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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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これが名人戦の準優ピットだ――THEピット

2008_0418_0376 試運転係留所で、加藤峻二と酒井忠義の“THE御大ズ”が競技本部のほうを見上げながら、にこにこにこと笑っている。妙に楽しげで、また何かを微笑ましく見守っているようでもある。なんだなんだと、二人の視線の先を追いかけると、JLCのスタート展示解説をしている長嶺豊さんが。長嶺師匠の登番は1812。1485の峻ちゃん、1759のサカチューより、師匠のほうが後輩なのだ。つまり、偉大なる大先輩が、後輩が一生懸命、マイクを持って話しているのを、おかしそうに眺めていたという次第。パートナーの黒石加恵さんのお父様は、登番1860、黒石旦明選手だから、こちらもまた2人は縁が深い。
2008_0418_0345 スタート展示が終わって長嶺師匠は、係留所から装着場へ戻ろうとしていた峻ちゃんに、「おはようございます!」。すると、峻ちゃんは、にっこにこにこと笑いながら、大きな声で言った。
「なかなか真面目に仕事してるじゃないか!」
 長嶺師匠が先輩にからかわれて、うれしそうに笑っている。こんなシーンは、名人戦でしか見られない! ほんと、感動してしまったぞ。

2008_0418_0178  2Rを勝った原田順一は、レース後こそ、特に表情を変えることなく、むしろ固い表情を見せていた。やっと出た2勝目にも、心浮くような手応えを得られなかったのかもしれないし、たった1勝ではここまでの不本意な成績をリカバリーできないということかもしれない。とにかく、相変わらずツラそうな表情を見せている順ちゃんだったのだ。
 しかし……いやあ、よかった。順ちゃんの笑顔を見ることができた! いったん着替えた後、ペラをはずして神殿に向かった順ちゃんは、2Rをともに戦った吉本正昭とレースを振り返り始めた。両手をボートに見立ててアシ色を語り合う、選手たち独特のレース再現もしながら、二人で会話を交わすうちに、順ちゃんはにこーっと笑った! 吉本も笑っていて、たぶん吉本のほうが何かを言った様子。吉本、グッジョブ! 名人戦のピットには、やはり順ちゃんの笑顔が似合う。この人がツラい顔をしているのは、似合わないのだ。

2008_0418_0540  ペラの神殿は、佐藤勝生の笑顔も印象に残った。今日は1R1回乗りで、1着。地元名人戦で、予選をクリアできなかったことは痛恨事に違いないが、しかし今日も明日も緩めるわけがない。1着を獲ったからって、のんびりなんかせずに、神殿に陣取るのだ。1R後からそこにいたということは、おそらく今日1日、ペラを叩き続けるはず。まずは、その姿勢に敬礼したい。で、佐藤の周辺には吉田重義や富山弘幸などがいて、そのうちの誰かに声をかけられたのだろう、佐藤がおかしくてたまらんといった感じで、ニッコリと頬を緩めたのだ。節を通して、佐藤のこんな笑顔、あんまり見なかったなあ。きっと地元の大一番に賭けるものがあったのだろう。あと1日、その思いを思い切り水面に叩きつけて、再び勝利の笑顔を見せてほしいぞ。

2008_0418_0240  本日からピットに登場、評論家の清水克一さん。何人かの選手が、清水さんの姿を見つけて、うれしそうに声をかけていった。山﨑毅、木下繁美、荘林幸輝……山﨑と荘林は熊本だが、支部はみな福岡。同県の先輩がピットにいつのを見つけた後輩たちが、久々の再会を祝し合ったというところだろう。特に笑顔が目立っていたのは、山﨑。今年が名人戦デビューとなった山﨑は、こういう場で清水さんと会うのは、もしかしたら初めてだったのではないだろうか。今節、多くの先輩と名人戦という舞台で戦ってきた山﨑は、同じような感覚で清水さんと触れ合った、のかもしれないと思った。年に一度の同窓会、そんなふうに名人戦が表現されることがあるが、そうした感覚があるのだと想像すれば、この場で先輩と出会うことの重みがなんとなくわかるような気がした。やっぱり、麗しい舞台だ、名人戦は。

 一般戦組のことばっかり書いているようだが、それでいいのだ、と午前中のピットを見て、そう思った。準優日特有のピリピリした空気があまり感じられないからだ。理由は簡単、こんな局面を何度も、時にはもっともっと緊張感が支配する場で体験してきた彼らにとって、いまさら改めて特別な思いを抱える必要などまるでないのだろう。
 これまでやってきたように。粛々と。
 重要な決戦の朝でも、自然体で迎える。それができるのが、修羅場を山ほどくぐってきた者なのである。だから、18人の一人一人が、特別な感覚を抱かせず、しかし等しく尊敬するべき空気を発散していた。これが、名人戦の準優なのだ。
2008_0418_0002  そんななか、一人だけあげるとするなら、地元の田中伸二。間違いなく機力は噴いていると思われるのだが、朝から本体を調整していた。まだ出し足りない! この貪欲さ、飽くなき求道心もまた、名人戦! このピットは、本当に幸せに満ちている。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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コメント

黒石選手は引退されていませんか?

投稿者: おちょこ (2008/04/19 23:16:39)
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