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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

今日のベストパフォーマンス 4日目

 今日はふたつのレースのガチンコ対決をベスパフォとしよう。まずは……

熱血・ガチンコ1着勝負駆けバトル!
7R 中島孝平VS篠崎元志

2009_0828_0681  もっとも残酷な状況……7Rの①中島と⑥篠崎はともに1着勝負駆け。まあ、例えるならふたりが海で遭難し、ひとりだけの体重に耐えられる木片が浮いている、みたいな。力ずくで奪った一人だけが助かり、ふたりが木片から手を離さなければ共倒れになる、みたいな。よほどボーダーが下がらない限り、中島と篠崎の共存共栄はありえなかった。
 まず、スリットから力ずくで“木片”を奪いに行ったのは、距離的に不利な篠崎だった。6コースからコンマ02の快ショット。軽々と内の守田俊介を叩き、4カドから伸び返した池田浩二(←やはり行き足が強烈)に艇を預け、その進退を催促した。たまらず池田が握る。内がドミノ倒し状に流れる。こうして内4艇を混乱させてから、篠崎は颯爽と差しハンドルを入れた。スリットから1マークまで、立派に仕事をやり遂げた。あとは、その差しが届くかどうか。人事を尽くして天命待ちの6コース差し。
2009_0828_0353  バック直線、篠崎が最内を真っ直ぐに走る。そのはるか外、混乱をいち早く回避して先マイを打った中島がぐんぐん伸びた。内外、大きく離れての1着生き残り競走。木片を奪い合う残酷な状況は続く。一瞬だけ篠崎が優勢にも思えた。が、1マークをほぼ全速でぶん回した中島の伸びと、5本の引き波を超えた篠崎のそれとでは雲泥の差があった。1艇身、2艇身……バック半ばで中島は艇を内に寄せ、篠崎のはるか前を遮るほどの余裕を見せて、過酷な直接対決は終わった。1着・中島////2着・篠崎。
 それにしても、2度目のSG参戦で篠崎元志はその非凡な才能と存在感を多くのファンに植えつけたな。ボー誌のインタビューで「たとえSGでも準優入りがノルマ」みたいなことを豪語していたが、今日のレースをみればそれが大風呂敷ではないことは明白だ。コンマ02のトップS、絞りマクリ、池田先輩に「内まで潰してくださいよ」と“仕事”を強要してからの機敏なマクリ差し……そのすべての動きが大胆不敵だった。全国スターはじめ新鋭の中から大器が続々と名乗りを挙げているが、GIを制した峰竜太とこの篠崎元志がアタマひとつ抜け出した。そう実感させる、素晴らしい勝負駆けだった。

 そしてもうひとつは、ちょっとオカルトっぽい話なので、ひとりで読むのはやめたほうがいいかも……(ウソ)

怪談・王者の激辛ツケマイモドキ
12R 松井繁VS山崎智也

2009_0828_0126  4カドの王者が、スリットから少し覗いた途端に内艇を絞りはじめた。私は「えっ?」と声を漏らしてしまった。10年ほど前の松井ならカドマクリはお手のものでガンガン握っていたものだが、最近は内の動きをしっかり見て的確に捌くスタイルが多い。それが王道になったのだと思っていた。が、今日の松井は委細構わず絞りはじめたのだ。インから伸び返している智也まで呑み込む勢いで!
 絞りマクリにはそれなりのリスクが伴う。内の艇にコツンと抵抗されたら、それでブン流れてたちまちゴンロクになったりする。準優1号艇にリーチがかかった松井が、なぜこんな大胆かつリスキーな戦法を選んだのか……? 11Rでタマの切れた私は、傍観しながらぼんやりそんなことを考えていた。でもって、ハッと気づいたのである。
 これは準優1号艇ではなく、明日の11Rの1号艇(つまり予選トップ)を獲るための“勝負手”なのだ、と。
 このレース、1号艇の智也が1着なら問答無用で予選トップが決定した。たとえ松井が2着でも……
智也32222・1
松井12332・2
2009_0828_0475  となって、微妙ながら着順差(2着の数)で智也に及ばないのだ。何度か書いてきたことだが、松井は予選通過ではなく初日から常に節間トップだけを狙っている。私はそう思っている。だとすれば、今日のこのレースで智也に1着だけは絶対に与えてはいけないのだ。智也が2着以下なら、松井にも逆転トップのチャンスが生まれる。
 松井は絞り続けた。私の目には、あえて智也の視野に入りやすいように、派手に動いているように見えた。「智也、お前までツケマイしたるで!」みたいな。智也は握った。元々が握って回るタイプだが、松井のマクリを警戒しているのは明らかだった。それを確認してから、松井は差しハンドルに切り替えた。智也が流れる。そして、強引な絞りマクリから急ハンドルを入れた松井の艇はもっと流れる。私は勝手に思った。
「松井はこうなることを予測しながら、それでも強引に攻めたのだ」と。
 その間隙を突いて2コースの魚谷智之が一気に突き抜けた。体勢を立て直した智也が続く。魚谷に差され、笠原の割り差しも喰った松井は追撃及ばず2マークで4番手に甘んじた。このまま魚谷-智也-笠原-松井の順番なら、もちろん予選トップは智也。が、ここから松井が3着になれば……
智也32222・2
松井12332・2
2009_0828_1102  同じ節間勝率でも、今度は1着のあるなしで松井が予選トップに立つ。数字のマジックだ。そしてそして、松井は2周1マークで狙いすましたような鋭角差しを決めて大逆転の3着をもぎ取ってしまったのだ!! あれは実になんとも、2マークからこうなることがわかっていたような決め差しだったぞ。(あ、書きながらもうひとつ今節の松井に関するオカルトっぽいエピソードを思い出したのだが、もう夜も更けてきたので明日の昼に書きます)
 1着・魚谷、2着・智也、3着・松井。
 これで、予選トップは松井に決定した。松井はあと2回、インからきっちり逃げ切ればSG戴冠となる。いや、本当にこれは私の妄想なのかもしれないが、松井はこのシナリオを……走る前から完璧に作っていたのではないだろうか。
(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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コメント

SGはあまり勝負していませんが、このコーナーは楽しみにみさせていただいてます。

わたしも妄想かもしれませんが、王者がインを絞っていく時、王者の大きさを感じました。

レースをコントロールするのではなく、シリーズをすでにコントロールしているかもと・・

投稿者: ふぐひかる (2009/08/29 11:01:08)
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