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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――静かすぎる準優

2009_0828_0365 「暑そうやねえ~~~」
 ボートを押しながら、三嶌誠司が声をかけてくる。一瞬、暑苦しそう、の間違いかと思ったが、たしかに今日は暑い。こちらはマスク着用だから、三嶌からはなおさらそう見えるのだろう。ピット内の温度計を確認すると、32℃。この陽気のなか、マスクしてるデヴを見て、三嶌は気の毒がってくれたのだろう。
 でも三嶌さん、そういうアナタも汗だくじゃないっすか!
 我々はまだ突っ立っているだけだが、選手は作業をしながらあちこち飛び回る。三嶌も同様。髪の毛まで汗に濡れた姿は、これまで懸命な作業を続けてきたことの証だ。
 今日は午後1時30分頃からちびっこ広場で「レッドヒーローショー」がイベントで開催されており、記者席の非常階段からよく見えるので、タバコをふかしながら眺めていた。炎天下、着ぐるみで派手なアクションを繰り広げる演者さんたち。「熱中症になりゃせんだろうか」と、心配しつつ楽しんでいたのだが……。
 ケブラーに乗艇着、カッパにカポック、グローブをはめて、最後はヘルメット。選手のいでたちは着ぐるみと何ら変わりはない。どう考えたって、三嶌さんに同情してもらう資格などこちらにはない。
2009_0827_0097  陽光を浴びながらモーター装着をしていた篠崎元志が、大急ぎでカポックを着け、ヘルメットをかぶってボートをリフトに押していったのを見て、一息ついたらちゃんと水分取るんやで~、と余計なことを考えていたのだった。

 そうした気候だからなのかどうか。準優組18名の動き出しは決して早くなかった。3Rまでに、着水している選手はゼロ。少なくとも1~2艇は試運転係留所に準優組のボートを見るのが普通なのに、今日は一般戦組のものしか見当たらない。朝特訓には何人かの選手が出ていたが、そのあとはボートを引き上げて、静かな時間を過ごしているようであった。
2009_0828_0260   18名が何をしていたかをつらつら記していくと、結局は羅列に終わってしまうので、ここではあえて正真正銘の羅列をしてしまう。
ペラ……笠原亮(9R) 松本勝也 田村隆信 飯山泰(10R)濱野谷憲吾 重成一人 坪井康晴 川上剛(11R) 
本体整備……赤岩善生 魚谷智之(10R)
モーター装着……山本浩次 瓜生正義 池田浩二(9R) 松井繁 白井英治(11R)
不明……菊地孝平 中島孝平(9R) 山崎智也(10R)
2009_0828_0651  おそらく、真っ先に動き出すはずなのはモーター装着組。着水の準備とも言えるからだ。このなかで印象的だったのは、なんと言っても、松井繁である。瓜生正義と談笑したり、森高一真とじゃれ合ったり、ピリピリとした空気を少しも発散していないのだ。驚いたのは2Rのエンジン吊りだ。ちょうど装着の真っ最中に行なわれた2R、近畿地区の選手は一人も出走していない。にもかかわらず、松井はこのエンジン吊りに加わって、もっとも手薄だった平山智加をヘルプしたのである。新人が地区に関係なく毎Rエンジン吊りを手伝う光景はごくごく普通のことだが、王者が他地区についているのは初めて見た。極近の場所でエンジン吊りが始まったのは確かでも、王者が自艇から動かなくなって、それが当たり前だと誰もが思うはずである。いくら準優までには時間があるといっても、これまで見たことのない動きと雰囲気を松井は見せているのだ。それをどう捉えていいのかは、さっぱりわからなかった。
2009_0828_1029  不明というのは、作業をしている姿を見ていないというほどの意味である。山崎智也も菊地孝平も、エンジン吊りには控室のほうから現われて、終われば控室のほうに戻っていったので、まだ始動していないと考えていいのだろう。菊地が今日も思索のジャングルで散歩しているような表情だったのがやっぱり印象的で、一方、山崎智也は非常にスッキリした表情で今日を迎えているようだった。
2009_0828_0350  唯一、姿を一度も見かけていないのが中島孝平だ。3R出走の直前に帰ってきてしまったので、そのエンジン吊りまで残っていれば見られたはずだが(石田政吾が出走していた)、それまでは装着場ではついに顔を見られなかったのだから、どこで何をしていたのか気になった。よく見れば、ボートは装着場のいちばん端っこから2番目に(いちばん端っこは笠原亮)。3Rのエンジン吊りの後に、そこに歩を進める中島がいたのであろう、と想像するのだが……。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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