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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――湿気がうらめしい

 前検日とは一変した気候。日差しが出て、この湿度。相当に暑苦しい。それもあってだろう、選手たちは相当に忙しい初日を過ごしている。顔を合わせるなり沢村忠ばりの膝蹴りを入れてきた永田磨梨奈キャスターも、ピットレポートの取材がなかなか思うように進捗しないと嘆いていた。選手がこれだけドタバタと慌ただしく動いていると、コメント取りで捕まえるタイミングは非常に難しくなってくるのだ。
2009_0622_0259  エンジン吊りを終えた湯川浩司を捕まえようと、整備室に向かう途中で声をかける。湯川はたった1枚のプロペラを、季節や競艇場に関わらず、調整しながらずーーっと使い続ける男なのだが、今節は試運転の段階では持ち込んだ3枚すべてを試しているという。その変化を知りたいと思って、エンジン吊り後をチャンスと睨んで捕まえた、という次第なのだが、しかし……湯川の足はまったく止まろうとしない。何しろ狭い戸田ピット。あっという間に整備室の入口に辿り着いてしまった。「ようするに、3枚のなかから1枚を煮詰めていくってこと?」「はい、はい」というやりとりが精一杯。その真意を聞き出すことはかなわなかったのである。湯川は急ぎ足で本体整備に取り掛かっており、1分でも1秒でも惜しいのであろう。湯川のような動きをしている選手は、それこそ視界に飛び込んでくる選手すべて、といっても過言ではないほどだ。ちなみに、湯川は声をかけたときには「また3連覇の話?」と思ったのか、やや警戒しているふうだったが、そうではないと知ってホッとしたか、言葉少なでありながらも笑顔を見せてくれている。
2009_0622_0492  2R後、苦虫をかみつぶしたような顔であらわれた森高一真は、開口一番、「出てない」。本体を整備して少しは上向いたかと聞くと、出てくる言葉はやっぱり、「出てない」。重症のようだ。森高も、その後は慌ただしく動いた一人。工具を手にボートに向かうと、本体を手早く取り外す。整備室では整備士さんにアドバイスをもらいながら、整備をしている姿があった。今日一杯、整備室と水面を往復する森高を見ることになるのだろう。
2009_0622_0404  森高の隣では、田村隆信も本体を整備していた。こんなところで銀河系の同期会? いやいや、湯川が時折、森高にアドバイスを求めるくらいで、無駄口など叩いているヒマなどない3人である。その横には、今垣光太郎の姿も。整備の鬼、登場だ。それぞれが裸になった相棒を前に、パワーアップの方向性を模索している。
 ほかにも、松井繁や魚谷智之のドリーム組を含め、幾人もの選手を整備室で見かけた。こりゃあ、ペラ室もさぞかし……と移動して覗き込む。
2009_0622_0555  あら。思わず声に出して言ってしまった。ピンクのブルゾンがひとつしか見えないじゃないか。トーキョー・ベイ・パイレーツのユニフォームを着た作間章が、ペラをこつこつと叩いている姿しかないのである。こりゃ珍しい。ペラ室が満員御礼で整備室には1人2人、という光景のほうが当たり前のSGのピット。逆転現象が起こっている今日というのは、外野としては貴重な風景を見ることができた不思議な日、なのである。選手たちは大変でしょうけどね。

2009_0622_0643  ところで、2Rで烏野賢太が転覆、巻き込まれた佐々木康幸も失格という事故が、早々に起きてしまった。レース後、烏野は特に痛そうなところもなく、装着場に姿をあらわしているが、佐々木が少し足を引きずり気味だったのが気になるところ。レースには出られそうなので、たいしたことはないのだろうが、気をつけて頑張ってもらいたい。
2009_0622_0477  4Rに自分のレースを控えているというのに、烏野や佐々木のフォローをしていた選手班長の平石和男。地元はたった一人、というのは、こうしたケースでも負担となってくるわけである。右に左に駆け回りながら、こちらの顔を見ると「原稿、届いてた?」とBOATBoyの連載の締め切りをも気にかけてくれたりして。そんななか、4Rは逆転で1着! さすがに戸田水面の通るべき道をよく知っている。落ち着かない環境の中でもしっかり結果を出しているのだから、さすがとしか言いようがない!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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