明日からはH記者が予想を担当します。湯川と同じく子育てチャレンジ中のH記者だけに、好成績を残してくれるのでは? とひそかに期待しております!


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H本記者の「浜名湖晴天・心は曇天」予想

 申し訳ございません。初日、裏パーです。
 イン逃げが7本決まり、「冬の浜名湖はインを軽視するな」というセオリーは合っておりました。でも、ヒモが当たんないんだもんっ(涙)。
 初日で軍資金も大幅に溶かし、たとえゲットできたとしても1000円札の帯封くらいになりそうです。

 今日の天気も晴れ。風も同じく追い風が吹いております。ところが昨日と違うのは、水面にけっこう波が立っていることです。あいかわらず「マクリ」は決まりにくそうですが、インが少しでもターンミスをすれば、差し・捲り差しも入ってくるでしょう。
 それに昨日の成績を振り返ると、インが強いのと同様に、「スタートが速い選手」が台頭していることに気づきます。本日は「エンジンイマイチだが、スタート速い選手」を穴で狙ってみようと考えております。

1R
冒頭の穴条件にピッタリ当てはまるのが山口剛。インの西村がフライング持ちなので、上手くスリットで内の艇にプレッシャーを与えることができればチャンスはあるはずです。
【3連単】1=3→45 【2連単】3→45

2R
スリーブを交換して一発にかける山崎哲の一撃から。2コースの田村が昨日失意のフライングを切っているだけに、付け入るスキはあるはず。エンジン上位ある寺田を相手筆頭に。
【3連単】3→145→全

3R
笠原がトップSからメイチの逃げを打ちます。浜名湖をよく知る笠原だけに、コレは仕方ない。相手はすんなり信一郎。師匠の服部を賞金王決定戦へ送り出すためにも、外の艇は完封したいところ。
【3連単】1→2→34

4R
外に猛獣のような選手が3人入った実験的な番組。でも配当を考えるとインの優位性に賭けたい。池本が銘柄級をなぎ倒して水神祭です!
【3連単】1→456→全

5R
今節の金子は何かが違う。何が違うかはわからないんですが、漂わせている雰囲気がちょっと。浜名湖名物・金子のスーパーピット離れを決めて今日もイン逃げ。
【3連単】3→124→全

6R
インにスタート速い井口が陣取るわけですから、ここは仕方ありません。相手は昨日ミラクルな捲り差しを決めた今村。まだ登番2000番台は死んでいません!
【3連単】1=4→全

 後半は12時30分くらいにアップ! 両目とは言わん。早く片目をあけたい!


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2日目!

おはようございます。競艇王チャレンジカップ、2日目でございます。浜名湖は快晴ですよ~。ほんま、気持ちのいい朝であります。水面は、ちょっと強めの追い風が吹いていて、やや波立っていますね。波乱の予感……!?

2007_1120_0092 さて、本日一発目は注目選手。広島のヤング核弾頭、山口剛であります。平和島ダービーの際、山口と話したのは「来年のSGへの出場」でした。もちろん、ダービーにはまた出たい。GⅠでも頑張って、オーシャンカップも出られるかも。平和島ダービーで頑張れば、グラチャンの可能性もある。笹川賞も出られればいいなあ。そして、1年通して上位で活躍すれば、チャレンジカップや賞金王シリーズ(もちろん決定戦でも!)……などと、山口は来年の展望を楽しげに話してくれました。そこで僕は、「新鋭王座で優勝すれば、総理杯も!」とあおり、山口も「そうですね!」と顔をほころばせた。…………いやいやいや、次のSGは来年ではなかった! ダービー後の宮島周年優出、大村一般優勝で、いきなりダービーの次のSG、チャレンジカップに出場してきたのです!「いやあ、本当に予想外でしたね(笑)」。平和島での会話を覚えていて、そう笑った山口。いやはや、すばらしいっす!「地元記念に作っていったペラが当たったんです。宮島でも出て、大村でも出て、今回もいい感じなんですよ」。初日は4着でしたが、アシの手応えは上々のようです。一気に大仕事しちゃいましょうよ、と軽くけしかけたら、「頑張りますよ!」と満面の笑みを見せてくれた山口は、本日は1R1回乗りです。初っ端のレースで、元気者の爽やかな走りを満喫しましょう!

ということで、本日もよろしくお願いします。舟券も当てるぞー!(PHOTO/中尾茂幸)


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今回は「賞金王へチャレンジ!」クイズです

ども~。競艇王チャレンジカップもクイズいきます! 今回は、「賞金王へチャレンジ!」クイズ! というわけで、さっそく問題でございます。

魚谷智之
瓜生正義
湯川浩司
濱野谷憲吾
松井繁
吉川元浩
高橋勲
田中信一郎
井口佳典

現在、賞金王決定戦出場当確者は以上の9名でございます。そこで!

① 現在10位は、ここ浜名湖の大エース・服部幸男です。その服部は、今節F休みで出場ができなかったわけですが、浜名湖としては、そして実は個人的にも、ぜひとも賞金王に出場してもらいたいもの。問題は……服部幸男はベスト12に残ることができるかどうか。ポイントは――残れる……70P 残れない……30P――期待を込めて、このオッズとさせていただきます。

② ①をふまえて、賞金王決定戦、残り3つのピットは果たして誰がゲットするのか。その3名をお書きください。すなわち、賞金王のメンバーを予想してください、ということであります。ポイントは、一人的中につき、50Pとさせていただきます。

締切は、23日(4日目)の正午とさせていただきます! 3日目までの戦績を参考にしつつ、予想してくださいね~。それでは、皆様、ふるってご応募くださいませ!


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泣き笑いの勝負駆け――初日、後半のピット

 勝負駆けの無情。8R、3艇がフライングを切った。秋山直之、三嶌誠司、田村隆信。ボーダー上の選手が2人も含まれるという、無情……。だからこそ面白い、ということは当然言えるわけだが、しかしピットで彼らの表情を見るのは、やはりツラい。
2007_1120_0452  田村は、あと少し手を伸ばせば届くはずだったベスト12のイスを、これで手放さねばならないことが決まってしまった。落胆しないほうがおかしい。レース後、ずいぶん時間が経っているのに蒼ざめて見えたのは、決して先入観だけではあるまい。うつむくな、田村。明日も戦いは続く、そして来年がある……そう言うのはたやすいが、今日のところは声もかけづらいというのが正直なところだ。
2007_1120_0558  三嶌は、現在11位だから、まだすべてが終わってしまったわけではない。しかし、自力でベスト12の座を死守することはかなわなくなってしまった。ある意味、悔しさは田村以上かもしれないし、もし他の選手の浮上を眺めなければならなくなったときの悔いは、誰よりも強いはずだ。整備室では、特に表情を変えることなく作業をしている姿が見られたし、木村光宏にペラの相談を受けて、快く話をする姿もあった。だが、心の中には煮えくり返るような思いも渦巻いているに違いない。12R直前だっただろうか、競技棟の1階に貼り出されているスリット写真を、いつまでもいつまでも見つめている三嶌がいた。スリットオーバーは、コンマ01。気迫の証でもあり、入っているか入っていないかはもはや運の領域である。それだけに、簡単には受け入れ切れないのだろう。ついには、虫眼鏡まで持ち出して、どんなに見ても変化などしようもないのに、スリット線と自分の舳先を見つめているのだった。たまたま通りかかって、諭すように話し続けていた江口晃生の慈愛に満ちた眼差しもまた、せつなかった。

2007_1120_0201  田村や三嶌が悪魔に魅入られてしまったのだとするなら、佐々木康幸には女神が微笑んだと言うしかない。5R、実況の工藤アナが「めり込んだスタート」と表現したスリットは、コンマ00。佐々木は、タッチスタートでFを免れ、しかも1着でゴールしている。さらに、後半9Rでも1着。ピンピン発進という最高の成績で初日を終えたのだから、神がかっているとさえ言える。
「流れが来ましたねえ~」
 佐々木は、垂れ気味の目をさらに垂らして笑った。長嶺豊さんが、「SGやGⅠを勝つときってのは、00や01で残すレースがあるもんや」と、ジンクスのようなもの――しかし、大きな勲章を手にする者に降り注ぐ強烈なツキの存在を、佐々木に伝える。心強い言葉に、佐々木の笑顔に力がこもる。「まあ、明日は力が入り過ぎないように頑張ります」。そう言って顔をほころばせた佐々木からは、たしかに神々しいオーラが見えたような気がした。

2007_1120_0365  三嶌誠司を気遣っていた江口晃生は、自身もボーダー付近にいる。初日終了時点で18位、彼自身の状況も、アツい。しかし、その泰然自若とした振る舞い、そして他者へも意識を向けられる人柄が、このヒリヒリとした空気のなかでは眩しく見えたりもする。整備室でギアケースを整備していた笠原亮がとびきりの笑顔を見せていたのを発見して、ふと注目すると、会話の相手は江口だった。笠原は、照れたように笑ったりもしていたから、江口の言葉は笠原にとってポジティブなものだったのだろう。他支部の後輩と、そんな交流をチャレンジカップのピットでできるのは、彼の人柄がなせるものにほかならない。気合を満タンにたたえながら、人に優しくできる。そんな江口がこの勝負駆けを成功させるのは、痛快な出来事となるに違いない。
2007_1120_0789  その横では、辻栄蔵がいわゆる“三つ割”と呼ばれる作業をしていた(というか、辻のしている作業が三つ割だと教えてくれたのは、長嶺豊さんだ。師匠、ありがとうございます)。すなわち、クランクシャフトの整備だ。10Rでは2着という好成績がありながら、この大整備。この勝負駆けに懸ける辻の思いは、相当にアツい。それでいながら、心配そうに見守る整備士さんたちと笑い合ってもいて、やはり彼の朗らかな人柄が垣間見えている。
2007_1120_0860  さらにその横に、今村豊の満面の笑みがあった。7Rで6コースから1着という離れ業を見せているから、気分上々も当然……と思ったりもしたが、まあ、このニッコニコがピットでの今村豊の日常でもある。元気なミスター競艇には、本当に癒される。
 今村が何に笑っていたか、といえば、弟子である白井英治の整備に、だ。整備に笑っていた、というのは何ともおかしな気がするが、懸命に整備をしている白井を見つめながらニコニコと歯を見せて笑っていたのだから、やはり「整備に笑っていた」ようにしか見えないのだ。その合間に、白井にアドバイスらしきことを、笑顔を絶やすことなく、話しかけてもいた。白井英治は、賞金ランク21位。師匠の心遣いを活かして、賞金王12ピットに近づくことができるだろうか。
 12R発走、ピットでのレース観戦は窓越しに検査員室のモニターでしているが、その検査員室で大声をあげて談笑するミスター競艇がいた。この人はもはや、“勝負駆け”という概念を超越した領域を棲み家にしているのだと思った。
2007_1120_0792  ほかに、整備室で見かけたのは、渡邉英児。コツコツとパワーを積み上げていくのは、これぞ“英児スタイル”。初日から、炸裂している。山崎哲司も、大整備をした一人だ。中尾カメラマンによれば、寺田千恵と隣同士で整備をしていて、両者ともに親しい中尾カメラマンが「千恵ちゃん、明日はテツをいじめないでよ(ともに2R出走)」と言うと、「寺田さんのことは、いつもブラウン管で見てます」とテラッチに言ったとか(レース場で一緒になるのは初めてだそうだ)。今時、ブ、ブラウン管って……とは誰もが思ったらしく、テラッチは「あんた、本当は年いくつよ?」とすかさずツッコミ。出走表で年齢を確認すると、ちょうど10歳違いで、テラッチは絶句していたそうである。テツ、ふてぶてしいもんなあ。そんなテツが何を整備したかというと、「スリーブ換えました」。正直、表情は冴えないけれども、まだまだ諦めるわけにはいかない……そんな心意気や、良し。

2007_1120_0396  ドリーム戦。湯川浩司が3コースからマクって1着。初のSGドリーム戦を、勝利で飾った。湯川は、帰還したピットでも、まだ顔を引き締めたままだった。いい表情だ。湯川のマクリに貢献してしまったのは、1コースからコンマ33というスタートで立ち遅れた魚谷智之である。魚谷らしからぬスリットに、レース後は苦笑いを見せながら、悔しさをにじませていた。そんな姿にも、風格が生まれ始めているのが、彼の充実ぶりを表わしている。控室に向かいながら、掲示されたスリット写真を覗き込む。その瞬間、のけぞって天を仰ぐ魚谷。それ以上は忌まわしい隊形など見たくないとばかりに、それ以上はスリット写真に目をやることなく、カポック脱ぎ場へと歩を進めた。強者は、敗れた姿にも迫力がある。魚谷は、そんな領域に足を踏み入れている。

2007_1120_0413  さて、初日4着スタートの気になる山崎智也。今日は7R1回乗りで、後半はのんびりと過ごしていたのか、エンジン吊りのときくらいしか姿を見かけなかった。淡々と仕事をしていたから、その胸の内や気合のほどはまるでつかめなかったが、少なくとも暗さは感じない。アシも悪くないようだから、明日に期待するとしよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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賞金王決定戦へのせめぎ合い(競艇王CC私的回顧)

湯川浩司が賞金王決定戦の火蓋を切った!?

2007_1120_1011  浜名湖は協賛レースを行なうことで有名だ。チャレンジCの初日ドリーム戦にもスポンサーがついていた。レースタイトルは「子育てチャレンジ」。おそらくスポンサーに子供が生まれたことを記念したレースなのだろう。
 昨日お伝えしたように、数日前に湯川に子供が生まれた。競艇王チャレンジカップが終わると、湯川は子育てにチャレンジしながら生きていく。
「湯川におあつらえむきなレースタイトルだなぁ」
 そんな与太話をしていたのだが……。

 本当に勝っちゃったよ。

 しかも後から聞いた話では、「子育てチャレンジ」の協賛者のお子さんの名前が「ぎんが」というのだとか――。湯川といえば銀河系軍団。ぎんがちゃんの子育てチャレンジレースで、先日子供が生まれた銀河系軍団の湯川が1着。ホント、出来すぎである。

 そんなサイン舟券な話は抜きにしても、ドリーム戦のレースはよく出来ていた。とくに〝賞金王決定戦への期待感〟という点で、大きな意義があった。
2007_1120_1141  レース内容を簡単に振り返ろう。
 6号艇・田中の回りこみを5号艇の高橋が許さず、3対3の枠ナリ。今日は一日を通して激しい進入争いが繰り広げられたのだが、インの魚谷はオレンジブイを少し過ぎた場所にいる。本日一二の楽インである。
 なのに魚谷がスタートで立ち遅れるのだからレースはわからない。2コースの瓜生もまったくスリットに届いていない。内2人を置いてけぼりにして、コンマ10の全速トップスタートを決めたのが3コースの湯川だ。1マークに到達するまでに瓜生はナデ斬り。ターンマークで魚谷の上をガッツリ叩く。「若いヤツには負けん」といった風情で4カドの松井が二段マクリを打つが、それをもあっさりと退けた。湯川の完勝である。

 結果論ではあるが、魚谷がすんなり逃げ切ったり、松井の二段マクリに屈するようであれば、「賞金王決定戦で時代が動くかも」という期待感は湧いてこない。プレ賞金王決定戦ともいえる今回のドリーム戦を、最若手の湯川が制したことで、1カ月後がさらに楽しみになった。
「下の者が最初に吠えて勝負がはじまる」
 そう言ったのは阿佐田哲也だっただろうか。湯川が放ったマクリ。それは賞金王決定戦の火蓋を切るマクリだったのである。

ボーダー付近の熾烈な争い!

 通常のSGはドリーム戦メンバーが主役である。だがチャレンジカップに関しては、別の主役がいる。賞金王決定戦出場へのボーダー付近にいる選手たちだ。今節は「賞金王へむけて毎日が勝負駆け」な選手たちをも取り上げていきたい。

2007_1120_0722 「めりこんでいるのかぁ!?」

 5レース。全艇がスリットを通過したあと、実況アナウンサー工藤さんの声がスタンドに響き渡った。
 その叫びが佐々木康幸に対してのものであることはすぐにわかった。隣の1コースの倉谷よりも、約半艇身ほど出ていたのだから。工藤さんのいう「めりこむ」とは、スリットに舳先がめり込んでいるということ。

「さっそく出たかぁ……」
 私はひとり呟きながら、1マークの佐々木の旋回を見ていた。

 チャレンジカップは全選手が勝負駆け。ギリギリの駆け引きを繰り広げるがゆえフライングも多発する。昨年の丸亀チャレンジカップも数多くの選手がフライングに散っていた。
 佐々木は賞金王決定戦のボーダーライン付近にいる。獲得賞金が4962万円で賞金順位は16位。優勝戦に残ることができれば、自身初の賞金王決定戦への視界が大きく広がる。

 勝手知ったる地元の浜名湖。佐々木は気合が漲っていた。本来ならコースにこだわらないレーススタイルなのに、進入から強気に動いた。オレンジブイを回った時点では「スロー4コースかな?」という感じであったが、そこから強気を圧して2コースを奪い去った。さらにトップスタート。ただ、少し気合が空回りしてしまったかの――。

Cimg3592  否。
「スタートは正常!」
 それまでの工藤さんの悲痛な声が一転した。てっきり佐々木はアウトだと思っていたのだが、入っていたのである。
 タイミングはゼロぴったり。スリット写真は、浜名湖の神様に愛された佐々木の艇が、スタートラインとキスをしているかのよう。 地元ということもあり、佐々木がらみの舟券はかなり売れていた。「スタート正常」の声にスタンドが沸く。歓声にあと押しされるかのように佐々木の艇がさらに加速する。2マークを回った瞬間、佐々木は先頭に立っていた。

 ピットに帰ってきた佐々木は案の定、審判室に速攻で呼び出されたとか。でも、佐々木は手を緩めない。
 2走目の9レースも、コンマ07の好スタートを決めてきたのである。1マークでターンをハズしたため、いったんは2番手に下がるも、1周2マークで鋭角なターンを入れてふたたび先頭に踊り出る。
 服部、菊地、坪井。地元のベスト3不在のSGを、周年記念の覇者がピンピンヌキヌキで好発進。獲得賞金も5016万円となった。これ以上ないベストな内容である。やはり静岡の層は厚い。

2007_1120_0406  浜名湖の神様の寵愛を受けたのが佐々木なら、嫌われたのが三嶌と田村であろうか。
 8レース。三嶌はコンマ01、田村がコンマ04のフライングに散った。
 85期のエース・田村は、獲得賞金5231万円で順位は14位。このフライングにより賞典除外になるため、どれだけ稼いだとしても獲得賞金がベスト12位に入ることはない。
「絶対、決定戦に出ます」と語っていた田村だが、その切符は初日にして売り切れてしまった。

 三嶌のスリットはまさに紙一重。遠目に見るとタッチスタートのようにもみえるのだが、よくよく目を凝らして見てみると、ほんの少しだけ舳先が出ているのがわかる。優出すればほぼ決定戦出場が当確だったので、とてももったいない。もちろん、優出当確だからこそギリギリまで攻めたのだろうが――。
 現在の三嶌の獲得賞金は5580万円で順位が11位。このフライングで賞典除外となったため、決定戦出場はかなり微妙な状況に陥った。 本日賞金を加算した池田浩二が12位に浮上(これにより、いままで12位だった吉田弘文の賞金王決定戦出場は泡と消えた)。池田と三嶌の差が約100万円しかないだけに、池田が準優に乗れば三嶌を追い越す可能性は高くなるので、さらに崖っぷちに追い込まれることになりそうだ。

2007_1120_0866  三嶌と田村の賞典除外は原田幸哉にとって大チャンスとなる。11位の三嶌との賞金差が約500万円なので、6着でも740万円ある優勝戦に乗れば、決定戦進出に大きく近づくこととなる。それがわかっているかのように、原田はしっかりと11レースを逃げ切ってみせた。 これで獲得賞金は5199万円。原田の賞金順位は15位である。

【ボーダー付近の選手賞金額】
10位 服部幸男 6301万円 CC不出場
11位 三嶌誠司 5580万円 CC賞典除外
12位 池田浩二 5466万円 
13位 吉田弘文 5462万円 CC不出場 決定戦出場は絶望的
14位 田村隆信 5231万円 CC賞典除外
15位 原田幸哉 5199万円
16位 佐々木康幸5016万円
17位 山本浩次 4911万円
18位 江口晃生 4882万円
19位 寺田 祥 4710万円
20位 平石和男 4650万円


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静かに穏やかに勝負駆け――初日、前半のピット

2007_1119_0829  じゃぶじゃぶじゃぶ。整備室内の装着場側窓際には水道があって、松井繁がバケツに水を汲んでいた。その窓から整備室を覗き込むと、ほんの1m先に王者の姿があって、思わず後ずさり。松井は、光をさえぎるデヴの姿など目もくれずに、水を使っている。いったい何をしていたのかは、バケツに水を汲んでいる以外はまったく確認できなかったが、ただ松井は淡々とした、穏やかな表情であった。その後、松井は水の入ったバケツを、整備室の奥に運んでいる。
 ペラを手に整備室を出た松井は、ペラ室の横でモーターのチェックをしていた重野哲之に声をかけた。1Rに出走した重野は、残念ながらオープニングレースを飾れていなかった。松井と重野は、重野の師匠である片山友多加との関係で、支部の垣根を越えて仲が良いのだ。松井に気づいた重野は、振り返って顔をしかめてみせた。惜しかったな、そんな風情で松井の顔が優しさをたたえる。ぽんぽんぽん。松井は重野の尻を3度ほど叩いて、慰めと次への激励を与えていた。重野がぺこりと頭を下げる。松井は、微笑んでペラ室へと入っていった。
 王者の風格。そんな言葉が頭に浮かんだ。

2007_1119_0813  整備室の奥では、高橋勲が本体を開けていた。開会式のドリーム選手インタビューで言っていた「自分なりに整備する」を実行していたことになる。整備士さんのアドバイスを受けながら、力のこもった整備が長い時間続いていた。
2007_1119_0562  本体整備に着手していたのはほかに、市川哲也と辻栄蔵の広島勢である。市川の思い詰めたような表情も印象的だったが、辻の素早い行動がとりわけ目に留まった。自艇に置かれた工具を取りに行く際、整備を終えた本体を装着する際、すべての動きが小走りなのだ。重量のある本体を持っての小走りは、なかなか難儀そうである。装着を終えた辻は、舳先のほうに回ってボートを押し始め、そのままの態勢でボートリフトへと移動させ始めた。すなわち、ボートがバックで進んでいるような感じで、辻は艇を運んでいるのである。こんな運び方をしているところは初めて見た。
 それ以外に整備室で見たのは、木村光宏、田村隆信。田村はピストンリングを外しているように見えたが、実際に3本交換したようである。
 ちなみに、ペラ室では魚谷智之や笠原亮、寺田祥らの姿を見かけている。いつものSGに比べると、ペラ室の人口密度は薄いような気がするのだが。

2007_1119_0610  くれだまし、ってわかりますか?
 元選手にして浜名湖の姐御として君臨する野中文恵さんが、「なに? ネタ探し? あるよぉ~」と言いながら教えてくれたのが、「くれだまし」という言葉だ。隣のH本記者も、初耳だと言っている。
 この言葉を発したのは、1Rで4着に敗れた寺田千恵だそうである。佐藤大介との3着を競っていたテラッチが、大介の「くれだまし」を喰らって逆転された、というのだ。逆転の場面を記しておけば、大介のツケマイにテラッチが沈んだかたちだ。それが、「くれだまし」? 野中さんによると、こういうことだ。テラッチには、大介がキャビったように見えたそうだ。それを察知したテラッチは落として回ったのだが、ところが大介はキャビってなどいず、テラッチが落とした瞬間に全速で回っていった、。テラッチは、まさに大介の策略にハマったかたち。「ようするに、ネコだましのようなもんよ」(野中さん)。レース後、テラッチ&野中文恵は、大介に「キャビったと思ったのにぃ!」と文句を言ったとか。おねえさま方、あんまり後輩をいじめちゃダメですよ。
2007_1119_0648  そんなことを話していたら、テラッチがちょうど通りかかった。「その人と、あまり関わったらダメよ~~」と叫びながら、テラッチは食堂へと入っていったのだった。紅一点のチャレンジに臨むテラッチにとって、野中さんの存在は心強いのではないかとちょっとだけ思った。

2007_1119_0897  正直、初日のピットは予想外の静けさだと思った。大きな動きがそれほどあるわけでもなく、闘志を前面に出している選手がいるわけでもなく。といっても、選手たちに緊張感がないわけではない。今朝、挨拶を交わした選手のほとんどがそうだったのだが、挨拶を返してくれる声や、会釈などが小さいのだ。自分がそうする場合を考えてみると、これは「何かを考え込んでいる」ときではないかと思った。つまり、選手全員が思索にふけっているのではないかと、想像した次第である。目に見える身体や表情の動きは小さくとも、頭脳は猛烈な勢いで動いている。そういうことではないかと思うのだ。
 そんななか、気になる山崎智也だ。智也のスッキリした表情はいつ以来だろう? 思わず記憶の糸を辿りたくなるくらいに、雰囲気がいい。僕の立っていた場所から30mほど先で原田幸哉とは身振り手振りをくわえつつ談笑していたのだが、遠目に見てアフレコをつけるとするなら「ピューッ! ピューッ! ピューッ!」。それくらい、激しい身振り手振り、そして底抜けの笑顔だったのである。おそらく、誰かとの足合わせについて話していたものと思われる。こんな智也は、たしかに最近はほとんどお目にかかっていない。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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H本記者の2000円札の帯封ならまだ届くかも……予想

 逃げ、逃げ、逃げ、逃げ、抜き、逃げ……。

 私の想定どおり、やはり冬の浜名湖はインの強さが保証されております。
 ただし、私の舟券は、

 抜け、抜け、抜け、ハズレ、ハズレ、抜け……。

7R
 金子と今村が動くも、山崎智は枠主張。1256/34 あたりか。今年の山崎は2コースに入ったとき、少々強引でもツケマイを打ちにいく競走が多い。スッポリ開いた差し場に突っ込むのは、3号艇の重成。
【3連単】3→全→全

8R
 スタートがあまり速くないスロー勢に対して、4・5コースにはスタート巧者の2人が。捲る田村と、捲り差す重野のウラオモテで。
【3連単】4=5→全

9R
 地元の佐々木がトップSから逃げ切ろうとします。西島が差し、江口も捲り差しでしょうから、全速で上を叩けば都築でも届きそうな気が。前検気配も良かったですし。突き抜けまで考慮して。
【3連単】1=4→全

10R
 逃げる烏野と、前半戦で伸びの鋭さをみせた寺田の一騎打ち。3着目はどの選手にもありそうなので、総流しで。
【3連単】1=2→全

11R
 インの原田で絶対のようにみえますが、低配当確実で前検気配もソコソコというのであれば、あえて切った舟券に走るのも面白いのでは。中島を穴候補に抜擢。
【2連単】3→全

12R
 どこまでいっても魚谷の逃げです。相手も瓜生と松井。10倍を切るオッズになりそうですが、仕方ありません。
【3連単】1→24→24

 早く両目を開けたい!


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開会式!

2007_1120_0010  約一時間弱。ふんだんに時間をとった良い開会式でした。

 蒲郡MB記念の開会式と同じように、会場には「激励ゾーン」というブースが設けられ、ファンがナマの選手と触れ合える趣向になっています。

 平日の早朝から競艇場に繰り出した富裕層の諸君(by:開会式に登場したハッスルの高田総統)たちは、満足したのではないでしょうか。

 

2007_1120_0025_2 「1年間、このレースだけを目標にして頑張ってきました」(重野哲之)

「はじめて地元SGを走るので、ハッスルしすぎないようにがんばります!」(渡邉英児)

 当たり前ですが、地元SGへの思い入れはやはり強いようです。
 静岡勢は選手層がかなり厚いので、笹川賞やMB記念といったSGの出場は他地区に比べてかなり難しい。そしてこの2大会に出場できなければグラチャンの出場も難しくなり……。単純に賞金を積み上げれば出場できるチャレンジカップは、地元勢にとって気合の入る大会なのです。

 頑張れ、静岡勢!

2007_1120_0028 「新人の池本です。でも40歳なので得意コースは大外ではありません」(池本輝明)

 過去の池本の成績を見ると、なぜSGにいままで一度も出場したことがなかったかが不思議です。長期間にわたってA級をキープしていますし、過去には勝率7.30という高い数字を記録したことがあるのですから。

 おそらく池本も静岡勢と同じように、「広島」という層の厚い地域にいることによってチャンスが回ってこなかったのかもしれません。

 今節唯一のSG水神祭がかかった選手が、四十にして立ちます!

2007_1120_0059 「九州勢が3人と少ないですけど、一生懸命がんばります」(鳥飼眞)

 本来なら福岡・賞金王決定戦にむけて、この大会に大量の選手を送り込みたかったであろう福岡勢。やや気合が空回りしてしまった面があるのかもしれません。
 すでに出場を当確させている瓜生を除くと、決定戦出場へのチャンスがあるのは鳥飼だけ。最後の切符をもぎ取ることができるのか!?

2007_1120_0078 「先日、家族でアンパンマンミュージアムに行きました。子供に〝アンパンマンとお父さんどっちが好き?〟と聞いたら、3秒後に寝たふりをしました(笑)。アンパンマンに勝てるよう頑張ります!」(齋藤仁)

 アハハハハ! 子供って素直さと計算高さが混じりあって、けっこう微妙なリアクションを取ったりしますよね。この選手紹介を聞いて、私は「探偵ナイトスクープ」のモンキーターン少年を思い出してしまいましたよ(笑)。
 今日の齋藤選手は7レースの1回走り4号艇。外には金子と今村がいます。アンパンマンのように「僕のコースを食べなよ」と譲た上でアンパンチを食らわせるのでしょうか?

 

2007_1120_0180 「この大事なレースにFを切ってくるのはどこのどいつだい!?…………アタシだよ(涙)。フライング1本持ち、でもそんなの関係ねぇ!」(辻栄蔵)

 辻選手は、にしおかすみこと小島よしおのコラボできましたか(笑)。
 今節フライングを持っている選手は辻を含めて全部で5人。前節の児島GⅠや江戸川GⅠで、攻めた結果Fになった選手が多い模様です。Fはキツいが、賞金王決定戦へむけてそれだけ気合が入っている証拠でもあります。
 一昨年の賞金王、笑いをとってはいますが、ヤル気はみなぎっています!

2007_1120_0197 「絶対、決定戦に出場するので応援おねがいします!」(田村隆信)

 湯川と井口が決定戦出場を確実にするなか、85期のエース・田村隆信はボーダーライン前後であえいでいます。〝絶対〟という言葉を使ったところに、彼の自負が見えるような気が。
 次代の競艇界を背負う世代が、さらなる躍進を遂げるのか?

2007_1120_0206 「ホームラン狙います。打ちます!」(三嶌誠司)

 昨年のディフェンディングチャンピオンが、今年も決定戦へむけて一発狙ってきます。三嶌の獲得賞金額は5370万円。決定戦出場のボーダーライン付近にいるのが彼です。今節は三嶌のレースぶりから目が離せません!

 そうそう。選手たちだけでなく、サプライズな決意発表がありましたよ。

「賞金王決定戦開催場として立候補します!」(主催者)

 この大会は選手にとって賞金王決定戦へむけての勝負駆けですが、主催者にとっても賞金王決定戦開催へむけての勝負駆けとなるようです。好レース・好売り上げを期待しております。

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/姫園淀仁)


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H本記者の帯封にチャレンジ予想!

 おはようございます! 記者のH本です。賞金王決定戦への勝負駆け――競艇王チャレンジCがついに開幕です!
 8時40分現在、浜名湖は曇り。風はほとんど吹いておりません。気温は昨日よりは暖かいものの、湿度・気温ともにエンジンパワーを素直に発揮できる気象状況ではないでしょうか。
 年末にむけてお金が入用なので、今節は帯封を目指して戦います。しかし、冬の浜名湖攻略のポイント。それはむやみにバットを振り回さないこと。インの強さ担保されている水面なので、基本的にインを中心に予想を組み立てて、コツコツ当てていき、徐々に資金を増やしながら帯を目指すべきだと考えております。

1R
いきなり前検足で横綱候補のテラッチが登場。買わないわけにはいきません。ただ、冬の浜名湖のセオリーは「インに逆らわない」。1号艇の村田も素直に押さえましょう。相手は重野と池本。
【3連単】1=5→23 1→23→5

2R
地元とエースモーターの組み合わせということで1→2が売れそうですが、山本の足を信頼するには少し心もとない。ならばモーターの数字が悪くても、前検で好気配だった平石と地元の金子をウラオモテで。
【3連単】1=3→245

3R
ここは太田がすんなりイン逃げ。前検を見るかぎりでは井口と山崎哲は買いづらい。必然的に相手は渡邉、重成、西村、の3人で。
【3連単】1→346→346

4R
穴を狙うならこのレース。江口と大嶋が動いて進入から混乱しそう。前半戦でインが崩れるとすればこのレース。2人を入れるであろう笠原と白井がスタートで攻めるタイプだけに、6号艇ながら烏野に漁夫の利が転がってこないでしょうか。
【2連単】6→全

5R
大関級の足ある倉谷が難なく逃げる。寺田と赤岩が人気をさらってくれそうなので、舟券的には「金星候補」の中島を対抗に指名して吉。好配当になることを祈りながら3着は総流し。
【3連単】1→4→全

6R
ここも木村の逃げ。辻が頼りなくみえたので切って、賞金王決定戦へのアツい勝負駆けの池田を対抗に。地元の横澤、「金星候補」にあげた村田もおさえておく。
【3連単】1→356→356

 後半の予想は13時ごろアップ予定!


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初日! チャレンジカップ開幕!

おはようございます。競艇王チャレンジカップ、開幕の朝! 浜名湖は曇り、しかし雲間から薄日が射していたりします。ひんやりとした朝ですが、水面は熱いぞ! 

前の記事にもあるとおり、本日は緊急メンテナンスが入りました。このあと、予想を更新。前半ピットは7R近辺にアップできると思いますので、通常とそれほど変わりません。少し遅れるのが、開会式の様子でしょうか。こちらは、緊急避難先(前の記事をご参照ください)にアップするかもしれませんので、そちらも覗いてみてください。

Cimg3590 チャレンジカップ期間中、あの伝説のF1レーサーのパネルなどが展示されている「アイルトン・セナ展」が1Fアトリウム近くの売店横で行なわれています。浜名湖ご来場の方は、ぜひ見てみてくださいね~。

それでは、チャレンジカップ、勝負駆けに注目! 


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本日の水神祭 エッ!?前検なのに?

競艇界、お初の儀式といえば、おなじみ水神祭。当欄でも、その様子をお伝えしていますが、本日、競艇王チャレンジカップ一発目の水神祭が行なわれました!

……って、ちょっと待て。今日は前検ですよ? 前検ということはレースをやってないんですよ? 初1着とか初優勝とかは出てませんのですよ? それなのに水神祭って……なんで?

Cimg3583 前検取材中、田中信一郎と湯川浩司がなにやら密談をしているのを発見。ひそかにマークしていると、前検航走がすべて終了した後、信一郎が仲間に声をかけて、湯川をボートリフトにいざないました。水神祭だ! そうです。本日の水神祭、主役は湯川浩司でありました。湯川の身に起こった、お初の出来事とは? それは、11月17日、湯川浩司に第一子が誕生されたのであります! この世に、グランドチャンピオンのお子様がお生まれあそばされた! これはめでたい、というわけで、兄弟子の田中信一郎が発起人となって、前検日に水神祭が行なわれたという次第でありました。

Cimg3586 会場となったリフトに集合したのは、松井繁、太田和美ら大阪勢と、井口佳典、山本隆幸、田村隆信ら銀河系軍団。ゆかりの選手たちが大集結であります。リフトはすでに最高位につけられているのに、「もっとリフト上げろ!」などと無茶な声も飛んでおりますぞ(笑)。何はともあれ、ウルトラマンスタイルで持ち上げられた湯川。「怖い!怖い!」と絶叫する湯川に、リフトを下げてあげようという優しい先輩、同期などいるはずもなく(笑)、それではいきましょう、水神祭。せーーーーので、ドッボーーーーーーーーン! 空中で一回転した湯川は、「ドゥバッチャーーーーーーン!」という大音響とともに水中へ。こ、こ、これは痛いぞ……「イテテテテテェ!」、やっぱり、ですか(笑)。Cimg3587 ピット上では、松井が大笑いしておりましたぞ。壮絶に背中を打った湯川は、「こんなに痛いの、初めてですわぁ~」と泣きを入れつつ陸に上がり、真っ赤になった背中を兄弟子の信一郎に見せていました。信一郎は、苦笑いというか笑いを噛み殺しているというか、そんな感じで見つめていましたね。

Cimg3588 ともあれ、湯川選手、おめでとうございます! お子さんが健やかに育ち、幸せを掴まれることを願っております。家族のためにも、頑張らねば! ちなみに、明日のドリーム戦は「子育てチャレンジ」という冠タイトルがついています。これはまさしく、湯川浩司のためのレースか!? 祝・ご誕生の意味も込めて、湯川選手から買ってみようかな~。(PHOTO&TEXT/K)


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勝負師の本能――チャレンジカップ、前検のピット

2007_1119_0841 「……松井がええで~」
 選手たちが慌しく動く整備室を覗き込んでいたら、隣に長嶺豊さんがやって来たのに気づいてご挨拶をすると、長嶺師匠は万感のこもった口調で、そう言った。
 長嶺さんがインタビュアーを務めるJLCの展望番組には、ドリーム組が全員出演した。もちろん、松井繁も、である。長嶺さんは、松井に質問をし、マイクを向けながら、涙が出そうになったそうだ。
「松井、カッコええなあ~……」
 大阪の後輩でもある松井と、長嶺さんはこれまでたくさんの時間を過ごしてきたはずだ。松井の人となりも、よく知っている。もちろん、レーサーとしての性質も。さらに言えば、レーサー同士だからわかる胸の内さえ。そんな長嶺さんが、隣に立った松井に思わず見惚れてしまった。
「結局、ドリームのことはな~んも聞かへんかった」
 悪戯っぽく笑った師匠だが、そのこと自体が“ドリームのこと”を聞いたも同然だろう。つまりは、松井は目も眩まんばかりのオーラを発しているのだ。
 実は僕も、同じようなことを感じていた。ドリーム組の共同会見、会場の記者室に現われた松井を見て、身体全体から発散される充実ぶりを感じずにはいられなかったのだ。どこが、と言われても困ってしまうのだが、あえて言うなら振る舞いのひとつひとつに迫力を感じる、ということだろうか。アシ色についても、「久しぶりにいい感じです」とキッパリ語っている。機力に手応えを得たことが、さらに松井を大きく見せているのか。
 今節は、王者の王者たるゆえんを見せつけられるのかもしれない。

2007_1119_0368  種類は違うが、同じようにいい雰囲気を感じたのが、田中信一郎だった。浜名湖の上位モーターは、番号札の数字が赤字(他は黒字)になっていて、しかし信一郎は「赤札を外してほしいですね」と笑った、すなわち数字ほどのアシではないことを表明しているが、ちっとも困っているようには見えない。「出足はいいが、伸びが売り切れる」ということらしいのだが、それはすなわち「信一郎なりの高いハードルをクリアはしていないが、調整さえすれば光明は見える」と翻訳したほうが良さそうである。ドリーム会見では、コース取りを聞かれて「100%動きます。動いてナンボですからね」とまで言い切っている。爽快な語り口がかえって訝しく思えるほど、信一郎は事もなげに断言した。僕には、それが彼の精神的な充実度を物語っているようにしか、思えなかったのだが。

2007_1119_0685  前検もずっと進んだ時間帯のことだ。水面には9班、すなわち今節もっとも登番が若い選手たちがスタート練習を行なっていた。3本の練習が終わり、1周の前検航走。展示タイムを計測する航走だ。だからもちろん、レースでの展示と同じように、1艇ずつ間隔を開けて走る。つまり、何艇かはピット付近の水域で、前の艇が走り出すのを待機している。そのボートの群れに向かって、湯川浩司が頭上で手を振った。湯川の視線の先には、井口佳典、山本隆幸、田村隆信がいた。同期である銀河系軍団に、湯川は愛想を送っていたというわけだ(湯川はドリーム出場だから、前検は1班)。とは言うものの、湯川の顔つきは真剣そのものであった。今日の湯川は、笑顔よりはぐっと男っぽい表情が目についていて、気合乗りの良さを感じさせている。走り去った同期を見つめる顔を、水面に反射した陽の光が赤々と照らす。震えるほど、美しいシーンだった。

 競艇王チャレンジカップ。賞金王決定戦へのラストチャンス。全レースが勝負駆け。僕はたしかに、ボーダー組や優勝一発勝負の選手たちの、強烈な闘志を楽しみに浜名湖にやって来たはずだった。だというのに、まず目についたのが「賞金王当確組」だったというのは、どういうことなのだろう。やはり、このクラスには勝負駆けウンヌンは関係ないのか。そこにSGというでっかい獲物がある限り、勝負師の本能がうずく。そのとき、立ち位置がどうのこうのというのは些末な話に過ぎないというのか。僕は、そこにSG戦士たちの凄みを見出さざるをえない。あるいは、だからこそ彼らは賞金王に駒を進められるのだ、と。やはり、このクラスの勝負へのこだわりは、我々の想像のはるか上を行っている。あ、上の3人はすべて大阪組じゃないか。今節は、大阪旋風が巻き起こるのかもしれない。

2007_1119_0495  とは言いながらも、やはり勝負駆け組の気合も生半可ではない。原田幸哉は、児島で見た以上に、表情に厳しさを宿している。それは、不機嫌にすら見えるほどで、この大一番に懸ける気迫がみなぎっている。池田浩二も、仲間と一緒に過ごしている間は笑顔も見えているけれども、一人になると表情がキュッと引き締まり、自然と気合が表に出ている。三嶌誠司も、競艇場入りの際の笑顔は完全に封印していて、僕のほんの数m先を通過しながら、入りのときとはまったく違って僕になど目もくれない。これはまさしく、三嶌の勝負モードの振る舞いだ。
2007_1119_1050  エンジン吊りに飛び出しては、走って整備室へ飛び込む。これを繰り返していたのが、今村豊。ギアケースの整備にいそしんでいたようだ。その足取りは妙に軽快で、そして相当に急いでいるようでもある。他の選手が、キビキビと動いているとはいえ、そこまでのダッシュを見せていないから、今村の動きは実に目立っていた。彼が、ここまで走り回っているのは、最近ではほとんど見ていないから、さらに目を奪われるというものだ。顔つきには微笑が見えていたから、決して焦っていたわけではなかろう。むしろ、わずかな時間も惜しむほど、整備をしたくてしたくてたまらん!といった風情。そんな今村豊は、やっぱり誰よりも若々しい! そして、そんな今村豊こそ、待ち望んでいた姿を体現しているミスター競艇である。

2007_1119_1028  さて、一発逆転なるか、気になる山崎智也。こんなにスッキリした雰囲気の智也をSGで見るのは、いつ以来だろうか。村田修次、齊藤仁、佐藤大介ら仲のよい選手とにこやかに談笑するのはいつも通りだが、それ以外の場面でもここ何度かのSGで見られた焦燥感はない。アシに手応えを得たのか、はたまた開き直りか。その正体はどうにもつかめないが、これが悪い状態でないのは間違いない。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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浜名湖のエンジンはドングリの背比べ

2007_1119_0244  なんじゃ!?  この人の多さは!

 浜名湖競艇場のモーター抽選は、ピット内にある「ミーティングルーム」と称する部屋で行なわれる。
 部屋の大きさは10m四方くらい。出場選手52名が入るだけでもキャパシティが一杯である。なのに記者が十数名、カメラマンも十数名、さらに浜名湖の職員が入り混じって、立錐の余地もないような状況に。
 たとえSGといえども、普段はモーター抽選の取材者はもっと少ないもの。いかに競艇王チャレンジCが、注目されているかのあらわれではないだろうか。

 でも、選手たちは取材者の数に驚くことはない。さすが歴戦の兵というべきか。
 選手班長の渡邉英児がガラガラを確認したのち、わきあいあいとした空気のなか抽選ははじまった。

2007_1119_0257  浜名湖のエンジンは使用開始からすでに半年が経過している。
 飛びぬけたエンジンはない。2連対率トップが38号機の44%。それに続くのが44号機の42%、以下40%台~30%台後半のエンジンがかなりの数存在している。調整ひとつでどうにでもなりそうなエンジンばかりだ。それがわかっているからか、選手から歓声があがることはなく、淡々と抽選は進んでいった。

 今節の最年長、名人・大嶋一也がガラガラに手をかけたのは5番目あたり。
 いつものダンディな表情で抽選機を2~3回して出てきたのは63番。2連対率が41%あり、近況好調のエンジンである。
2007_1119_0260  席に戻ると、自分の隣に座っている赤岩と、
「ああでもない、こうでもない」
 といった感じで話こんでいた。
 ときおり笑顔をみせていたのは、「そこそこ良いエンジンを引いた」という思いがあるからなのだろうか。ちなみに大嶋と談笑していた赤岩が引いたのは28号機。2連対率は36%。中堅機である。 

「も~、いや!」
 自分の席に戻ってきて、出走表に目を落とした瞬間、女の子のような高い声で叫んだのは市川哲也。彼が引いたのは27号機。2連対率が36%あるのでさほど悪いようにはみえないのだが、何か懸念材料があるのだろうか。
 しばらくして、市川はまた出走表に目を落とし、ハァとため息。

2007_1119_0306  現時点での賞金王・魚谷智之は62号機。2連対率36%の中堅機である。
 魚谷の表情はすでに〝キリリ〟と引き締まっていた。すでに臨戦態勢である。醒めた表情をみせるときの魚谷は強い。

 たとえ魚谷がこのシリーズでどんな敗れ方をしても、賞金王決定戦のトライアル第一戦の1号艇はゆるぎない。が、もしここでタイトルを取るようであれば、史上初の獲得賞金3億円の目が出てくる。充実期に入ったいまの魚谷なら、その偉業をも、あっさりと成し遂げてしまいそうな気もする。 

2007_1119_0308  前節の児島周年記念ではエースモーターを生かしきれなかった山本浩次。今回はどんなモーターをツモるのか?

「山本選手、38番!」

 え!? なんと2節連続でエースモーター(勝率では66号機が上だが)をゲットである。ただ、38号機は近節ではあまり動いていないようにみえる。はたして、どのように仕上げてくるのだろうか。

 

2007_1119_0358  ざわざわした室内に、はじめて歓声らしき歓声が上がったのは、紅一点・寺田千恵が44号機(2連対率42%)を引いたとき。
 こちらは山本の38号機とは違い、近節で優勝していることが示すように、近況も好調である。3キロの恵量を武器に、SGでも驚異的な伸びをみせるテラッチ。エンジンとペラが合えば、初日から強烈な伸びをみせてくれそうである。

【その他の有力エンジン】
66号機(勝率1位 2連対率40%)……田中信一郎
21号機(前節優出 2連対率40%)……三嶌誠司
36号機(前節優勝・2節連続優出)……倉谷和信
11号機(5優出 6着が少ない) ……原田幸哉
61号機(7優出 A級乗れば結果出)……佐藤大介

【穴っぽいエンジン】
59号機(B級選手が多く勝率が下がっている)……佐々木康幸


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勝負駆けの地に選手集結!

 昨日は木枯らし1号が吹き、今日は今年一番の寒さ、だそうだ。東北のほうでは雪も降っているということで、一気に冬がやって来た感がある。ということはつまり、賞金王決定戦の季節がやって来たということ。“賞金王へのラストチャンス”競艇王チャレンジカップの幕開けとしては、ふさわしい気候と言えるかもしれない。
 浜名湖に到着した勝負駆け戦士たちも、すっかり冬の装いとなって、寒そうに肩をすぼめて競艇場入りした。通用門で山崎哲司と顔を合わせたら、テツのほうから手を差し出してガッチリ握手、となったのだが、テツの手にはしっかり手袋がはめられていた。うむ、寒い。そして、チャレンジカップへの気運が盛り上がってきた、と思った。
 この冷たい空気の中、水面では熱い戦いが繰り広げられるぞ!

Pc3j5780  さて、前記事でも書いたように、私、不覚にも寝坊しまして、通常のSG前検日より1時間遅れて到着(申し訳ありませんです……)。私が競艇場入りした時間にはすでに、多くの選手が競艇場入りを済ませていたようであります。ちゃんと定刻通りにやって来た中尾カメラマンによると、松井繁、魚谷智之、吉川元浩らの賞金王当確組や、金子良昭、横澤剛治ら静岡勢、寺田千恵、西島義則、倉谷和信(なぜか、この3人が一緒のタクシーで来たそうです。浜松駅でバッタリ会ったりしたんでしょうか)なども、私がピット入りする前に到着していたとか。
 その中尾氏が着く前に競艇場入りしていたというのが、笠原亮、重野哲之の静岡若手組。9時30分頃には来ていたというのですから、本当にすみません、私はもちろん、ちゃんと待ち合わせの時間に来たのに品川駅で待ちぼうけを食っていたH本記者は、その頃まだ新幹線の中でしたよ……。ま、地元の若手が一番乗りするのは、SG前検日の恒例であります。

Pc3j5881Pc3j5849 というわけで、出遅れた私がピットに到着すると、ちょうど佐々木康幸が到着したところ。だはは、佐々木と同伴ですな、私。その直後に、タクシーに同乗してやって来たのが、田村隆信&井口佳典の85期・銀河系軍団コンビでありました。井口は賞金王出場を決め、銀河系では湯川浩司も賞金王当確、すでに複数出場が決まっていますが、だからこそ3年前に賞金王を経験した田村にとっては、気合が入る今節であります。その田村もボーダー付近にいるだけに、最低でも優出は果たしたいところ。ダービーでは、銀河系を気にした私としては、田村にも賞金王出場を決めてほしいと、心から応援しております。井口には、実は先日BOATBoyの取材で会いました。というわけで、井口はニッコリと笑顔を向けてくれて、江戸川GⅠでのFの後遺症はないと見ましたぞ。

Pc3j5859Pc3j5861  同期で揃って到着といえば、池田浩二&寺田祥の81期コンビもタクシーに同乗して現われました。この2人、ともにボーダー近くにいる、もっともアツいグループでもあります。特に池田は、圏内とも言えるポジションですから、ひときわ気合が入るはず。BOATBoy12月号のインタビューでは、「チャレンジで勝負」とキッパリ語っていました。4年ぶりの賞金王出場に全力疾走の構えです。さすがに入りの時点ではリラックスした表情を見せていましたが、明日からは炎の池田浩二が見られるかもしれません。
 一方のテラショーは、いつも通りのクールな表情。児島周年では、準優で巨大な不運に遭遇してしまったわけですが、嫌なリズムを引きずることなく、浜名湖で再び反抗のノロシをあげてもらいたいものであります。最近は、どこで走っても強烈な伸びに仕上げるテラショー、今節も快速ストレートで賞金王のピットを掴んでほしいものであります。

Pc3j5948  おっと、佐藤“ヒール”大介が自家用車で登場だ。運転席にいらっしゃるのは、奥様の鈴木綾さん(いや、今は佐藤綾さんですか)ではないですか! いやあ、相変わらずお綺麗ですねえ……私、現役時代は大ファンでありました。大介と結婚されると聞いたときには、眠れぬ夜を過ごしたものです。あ、あのときの大介はまさしくヒールでしたな! それはともかく、大介は今日も、ダービーで見せていた人の良さそうな笑顔を満開にさせて、浜名湖に現われたのでありました。ほんと、その素顔はぜーんぜん、ヒールなどではないのであります。しかし、水面ではヒールとなって大暴れしてもらいたいもの。今節もヒール大介を応援しますぞ!

Pc3j5926  このチャレンジカップが、デビュー20年にして初のSG出場となったのが、池本輝明。先ごろ引退された植木通彦さんの同期でありますから、まさしく遅咲きの花、であります。デビュー5年で、すでにSGをダービーで経験した山口剛とは好対照、その山口と一緒に登場しました池本でありました(あと、辻栄蔵も。広島軍団であります)。初SGの緊張感よりは、むしろ晴れ晴れとした表情を見せていた池本。ここまで地道に蓄積してきた実力を爆発させるチャンスこそ、このチャレンジカップであります。SGの新人としてハツラツなレースを見せて、先輩たちに一泡吹かせてもらいたいものですね。まずは目指せ水神祭。その際にはもちろん、バッチリ取材させてもらいますからね!

Pc3j5894 「クロちゃん、いろんなところで会うなあ~」
 私を見つけて、最高の笑顔を見せてくれたのは、三嶌誠司でございます。児島でも会いましたから、4日ぶりですね。ピットで三嶌の笑顔を見るたび、癒されている私であります。
 その三嶌、賞金ランクは現在11位。賞金王圏内であり、しかしまだ当確は出ていないという、もっともキリキリした戦いを強いられる立場にいます。だから当然、今節は相当の気合をこめての参戦となるはずですが……今日のところは、そんなことを感じさせない、朗らかな三嶌誠司であります。ただし、もちろんすでに闘志に火はついている。
「今回は、前検から? 最後までいるの? よし、いいとこ見せるから! うまく書いてくれや~」
 もちろん、“いいとこ”とは、賞金王のイスを手にするところ! 三嶌さんの勝負駆け、しかと見届けさせていただきます!

Pc3j5947  さて、お久しぶりです、気になる山崎智也。MB記念以来ですか。入りの際に顔を見たときには、なんだか懐かしさすら感じたものでありました。ファンからのたくさんのプレゼントを手に、微笑みをたたえて登場した智也。今節ももちろん、気にさせていただきます。というより、気にしなければいられないのが、今節の智也であります。賞金王出場がピンチの彼は、おそらく優勝しなければベスト12に届かない。そう、あの智也が背水の陣に立たされているのであります。SG優勝ノルマという、まさかの勝負駆け。それだけに、いつもと違う智也が見られる可能性もある。それを期待もしつつ、今節の智也を追っかけたいと思っております。

Pc3j5984  瓜生正義がトリで登場して、52名が揃った! さあ、もっとも過激でもっとも熾烈で、だからこそもっとも神々しい勝負駆けが、浜名湖で開幕します!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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浜名湖でーす!

おはようございます! 取材班、競艇王チャレンジカップが行なわれる浜名湖競艇場に到着しました~!……寝坊して新幹線1本乗り損ねたんですけどね、てへ。

Cimg3578 というわけで、浜名湖は快晴! 賞金王の残り3つのイスを争う“全レース勝負駆け”にふさわしい、前検の朝であります。本日はこのあと、選手到着から(もう笠原亮は到着してるんだそうです~。すみませーん)前検の様子を更新してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。今節は、熱い熱い一節になりそうですから、その様子を臨場感タップリ……な記事にするべく、頑張りますよ~。

それでは、今節もよろしくお願いいたします!


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