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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――歩様

   ピットに帰還→エンジン吊り→控室へ向かい着替え、というのがレース後の一連の流れ。だが、そのまま控室に閉じこもっているわけではない。モーターにはペラがついたままだし、作業を行なわないつもりならモーターを格納しなければいけないし、2回乗りの選手や試運転に出る選手は準備がある。というわけで、着替えを終えた選手はほぼ確実にふたたび装着場に姿をあらわすわけだが、控室に消えてからの所要時間は約20分というところだろうか。
 控室は当然、我々は立ち入ることができないから、そこで何をしているのかは知らない。この時期は汗だくで引き上げてくるのだから、服を着替えるくらいはしているだろうし、一息ついて休憩をとっていたりもするのだろうが、詳しくは知る由もない。だが、不思議なもので、この所要時間はどんな選手もほぼ変わらない。ということはつまり、ある時間帯には前のレースを走ったメンバーが装着場に集結するわけである。
2009_0720_0255  たとえば2R直前。1Rを戦った仲口博崇が装着場にあらわれて、7Rに向けてペラを外し始める。その横には松本勝也もやって来て、モーターを点検している。その後ろから森永淳が登場、報道陣に取材を受けている。2009_0720_0689 ほぼ同じタイミングで整備室から吉村正明が出てきて、小走りでペラ室へと向かっていった。勝利選手インタビューに出演したはずの横西奏恵も同じ頃に装着場に登場、明るい表情でモーターからペラを外した。申し合わせたわけもないのに、そこに顔を並べるライバルたち。ピットではいつも見ている光景なのに改めて、ふ~~~~んと感心したのであった。
2009_0720_0989  もちろん、例外もある。高沖健太があらわれたのは、3R直前。ちょっと長い休憩でもしていたのだろうか。2Rには同県同地区が出走していなかったから、エンジン吊りに出てくる必要もないし、少しのんびりしていたのだろうか。その割には、小走りで装着場にあらわれて、小走りで出走待機室付近に置いてあった工具を取りにいった。まあともかく、控室の様子を我々は何にも知る由はない。

2009_0720_0221 横西と目が合い、にっこりと微笑んでくれたことにポーッとなっていると、目の前をえらく深刻な表情の平田忠則が通り過ぎた。平田といえば、すれ違ったり目が合ったりすれば、たいていひまわりのような笑顔を向けてくれるのだが、今日の平田はうつむき加減で眉間にシワを寄せながら、思索の森に迷い込んだかのように深く考え込んで、こちらには気づきもしない様子であった。
 歩様も、異常といえば異常であった。スピードがものすごく遅いのだ。さすがに亀よりは速いが、ウサギには10艇身ほど差をつけられるくらいの遅さ。かえってわかりにくい喩えになってしまったが、ようするにピットではまず見かけないほどに、ゆっくりゆっくりと歩いていたのである。
 で、平田がどこに向かったかというと、試運転係留所。奥のほうに係留してあった自艇まで、たっぷりと時間を費やして歩いていったのだった。
2009_0720_0078 これと対照的だったのは、2R終了後の金子龍介だ。5着大敗に、ボートリフト内ですでに憮然たる表情を見せており、装着場に上がってからもなお、不機嫌な様子を隠さなかったキンリュー。エンジン吊りが終わると、周囲に礼を言ってから、さっさと控室へと歩いて行ってしまったのだ。ややガニ股気味の、不機嫌さ満載の歩様で歩きだしたキンリューは、もうその場にいることすら腹が立つといった感じで、えらい早足。だいたい人間というのはイライラしているとこうなるもので、キンリューの仕草は実に人間臭いものであった。もし平田と並んで歩いていたら、瞬く間にぶっちぎっていたことだろう。

 そんなこんなの初日前半のピット。気温29℃、湿度85%、気圧998hPa。相変わらず蒸し暑い空気のなか、海王バトルがスタートした!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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