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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――トライアルがなんぼのもんじゃい

 予選3日目、なのである。人々が「トライアル開幕!」などと浮かれていようと、こちらは準優への大きなポイントとなる一日なのだ。
2009_1218_0668  朝のピットに入ると、回転調整のモーター音が響き、選手たちが激しく装着場を往来する。もちろん、ざわめきを作っているのはシリーズ組だ。1Rを走った山下和彦が、レースを終えるとすぐさま次のレースの用意に走る。中3レースで5Rに登場するから、時間は限られている。ガッシリ体型の山下が力強い踏み込みで早歩きをしている姿は重戦車のごとし。次なる戦いのために背筋をピンと伸ばして準備に向かう山下には、もちろんトライアルうんぬんなんてことは関係ない。
2009_1219_0792  3R前のこと、笠原亮がすれ違いざまに顔をしかめる。「回らない~~(泣)」。うわっ、泣きが入った。その数分後、整備室前に笠原の姿が。ギアケースを外して、整備室の中に駆け込む。笠原の調整パターンといえば、8~9割方はプロペラを合わせていくもの。つまりおおむね、ペラ室で姿を見かける。ギアケースとはいえ、モーター整備に走る姿なんて、見たことあっただろうか……。いや、ちょっと待て。笠原の出走は5Rではないか。もう時間がないぞ~~~。それほどまでに、笠原は苦しんでいる。そして、自身の戦いをまったく諦めていない。やはりトライアルうんぬんなんてことは関係ないのだ。

2009_1219_0933  それにしても、大嶋一也は素晴らしい。2Rでは、チャレンジカップ優勝戦を彷彿とさせる2号艇からのイン取りで、2着に敗れはしたものの、果敢な先マイを見せている。ほんとにもう、大嶋の出るレースが待ち遠しいくらいだ。
 レース後の大嶋は、粛々。ひたすら粛々。敗れた悔いも、インを奪った充実感も、すべて腹の底に飲み込んで、きっと前を見据えるのみであった。くぅ~、ダンディ! カッコいい! 
2009_1218_0573   インを獲られてしまった安田政彦も、粛々。というか、この人の飄々とした風情は、本当に味があるのだ。1コースを譲ったことも、大敗を喫してしまったことも、悔しくないはずがないのに、表情は変わらない。3Rが終わった直後だったか、朝の挨拶をすると、やはり飄々として頭を深々と下げてくれた。こんなときでも、表情は変わらない。大嶋と同様、こうしたタイプがいてくれることも、なんだか嬉しいことなのである。

 今日も今日とて風が冷たい朝のピット。少なくともこの時点では、決定戦組よりシリーズ組のほうが熱い!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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