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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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オーシャンカップ 準優私的回顧

鳥肌

①白井英冶(山口)
②丸尾義孝(徳島)
③田中信一郎(大阪)
④濱野谷憲吾(東京)
⑤藤丸光一(福岡)
⑥森永 淳(佐賀)

2009_0725_r09_0790  ピットアウトからスタンドがどっと沸いた。藤丸と森永、九州男児の外枠ふたりが猛烈な勢いで内を呑み込んでいく。田中がこれに鋭く反応して2コースに入り、白井も早めにインを主張した。藤丸はゆっくり艇を流して美味しい3コース。その藤丸とともに攻めた森永は、混雑を嫌って外に持ち出す。隊形はなんとも想定しにくい13・52/46。12秒針が回る。
「行けぇぇ、はまのやぁ~!」
 私は1マーク付近で見ていたのだが、右斜め後ろのオッサンが叫びはじめた。ちょっと意表を突かれた。それからオッサンは「はまのや先生~」とまで言った。真面目な声で。ふじまる~という声は聞こえない。ややスランプ気味でも、やっぱ憲吾は全国区の人気者なんだなぁ。などと私の全神経の1000分の1くらいで思っていたのだが、その濱野谷先生が……!!
 2009_0725_r09_0810 進入の混乱ぶりを反映して、スリットも乱れた。横一線とは真逆のジグザグスリット。突出したのはインの白井。続いたのが5カドの濱野谷、3コースの藤丸。白井は見事にスタートを決めたのだが、2コース壁のないこの隊形はいかにも寒い。頼みはスタートのアドバンテージ。まずは藤丸がまくりを諦め、差しに転じて行き場を失う。一の矢は逸れた。白井は必死の形相で先マイのハンドルを入れる(もちろん見えないが、そんな必死さが伝わってくるターンだった)。その外、並ぶ間もなく弾丸ライナーが走り抜けた。濱野谷先生だった。濱野谷のこんな全速ぶん回しツケマイを見たのは、いつぶりだろう。強烈な二の矢を喰らって、今節の白井のSGチャレンジが終わった。それにしても濱野谷!
「すっげえぇぇぇ、ほら、鳥肌!!」
 今度は左斜め前の若者が、相棒に二の腕を見せる。つられてかどうか、私も鳥肌を立てた。
「あ~れが本物のツケマイだぁ!!」若者はまた叫んだ。濱野谷の全速戦が若者に鳥肌を立てさせた。こんなレースができるのだよ、濱野谷憲吾。ファンは選手の名前に感動するのではなく、レースっぷりに感動するのだよ。間違いなく、今日の濱野谷はチマタで揶揄される「サシノヤ」とは別人だった。憲吾よ、こんなレースをもっともっと心がけて、日本のエースとして活躍してくれ。
 2着には一番差しで難を逃れた田中。終わってみれば、SGウイナー2騎が優勝戦の椅子を分け合っていた。貫禄の差、というしかない。嗚呼、それにしても、濱野谷!!

憔悴

10R
①重成一人(香川)
②徳増秀樹(静岡)
③松井 繁(大阪)
④吉川元浩(兵庫)
⑤湯川浩司(大阪)
⑥中島孝平(福井)

2009_0725_r10_0991  こちらは打って変わって枠なり3対3、ほぼ横並びのスリット。誰も仕掛けきれず、重成が逃げ、徳増が差してという穏やかな準優パターンになった。途中までは……。
 バック直線、徳増の舳先が重成にかかって2-1態勢になる。足色は明らかに徳増が勝っている。徳増はパワー任せに2マークを先取りした。異変の兆しが見えたのはこのときだ。いつもの重成なら届かずとも全速で握って追随するのだが、ここで減速した。ターンマークを外して大回りする。当然、後続艇がやってくる。握るか差すか、迷ったような減速から重成はやっと差しを選択した。
「ちょっと中途半端なターンになった」
2009_0725_r10_1010  実況のいうとおりだった。それでも、その差しは十分に届いてまた2着を確保する。後ろでは湯川と中島が競りはじめた。大勢を決するチャンス。が、また2周1マークで重成はターンマークを外す。後続2艇に希望を与えてしまう。どうにも決めきれないのだ。やがて中島を振り切った湯川が、しっかりと重成の背中を視野に入れはじめた。距離が詰まる。重成のターンはぼやけた視線のように頼りない。こんな重成、見たことない。
 そして、最終ターンマーク。2艇身差まで迫った湯川を絞ってから、重成は2マークを先取りする。が、まったくといっていいほどハンドルが入らない。またしてもターンマークを外して、流れた。大逆転。昨夜に続いて、湯川は最終ターンマークで1ランク上の切符をもぎ取った。
 この一連の流れの原因は、今の私にはわからない。重成だけが知っていること。勝手に推測するなら、SGの重圧。2着死守への強すぎる思い。猛追する湯川の迫力。それらが相まって、重成の指を、心を痺れさせたのではないか。道中でふらふらしている重成の艇が、私には憔悴しきっている若者のように思えた。
 1着は文句なしで徳増。SG初優出だ。私は徳増を節イチパワーと決め付けているのだが、SG優勝戦はもちろんパワーだけでは勝てない。明日の徳増は自分の心との戦いになる。今日の重成と同じように。

薄氷の圧勝

11R
①菊地孝平(静岡)
②辻 栄蔵(広島)
③坪井康晴(静岡)
④石川真二(愛知)
⑤西島義則(広島)
⑥山本隆幸(兵庫)

2009_0725_r11_1097  例によって西島が前付けし、1542/36から内2艇が鋭いスタートを決めて行った行ったの決着。道中の紛れもなく、「これぞ準優の定番」という感じのレースになった。スリット以降で語るべきは、菊地のレース足が圧巻だった。その程度か。一瞬、西島の差しが入ったかに見えたが、そこからバック半ばまでにぐいぐい伸び、一気に突き放してしまった。総合的なパワー評価では徳増が上と思っている私だが、イン想定の菊地に総合力はいらない。出足と回ってすぐに押すレース足が万全なら、それで優勝に手が届く。今日のレースはその試運転で、確かな応えを掴んだ。そう思えるほどの圧勝、楽勝だったな。
2009_0725_r11_1082  このレースで特筆すべきは、スリット以前にある。待機行動。前付けした西島が早々にターンマークを回った。先にブイを通過してしまえば、インの主導権を得る。菊地はまだバック水面にいた。「あ、これは西島のインが確定かな」と思ったとき、菊地が慌てたようにくるりとターンしてインを主張したのだ。私の目には、ほぼ同時に150m見通し線(簡単にいうと2マーク)を通過したように見えた。ほぼ同時。5月の進入ルール更改で、もし1センチでも先に外の西島がこのラインを通過すると、内側にいる菊地が待機行動違反に抵触する可能性が生じる。
「菊地、やっちまったかも!?」
 私の脳裏に今垣光太郎の悪夢が浮かぶ。総理大臣杯での待機行動違反=1着でありながら賞典除外。菊地もまた、同じ悪夢を見てしまうのではないか? 
 そしてレースははじまった。菊地のスタートはコンマ06。菊地自身も「もしかしたら……?」と感じていたはずなのに、コンマ06。しかも、ほぼ全速だったはず。この集中力はどうしたことだ?
2009_0725_r11_1125  で、スリットを過ぎてからは先に書いたとおりだが、私はレース中「後続をぶっちぎっている菊地は、明日、優勝戦にいるのか? いま3着争いをしている山本と坪井のどちらかが、優勝戦にいるのではないか?」と邪念ばかりが働いていた。今垣光太郎の「準優1着で優勝戦漏れ」という悲惨な光景を2度も連続で見てしまったから。私自身もかなりナーバスになっていたのかもしれない。まあ、結局は杞憂だったわけだが、あの待機行動で菊地があと1秒でも遅れたら……? そう思うと、安泰のレースとは裏腹に、薄氷を踏むような“優出”だったのかもしれないな。
「大丈夫ですか、ボク、ホントに優勝戦乗れるんですか?」
 勝利者インタビューで菊地は首を傾げながら真顔で言った。やっぱり、本人も相当ヤバイと思っていたのだ。だとしたら、あのコンマ06ほぼ全速スリットは神業に近いぞ。どんな集中力をしてるんだか。このインタビューを聞いて、私は「明日は菊地の優勝だな」と半ば呆れながら思った。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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コメント

@nifty記者方々。ご無沙汰しております。
今節は忙しかったのですが、最終日ぐらいは参加しようと思っとります。
さあ勝負ですよ!

投稿者: しげ爺 (2009/07/26 10:56:58)

こんにちは(●´∀`●)/

今日は昼過ぎから夕方にかけて観劇予定があり 『穴・極選ブラック』買えるかな?

優勝戦は真っ赤な勝負服が突き抜ける!

投稿者: 濱野谷憲吾 (2009/07/26 11:34:30)
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