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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

優勝戦 私的回顧

 奇跡のダービー

12R優勝戦

①丸岡正典(奈良)
②今垣光太郎(石川)
③瓜生正義(福岡)
④石田政吾(石川)
⑤松本勝也(兵庫)
⑥木村光宏(香川)

『メイク・レジェンド』はプロ野球だけじゃない。2008年10月13日、丸亀競艇場で新たなる伝説が生まれた。丸岡正典と瓜生正義。艇史に永遠に残るであろう、奇跡のデッドヒート。スリットから丸々3周、2艇が1艇身以上離れたことはほとんどなかった。あの、“元祖・伝説”の中道善博VS植木通彦の賞金王決定戦'95と肩を並べる名勝負といっていいだろう。
2008_1013_r12_0983_2  まず、このレースにコクを与えてくれたのは、地元の木村光宏。抜群のピット離れから、2コースを奪う。先のMB記念の深川真二を彷彿させる前付けだったが、イン水域はさほど深くはならなかった。①ピット離れの良さで早々に先団に取り付いた②今垣光太郎がこの前付けにまったく抵抗しなかった、というのがその理由だろう。

 進入は162/345で、イン丸岡の起こしは115m。これだけあれば、ダッシュ勢と渡り合うだけの余力がある。スタート勘もピッタリのコンマ14、トップS全速。スリットの時点で、逃げ切るべき大半の条件クリアした。
2008_1013_r12_1008  だが、ここにもうひとり、その必要十分条件をすべて蹴散らすほどのパワーを秘めた男がいた。4カドの瓜生だ。3コースの今垣がやや凹んだこともあって、凄まじい行き足で丸岡に迫る。丸岡の伸び返しも見事。1マーク直前、瓜生はすかさずまくり差しに構えた。バック併走。2艇がぐんぐん後続を置き去りにしてゆく。回り足もほぼ一緒で、伸びも一緒。だから、丸岡の内に食い込んだ瓜生の舳先(1/3艇身ほど)は突き抜けないし、ほどけもしない。はじめは内に絞っていた丸岡だが、2マーク手前で艇を開いた。瓜生にターンマークの権利を明け渡した。
 正直、私はこれで瓜生の勝利を確信した。回り足や伸びは一緒でも、今節の瓜生はターンしてからの行き足が怪物なのだ。全速で回るだけでターボ全開、一瞬にして3艇身ほど引き離すモンスター足。それを熟知している瓜生は、多少のターン漏れなどお構いなしに全速でぶん回した。丸岡、今回は相手が悪かったよ。
 え。
 2周ホーム、その丸岡の舳先が、瓜生の内に食い込んでいる。確かに、しっかり、半艇身。ちょっと信じられないことだが、丸岡の差しが瓜生のレース足に追いついてしまったのだ。
「日に日によくなってましたけど、今日がいちばんよかった。(練習で)乗ってて、それが伝わってきた」
 これはレース後のインタビューで聞いた話。このときはわからない。わからないけれど、2艇は確かにしっかり艇を併せている。一瞬、瓜生の足が昨日より落ちたのか、と思った。
2008_1013_r12_1056  ここから、本格的な伝説がはじまる。2周1マーク、半艇身だけ先行した瓜生が、自慢の行き足を最大限に生かすべく、強ツケマイを放つ。凄い迫力。今節のほとんどの選手は、この一発のツケマイで引き波に呑み込まれるはずだ。
 ああ、これは丸岡でも耐えられないか……!?
 耐えた。耐えただけでなく、むしろ内から伸び返している。バック併走。私はまた驚きながら、鳥肌を立てている。
 2周2マーク。1艇身遅れの、瓜生が美し2008_1013_r12_1062い孤を描くツケマイ。決まらない。ホーム併走。
 どこまで続く???
 鳥肌が止まらない。スタンドは大歓声。3周1マーク、この瓜生のツケマイは2周目よりもさらに激しかった。早めに握ってハンドルを入れず、全速直進で丸岡を交わしてからハンドルを入れるような……こんな鬼気迫る瓜生のツケマイ、見たことない。うわ、攻めすぎて転覆するかも、と私はひやりとした。が、その航跡はまたしても美しい孤を描く。サイドの掛かりも素晴らしいし、昔から他者とは違うと言われているスーパーモンキーのなせる業。
 そして、そんな天才レーサーのド迫力ツケマイに対し、SG初優出の丸岡は的確に冷静に応戦し続けている。こっちも凄い。握る瓜生、艇を合わせる丸岡。そして3周2マーク、最後の最後で瓜生は差しハンドルに切り替えた。その差しはわずかに届かず、丸岡がきっちり1艇身だけ瓜生を抑え、死闘の勝者にして初のSG覇者となった。レースタイムはあれだけびっしり競ったのに、1分45秒5の猛時計。ダントツのシリーズレコードを叩き出して、この新・伝説に花を添えた。どれだけ噴いていたのか、まるちゃん、うりちゃん!?
2008_1013_r12_1099  水面、隊形、展開、パワー、技術など、すべてが奇跡的に絡みあい噛み合って、この素晴らしいレースが誕生した。私はそう思う。丸岡、よくぞ先輩の天才モンキーに根負けすることなく耐え切った。おめでとう。今日という日は間違いなく、新たなる銀河伝説の幕開けでもあった。
 そして瓜生、例によって突進や切り替えしなどとは無縁の正々堂々直球勝負、凄まじくも清々しいツケマイをありがとう。敗れはしたが、その剛速球が一生ファンに語り継がれる伝説を作ったのだ。ある意味、勝利以上に素晴らしいことだと思うぞ。
「あのときの丸岡と瓜生、凄かったな」
「ああ、20年くらい前だっけ。あのウリのツケマイ、ほんまに凄かったわ」
 日本全国で、こんな会話が何万回も交わされることだろう。もちろん、私も酒とともに孫に嫌われるくらい何百回も口にする。するに決まってる。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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コメント

優勝戦は仕事中だったので、リプレイで見ましたが、二度見ても、鳥肌が立ちました。

投稿者: 浜名っ湖 (2008/10/13 21:28:00)

私は瓜生さんのファンなので負けたことは残念ですが、丸岡さんとのデッドヒートは二人の心・技・体全てを出しつくしたレースだったと思います

笹川賞で優勝した時よりも今回のレースを見れたことの方が嬉しかったです

投稿者: うりちゃん (2008/10/13 22:32:51)

目の前で観戦していました
競艇歴18年ですが目の前でこんなレースを見せつけられたもは初めてです
3周ゴールするまで大声で丸岡を応援していました
こんなに熱くなり大声を出したのは久しぶりです

投稿者: 瀬戸の大魔神 (2008/10/14 10:46:30)

おいおいおいあのぶん回しヘタクソターンで
95賞金王と比較するってありえねえ。
瓜生はあのモータで勝てねえんじゃ自力優勝は無理でしょ。

投稿者: おいおいおい (2008/10/15 18:20:04)
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