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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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爽快で、神々しい前検――THEピット

Cimg3805_2 おかげさまで、次の笹川賞で当Sports@Nifty「競艇特集」も丸3年。すなわち、今回の名人戦でちょうど3周目を完了することになる。SG&全国発売GⅠは年に11節だから、これが33節目。いや、去年は唐津、浜名湖、児島のGⅠにも行っているから、もっとか。ともかく、ご愛読いただいている皆様のおかげと、深く感謝申し上げます。いつもありがとうございます。
Cimg3815_2 で、これだけ回っていると、訪れる競艇場も以前に来たことがあるところが多くなってくるわけだが、宮島はこれが正真正銘の初来訪! 個人的には何度か来たことがあるのだが、こうして一節間の取材でやって来るのは初めてである。もう、何もかもが新鮮ですな。何しろ、ピットから厳島神社の大鳥居が見えるわけでして。そこにいるのが、神技を会得している達人ばかりということもあわせて、実に神々しいピットである。
 それにしても、初めて取材で足を踏み入れる宮島のピットは、実に珍しいレイアウトなのです、これが。今日は、ワケもなく、あちこち歩き回ってしまいましたよ。初めての道をはしゃいで散歩しているようなものでしたな、まったく。今日の宮島は、うららかな春の陽気がとっても爽やかな一日。いやあ、気持ちよかったなあ、今日の宮島のピットは……。

Cimg3802_2  宮島のピットは、まず非常に奥のある、縦長の構造である。芦屋も縦長だったが、宮島と違うのは、芦屋はいわばワンルーム式の縦長。一方の宮島は、1DK式……っていっても、何のことかわかりませんよね。順を追っていこう。まず、ピット入口をくぐると、そこは選手控室などのある競技棟である。カポック置き場や食堂もあって、普通のピットであれば、我々があまり足を踏み入れることのない選手たちの空間だ。ところが、ここは今朝、選手たちが荷物検査を行なった場所でもあって、ここを通過しないと奥には行けない。その空間の片隅には喫煙所があって、う がっ、野中和夫選手会長がくつろいでる~。その隣には、池上哲二選手班長も。以前、あれは周年記念だったか、ほんの少しだけ宮島のピットに入ったとき、ここには目も眩まんばかりのトップレーサーがずらりとタバコを吸っていて、一斉にジロリと一瞥されて身もすくむ思いを味わったものであります。きっと明日からも、ここには歴戦のツワモノたちが輪を作っているのだろうなあ。宮島のピットは、いきなり緊張を強いられる、というわけだ。まあ、一方で、取材しやすい、ということも言えるわけですが。
2008_0414_0364  ピットレポートではおなじみの装着場は、その奥。とはいえ、そのまま真っ直ぐに歩いていくと、整備棟の壁に激突することになる。そう、装着場に出るには、ほんの少し右にそれることになるわけで、これがすなわち1DK式ということ。喫煙所のある一帯と装着場の一帯が、まるで別の部屋みたいになっているわけですね。両方の一帯は、言うまでもなく、選手の往来が激しいわけで、特に今日は慌しい前検ということもあって、何人もの選手とすれ違うことになる。おぉ、瀬尾達也だ。おつかれさまでーす。ギロリと鋭い視線は村田瑞穂。し、渋い。高山秀則は、向こうから挨拶をしてくれたりして、うががっ、恐縮であります(昨年の福岡BOATBoyカップの覇者で、表彰式でお会いしているのです)。
Cimg3808  選手に挨拶をしながら装着場に出ると、これがまた広い! ここからさらに奥行きがあって、ボートリフトは奥のほうに広大なスペースが取られているのだから、たとえば前回の児島に比べても、相当に広いピットという印象がある。リフト近辺には、山口博司、山﨑昭生、木下頼房、山田省二……“新兵”たちが忙しそうに動き回る姿がある。彼らを新兵とか新人とか言うのは、おおいに違和感があるけれども、その献身的な動きを見ていれば、まあ、そういうことだよなあ……などとしみじみしてしまうというものだ。
2008_0414_0219  整備室は、装着場のなかでは手前のほう。奥のほうに向かって、右手が水面とボートリフト、左手が整備室。覗き込むと、装着場の広大さとは対照的に、やや手狭感がある。なにしろ、リードバルブ調整のテーブルが、入口の間際に置かれているから、覗き込んだ瞬間にここで作業をしている選手が間近にいるのに気づいて、たじろいだりする。名人戦で気になる男といえば、この人!の大西英一と目が合って、大慌てで会釈。大西はリードバルブをチェックしながら、目元がニコリ。今年も気にさせていただきまーす。
Cimg3792_2  で、宮島ピットでもっとも不思議な物件は、なんといっても「ペラ叩き場」である。言っておきますが、ペラ室ではございません。ペラ叩き場。宮島にはペラ室はないのだ。装着場の水面際、ちょうど整備室の向かいにあたる場所に、選手たちがペラを叩く場所がある。装着場との仕切りは何脚か置かれたベンチのみで、ようするに選手たちは装着場の片隅でペラを叩いている、というわけなのだ。けっこうなスペースはあるから、かえって解放感があるようにも見えるが、ほかの競艇場ではほとんど見かけられない光景に、驚かされる。徳山では、ほんの少しだけ装着場にペラ叩き場がありましたけどね(ペラの殿堂と名づけましたね)。しかし、ここまで堂々と装着場の一角にペラ叩き場があるピットは初めて見た。まるで、リビングの一角に祭壇を設置して、特別な場所と決めているかのようだ。というわけで、この場所を「ペラの神殿」と名づけることにしました。皆様もぜひ、ご使用くださいませ。
2008_0414_0151  そういうわけなので、装着場にはペラを叩く「カンカンカン」という音が、直接的に響いてくる。ペラ室から聞こえる音は、室内の壁などに反響して、時にこもった音にも聞こえるものだが、宮島はそのまんま、高い金属音が聞こえてくる。また、場所によっては、目の前でペラを叩く姿を見ることになるので、少々気を使ったりもした。今日は、仕切りとなっているベンチ際に原田順一がいて、一心不乱に木槌を振るっていた。昨年の大村名人戦ではたくさん声をかけていただいた一人なのだが、やはりペラを叩いているときというのは、挨拶をするのも気が引けるほどに集中している。間近で見る分だけ、そのオーラはハッキリと伝わってきて、選手たちのペラとの強烈な向き合い方というのを改めて知ることになったのだった。

Cimg3819_2 それにしても……なんてうららかな春の午後。瀬戸内海に面し、赤い大鳥居を眼前にするピットは、本当に気持ちいいなあ……。などとほんわかした気分になっていたら、すでに自分たちの前検航走を終えた選手たちが、ボートリフトのあたりの陽だまりに集まって、春の陽射しをのんびり~と浴びていたのでした。うーん、春の宮島、ブラボー! 明日からもこんな爽やかな天候のなか、神々しい戦いを見たいなあ……と心から願った次第である。まあ、明日からは匠たちの目の色も変わって、勝負師の顔をたくさん見ることになるだろうけど。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=ピット風景 TEXT/黒須田守)


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