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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE ピット 初日②――変わる空気!

2009_0119_0644  午後のピットの様子は朝とは一転……、慌ただしさはあまりなくなり、水神祭などの特別な時間帯を除けば、不思議なほど「静かな空間」になっていた。
 午前中には多くの選手たちが、整備と試運転を繰り返していたことを考えれば少し意外だったが、レースを終えた選手たちのモーター格納は比較的早く、整備室に格納されるモーターはどんどんと増えていったのだ。
 ただ、だからといって、選手たちの多くが早い時間帯で作業を終えていたのかといえば、そうではない。
 モーター調整からペラ調整へと移行していく選手も多かったのか、ペラ小屋は朝以上に繁盛していたし、整備室での作業を続ける選手たちももちろん存在していた。

2009_0120_0418  整備室の片隅に目をやれば……、“ナイスガイたちナインティスリー”=93期の長田頼宗は入念にキャブレターを調整していたし、同じくナイスガイたちナインティスリーの渡辺浩司や“イケイケ・ナインティフォー”=94期の天狗様(←川上剛がそう呼んでいた)、今井貴士は、モーター調整の履歴帳をじっくりと確認していた。
 また、9レースを制した長野壮志郎も、その後にリードバルブの調整をやっていたのだ。

2009_0120_0448  長い時間をかけたモーター調整をしていたのが目についたのは、“ニシヤマ・ナインティセブン”として97期から単独参戦の西山貴浩だ(ちなみに書いておけば、最若手となる98期は“鶴西ナインティエイト”として鶴本崇文、西村拓也の2人が参戦している)。
 今日は6レースの一回走りだった西山だが、試運転に出るためボートを下ろそうとしたのは、10レース前となる3時ジャストのことだった。
 開会式では2年連続、幼稚園児の格好をしていたといっても、ただのお調子者ではない“頑固職人”の一面を持っているのが西山なのだ。

2009_0120_1238  ボートを下ろすときには吉田拡郎に「これから試運転!?」と驚かれてもいたが、「はい、今、整備が終わったんで」と西山は答えていた。
 ただ、その時間は10レースが近づきすぎていたため、とりあえずボートを水面におろして待機ピットに着けておくと、10レース後に試運転と作業を再開するかたちをとっていたのだ。
 このとき声をかけたカクローにしても、ドリーム戦で見せ場のある3着となっているが、1日を通して“瀬戸内流”を貫いていた様子で、装着場を中心に、ほとんど休むこともなく作業を続けていたものだった。

2009_0120_0942  本日午後イチバンの“ドラマ”が感じられたのは、10レースのことだった。
 このレースでは、2コースの岡崎恭裕がスタートで少しへこんで、3コース・渡邊雄一郎のマクリが決まりかけ、それに1コース・海野康志郎が抵抗したことで、5―6―3―2―4―1という波乱の結果が生まれたわけだ。
 レース後、まず目についたのは、ヘルメットを半脱ぎ状態にしたまま放心状態のようになっていた海野の顔だった。
 初日の1号艇で6着に敗れたときのショックの大きさをはっきりと物語る顔つきになっていたのだ。海野の1走目は3レース、6号艇で4着だったので、絶望的な状態になってしまったわけではないのだが、初日終了時点で得点率2.50の39位ということでは、かなり厳しい立場になったには違いない。2号艇=4着の岡崎や4号艇=5着の赤坂俊輔も、レース後には苦笑いを浮かべていたが、海野の表情は、ひときわ重いものになっていたのだ。このレースのリプレイがピットのモニターに映されると、普段のレースでは考えられないほど多くの選手や報道陣がモニターを取り囲むかたちになっていたのだが、モニター付近の空気までもが重く複雑なものになっていた気がしたほどだ。
 その後しばらくしてから海野に対して、「気持ちは切り替えられますか?」と声をかけてみると……。
「明日からは行きます! 進入から積極的に!!」との言葉を返してくれている。
 そのときの海野の目は、レース直後とは別人のそれのように力強いものになっていたのだ。

2009_0120_0588  ドリーム戦は、2年連続、新鋭王座で優出している大峯豊が制して12点を獲得!
“3度目の正直”に向けて、絶好のスタートが切られたわけだが、海野のように、初日の結果は満足できるものではなくても、今後の逆襲を狙う選手が明日から怖い存在になってくる。
 新鋭王座は、ここからますます熱く面白くなっていくのは間違いない。

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/内池久貴)


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