この特集について
ボートレース特集 > THE ピット――初日午後、「絶対王者」の風格
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

THE ピット――初日午後、「絶対王者」の風格

2009_0317_0877  7レース後、装着場では松井繁がボートを水面に下ろす準備をしていた。1秒もムダにしないように一日中作業をしていることも多い松井だが、今日の松井は、作業をしているところはそれほど多くは見かけなかった。
 昨日の前検後には「今後はほぼ何もせずで」で話していたが、その言葉どおり、足の手応えはあったということだろう。

2009_0317_1159  松井に限らず、午後になると、前検日や今朝のような慌ただしさはさすがになくなった。ペラ小屋で作業をする選手はそれまでに比べても増えていたが、それぞれの選手が落ち着いた様子で自分の作業をしていたのだ。
 ドリーム組でいえば、濱野谷憲吾、吉川元浩、湯川浩司などはペラ小屋で作業をしている時間が長かったが、井口佳典や坪井康晴などは、いつもにくらべれば落ち着いて時間を過ごしているようだった。
 8レース後のスタート特訓のあとに、井口は坪井に「伸びるね」と笑って声をかけていたし、7レース後には市橋に対して「どうよ?」とも聞いていたが、そんな井口の様子からは、自分自身に対する自信のようなものも窺えたものなのだ。

2009_0317_1045  午後のピットでは、白井英治と平田忠則が今後の調整方針について話し合っているところなども見かけられた。
 また、山口剛と松下一也が並んでレースを観戦しているところや、服部幸男と松井が並んで作業をしながら声を掛け合っている場面なども目にしている。
 この3組はそれぞれに同期コンビだが、そうして気の合った仲間同士で話をしているような場面を見かけることは、これまでにくらべても確実に増えていた(写真は池田浩二と笠原亮の2ショット。同期ではないが、いい写真だったので……)。

2009_0316_0701_2  その一方で目立ちだしたのが、ピンクのプレートを付けたボートの試運転だ。
 今日のレースが終わった選手はピンクのプレートを付けるわけだが、8レース後や9レース後などには、こうした「ピンク」がずいぶんと水面を賑わしていたのだ。
 目についてメモをしていた順に列記していけば、白井、平田、野長瀬正孝、新田芳美、金子良昭、田口節子、市橋卓士、松下となる。
 SG初出場の市橋の今日の成績は6着×2本で、松下は6着×1本となっているが(新田は3着×1本)、市橋や松下に限らず、今日のレースが不本意な結果に終わった選手や、ある程度は納得できる成績であってもさらなる上積みを求める選手は、こうして試運転を繰り返し、明日以降に向けての準備をしていくわけである。
 こんな光景を見ていると、早く「結果」を出してほしいと願われるものなのだ。

2009_0316_0350  12レースが近づき、試運転をするボートもなくなると、ピットは静寂に包まれていったが、この時間帯にもペラ小屋で作業をしている選手は多かった。
 狭いほうのペラ小屋には、島川光男と重成一人の2人しかいなかったが、広いほうのペラ小屋では、今垣光太郎や服部など10人ほどの選手がカンカンカンとペラを叩いていた。
 そのなかでも気になったのは中島孝平で、今日はペラ小屋を覗くたびに、部屋の隅っこの同じ場所で、ずっとペラを叩いている姿が見られていたのだ。
 12レースが迫ってきている時間帯に1枚のペラを整備室のプロペラ電気炉に入れると、ペラ小屋に戻って、別のペラを叩き出していた。また、その後しばらくすると、ペラ工作室に移っての作業もしていたのだから、とにかくよく働く。
 その後、「ペラはどうですか?」と尋ねてみると、「……あんまりですね」と答えていたが、“言葉数の少ない働き者”が中島という男なのである。

2009_0317_0918  迎えた12レース。
 完勝としか言いようがないかたちで1号艇の松井が逃げ切った。こう書くと本人は否定するだろうが、レースから引き揚げてきた松井は、当たり前の仕事を当たり前にこなしてきたようにも見えていた。去年の総理杯で松井は『絶対王者』と呼びたくなるほどの強さを見せていたが、今年も変わらぬ強さを見せていくのではないかと予感される。
「もう少し回転数は合わせる要素はある」とも話していたが、納得に近い仕上がりにはあるのだろう。
 8レース後のスタート特訓のあと、待機ピットに戻ってきた松井は、しばらく回転数を確かめたあと、少し水面でボートを流してみせたが、すぐに待機ピットに戻ってくると、プロペラを外すこともなく、すうっと控室のほうへと引き揚げている。
 そんな松井の後ろ姿は、やはり「王者」ならではの風格を備えたものだった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/内池久貴)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/106923/44379340
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません