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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――ベスト6

_u4w0621  1R終了直後、ピットに足を踏み入れると、田中信一郎が係留所にいる姿が真っ先に目に飛び込んだ。
 えっ、もう着水?
 係留所に近づいて全体を眺め渡しても、やはり田中以外に優勝戦メンバーのボートはない。これはかなり早い始動と言えるだろう。朝特訓に出たのは田中だけではないが、そのまま水面にとどまり、試運転を繰り返していたのは田中のみ。気合のあらわれと見るべきか、あるいはさらなるパワーアップに集中していると考えるべきか。
_u4w0791  田中が水面に飛び出していくところを確認し、装着場に向かうと、徳増秀樹がモーターの装着作業をしていた。チルトのあたりを入念に確認し、工具を使ってギュッギュッとネジを締める。定規置場に向かって「キャビテーションプレート定規」を手に取ると(定規の名前はあとで確認したので、あえて書きました)、ボートに戻ってしゃがみ込み、艇底との取り付け角度を確認し始めた。相当に微細なチェックである。さらには、優勝戦用のカラーカウリングのネジをぐいぐいと力強く締め直す。全体的に、ディテールを煮詰めているという感じである。
 緊張しているかどうか、については、朝の段階では判然とはしなかった。表情が硬いような気がしないわけではないけれども、静岡勢と会話を交わす際の笑顔は自然である。時間が経てばまた変わってくるだろうが、とにかく朝は「やれるだけのことはすべてやる」を実践しているように思えたのだった。
2009_0725_0112  時間が経てば……は、菊地孝平にも思うことである。SG優勝戦1号艇は、これが初めての経験である。修羅場の数は増えてきているけれども、もっともプレッシャーがかかる局面に立ったことはない。それだけに……なのだが、菊地の表情は実に穏やかだ。SG初優出初優勝がこの若松(05年MB記念)だったので、あの日のことを思い出せば、表情の違いも鮮明になるわけだが、前半のうちはかなり緊張しているようにも見えたあのときと比べて、今日は正反対と言ってもいい表情だ。
 エンジン吊りの際には、中野次郎とふざけ合っている姿もあった。緊張を紛らわしているのではなく、ただ仲のいい次郎にじゃれついているだけに見えた。ひとまず、早い時間帯の菊地は、好気配を漂わせつつ過ごしている。

2009_0725_0329 好気配といえば、西島義則はさすがのベテランである。これ以上に過酷な舞台を経験しているのだから、何も怖いものはないだろう。この1節間と雰囲気と何も変わらないたたずまいで、黙々と動いている姿には本当に敬服する。
 前半の時間帯は、ペラ調整に集中していた。3R前にはペラをいったんボートの操縦席に置いて、控室へと消えていっている。ひとときの休憩を経て、水面に出ていくことになるものと思われた。
2009_0725_0313  濱野谷憲吾もペラ調整に集中。これはいつもの憲吾ではある。気になる点があるとするなら、装着場を歩くスピードが普段よりずっと速いことだが、これがネガティブなものとは思えなかった。あと、風邪気味なのかな? セキをコンコンとするシーンを数回見かけた。
2009_0725_0131  湯川浩司もペラ調整だが、他の選手とはちょっと意味が違う。というのは、チルトを1・5度に跳ねているのだ。長嶺豊さんに耳打ちされて、湯川のボートを見に行くと、5角形のチルトアジャスターに記された「最大(若松は1・5度)」を示す赤い線が、ボートの後部と接地していて、1・5度に跳ねていることを示していた。すなわち湯川のペラ調整は、跳ねチルト仕様。途中、ペラを手に整備室に向かい、整備士さんと話し込む姿もあった。この一発勝負仕様が、どう出るか。直前情報や展示気配にご注意いただきたい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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