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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE ピット――準優勝戦の朝

_u4w9333  1レース前にピットに入ると、まず目に飛び込んできたのは、菊地孝平と吉川元浩が何かを話しているところだった。ハッキリとは聞き取れなかったが、菊地は「1枚目のほうが良かったです」と、調整の手応えを吉川に伝えていたようだった。
 その顔はご機嫌!
 その話を聞いた吉川の顔もほころんでいったのだから、他の選手のことでもいい報告を聞くのは気持ちがいいものなのだろう。
 この2人はともに、準優には乗れなかったわけだが、明るさを失わず、早い時間から前向きに作業をしていた。そんなところを目にすると、こちらも嬉しくなってくるものである。

_u4w9532  同じ時間帯に装着場でモーターをチェックしていたのは準優11レース6号艇に乗艇する平田忠則だった。殺気だっていたり、暗い表情をしていたわけではないのだが、モーターを見つめるその目が真剣そのものだったので、声をかけるのは控えておいた。
 平田は1レース後にすぐに試運転に出て行ったので、こちらも前向きだ。
 以前には平田から、準優勝戦の6号艇は難しい立場だという話を聞いたこともあるが、だからといって、優出をあきらめてしまうわけでは決してない。少しでも上積みを求めて、こうして作業を続けていくものなのだ。

_mg_9983  ペラ小屋もやはり、この時間から混み合っており、準優メンバーでいえば、瓜生正義、重成一人、池田浩二、吉田拡郎などの姿が目についたし、準優出を逃した濱野谷憲吾も、普段とまったく変わらぬ姿でペラ小屋に溶け込んでいたものだ。
 整備室では、田村隆信が本体整備をやっていた。
 1レース後には、昨日の12レースに1号艇で臨みながらまさかの転覆で準優出を逃した井口佳典が厳しい表情をしているのを見かけたが、田村がモーターをボートに取り付けていたときには傍に寄っていき、何かの声をかけていた。すると、やはり準優出を逃した湯川浩司もそこにあらわれ、銀河系トリオが集まった。そこでまた話を続けているうちに、井口の顔には自然な笑みが浮かぶようになっていったのだから、同期の絆はやはり強い。

_u4w9535  1レース後のエンジン吊りの際、とにかく気になったのが松井繁のご機嫌な表情だった。正直に書けば、これまでに見たことのないほど、気持ちのいい笑みを浮かべていたのだ。昨日の10レース大敗で予選順位を10位にまで落としていただけに、今日は厳しい顔をした“タイム・イズ・マネー”松井が見られるのではないかとも予想していたので、これは意外だった。足の具合からいえば、悲観するような部分はないということかもしれない。
 松井は、魚谷智之を制して、1レースの勝者・丸岡正典のモーターを運んで行くと、そのまま控室のほうへと引き上げていった。そのとき一緒になったカポック姿の丸岡の背中を、ポンと叩いている様子もどこまでも爽やかだった。

2mg_3904  この1レース後、1号艇で2着に敗れた藤丸光一が、プロペラを手にしてひとり水面際に座って沈思していた姿も印象的だった。
 藤丸はここまで厳しい成績となっているので、この1号艇ではなんとか結果を出したかったということかもしれない。
 自分に腹を立てているような感じはまったくなかったが、静かな顔つきで、しばらく水面を見ていたあと、そのまま控室のほうへと戻っていったのだ。

1mg_3895  また、1レース後には、森永淳と上瀧和則が、同時にボートを水面に降ろしているところも見かけられた。
 準優出を果たしている森永は、早い時間帯からいつもと変わったこともなく作業をしていたが、上瀧に何かを話しかけられると、はじけた笑顔を見せていた。
 上瀧に何かをからかわれたのかもしれないが、心強い同県の先輩がいることも、平常心でこの時間を過ごしていくうえでの力になっている部分はあるのだろう。
 初日1レースを6号艇6コースで制しているのだから、今日の12レースでも6号艇でおもしろい存在になってくるはずだ。

_u4w9267  12レースの1号艇は、予選1位通過の今垣光太郎だが、今垣は1レース前から、整備室の前の陽の当たる場所でモーターをチェックしていた。
 そして、1レース後に、NIFTY競艇特集主宰でありBOATBoy編集長である黒須田守の姿を見かけると、にっこり笑って声をかけてきた。
 そのとき、私も傍にいたのだが、今朝の今垣は、松井に負けないほどご機嫌な感じで、黒須田も思わずたじろいでしまうほど饒舌だったのだ。
「昨日は、母の誕生日だったので、フライングだけは切らないようにと祈っていたんです」などと話していたが、その足は万全と見ていいのではないかと思う。
 準優出を果たした選手も、そうでない選手も、こうして様々な表情を見せてくれる場所――、ピット。私はこの空間が大好きだし、今朝もその場にいられることを幸せに思ったものだった。
(PHOTO/山田愼二=藤丸、上瀧&森永 +池上一摩=その他  TEXT/内池久貴)


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