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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――新兵たちの夕暮れ

2009_1221_0504_2  昨日のこと。12Rの1~2着選手共同記者会見を終えて、記者席に戻ろうとしたところで、今井貴士と顔を合わせた。新兵として、すでに薄暗くなっているピット内を駆け回っているところで、お互い「お疲れ様でした」と声を掛け合っている。そのとき、ふと気づいた。ピンピンと絶好の発進を決めながら、昨日の大敗で勝負駆けは厳しい条件を強いられることになりそうだった今井。その激励をせねば、と思ったのだ。
 今井は少しだけ顔をしかめた。気持ちはわかる。その後の戦いに胸を躍らせていたはずの初日、しかし3日目には一転、不安が襲ってもいただろう。でも、その試練を乗り越えれば、必ず自信になるはず! そう言うと今井は人懐こい笑顔を見せて、「そうですよね。頑張ります!」と若者らしく前を向いたものだった。
 7R、1着で予選突破! おめでとう! 準優進出だ!
 やはり今日も雑用に飛び回る今井は、12R前にぼけーっとレースを待っているこちらに「やりました! ありがとうございます!」と最高の笑顔を見せてくれた。
 う~ん、若いって、いいっすね!
 今日の戦いがすでに彼の糧となったかのように、昨日とは正反対の活き活きとした表情を見せた今井。彼らはこうして、日一日と強くなっていくのだろう。準優の敵は、相当に強いが、結果など関係のない、思い切った戦いを見せてほしい。

2009_1221_0425 もう一人の新兵は、新田雄史である。やはり12R前、新田はマグネットのついた棒状の道具を2本もって、ピット内の鉄屑を拾い集めていた。ペラをつけたり外したりするときに、小さな鉄屑が出やすいので、夕方になると若手がこの作業をする姿は、よく見かけるものである。
 そのとき、試運転ピットにはまだ1艇のボートが係留されていた。言うまでもなく、木村光宏である。木村の隣の係留所までやって来た新田に、木村は優しく声をかけた。しばらく、二人の会話が続き、そして途切れる。そのとき、新田は木村の姿勢に感心する旨を伝えている。
「いやいやいや、友達がおらんから、試運転するしかないんや」
2009_1217_0579  木村は照れたようにそう言った。いやいやいや、たしかに異端児と言われる木村だけど、香川勢はいつもあなたのそばにいるし、今日は田村隆信だって一緒に作業をしていたではないか。そういや、11R前には田中信一郎とも足合わせをしていたぞ。田中にとって、まだ試運転をしていた木村は心強い存在だったに違いない。
 そうした木村の言葉や態度を、新田はどのように受け止めただろうか。SGという舞台に来れば、こうした先輩と間近でふれあうことができる。そして新田は、さらに強くなっていくのだろう。そうそう、準優進出おめでとう。今井と同レースですね。二人揃って、先輩に一泡吹かせてしまえ!
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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