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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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戸田グラチャン 優勝戦私的回顧

三度目の……。

12R 優勝戦
①服部幸男(静岡)
②寺田 祥(山口)
③松井 繁(大阪)
④今垣光太郎(石川)
⑤平石和男(埼玉)
⑥菊地孝平(静岡)

進入123/456

2009_0628_r12_0900  一撃の4カドまくりで、今垣光太郎が白黒つけた。
 午後から雨が降りはじめた戸田水面。傘の花が開くスタンド1マーク付近。ファンファーレが鳴ったときも、12秒針が回転したときも、いちばん多かったのは今垣への声援だった。舟券も1=4が異様なまでに売れていた。もちろん今垣のパワーは万全だったし、彼のここ一番の勝負強さは半端じゃない。が、今日の声援と舟券に込められた思いは、それだけではなかっただろう。
 みんな、知っている。多摩川・総理杯、福岡・笹川賞で今垣がどんな辛酸を舐めたか。準優1着での賞典除外。総理杯は目にはわからぬほどの微妙な待機行動違反だったから、ファンは????のうちにシリーズは終わっていた。笹川賞では多くのファンが、その“光景”を目撃した。
 あれが不良航法で、しかも賞典除外なのか?
 今垣は強ツケマイにきた菊地孝平を張った。水上の格闘技・競艇では当然のことだ。が、その作用反作用で菊池が消波装置まで流れ、バランスを崩した。それがルールに抵触し、今垣の名が優勝戦から消えた。
 まさか、あれが……?
2009_0628_r12_0930  これはレース後の今垣のコメントであり、多くのファンの思いでもあっただろう。白黒つかぬ、後味の悪いSGが2度も続いたのだ。そこにはルールとして改善すべき点が多々あると思うのだが、それは別の機会に譲る。
 そして今節、今垣はまた準優にやってきた。総理杯のときと同じ得点率1位、シリーズリーダーとして。昨日の12R、私は異様な緊張感とともにレースを見ていた。前付けした松井繁が今垣より先に150m見通し線を超えそうになる。まさか、また? 2周ホームで内の今垣と外の坪井康晴が大競りになり、激しく抵抗しながら1マークを先取りした。坪井が流れる。まさか、また? 見た目には大丈夫だとわかっているのだが、それでも緊張が走った。記者席に届いた優勝戦メンバーを見て、私ははじめて心からの安堵を覚えたのである。
「いまがきぃぃぃ!!」
 12秒針が回り、声援がひときわ大きくなる。スリットはほぼ横一線。これなら服部幸男が逃げきり、11年半ぶりのSG戴冠となるか。思ったときには、今垣が半艇身ほど抜け出していた。すぐに絞る。伸びシロが違いすぎて、松井も寺田祥も抵抗できない。今垣の判断と行動に迷いはなかった。力ずくで服部をも叩く。いささか今垣の艇も流れたが、その電光石火の絞りまくりに付き合える艇はなかった。一撃でケリを、白黒をつけたのだ。三度目の正直。
 2着の服部に大差をつけて、今垣はゴールを通過した。すぐに立ち上がるほどの激しいア2009_0628_r12_0973クションでガッツポーズを繰り出す。喜びを身体の全部で表現した。今までの彼の優勝で、これほど弾けたアフターランはあっただろうか。そして、ガッツポーズをしたまま深々と頭を垂れた。その思いは……もちろん今垣本人にしかわからない。我々がいくら想像しても、届きえない思いが弾けた。

 なんで今垣ってこんなに人気があるんだろ。
 昔、こんなことを思ったことがあった。笹川賞ファン投票で何度目かの1位になったとき。確かに強いし性格は朴訥そうだし顔はアニメキャラのように愛らしい。でも、もっと強い選手なら他にもいる。超のつくイケメンもいる。投票1位はちと行きすぎなのではないか、と。
 だが、今はその類稀なる魅力がわかるようになったし、今年の一連のSGを見てさらに明確にわかってきた。今垣光太郎のレースは、実になんとも半端じゃなく人間臭いのだ。不器用で泥臭くて気持ちに真っ直ぐで舞い上がると視野が狭くなって、だからこそ表情も見えないのにひたむきさがストレートに伝わってくる。彼は水上で自分という人間をありのまま表現している。強い選手は多々いるが、そんな弱さまでひっくるめて“人間”が露骨に伝わってくるSGレーサー、そうはいない。そして、今垣の強さの根は、まさにそこにある。
2009_0628_r12_0986  総理杯、笹川賞、グラチャン。今年も今垣は人間臭く、ひたむきに走り続けてきた。ひたむきな走りが裏目にも出た。賞金4000万円のレースが、指の間からこぼれ落ちた。2度も連続で。そして今日、拭いきれないはずのいろんな思いを、自力で弾き飛ばした。ドラマは事象ではなく、人間の心で作られる。スリット同体に近い隊形からの、強引かつ豪快な絞りまくり。今日もストレートに伝わる人間臭いレースで、今垣は自分の心に白黒をつけたのだと思う。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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