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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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準優勝戦私的回顧

10レース

2009_0627_r10_0691  スリットを真っ先に通過したのは2コース2号艇の菊地孝平。コンマ15のトップスタートで、インの今村豊よりも3分の1艇身ほど機先を制する。
 だがインを絞るまではいかない。今村は前日のインタビューで伸びに不安を感じていたようだったが、機力上位の菊地や湯川についていくだけの足には仕上げてきていた。ダッシュ勢から伸びてくる艇はいない。菊地も差し狙いだろう。このままの形で1マークに突入すれば、インの今村が逃げ切りそうな態勢である。

2009_0627_r10_0708  1マーク。今村が逃げようとした瞬間、菊地が突然外から襲い掛かかる。それまで目を瞑っていたライオンが、獲物を眼前にして急に括目したかのように。
 何とか逃げ切れると思っていた今村は、さしずめライオンにロックオンされたされた草食動物のよう。張って抵抗しようとするが、すでに菊地のまくりを見切っていたためか、間に合わない。
 菊地が今村の上ギリギリを叩く。その航跡に今村の艇尾が引っかかる。絵に描いたような強ツケマイ。今村の艇だけ時間が止まったかのように、ピタリと止まった。

 菊地の強ツケマイ成功。かと思いきや、もっとも遠い場所から、内の攻防をながめていた選手がいたのだ。寺田祥である。あえて動物にたとえるならハイエナのように、草食動物と肉食動物の戦いが終わるのを虎視眈々と待ちながら。
2009_0627_r10_0722  想定外の菊地のまくりに、いったんまくりのハンドルを入れようとしていた湯川は差し遅れる。圏外へ。5コースの太田も寺田にうながされて外へ行った。差そうとした川﨑も1マークのターンで若干バウンド。その結果、すべての選手が外へ外へと行くような形になる。内が開く。そこを「待ってました!」とばかりに、寺田が強襲する。

 バックはレースを作った菊地と、展開を突いた寺田の2艇併走。一昨日までの足なら、寺田は菊地には敵わなかっただろう。しかし昨日から寺田の足は上昇しつつあった。展開を作ることはできずとも、展開を突ける足には仕上がっていたのだ。
 寺田は内を利して2マーク先マイ。外にいた菊地は川﨑が行かせる形になり、差し遅れる。これで勝負は決した。

 9レースまでは1号艇の3連対率が100%あった本日の戸田だが、ここで大波乱の風が吹いた。3連単は7万円近い高配当。残り2レースも、おのずと熱気を帯びてくる。

11レース

2009_0627_r11_0886  準優10Rからは、静岡勢の好調を具現するように、菊地孝平が優出に成功した。この流れに続いたのが、静岡の総大将・服部幸男である。
 10レースの菊地がお手本のような2コースツケマイだったのなら、11レースの服部はお手本のような2コース差しであった。インの平石が失敗したというよりも、平石よりも素早いスピードターンで、サイドをガッチリかけた差し。狭いところを、よく突き抜けたものである。
「復活」という言葉は安易に使うべきではないし、明日結果を出してから使う言葉なのだろうけど、服部の全盛期を彷彿させる美しいターンであったのは間違いない。

 バック水面。2番手を走る平石を服部が牽制にいく。ひょっとして牽制に加えて、3番手を走る愛弟子の佐々木康幸にチャンスを与える意味合いもあったのかもしれない。佐々木は服部が開拓した内コースをするすると伸びてくる。2マーク手前では、平石にほぼ追いついた。
_u4w4764  2マーク。佐々木が突進気味に内からターン。しかし平石の艇は揺るがない。揺るがないところか、佐々木が当たり負けしたかのようにみえた。さらにここで辻栄蔵に内をすくわれる。初日エンストという最悪のスタートから盛り返してきた佐々木だが、あえなくここでグラチャンは終わった。

 逃げることこそできなかった平石だが、その後のカバーはさすがだった。バック水面で服部の牽制を凌ぎ切り、2マークでは佐々木を閉じ込めようとして、さらに佐々木の突進に揺るがなかったうえに、そのまま外を伸びていった。老獪で冷静なレース運びは、「さすが地元のエース」と唸るものである。地元の総大将が、静岡勢の猛攻撃を退けた一戦だった。

 
12レース

 文句なしの名勝負。常に1着2着を争っている、準優勝戦の面白みがすべて凝縮された珠玉のレースだった。レースをまだ見ていない人は、ぜひVTRで確認してみてほしい。

【進入】
_u4w4854  総理杯・笹川賞、ともに準優勝戦で1着になりながら反則を取られて優勝戦に進出できなかった今垣光太郎が1号艇。ただし、楽にインが取れる保障はない。
 案の定、予選18位通過で6号艇の松井繁が大きく回りこんでくる。しかし今垣は艇を急がせようとはせず、まだバック水面側にいる。松井の艇が徐々に前へ進んでいく。しかしまだ今垣は動こうとしない。150m見通し線に近づく。それでもまだ今垣は動かない。
「もうこれ以上待つとインが取れない」
 そんなギリギリの地点で、今垣がくるりと艇をむけた。今年、待機行動違反でSG優出をふいにしているというのに、よくあのギリギリの場所まで待つことができたものである(レース後のインタビューでは、松井の前づけを見て2コースを考えていたそうだが)。

【スタート】
 横一線の美しいスタート……とまではいかなかったが、内4艇がコンマ10~12のスタートで並ぶ。センターの飯山・渡邉が伸びていくが、内の今垣・松井もひるまない。ほぼそのままの態勢で1マークへ。

【1マーク~バック】
_u4w4877  今垣が逃げようとするが、少しターンが漏れる。その隙を逃さずに松井繁が差しハンドル。松井のモーターは準優に入ると、下位クラス。今垣と松井の間の狭い隙間を割って、モーターが出ている坪井康晴の艇が伸びてくる。それに1艇身ほど遅れて外に今垣、内に飯山泰。4艇が約1艇身差にひしめき合う大混戦に。4人すべてに、優出の権利があった。

 
【2マーク~2周1マーク】
 2マークを先マイしたのは松井繁。渾身の2コース奪取から、1マークで今垣のターン漏れを逃さずに差し切り。何度も叫んできたけど、ここでもまた叫んだ人が多いのではないだろうか。
「さすが、王者」と。

 先頭は抜けても、2着争いは終わらない。差した坪井と、さらにその内を差した今垣の舳先が2周目ホーム水面で坪井に艇尾にかかる。
 坪井が「絶対に前に出さない」と、今垣を内へ内へと押し込めていく。しかし今垣もこのチャンスを逃すわけにはいかない。どちらも引けないのだ。
 2人のマイシロが少なくなるチキンレースは、ターンマーク手前まで続く。

【2周1マーク~2周2マーク】
2009_0627_r12_1058  チキンレースを勝利したのは坪井。ターンマーク手前で少しだけ開いて差し。今垣は外へと流れた。
 ところがチキンレースをやれば、後ろにいる選手が漁夫の利を得るのは自明の理。4番手を走っていた飯山が、こんどは坪井の艇尾に舳先をかける。
 また絞る坪井。そして譲らない飯山。このチキンレースは2周2マークまで続く。もう、2人にマイシロはない。

【2周2マーク~】
2009_0627_r12_1111  チキンレースで漁夫の利を得るのは、やはりその後ろの選手。最後の最後まで引かなかった2人は、外へと流れいく。その内を、ズバッと今垣光太郎が差す。そして加速のつかない坪井と飯山を後目に、そのまま一気に突き抜ける。
 進入で危うく待機行動違反になりそうになり、1マークでターンが漏れ、2周目ホームでチキンレースに敗れた今垣が、不死鳥のようによたび息を吹き返す。

 

 進入から激しい駆け引きがあり、コンマ10前後のスタートが決まり、バック水面では4艇が2つの椅子を争う形になり、その後も常に2艇が意地を張り合う展開。まさに息をつく間がない競走だったのである。
 そんな熾烈な争いから抜け出したのは、松井繁と今垣光太郎の2人。やはり激戦になればなるほど、キャリアの差がものをいうのかもしれない。

PHOTO/中尾茂幸(ヨコ位置写真)・池上一摩(タテ位置写真)
TEXT/姫園淀仁


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コメント

@nifty記者様。ご無沙汰してます。
最近仕事が忙しくてなかなか予想出来なかったのですが、グラチャン最終日ぐらいは参加させてもらいます。
H記者。K記者。勝負ですぞ!

投稿者: しげ爺 (2009/06/28 2:26:09)