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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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賞金王シリーズ優勝戦 私的回顧

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2009_1223_r10_0933  進入当たった人、拍手っ! パチパチパチ!
 ある意味、2009年の競艇でもっとも戦前の予想が楽しかったレース。井口と大嶋はどこまで深くなるんだ? 今節はダッシュ戦も多用していた西島はどうする? 藤丸も外枠のときは動くケースが多いけど? 辻や湯川は外に出されちゃってもいいの? さあ、どうするどうする?
 ……まあ、終わってみれば、わりと穏やかな進入であった。コースを動くタイプが複数いるような混戦レースでは、えてして本番は折り合いぎみになるもの。スタート展示がなければ……などと思ったりもするが、まあ、それは別の話。いや、しかし実際、井口と大嶋はスタ展のほうが深い起こしになっていたし、そこでの手応えをふまえれば、本番の戦略もまた変わってくる。これほどまでに進入談義が沸騰したことを考えれば、やっぱり……というのは別の話ですね、はい。
2009_1223_r10_0938  で、実際の進入がどうなったかというと、想定通りに大嶋一也が動き、西島義則がこれをマークし(笑)、もちろん井口佳典はインを譲らず、辻栄蔵は「一本筋が通ったお年を召した方」を尊重する。「差します」の藤丸光一は、どうやら行きアシ軽快な湯川浩司のマクリに乗って差そうという戦略か。そして「もうわかりません」の湯川はモーター性質を考えればおあつらえ向きの5コースカドをゲット。井口、大嶋、西島の競り合いは早目に折り合いがついて、井口が一瞬エンストしたこともあって、1~2コースは100mポールより手前からの起こしとなっている。ちなみに、並びこそ同じだが、スタート展示ではオールスローとなっていた。

2009_1223_r10_0970  とまあ、スリット前について書けば、すべてを語ったような気分になってしまったりもするわけだが、スリット後について言えば、とにかく井口佳典が強かった、という一言に尽きる。
「1000%という数字が競艇にあることを証明してやろうと思いました」
 表彰式で、井口はそう言っている。はからずも舌戦模様となった優出者インタビュー。大嶋が来ようと西島が来ようとインを手放さないという決意の表現であった「1000%」という井口の言葉に、大嶋が「勘違いしている選手がいる」と噛みついた。それがまた、井口の負けん気に火をつけた。
 コンマ07のぶち込みトップスタート。2コースの大嶋はもちろん、その外の4艇にも何もさせないパーフェクトな先マイ。旋回した瞬間に後続をぶっちぎる圧勝劇。そりゃあ、やっぱり勝負事には何が起こるかわからないものだけど、そこから先の井口はまさしく1000%勝利を確実なものにしていた。
 これぞ強い逃げ切り勝ち。「圧逃」とでも表現すべきレースは、実はその時点で語る言葉を必要としなくなってしまう。
2009_1223_r10_0984  あえて書くなら2番手争いが熾烈になったことだろうか。1Mを差した大嶋、豪快にマクった西島、マクリ差した辻が、くんずほぐれつの激戦となった。ターン出口では分が悪かった西島が抜群の伸びで先を行く大嶋を追い詰め、その競り合いを尻目に2Mで辻が内から先マイ。今度は大嶋と辻が接戦となり、2周1Mは内から西島が先マイ敢行。これを大嶋が差す……戦況を説明すればそういうことになるが、なかなか見応えのある絡みだったと思う。特に、予想では1-34-全とか書いたくせに舟券は1-34-345と絞って買っていたスケベな“本紙”担当は、にしじまぁ~とかわめいていたものだった。
 だが、ふと前方に目をやれば、1000%の証明を果たさんとした男が、雨の水面をぐいぐいと推進している。その迫力の前には、優勝戦の2番手争いはやはりかすんでしまう。
2009_1223_r10_1005  名だたるイン屋たちを敵に回し、がっちりとインを死守して、トップSから問答無用の逃げを放ってぶっちぎる。
 これぞ、ホンモノの逃げ切り勝ち。そして、ホンモノの名勝負!
 井口は1000%という数字を証明することで、そこにホンモノが宿っているということを見せつけてくれた。
 井口佳典は、1000%強かった!
 そして2009年賞金王シリーズ優勝戦は、1000%面白かった!
 ……ということで、情けない“本紙担当”は、最後に1-4-2を的中させた人に大拍手を送る次第である。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/K)


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