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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE ピット――初日の朝、競艇の春が来た!

1r0017103  春だなあ。
 今日は気温が20度まで上がるようにも予報されているし、なんだか、あったかいや。
 というのが、今朝の多摩川。
 黄砂の影響なのか、富士山こそ見えないが、とてもいい天気で、ぽかぽかしている。そのせいもあってか、ピット内の空気もおだやかでのどかな気はするが…………、その実、選手たちは忙しい時間を過ごしている。
 前検日のように殺気だっているのにも近い空気はないし、ピット内を走りまわる選手もほとんどいないが、のんびり日向ぼっこをしている選手などは誰もおらず、それぞれに作業をしている。
 1レース前に整備室で本体整備をしていたのは石川真二と飯山泰の二人だったが(飯山はその後、お日さまの下で作業をしていた)、2室あるペラ小屋はそれぞれに7、8人ほどの選手がペラを叩いていた。
 そして、待機ピットで作業をしている選手も目立ち、1レース後に試運転に飛びだしていった選手はかなり多かった。

2009_0316_0381  そんな中、ふと目に入ったのは今垣光太郎のお尻だった。
 いや、別に私にはそのケはないのだが、とにかくズボンが汚い!
 賞金王決定戦のメンバー用のものだが、昨年の暮れにはまだキレイな濃紺だったのが、すでにいくら洗濯しても落ちないような真っ黒になっていたのだ。そしてツギアテまでされていたのである。
 これが今垣なんだよなあ。
 と私は思った。
 毎日、毎日、油まみれになるほど整備をしているわけなのだ。今朝は暗い艇庫の入り口で、ひとり孤独にボートをチェックしていたが、そんな姿もなんとも今垣らしかった。

1r0017099  1レースが始まる頃に目についたのは、それまで慌ただしく自分の作業をしていた菊地孝平がボートのナンバープレートを抱えて、水面際でレースを見ようとしているところだった。1レースの1号艇は金子良昭なのだから、そのレースは何をさておいてもしっかりと見ておきたいとのことだったのだろう。
 最初は菊地が一人でいたが、やがて松下一也と坪井康晴もそばに来て、“僕が持ちます”というように松下が菊地が抱えていたナンバープレートを受け取った。
 そして、レースでは1周1マークでアウト勢のマクリに飲み込まれてしまうようなかたちになって、結果的には5着に敗れてしまったわけである。だが、この3人は誰も声をあげず、それぞれにわずかに目で悲鳴をあげただけだった。
 レース中、2周目あたりで坪井と松下はその場を去ったが、一人残った菊地は、水面からまったく目を離すこともなく、ゴールの瞬間まで師匠の走りを見届けていたのが印象的だった。

2009_0316_0663  このレース後、多くの選手が試運転に飛び出していったわけだが、そのとき印象的だったのが服部幸男と田中信一郎の2人だ。
 待機ピットでしばらく何かを話していたかと思うと、それぞれにブルブルとエンジンを始動。そして、「試運転開始」とのアナウンスが入ると、レースのピットアウトさながらに、同時に飛び出していき(先の話では、この申し合わせをしていたのかもしれない)、そのまま足合わせをやっていたのだ。

2009_0316_0538  その後、田中は白井英治と足合わせを行ない、さらにその後には服部と白井の組み合わせでの足合わせに移行した。
 この3人が着ていたのは、揃って青いカポックだった。
 多摩川の春の水面には、青のカポックがなんとも爽快に映える。
 試運転のあとは、ほとんど間を空けることなく、服部と田中はペラ小屋に移ってペラを叩きだしていた。
 春だなあ。
 というような気候であっても、選手たちは、こうして作業を続ける。
 今年もSGの戦いが幕を開けた――。
 あらためて、そんなことが実感されたものだった。
(PHOTO/中尾茂幸 +内池=1枚目&3枚目 TEXT/内池久貴)


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