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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――落ち着いた朝

_mg_8561   朝なのだ。もちろん、今日は優勝戦である。
 発表によれば、1レース時点で気温は26.0度となっていた。昨日の1レースは31.0度だったのだから、いかにも選手泣かせだ。
 ただ、そうはいっても今朝のピットにおいては、選手たちがバタついているような印象は受けなかった。優出選手それぞれの姿も比較的早い段階で確認できたが、気温の変化に焦って、目の色を変えて作業をしているような場面は見かけられなかった。
 最初に目についたのは、昨日の朝と同じく今垣光太郎だ。装着場のいちばん奥に停めてあるボートのところで、ボートに着けたままのモーターを丁寧に拭いていた。その後にわかったことだが、TVインタビューを受けるのをちょっと待ってもらう形で、この作業を続けていたのだ。しばらくモーター拭きを続けたあと、お待たせしてすみませんというように、両手を合わせてリポーターに頭を下げていたのがいかにも今垣らしい。
 今日の表情もやはり気になったが、昨日のレース後と同様、憑きものが取れたような顔のままだった。インタビューのあとにしても、すぐに整備作業を始めたりはしなかったので、足についても満足しているままなのだろう。
 2Rが近づいてきた頃、再び装着場でその姿を見かけたが、そのときの今垣は、気温計を見ながらメモを取っていた。こうした“メモ魔”ぶりにしても、いつもどおりだ。

_mg_8424   次に目に入ったのは菊地孝平だ。
 1レース前に装着場の片隅で、テレビ関係者の一人(男性)と話をしていたが、それがけっこう長い立ち話になっていた。その表情もいかにも落ち着いたものだったので、とくべつ慌ててやる作業もないということで、話してこんでいたのだと思われる。
 それからずいぶんと時間が経ったあとには、池田浩二と話をしながら、ペラ小屋に向かっていったが、そのときにもやはりのんびりとした雰囲気を醸し出していた。

_mg_8428_2 1レース後には、平石和男が今村豊とニコニコ話をしながらエンジン吊りに現われた。
 その後ろからは、松井繁が上瀧和則と話をしながらやってきたが、松井の顔にもおだやかな笑みが浮いていた。
 エンジン吊りのあと、松井は装着場に停めてある自分のボートのところに一度行ったが、ちょっとした確認程度をしたようで、すぐに作業を始めようとはしなかった。その行き来の途中で、他の選手とすれ違えば、ひと言ふた言、何かを話してニッコリ!
 今日もまた、鬼神のごとき作業ぶりが見られるのではないとか予想していたが、朝の段階では、慌ただしい様子がなかっただけでなく、とにかく気分が良さそうな顔をしていた。表情から受ける印象で最も好感を持てたのも、朝の段階においては松井といえる。

_mg_8403  平石にしても、そのリラックスぶりは松井とそれほど変わらなかった。ペラ小屋近くに停めてあるボートのところで手を動かしながら、ピットリポーターと話をしていたときも、いつのまにか話題が雑談に流れていったようで……。そのリポーターに対して、地元・埼玉を案内するような話をしていたのだから、いかにもこの人らしい。
 その後、平石は、整備室内の洗浄室で、部品を洗浄している姿も遠目で見かけられた。大がかりな整備をし直しているというよりは、ちょっと気になるところを確認しながら、どこかで上積みができるなら……と手探りしているような様子に見えた。

_mg_8399_2   印象だけでいえば、ちょっと硬い表情に見えたのが寺田祥だった。
 といっても、1レースのエンジン吊りに出てきたところと、その後、一人で装着場を歩いているところくらいしか見かけなかったので、その顔つきが少し厳しいものに感じられたという程度のことに過ぎない(写真はちょうどそのときのもの)。どちらかといえば、ポーカーフェイスな部分がある選手なので、いつもの顔だといえば、そうともいえる顔である。
 だが、昨日の準優のあと、「足は現状維持でもチャンスはあると思います」と、共同会見で晴れやかな表情を見せていたことを思えば、ちょっとした引っかかりを感じないわけでもなかったということだ。

_mg_8478  最後まで姿を発見できずにいたのは服部幸男だったが……、“いつの間に……!?”というように、気がつけばペラ小屋でプロペラ調整をやっていた。
 かなり激しく叩いていたようにも見えたが、大がかりな調整をやっているのかといえば、そうとも言い切れない。
 2レースが終わると、そのレースの静岡支部の選手は出ていなかったが、“ちょっと一息”といった表情でペラ小屋を出てきた。そして愛知支部・石川真二のエンジン吊りを手伝っていたが、そのときの顔はいつもと変わらない服部の顔だった。
 天才と呼ばれ続けた男が、SG優勝から10年以上遠ざかってしまっていても、それに対する気負いやプレッシャーは感じていないのだろう。この大一番で服部で一日をどう闘っていくかは最後まで目を離せない。
(PHOTO/山田愼二 TEXT/内池久貴)


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