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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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瀬戸内!――THEピット

2008_0416_0511  前検時に書いたように、ペラの神殿はベンチが仕切りになっている。全部で5脚あって、向かって右に3脚、左に2脚。3脚をA、2脚をBとすると、AとBの間に隙間があって、ここが神殿への入り口になっている。選手たちはこの入り口を通って神殿に入り、ペラを叩くわけだ。
 で、多くの選手は床に座ってペラを叩く、普通のスタイルで調整をしているのだが、ベンチに腰掛けて叩いている選手ももちろんいる。ベンチの前にはちょうどいい高さの台があって、ここにペラをセットして木槌を振り下ろすわけだ。そんでもってですね、このベンチ組を眺めていたら、あることに気づいたんですな。
 瀬戸内勢がめちゃめちゃ多いじゃないか!
 しかも、岡山、広島、山口の中国地区の選手ばかりが、ベンチ組を構成しているのだ。例外もあって、昨日は桑原淳一や原田順一がベンチに座っての調整をしていたが(あ、じゅんいち、じゃないか、両方とも)、基本メンバーは中国勢。偶然なんだろうけど、ちょっとビックリした。
2008_0416_0438  午後のとある時間帯、Bの左、装着場の手前から見ていちばん奥にいるのは新良一規と吉本正昭。山口支部の2人が、カンカンカン。時に何かを話し合いながら、時にどちらかのペラを2人で覗き込みながら、かなり長い時間、ペラを叩く。2人とも、今日は本体に手をつける時間帯もあったようだが、僕が見ている範囲では、ベンチB左に陣取っている時間が長いように思えた。
2008_0416_0323  一方、Aの左、入り口の間際には、地元の佐藤勝生の姿があった。周囲の選手と笑顔を交わしながら、しかしゲージなどを使って叩き具合を確かめるときには、瞬時に鋭い目つきになる。佐藤にとっては、自分の部屋のようなものとも言えるペラの神殿。地元で走るときにはいつも、ベンチA左が定位置になっているのかもしれない。
2008_0416_0397  ベンチA中には、板谷茂樹と片山晃の岡山勢。板谷はFを切ってしまったあとも緩めることなく、ペラ調整に励んでいた。といっても、わりとリラックスした表情を見せていて、片山と談笑することもしばしば。片山の素敵な笑顔が、板谷の心をほぐしているのだろうか。この談笑に加わったのは、山口の小林昌敏。しばし手を休めた小林は、片山の言葉に「カッハッハ!」と大声で笑っていた。小林が言葉を返すと、片山が笑顔満開で何かを言い返す。「カッハッハ!」。小林がまた笑った。もちろん、板谷もその様子を見ながら、声をあげて笑っていた。なんかいいなあ。
2008_0416_0359  やがて、原義昭が神殿にやって来て、ベンチB右に陣取る。ペラを叩くというよりは、ゲージを当ててチェックをしていた。9Rで痛恨の転覆を喫した原は、体のほうは無事で何よりであるが、どうやらペラのほうに被害があった模様。時間をかけてゲージとペラとにらめっこしていたが、先ほど届いた選手コメントは「ペラが壊れてしまったかも」。明日からもこの場所で彼を見かけることになるだろう……と思いきや、よく見れば原は神殿に入っていない! 立ったままゲージを当てているのには気づいたのだが、なんとベンチの外側でチェックをしていたのだった。きっと明日は、神殿内での作業になるんだろうけど。

2008_0416_0058  ベンチ@ペラの神殿だけでなく、実は瀬戸内勢というのは、名人戦においては一大勢力なのである。地元広島からは4人が参戦。山口も4人。岡山にいたっては9人が参戦しているのだ。中国地区だけで、参加選手の3分の1を占めているのだから、ベンチに限らず、あちこちで彼らの姿を見るのも当然というものだ。
「もう、こんなんばっかりやぁ~……」
 僕らの目の前で、岡山の宝・万谷章がつぶやいた。整備室から控室へ戻る途中で、同じレースを走った水野要とすれ違い、水野が万谷に声をかけたのだった。急なことだったので、水野の言葉はハッキリと聞き取れなかったが、どうも「残念でしたね」系の言葉だったようだ。万谷は水野の声にすかさず反応して、まずは溜め息。そして、苦笑とともに顔を曇らせて、「もう、こんなんばっかりやぁ~……」。でもね、オヤビン。水野は「もう」の段階であっという間にすれ違っており、「こんなんばっかりやぁ~」のときにはすでに5mくらい離れてしまってました。つまり、オヤビン、ほとんど独り言のようにボヤいた、のである。水野が聞いていると疑うことなく。7代名人に対して、ほんっとーに失礼なことは承知でいいます。万谷オヤビン、めっちゃかわいいっす。
2008_0416_0394  一方、選手班長の池上哲二は、さすがにキビキビとした動きで、自身の調整作業のほかに、班長としての雑務をこなしている。凛としたたたずまい、渋すぎる表情には、ひたすら威厳が感じられて、思わず後ずさりしてしまうほどだ。その池上が、山﨑昭生と装着場で立ち話。これがけっこう長い時間のもので、池上は時に身振り手振りで昭生に説明らしきことをしている。班長ってのは、こうして選手のさまざまな言葉を受け止めなければならないから、大変だ。当然、自分の戦いに専念できない時間帯もあるわけで、本来は不利な立場なのである。それでも、この仕事を誰かがやらねばならぬ。これまで40回弱の取材の中で、班長にはいつも頭が下がる思いである。そして、心から応援したい!
 あ、そういえば、瀬戸内の枠を広げてみれば、香川支部・山﨑昭生もその一人ですね! うーむ、やはり強力だ、瀬戸内勢は。

2008_0416_0258  さて、瀬戸内勢ではまったくない気になる大西英一……といっても、実はもともと徳島支部なんですよね。ということは、枠を思いっ切り広げれば、瀬戸内勢と言えなくもない大西さん。12R前、喫煙所横のスリット写真掲示板をじーーーーっと見入っている姿があった。見ていたのは、11Rのスリット写真。瀬尾達也がコンマ03のデジタルスタートを決めたスリットだ。無言でじーーーーっと見つめながら、時々、なるほどなるほどとばかりにうなずいていた。明日は大西英一もスタート一発!? あ、瀬尾達也も徳島支部の、瀬戸内勢じゃないか……。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田守)


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