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ボートレース特集 > 2009オーシャンカップ
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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オーシャン準優 私的回顧

連覇への序章

9R
①毒島 誠(群馬) 19
②湯川浩司(大阪) 17
③濱野谷憲吾(東京)23
④今村 豊(山口) 18
⑤新田雄史(三重) 18
⑥池田浩二(愛知) 17

2010_0718_r09_1055  湯川の自作自演のワンマン劇だった。第一幕は「やんちゃツケマイ編」。2コースの湯川はよくまくる。それは熟知していたが、2着OKの準優での2コースまくりはかなりリスキーだ。インとの無理心中になる危険があるから。スリットほぼ同体の隊形を見て、「湯川は差しか、だったら毒島も残せる」と思った。が、自慢の行き足をフル稼働して半艇身ほど覗いた湯川は、迷うことなく毒島を絞りはじめた。
「ヒィィィ、アンタって人は、やっぱ行くのかーーーっ!?」

2010_0718_r09_1061  必死に抵抗する毒島。が、勢いと足色が違いすぎる。ズルリと湯川の内から零れ落ち、新鋭王のSG初挑戦初Vの夢は終わった。相手が悪かったよ、毒島クン! ピンロク勝負の優勝戦ならともかく、準優で2コースからあんなにゴリゴリ攻める人はそうはいないんだから。
 で、この2コース強ツケマイ&インの悲壮な抵抗を見て、3コースの濱野谷は内心ニンマリしたはずだ。「ごっつあんですっ!!」という風情で得意の鋭角俊敏ハンドルを突き刺した。湯川は横に、憲吾は縦に走っているのだから勢いが違う。一瞬で先頭に立った。このまま独走するかに見えた。
2010_0718_r09_1076  が、ここからの主役もやはり湯川だったのだ。第二幕「超抜パワー編」。毒島を自力でやんちゃに斬り捨てた湯川は、外からぐんぐん憲吾を追い上げてゆく。2マーク、憲吾のターンにぬかりはない。的確なターンだったのに、差した湯川の舳先が近づいてゆく。2艇身、1艇身……舳先が入ったと思ったら、もう同体になっていた。総理杯優勝戦の憲吾VS岡崎によく似たパワー逆転劇だ。2周1マークを制した湯川がぐんぐん引き離し、それで大勢は決した。
 憲吾の5艇身後方では毒島と新田が競りになっていた。新鋭王座ファイナルを彷彿させる熾烈さだったが、今日は栄光とは無縁のバトルでしかない。はるか前を走る湯川の背中が「新鋭王座のバトルなんて、SGではその程度のレベルでしかないんだぜ」と嘯いているように見えた。
 監督、脚本、主演・湯川浩司。この芝居のタイトルは『連覇の夜』でどうだろう。もちろん、明日が第三幕・最終章だ。

やまとの進軍は続く

10R 進入順
①石野貴之(大阪)16
④木村光宏(香川)26
②松井 繁(大阪)25
③辻 栄蔵(広島)15
⑤高沖健太(三重)22
⑥作間 章(千葉)22

2010_0718_r10_1235  辻がまくりきるかに見えた。2コースの木村と3コースの松井ががっつり凹んでいる。「前付けした艇と前付けされたスロー艇はS勘を補正しにくい」という現象か。それとも木村には「地元SGでFは切れない」、松井には「ここで2本目のFをきったら今年の後半がなくなる」という思いが働いたか。とにかく、2、3コースの凹みは、4カドの辻にとって最高の隊形だ。一気に松井を置き去りにして絞りはじめた。私の目には勢い的に石野の舳先まで届くように見えた。その外には高沖がしっかり連動している。3-5の穴舟券を持っていた私の心はそぞろときめいた。
2010_0718_r10_1241  が、石野の伸び返しはどうだ。1マーク手前で辻とまったく同じ足色になり、それを見た辻が呆れたようにまくりから割り差しに切り替えた。この判断は正しかったと思う。あのまま辻がまくりに行ったら、2艇でどこまでもぶっ飛んでいったはずだ。石野はかなり無理な態勢から先マイしたので、まだまだ3-5の目がある。
 そのまま、2艇して突き刺されーーー!!

2010_0718_r10_1252  私の祈りは、これまた石野の凄まじいパワーの前に砕け散った。他を寄せ付けぬレース足で1艇身抜け出し、ツインカムターボのようなセカンドの足でぐんぐん引き離していく。2マークで焦点は2着争いだ。辻と高沖のくんずほぐれつの優出バトルは最終ターンマークまで続き、高沖が転覆するという壮絶な形で決着が付いた。1着・石野、2着・辻。コースの差ではなく、パワーの差がこの着順になった。初日から「辻が節イチだ」と頑固に言い張ってきた私だが、実は石野がそれ以上だということは気づいていた。そして、今日の直接対決ではっきりとその訂正を迫られたわけだ。
 やまと卒業生の進軍は続く。山口から岡崎へ、岡崎から石野へ、今年だけで3人目のSG戴冠の報が、福岡・有明の干拓地に届けられるのだろうか。

超個性派たちの饗宴

11R 進入順    
③西島義則(広島) 16
①今垣光太郎(石川)06
②萩原秀人(福井) 05
⑥服部幸男(静岡) 09
④菊地孝平(静岡) 02
⑤寺田 祥(山口) 04

2010_0718_r11_1342  このレースが進入からスタートから展開からいちばん難しい。昨夜からうんうん頭を悩ましていたのだが、やはり、とんでもないレースになった。スタート展示のインは萩原で、本番は西島。今垣は2度に渡ってインを奪われた。あえて譲ったわけではない。「光ちゃんの進入下手」は舟券オヤジの間でも常識であり、それが今日も出てしまった。「あちゃーー」という風情で2コースの構える今垣。が、そこでもう、気持ちを切り替えたのだろう。コンマ06まで踏み込んで一気に西島を叩いてしまった。何度も目の当たりにした光太郎パターン。「進入の失敗をまくりで取り返す」というのが定番の選手なんて、ちょっと他にはいないぞ。まあ、それがどうにも人間臭くていいんだけど。
2010_0718_r11_1349  が、インを奪われたツケは別の形で回ってくる。2コースのジカまくりは差しの餌食にもなりやすい。9Rの湯川も濱野谷の一撃差しを浴びた。同じように3コースの萩原が勇躍、鋭角の差しハンドルを入れた。バック中間で今垣を2艇身突き放す。9Rでは突き抜けた濱野谷が湯川に逆転されたが、萩原は違った。むしろターンごとに今垣をどんどん置き去りにしていく。

2010_0718_r11_1365 濱野谷とは、回ってすぐのレース足が違いすぎるのだ。石野の足が全部Sランクだとするなら、萩原の足は回り足レース足がSSで行き足・伸びがAという感じか。総合力では甲乙をつけるのが難しいトップ足だ。萩原はこの素晴らしい回り足を武器にSG準優の常連になり、今やSG優勝戦の常連になろうとしている。超個性的なパワーが萩原に自信を与え、その自信が萩原という人間をどんどん強くしている。そんな気がする。ハートとパワー、頂点に立つべき要素は揃った。

2010_0718_r11_1393  エース39号機でシリーズを盛り上げてきた寺田は、3度目のアウト大まくりを決めることができなかった。阻んだのは、菊地のコンマ02デジタルスタートか。寺田も04まで踏み込んではいるが、調整ミスかアジャストしたのか。昨日までのスリットからの破壊力はなかった。
 西島のイン強奪、今垣ならではの「コース獲られリベンジまくり戦法」、SG準優をモノともしない菊地のコンマ02韋駄天S、そして内々をくるくる回って突き抜ける萩原のちょっとクラシックなレースぶり……超個性派レーサーたちの魅力がこれだけてんこ盛りになるのも珍しく、なかなかに素敵なレースだったな。予想は本当に難しいけれど。(photos/中尾茂幸、text/H)


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次回は……3日後!?

2009_0726_r12_0712 菊地孝平、おめでとう! 2度目のSG制覇で幕を閉じた若松オーシャンカップ。大雨に見舞われる大変な一節でありましたが、選手の皆さん、関係者の皆さん、そしてファンの皆さん、本当にお疲れ様でした!

今節もご覧いただきまして、まことにありがとうございました。取材班一同、心から感謝しております。そして次回は、というと……なんと3日後! そうなのです、3日後なんですよ、これが。浜名湖競艇場行なわれるGⅠダイヤモンドカップに、参戦しちゃうのであります。浜名湖GⅠ参戦はすっかり恒例となっておりますが、中2日の強行日程にも負けず、頑張りますのでこちらもどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、間もなく日付も変わりますが、取材班も管理解除です。今節も本当にありがとうございました。3日後、浜名湖でお会いしましょう!(PHOTO/中尾茂幸)


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優勝戦 私的回顧

強心

2009_0726_r12_0835 12R 優勝戦
①菊地孝平
②徳増秀樹
③濱野谷憲吾
④田中信一郎
⑤西島義則
⑥湯川浩司

進入152/346

 120m起こしでインからコンマ06トップS、他艇はほぼ横一線。この条件が揃って、菊地が他の追随を許すはずがなかった。1マークをしっかり、ほどよく回る。憎らしいほど落ち着いていた。差した西島も、ぶん回した徳増も、2番差しの濱野谷も届かない。バックの半ばで第14代の“海王”が決まった。
 菊地にとってもっとも怖い敵は、「西島の前付け」だった。前哨戦はすでに済ませている。昨日の11R、西島の激辛な前付けに抵抗し、菊地は90mほどの深い起こしからコンマ06!のトップSで完璧に逃げきってみせた。が、それで決着が付いたわけではない。百戦錬磨のイン屋が同じ戦法でくるのか。案の定、西島はスタート展示で昨日よりもさらに厳しくコースを攻めた。菊地は譲らない。80mあたりの起こし。これが本番だったら、菊地にとっては実に寒いイン戦になることだろう。
2009_0726_r12_0808  が、いざ本番で、西島はコース攻めを緩めた。向こう流しで折り合った。これは昨夜から菊地が激しく抵抗し続けた賜物だ。「どんなに深くなってもインは絶対に譲りませんよ」という意思表示を、西島が合点した。西島とて70m起こしで菊地と心中するのは避けたい。菊地が絶対に引かないと合点した以上、無理に攻めるのは自分の首をも絞めることになる。それが実戦心理だ。120m起こしは、決死の覚悟を決めていた菊地へのご褒美だった。シリーズを通じて際立っていた菊地の精神力が、最後の難関をも突き破ったといえるだろう。
2009_0726_r12_0853  豪雨シリーズ。県内で避難勧告が続出し、浸水で記者たちの車が6台も廃車になったシリーズ。開催中止順延まで囁かれた劣悪環境の中、菊地は全8走をコンマ03~14、平均コンマ09でスリットを走り抜けた。「素晴らしいS勘」で片付けるのは簡単だが、このシリーズの環境を考えればS勘よりも心の強さを評価すべきだろう。勝率34%の凡機、土砂降り、突風、西島の前付け、90m起こし、SG優勝戦1号艇……それらの逆境や圧力を、菊地はひとつひとつ自力で克服していった。今節の菊地から感じたこと。それは速さや巧さとはちょっと別次元の「強さ」だった。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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THEピット――爽

2009_0726_0504  11R前、優勝戦の選手たちがボートを展示ピットに移動させるなか、湯川浩司だけは試運転係留所で何か作業をしていた。長嶺豊さんがじっと見つめており、隣で一緒に様子を見守る。
「ゼロゴーにしますわ。イチゴーでも伸びない。伸びないイチゴーはただの舟やから」
 一日、チルト1・5度の調整を続けたが、思うように伸びは来なかった。だから、0・5度に下げる、という。
 ものすごい勇気だと思った。
 チルトを下げる作業をしても、もう試運転はできない。そのまま展示ピットに移動しなければならないのだ。その段階になって、ここまで積み上げてきたものを捨てようとしている。生半可な覚悟ではできることではない。
「クロちゃん、寂しそうな顔したって、しゃーないで」
 突然、言葉が僕に向けられた。まあ、あちこちで跳ねチルトを煽りに煽っている我々だから(湯川にもそのテーマをぶつけたことがある)、湯川からは「えーっ、下げんのぉ?」てな顔をしていたように見えたのだろう。だが、その実、僕は湯川の勇気に感動していたのだ。
「クロちゃんのお腹があれば、大丈夫や」
 長嶺さんが僕の出っ腹をぽんぽんと叩きながら言う。
「クロちゃんのお腹がチルト1・5度や」
「いやいや、1・5度じゃきかない。チルト3度や」
 優勝戦の直前、そんな会話をして大笑いできたことを、本当に幸せだと思う。

 展示が終わって、ベスト6が出走待機室に戻ってくる。いったんカポックを脱いで、整備用工具を整備室のほうへ移動する選手たち。
 湯川がおどけながら言う。「ゼロゴーで感じええわ。出足がまるっきり違う」。そりゃそうやろ!と突っ込むところなのだろう。湯川はおかしそうに笑って、そのまま控室へ向かった。
2009_0726_0497  田中信一郎も、待機室を出たときにはとびきりの笑顔を見せていた。戦前、肩に力が入ることはない、と言っていた信一郎、たしかに優勝戦を目前にしてもリラックスした雰囲気である。
 緊張が心配された徳増秀樹も、その時点では涼しい表情をしていた。汗をふいたタオルを頭に置いたまま、すなわち「いい湯だなスタイル」でとことこと歩を進める。平常心かどうかはともかく、腕が動かなくなるようなカタさはいっさい感じない。ただ、チャーリー池上カメラマンがレンズを向けると、ちょっとだけ意識したような表情となった。こんなタイミングで写真を撮られるのは少し意外だったのか。だが、これがSG優勝戦である。
2009_0726_0530  時間は前後するが、控室にいったん戻っていた選手たちが待機室に向かうとき、たまたま菊地孝平と西島義則が、まったく違う方向から歩いて来て、待機室手前で一緒になった。
「もうちょっと速いと思っとったけどのぉ」
 西島が、おそらくは展示でのスタートタイミングについて、勘よりやや遅かったらしいことを菊地に話しかけた。
「いや、僕はちょうどいいと思いましたよ」
「ほぉーかぁー」
「あー……、でもちょっと速いと思ったかなぁ?」
 本番でも確実にコースを獲り合う両者が、こうして情報交換をしている。……いや、ちょっと待て。もしかしたら、これは駆け引きか? 西島は百戦錬磨だし、菊地はなんだかんだで言い直しているし。だとするなら、二人の会話は相当に深い。見た目には、爽やかに会話を交わす二人からは、水面下の蹴飛ばし合いなど想像もつかない。だが、選手たちは我々が考えるよりずっと奥深いところで戦っているのかもしれない……いろいろ考えているうちに混乱してきたので、とにかく素敵な場面に遭遇した、と思いこむことにした。
2009_0726_0060  そうしたなか、一人だけただならぬ雰囲気を感じさせたのは、濱野谷憲吾だった。目つきがキツい。唇がキュッと横一文字に締まっている。ときおり尖ったりもする。歩くスピードが速い。視線をいっさい下に向けない。優勝戦直前、こちらから声をかけようと思える選手などほとんどいないけれども、濱野谷の醸し出す空気には近寄ることさえ許さないトゲトゲしさがあった。濱野谷のなかで何かが変わってきているのではないか、そう思った。

 レースは菊地孝平の圧勝である。インからコンマ06のスタートを決め、余裕をもって先マイを放った。他の5選手はなすすべがなかった。だからだろう、レース後、敗れた選手からも爽やかさが立ち上っていた。
 田中信一郎は、展示後と同じようににこやかに笑っていた。もちろん、そこには敗戦への苦笑も含まれている。「スタート行き切れんやった~」と松井繁らに笑いかけたのは、もちろん悔恨を表現したものだった。それでも、田中からは充実感が伝わってきたような気もした。シンガリ負けではあるけれども、何らかの手応えをつかんだのかもしれない。
 湯川浩司も同じように笑っていた。その笑い方、悔しがり方が田中のそれとあまりに似ていて、同門は仕草までも受け継ぐのか、なんてことを考えたりもした。もちろんそんなわけはないのだが、湯川にも充実感はあったのだと思う。レース直前のあの勇気、あれがあっただけでも、結果は不問にしていいと確信している。
2009_0726_0378  徳増秀樹からは、ちょっとだけ疲労感が伝わって来た。ピットに上がって来て、首をかしげたのは僕が見た範囲では徳増のみ。初めてのSG優勝戦、どこかに消化不良なものが残ってしまったのかもしれない。それでも、服部幸男らに声をかけられて、徳増は目元に微笑を浮かべていた。そのときに実感があったとは思わないが、徳増の中にひとつの経験としてスキルが積み上がったのは間違いない。
 そうしたなか、やはりただ一人、笑顔がなかったのが濱野谷憲吾だ。リフトに収まったとき、出迎えた関東勢に何事か語りかけ、飯山泰や中野次郎が爆笑していたりもしたのだけれど(何を言ったかは聞こえなかったが、「また2着だよ~」の類だと勝手に想像する)、濱野谷自身はピットに上がってきてからは、まったく笑っていなかった。わかりやすい態度としては見せていないが、全体の雰囲気として悔恨に苛まれているという感じか。やはり濱野谷は変わった、と思わざるをえない。関係ないけど、モーター返納を同期の白水勝也が手伝っていたのには、小さく感動した。

2009_0726_0427  菊地孝平は、ただただ充実感のある笑顔を振りまいていた。そりゃそうだろう。完璧な優勝である。押さえようとしたって、押さえることのできない笑顔が沸き上がってきて当然。ただでさえ爽快感ただようピットは、菊地のウィニングランからの帰還でさらに爽快度が増した。
 菊地は、ピットに上がるとすぐさまライバルたちにお礼を言って回っている。湯川が、田中が、笑顔で祝福の言葉をかける。進入を争った西島も、おめでとうと言って笑った。徳増は待ちに待ったという感じで菊地に駆け寄り、ガッチリと握手を交わしていた。濱野谷も、目だけで笑って、祝福していた。
_u4w0424  菊地の背筋がピンと伸びる。松井繁が駆け寄って、菊地を称えたのだ。王者の言葉は、やはり重いのだろう。服部の後輩であるということも意味をもっているのだろう、松井は心から菊地に拍手を送っていた。もう一人、服部の前でも菊地の背筋は伸びた。同県の先輩が、腹の底から嬉しそうに笑っているのだ。その笑顔は、最高のご褒美のひとつだったと思う。心なしか、菊地の表情が湿っぽくなったように思えた。
 その後、菊地は地上波テレビのインタビューを受ける。それが終われば、表彰式に向かわねばならない。だが、もう一人、どうしても菊地に祝福の言葉をかけなければならない男がいた。それまでにも軽い言葉は交わしていたが、もっともっと濃厚に喜びを分かち合わねばならない男。インタビューと表彰式のわずかな合間を狙っていたかのように、その男は菊地に駆け寄っていった。
_u4w0307  坪井康晴の顔を見た菊地は、それまでの凛とした表情を一気に崩した。まるで、そのときにようやく、心からの歓喜がわき出てきたかのようだった。坪井も、目をきゅんと細めて、菊地との距離を詰めていく。菊地は、矢も楯もたまらず、坪井の体に自らの体を預けた。坪井が菊地を受け止め、二人は腕を回しあった。固い固い抱擁。静岡82期三羽烏が、いま羽を交える。「やった、やったよ!」。菊地の口から、ようやく喜びがこぼれ落ちた。

 最後に、書いておきたいことがある。モーター返納を済ませた西島義則が、装着場にある水道で手を洗おうと蛇口をひねると、そこに服部幸男があらわれた。服部も手を洗おうと蛇口をひねる。
「お疲れ様でした」
 最初に口を開いたのは服部だった。服部の目には、偉大なる先輩への敬意が確実にあった。
 西島は苦笑しながら、少しネガティブな言葉をこぼした。すべてをハッキリは聞き取れなかったが、わかった範囲で言うなら、もう若いモンには勝てないな的な、あるいはコース獲るだけじゃウンヌン的な、そんな言葉だった。
2009_0726_0284 瞳には笑顔をたたえたまま、服部の頬が締まった。そして、キッパリと言った。
「いや、凄いですよ。本当にいいレースだったと思います。西島さんは本当に凄いですよ」
 西島の目が細くなったのは、もしかしたら照れ笑いだったか。だが、服部は衒うことなく、先輩への敬意を表した。それは、彼らにしかわからない、濃厚な会話だったと思う。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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“本紙予想”オーシャンカップ優勝戦

12R 優勝戦

西島の前付けが当然怖いが、菊地がインをがっちりキープ。鋭発決めて、全速逃げ。後続をぶっちぎる。西島に差して残せるアシ。ツキある湯川が怖い。穴なら快パワー徳増の大金星も、ここは切り捨てる。

◎菊地 ○西島 ▲湯川

3連単1-56-全

今節もお付き合いいただき、ありがとうございました! 皆様の的中をお祈り申し上げます。


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H記者の「まさか、K記者&しげ爺さんと一緒!?」予想

 さあ行こう、優勝戦!

12R 優勝戦
①菊地孝平 S↑
②徳増秀樹 S→
③濱野谷憲吾B→
④田中信一郎C→
⑤西島義則 B→
⑥湯川浩司 B→

進入152/346

 昼特訓から際立っていたのが菊地の足。特にバック中央付近からの行き足が素晴らしく、信一郎を2艇身ほど千切り捨ててましたね。パワー、S勘、気合、リズム、コース、もはやすべてが盤石で、怖いのはやはり進入のみ。西島の攻めでどこまで起こしが深くなるのか。まあ、昨日は95mくらいの深インでもバッチリSを決めたのだから、よほどの大競りにでもならない限りはドカ遅れも考えにくいっすね。逃げきりです。相手本線は西島で、昨晩11Rの再現に期待します。
 いちばん不気味なのは湯川。今節の強運ぶりは半端じゃないし、そのラッキーを引き付けるだけのパワーとテクも軽視できない。大逆転のVがあるとすれば、西島よりこの湯川だと思います。
 節イチパワーに指名してきた徳増は、SG優勝戦の重圧を克服できるか。今回はまだ家賃と敷居が高いとみます。信一郎はとにかく非力すぎて(回り足は○も伸びがなさすぎる!)……その分、超リラックスして乗れるという怖さもあるのですが、勝ち負けまでは苦しそう。憲吾はパワー、リズムともになんとも掴みにくい。昨日のような豪快な攻めが連続でできるかというと……どうなんでしょう? 赤いカポックが突き抜けたら、泣いて拍手を贈ります!

2連単★1-56
3連単★本線1-56-56、押さえ156BOX

 こんな感じで勝負してみます。あれあれ?? K記者の本誌予想もしげ爺さんの大本線も……? ま、いっか。ではでは、今節もヘタレ予想に付き合ってくれてありがとさんでした。あ、最後の極選も……亮ちゃん、素晴らしい足だったけど、あんな瓜逃げされちゃあ……(号泣)


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THEピット――ベスト6

_u4w0621  1R終了直後、ピットに足を踏み入れると、田中信一郎が係留所にいる姿が真っ先に目に飛び込んだ。
 えっ、もう着水?
 係留所に近づいて全体を眺め渡しても、やはり田中以外に優勝戦メンバーのボートはない。これはかなり早い始動と言えるだろう。朝特訓に出たのは田中だけではないが、そのまま水面にとどまり、試運転を繰り返していたのは田中のみ。気合のあらわれと見るべきか、あるいはさらなるパワーアップに集中していると考えるべきか。
_u4w0791  田中が水面に飛び出していくところを確認し、装着場に向かうと、徳増秀樹がモーターの装着作業をしていた。チルトのあたりを入念に確認し、工具を使ってギュッギュッとネジを締める。定規置場に向かって「キャビテーションプレート定規」を手に取ると(定規の名前はあとで確認したので、あえて書きました)、ボートに戻ってしゃがみ込み、艇底との取り付け角度を確認し始めた。相当に微細なチェックである。さらには、優勝戦用のカラーカウリングのネジをぐいぐいと力強く締め直す。全体的に、ディテールを煮詰めているという感じである。
 緊張しているかどうか、については、朝の段階では判然とはしなかった。表情が硬いような気がしないわけではないけれども、静岡勢と会話を交わす際の笑顔は自然である。時間が経てばまた変わってくるだろうが、とにかく朝は「やれるだけのことはすべてやる」を実践しているように思えたのだった。
2009_0725_0112  時間が経てば……は、菊地孝平にも思うことである。SG優勝戦1号艇は、これが初めての経験である。修羅場の数は増えてきているけれども、もっともプレッシャーがかかる局面に立ったことはない。それだけに……なのだが、菊地の表情は実に穏やかだ。SG初優出初優勝がこの若松(05年MB記念)だったので、あの日のことを思い出せば、表情の違いも鮮明になるわけだが、前半のうちはかなり緊張しているようにも見えたあのときと比べて、今日は正反対と言ってもいい表情だ。
 エンジン吊りの際には、中野次郎とふざけ合っている姿もあった。緊張を紛らわしているのではなく、ただ仲のいい次郎にじゃれついているだけに見えた。ひとまず、早い時間帯の菊地は、好気配を漂わせつつ過ごしている。

2009_0725_0329 好気配といえば、西島義則はさすがのベテランである。これ以上に過酷な舞台を経験しているのだから、何も怖いものはないだろう。この1節間と雰囲気と何も変わらないたたずまいで、黙々と動いている姿には本当に敬服する。
 前半の時間帯は、ペラ調整に集中していた。3R前にはペラをいったんボートの操縦席に置いて、控室へと消えていっている。ひとときの休憩を経て、水面に出ていくことになるものと思われた。
2009_0725_0313  濱野谷憲吾もペラ調整に集中。これはいつもの憲吾ではある。気になる点があるとするなら、装着場を歩くスピードが普段よりずっと速いことだが、これがネガティブなものとは思えなかった。あと、風邪気味なのかな? セキをコンコンとするシーンを数回見かけた。
2009_0725_0131  湯川浩司もペラ調整だが、他の選手とはちょっと意味が違う。というのは、チルトを1・5度に跳ねているのだ。長嶺豊さんに耳打ちされて、湯川のボートを見に行くと、5角形のチルトアジャスターに記された「最大(若松は1・5度)」を示す赤い線が、ボートの後部と接地していて、1・5度に跳ねていることを示していた。すなわち湯川のペラ調整は、跳ねチルト仕様。途中、ペラを手に整備室に向かい、整備士さんと話し込む姿もあった。この一発勝負仕様が、どう出るか。直前情報や展示気配にご注意いただきたい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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H記者の『穴・極選ブラック』6日目

 準優をふたつ当てるなどで節間回収率200%を軽くオーバーしているHです。ふふ。が、しかし!! 肝心要の極選が丸坊主……>< 「ブラック」を外してみても効果はなかったっす。憲吾どの(だ、誰と観劇に??)、うりちゃん、hiyoちゃん、ジャンクさん、れいこ様etcetc申し訳ないっす。グラチャンのときのように、最後に一花咲かせたい。でも、あのとき10年分の博運を戸田水神様にお願いしたからなぁ。若松の水神様にもお祈りしてみます!! 今日の極選は、昨日になって完全に仕上がったRYOくん勝負!

 9R
★①瓜生正義
 ②高沖健太
★③森高一真
★④川崎智幸
 ⑤太田和美
◎⑥笠原 亮

進入123/456

 笠原の足が凄いんです!! 足合わせでは菊地と五分五分、本人もかなり上機嫌だとか(byK記者)。しかも、3Rはスリットから気持ちよく伸びながら1マークの展開に不利があって惨敗。そしてここは人気の盲点6号艇。狙うべき要素がすべて揃いました。元よりアウト水域でこそ持ち味を発揮する選手。十八番の決め撃ち全速まくり差しが炸裂します。
 負けるとしたら、やっぱ枠いい瓜くんの圧倒逃げですかね。「瓜生のアタマしか買わない」と決めている人(うりちゃんとか)には、1-6-全、1-全-6を推奨します。こちらは穴極選に指名した以上、亮君のアタマ決め撃ち勝負。森高、川﨑で大万太郎の夢を追いつつ、瓜くんも軽く押さえましょう。あ、4Rはまたまた木村-柏野のダービー勝負駆けワンツー決着で46240円っすか……機械的にダービー組を買ってたら、ナンボ儲かったのかしらん?

3連単★本線6-3-全、押さえ6-14-全

 優勝戦予想はこの9R頃にアップします。我が最強の敵(とも)しげ爺さん、いざ勝負!(←きっと予想がかぶりますけどw)


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本日の“本紙予想”オーシャン6日目

 ども。Kです。昨日はオールインの“本紙予想”でしたが、本日は果たして……。

1R 
ここなら中尾のアシが上位。吉田が上昇中。
◎中尾 ○吉田 ▲今村 △伊藤
3連単1-354-全

2R 
服部が逃げてラスト走を飾る。アシ上位の角谷に妙味。
◎服部 ○角谷 ▲白水 △濱村
3連単1-632-全

3R 
魚谷が最後に意地見せるはず。笠原のアシが急上昇。
◎魚谷 ○笠原 ▲今垣 △松本
3連単1-365-全

4R 
アシ上位の藤丸が逃げ切り勝ち。坪井のマクリ差し脅威。
◎藤丸 ○坪井 ▲木村 △横西
3連単1-354-全

5R 
中島が先マイ押し切り。山本がカドから自在に追走する。
◎中島 ○山本 ▲飯山 △松井
3連単1-452-全

6R 
辻がマクリ差して突き抜ける。重成が2着もう一丁?
◎辻 ○重成 ▲吉川 △田村
3連単3-651-全

7R
山崎が逃げて笑顔で若松を後に。白井がマクリ差しで迫る。
◎山崎 ○白井 ▲石川 △角谷
3連単1-543-全

8R 
今垣が意地の逃げ切り。中野の差しを相手本線に。
◎今垣 ○中野 ▲金子 
3連単1-34-全

9R パイナップル選抜
瓜生が速攻決めて押し切る。高沖が差し追走。
◎瓜生 ○高沖 ▲笠原 △太田 
3連単1-265-全

10R 特別選抜B戦 
丸尾が好パワー活かして逃げる。辻がカドから猛追。
◎丸尾 ○辻 ▲吉川 △松井 
3連単1-425-全

11R 特別選抜A戦  
重成が最後の最後に「1」をマーク。白井の差しが脅威。
◎重成 ○白井 ▲坪井 △森永
3連単1-245-全

 オールインじゃないけど……ねえ。やっぱりイン本命となるのか、優勝戦は後ほど!


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6日目! 優勝戦です

おはようございます。オーシャンカップ、いよいよ優勝戦です! ……しかし、今日も雨予報が出てるんですね。現在は小康状態なのですが、夕方から夜にかけて雷を伴う激しい雨という予報……。なんとか良好な環境でファイナルを迎えてほしいのですが……。若松競艇場にいらっしゃる予定の方も、気をつけてお越しくださいね!

_u4w0759_2 森永淳と中野次郎。86期同期コンビであります。イニシャルは二人とも「J」。ということで、“JJ86”を今後ともどうぞよろしくお願いします。(PHOTO/池上一摩)


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オーシャンカップ 準優私的回顧

鳥肌

①白井英冶(山口)
②丸尾義孝(徳島)
③田中信一郎(大阪)
④濱野谷憲吾(東京)
⑤藤丸光一(福岡)
⑥森永 淳(佐賀)

2009_0725_r09_0790  ピットアウトからスタンドがどっと沸いた。藤丸と森永、九州男児の外枠ふたりが猛烈な勢いで内を呑み込んでいく。田中がこれに鋭く反応して2コースに入り、白井も早めにインを主張した。藤丸はゆっくり艇を流して美味しい3コース。その藤丸とともに攻めた森永は、混雑を嫌って外に持ち出す。隊形はなんとも想定しにくい13・52/46。12秒針が回る。
「行けぇぇ、はまのやぁ~!」
 私は1マーク付近で見ていたのだが、右斜め後ろのオッサンが叫びはじめた。ちょっと意表を突かれた。それからオッサンは「はまのや先生~」とまで言った。真面目な声で。ふじまる~という声は聞こえない。ややスランプ気味でも、やっぱ憲吾は全国区の人気者なんだなぁ。などと私の全神経の1000分の1くらいで思っていたのだが、その濱野谷先生が……!!
 2009_0725_r09_0810 進入の混乱ぶりを反映して、スリットも乱れた。横一線とは真逆のジグザグスリット。突出したのはインの白井。続いたのが5カドの濱野谷、3コースの藤丸。白井は見事にスタートを決めたのだが、2コース壁のないこの隊形はいかにも寒い。頼みはスタートのアドバンテージ。まずは藤丸がまくりを諦め、差しに転じて行き場を失う。一の矢は逸れた。白井は必死の形相で先マイのハンドルを入れる(もちろん見えないが、そんな必死さが伝わってくるターンだった)。その外、並ぶ間もなく弾丸ライナーが走り抜けた。濱野谷先生だった。濱野谷のこんな全速ぶん回しツケマイを見たのは、いつぶりだろう。強烈な二の矢を喰らって、今節の白井のSGチャレンジが終わった。それにしても濱野谷!
「すっげえぇぇぇ、ほら、鳥肌!!」
 今度は左斜め前の若者が、相棒に二の腕を見せる。つられてかどうか、私も鳥肌を立てた。
「あ~れが本物のツケマイだぁ!!」若者はまた叫んだ。濱野谷の全速戦が若者に鳥肌を立てさせた。こんなレースができるのだよ、濱野谷憲吾。ファンは選手の名前に感動するのではなく、レースっぷりに感動するのだよ。間違いなく、今日の濱野谷はチマタで揶揄される「サシノヤ」とは別人だった。憲吾よ、こんなレースをもっともっと心がけて、日本のエースとして活躍してくれ。
 2着には一番差しで難を逃れた田中。終わってみれば、SGウイナー2騎が優勝戦の椅子を分け合っていた。貫禄の差、というしかない。嗚呼、それにしても、濱野谷!!

憔悴

10R
①重成一人(香川)
②徳増秀樹(静岡)
③松井 繁(大阪)
④吉川元浩(兵庫)
⑤湯川浩司(大阪)
⑥中島孝平(福井)

2009_0725_r10_0991  こちらは打って変わって枠なり3対3、ほぼ横並びのスリット。誰も仕掛けきれず、重成が逃げ、徳増が差してという穏やかな準優パターンになった。途中までは……。
 バック直線、徳増の舳先が重成にかかって2-1態勢になる。足色は明らかに徳増が勝っている。徳増はパワー任せに2マークを先取りした。異変の兆しが見えたのはこのときだ。いつもの重成なら届かずとも全速で握って追随するのだが、ここで減速した。ターンマークを外して大回りする。当然、後続艇がやってくる。握るか差すか、迷ったような減速から重成はやっと差しを選択した。
「ちょっと中途半端なターンになった」
2009_0725_r10_1010  実況のいうとおりだった。それでも、その差しは十分に届いてまた2着を確保する。後ろでは湯川と中島が競りはじめた。大勢を決するチャンス。が、また2周1マークで重成はターンマークを外す。後続2艇に希望を与えてしまう。どうにも決めきれないのだ。やがて中島を振り切った湯川が、しっかりと重成の背中を視野に入れはじめた。距離が詰まる。重成のターンはぼやけた視線のように頼りない。こんな重成、見たことない。
 そして、最終ターンマーク。2艇身差まで迫った湯川を絞ってから、重成は2マークを先取りする。が、まったくといっていいほどハンドルが入らない。またしてもターンマークを外して、流れた。大逆転。昨夜に続いて、湯川は最終ターンマークで1ランク上の切符をもぎ取った。
 この一連の流れの原因は、今の私にはわからない。重成だけが知っていること。勝手に推測するなら、SGの重圧。2着死守への強すぎる思い。猛追する湯川の迫力。それらが相まって、重成の指を、心を痺れさせたのではないか。道中でふらふらしている重成の艇が、私には憔悴しきっている若者のように思えた。
 1着は文句なしで徳増。SG初優出だ。私は徳増を節イチパワーと決め付けているのだが、SG優勝戦はもちろんパワーだけでは勝てない。明日の徳増は自分の心との戦いになる。今日の重成と同じように。

薄氷の圧勝

11R
①菊地孝平(静岡)
②辻 栄蔵(広島)
③坪井康晴(静岡)
④石川真二(愛知)
⑤西島義則(広島)
⑥山本隆幸(兵庫)

2009_0725_r11_1097  例によって西島が前付けし、1542/36から内2艇が鋭いスタートを決めて行った行ったの決着。道中の紛れもなく、「これぞ準優の定番」という感じのレースになった。スリット以降で語るべきは、菊地のレース足が圧巻だった。その程度か。一瞬、西島の差しが入ったかに見えたが、そこからバック半ばまでにぐいぐい伸び、一気に突き放してしまった。総合的なパワー評価では徳増が上と思っている私だが、イン想定の菊地に総合力はいらない。出足と回ってすぐに押すレース足が万全なら、それで優勝に手が届く。今日のレースはその試運転で、確かな応えを掴んだ。そう思えるほどの圧勝、楽勝だったな。
2009_0725_r11_1082  このレースで特筆すべきは、スリット以前にある。待機行動。前付けした西島が早々にターンマークを回った。先にブイを通過してしまえば、インの主導権を得る。菊地はまだバック水面にいた。「あ、これは西島のインが確定かな」と思ったとき、菊地が慌てたようにくるりとターンしてインを主張したのだ。私の目には、ほぼ同時に150m見通し線(簡単にいうと2マーク)を通過したように見えた。ほぼ同時。5月の進入ルール更改で、もし1センチでも先に外の西島がこのラインを通過すると、内側にいる菊地が待機行動違反に抵触する可能性が生じる。
「菊地、やっちまったかも!?」
 私の脳裏に今垣光太郎の悪夢が浮かぶ。総理大臣杯での待機行動違反=1着でありながら賞典除外。菊地もまた、同じ悪夢を見てしまうのではないか? 
 そしてレースははじまった。菊地のスタートはコンマ06。菊地自身も「もしかしたら……?」と感じていたはずなのに、コンマ06。しかも、ほぼ全速だったはず。この集中力はどうしたことだ?
2009_0725_r11_1125  で、スリットを過ぎてからは先に書いたとおりだが、私はレース中「後続をぶっちぎっている菊地は、明日、優勝戦にいるのか? いま3着争いをしている山本と坪井のどちらかが、優勝戦にいるのではないか?」と邪念ばかりが働いていた。今垣光太郎の「準優1着で優勝戦漏れ」という悲惨な光景を2度も連続で見てしまったから。私自身もかなりナーバスになっていたのかもしれない。まあ、結局は杞憂だったわけだが、あの待機行動で菊地があと1秒でも遅れたら……? そう思うと、安泰のレースとは裏腹に、薄氷を踏むような“優出”だったのかもしれないな。
「大丈夫ですか、ボク、ホントに優勝戦乗れるんですか?」
 勝利者インタビューで菊地は首を傾げながら真顔で言った。やっぱり、本人も相当ヤバイと思っていたのだ。だとしたら、あのコンマ06ほぼ全速スリットは神業に近いぞ。どんな集中力をしてるんだか。このインタビューを聞いて、私は「明日は菊地の優勝だな」と半ば呆れながら思った。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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THEピット――冗句

 準優勝戦のピット、時間を追ってレポートしていこう。

●9R 憲吾のマクリと信一郎の上機嫌
2009_0724_0036  濱野谷憲吾が5コースからド迫力のツケマイを決めた。猛烈なスピードで握っていくのがビジョンに映し出された瞬間、ピットで声にならない声が上がる。濱野谷はもともとマクリ屋だった。だが、最近は差し屋である。ピットはにわかにざわついた空気となった。
 エンジン吊りに向かいながら、中野次郎と飯山泰が狂喜している。ハイタッチを交わし、満面の笑みでリフトの最前列に陣取って出迎え態勢。その後の一連の流れを見ていても、濱野谷以上に二人は大喜びしていた。
 周囲の笑顔が満開に咲いていたのは、田中信一郎の仲間たちも同様である。信一郎もまた、嬉しさを隠そうともしない。今垣光太郎との笑顔の会話、なんだか初めて見たような気がする。信一郎のボートの周りは幸せにあふれていた。
_mg_0191  白井英治の憮然とした姿は、憲吾や信一郎とはまるで対照的であった。1号艇からトップSを決めたのだから、決して悪いレースではなかった。ただ、運がなかった。そう思う。しかし当人としては、不運を嘆くというわけにはいかない。のしかかってくるのは、最大のチャンスを生かせずに敗北を喫した事実、なのである。不機嫌な様子を隠そうとしない、いや、隠せないのが当たり前だと思う。

_u4w0192_2  共同会見に向かう際に、展示から帰って来た湯川に向かって信一郎は「ガリガリくんのおかげや」と言って、大笑いした。昨日、宿舎でガリガリくんを食べたら、当たりが出たのだそうだ。そのツキが活きた……わけは本当はないのだが、そんな軽口が飛び出すほどに、信一郎の気分は上向きであった。共同会見でも開口一番、「何も言えねぇ」と北島康介のモノマネを披露したのだから、まあちょっと古いけど、こちらの気分までハイにさせる上機嫌ぶりだったのだ。
_u4w0056 共同会見といえば、濱野谷の開口一番は「びっくりしました」だった。本人もびっくりしていたか。なるほど。で、それから濱野谷は、言葉を重ねれば重ねるほど、テンションが下がっていくように感じられた。これまで2度、インタビューをしたことがあるが、その2度とも、だんだんと言葉に詰まるようになっていった濱野谷。それを思えば、彼らしい受け答えとも思えるけれども、しかしこれが1着で準優をクリアした会見なのだから、少しだけ気になった。
 まあ、会心のマクリを決めたことにはしゃいでみせるような憲吾ではない、のだけれども。ふむ。

●10R 徳増の快挙と湯川の逆転
 徳増はレース前、緊張していたそうである。それを和らげたのは、後輩の一言だったそうだ。
「キク(菊地孝平)に、『3人で優勝戦乗っちゃいますかぁ~』って言われて、一気に楽になった。小さい悩みがすべて吹き飛んだ」
 その一言がなければ、あの差しハンドルは入らなかったかもしれない。
_u4w0080_2  2着争いが劇的だった。残した重成一人が徳増を追走し、6連続2着か、と思われた。しかし、重成のターンには冴えがなく、これを湯川浩司が追いかけた。
 もともと湯川は、中島孝平と3番手を競っていた。ターンごとに、展示ピットから辻栄蔵の「おぉっ!」という叫び声が聞こえた。だが、これを勝ち抜いた湯川が、今度は重成との競りに持ち込んだ。辻は相変わらず「おぉっ!」と叫んでいたが、その対象は変わっていた。最後の最後に湯川の逆転ターンが決まる。辻はとびきり大きな声で、「うおぉぉぉっ!」と嬌声をあげた。

 ボートリフトに真っ先に駆けつけたのは、笠原亮。続いて、服部幸男である。服部は嬉しそうに、笠原に向かって親指を立てた。この快挙を我がことと捉えていたようだった。
_u4w0026  ここからの服部がゴキゲンだった。徳増を待つ間、展示ピットに向かって、文字にしづらい奇声をあげ始めたのだ。あえて文字にすると、「うぇおぉぅぉぅっ!」だろうか。これは、展示を待つ菊地孝平と坪井康晴に向けられたものだ。菊地が声のほうを振り向くと、服部は菊地に指をさす。そして、もういちど「うぇおぉぅぉぅっ!」と叫んで、今度はバンザイをしてみせたのだ。な、なんだ、この服部幸男は!
 徳増が戻ってくると、服部はさらに「うぇおぉぅぉぅっ!」を繰り返す。徳増と目が合うと、ふたたびバンザイ。そして、なぜか山崎智也を笑顔でどついて、じゃれ合っていた。だから、なんなんだ、この大はしゃぎの服部幸男は!
 ハッキリ言って、大笑いさせていただきました。こんな服部幸男も大好き。
2009_0723_0063  大逆転劇で優出を決めた湯川の周りもみなゴキゲンだった。田中信一郎は大拍手で出迎え、控室に戻る際には悔しさを噛み殺していた松井繁も笑顔で湯川を称えた。あれほどの逆転劇なのだから、周囲のテンションが上がらなければおかしい。
_u4w0029  となると、まるで違った空気に包まれる場所が生まれてしまうのも仕方のないこと。重成一人の周囲は、どんな言葉をかけていいのか迷っているのだろう、微妙な笑みを浮かべていた。会見後、ペラを手に整備室に入っていく重成を見かけた。淡々とした表情が、先入観もあるからだろう、痛々しく凍りついた表情に見える。悔しさをあらわにするのを避けるために、平常心を装っているように思えるのだ。声をかけるのをためらわせるほどに、結界を作っているかのような雰囲気を醸し出す重成。その心中は察してあまりある、と言うしかない。

 会見で印象的だったのは、逆転劇の興奮も見せずに粛々と語った湯川よりも、爽やかな空気を振りまいて会見場に入室した徳増だ。
_u4w0062  SG初優出の徳増だけに、こうした場で彼の話を聞いたのはおそらく初めて。そして、彼は想像をはるかに超えるほど、饒舌だった。
「緊張するなといわれても、それは無理な話。だけど、その緊張を楽しめるように、それでいて勝てるようにできることはやって、今日みたいに自信をもって臨みたい」
 理路整然とそう語る徳増には、明晰さを感じたものだ。ただし、明日は菊地も魔法の一言を送ってはくれないだろう。一日、どんな表情で過ごすことになるのか、おおいに注目してみたい。

●11R 菊地の胸騒ぎと微妙な空気、そして西島の笑顔
_u4w0138  西島義則が前付けに動くのは、全員が想定している。だが、「ゆるめたように見えたので、自分もゆるめてしまった」ことで、菊地孝平はあわててインを主張する動きとなってしまった。ピットからは新ルールに抵触するギリギリのラインに見えて、騒然となった。
 菊地が逃げ、西島が差したことで、当事者二人のワンツー決着。深い進入を二人ともよくもたせた……と言いたいところだが、ピットには微妙な空気が漂った。
 待機行動違反を採られるのではないか……。
 出迎える静岡勢も、素直に喜ぶことができない。笠原亮と仲口博崇が、首をかしげながら確認し合ったりもしていた。西島を出迎える中国勢も同様。辻栄蔵が敗れてしまったこともあるのかもしれないが、とるべき態度を探しあぐねているようにも見えた。それ以外の面々も同じ。3着で入線した山本隆幸には繰り上がりの可能性もあるわけだが、出迎えたメンバーがそれを露骨に望むわけにはいかないし、またそうした発想もないであろう。
 リフトに収まった菊地は、静岡勢を見上げて「セーフ?」と、アクションだけで訊ねている。しかし、出迎えた面々も確たる返答はできない。
 11R後には、地上波テレビのインタビューが行なわれているが、すぐにスタンバイした西島に対して、菊地はなかなか会場にあらわれなかった。リプレイを見れば、おそらくはセーフのはず。しかし、それはあくまでもリプレイの映像。安心はできない。ようやく菊地が姿をあらわしたとき、ピットに安堵の空気が流れたような気がした。

2009_0724_0577_2  優勝戦は奇しくも菊地1号艇、西島5号艇と、同じ艇番を背負うことになった。
「菊地も今日は失敗したと思っているだろうから、明日は頑張って主張してくるだろう」
 会見で西島はそう言った。
「インから行きたいか? いえいえいえ、インから行きたいじゃなくて、インから行きます」
 菊地は会見でそう宣言している。
 明日も二人の駆け引きが見ものだ!……と言いつつも、二人ともジョークで締めくくっているのだが。
「まあ、カマシはありません(笑)」(西島)
「明日の朝、西島さんの肩でも揉んでおきます(笑)」(菊地)
 西島に対しては「そりゃそうやろ!」、菊地に対しては「そんなわけないだろ!」と突っ込みたくなったが、意外とお茶目な菊地孝平だから、宿舎では西島先輩をマッサージする菊地の姿があったりするのかもしれない。ま、それでも西島はインを狙ってくるだろうけど。

 菊地の会見が終わって記者席に戻ろうとしたら、ちょうど湯川がJLCのインタビューを受けていた。それをそばで待っていたのが信一郎。インタビューが終わり、信一郎が「さ、帰るぞ」と湯川を促すと、湯川は「明日は二人でワンツーします」と言った。すると信一郎は「(自分を指さして)ワン(湯川を指さして)ツーはないけど、(湯川を指さして)ワン(自分を指さして)ツーはあるで」と笑った。湯川はなはははと笑ったあと、付け加える。「ま、ゴンロクもあるけどな!」。優出同門コンビの漫才かい! と突っ込みたくなったが、僕もつられて爆笑するしかできなかった。(PHOTO/中尾茂幸=飯山、湯川、西島 池上一摩=それ以外 TEXT/黒須田)


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速報 オーシャンカップの優勝戦メンバー確定!

 第14回オーシャンカップの優勝戦メンバーが確定しました! 1号艇は予選トップの座を守り抜いた菊地孝平です!

オーシャンカップ優勝戦
①菊地孝平(静岡)
②徳増秀樹(静岡)
③濱野谷憲吾(東京)
④田中信一郎(大阪)
⑤西島義則(広島)
⑥湯川浩司(大阪)


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H記者の「1号艇で負けるのは……!?」予想

 さあ、準優です。どうにもインが強そうな気配ですが、猫の目のようにシリーズリーダーが入れ替わった今節。随所に穴目も散りばめましょう。

9R
◎①白井英冶(山口)B
 ②丸尾義孝(徳島)A
 ③田中信一郎(大阪)C
 ④濱野谷憲吾(東京)B
★⑤藤丸光一(福岡)A
★⑥森永 淳(佐賀)B

進入125/346か123/456

 白井を信頼する。引き当てたモーターは複勝率52位、掛け値なしのワースト機だったが中堅上位までは引き出した。あとは乗りっぷりのよさで予選3位に。パワー+リズムでなんとか逃げきるだけの素地はある。問題は精神面か。過去に準優1号艇でドカ遅れや失格などをやらかしたことがあり、それがトラウマになっていないか? 大丈夫。その後の彼の臥薪嘗胆が、自身をひと回り成長させたはず。アタマ決め撃ちで、ヒモに地元のエース機・藤丸と全速マイが冴え渡っている森永を添えて中穴狙い。
3連単★1-56-全

 10R
★①重成一人(香川)A
◎②徳増秀樹(静岡)S
 ③松井 繁(大阪)B
 ④吉川元浩(兵庫)B?
★⑤湯川浩司(大阪)B
穴⑥中島孝平(福井)B

進入123/456

 パワーがいちばん拮抗した難解なレース。コースの利で重成か、パワー任せに徳増か。昼の特訓では吉川と中島がバカによく見えたし……キーマンは4カドになりそうな吉川。目立った足はスリット前後の行き足で、おそらく自力で攻めるはず。が、内2艇のパワーが完調なだけに、半端な攻めになってしまう危険も大きい。本命はそんな紛れの中でこっそりパワー差しを決めそうな徳増。重成は6連続2着で優出?それもユニークだが、展開の利がありそうなのは湯川だ。昨日の大逆転2着でここに乗った運も怖いし。王者松井がきたら……泣きながら拍手する。
3連単★2-15-全

11R
◎①菊地孝平(静岡)A
 ②辻 栄蔵(広島)B
★③坪井康晴(静岡)A
 ④石川真二(愛知)B
★⑤西島義則(広島)B
 ⑥山本隆幸(兵庫)C

進入152/346か512/346

 西島がよほど強引な前付けをしない限り、菊地の頭は固い。S勘バッチリスリット全速パワーも上位、110mの起こしさえ保証されればインから圧勝する。相手もパワー上昇している坪井と気合◎の西島に絞る。1-2が来ない根拠は何もなく、きたらゴメンなさい。ただ、もし15が進入で競りになったときは、スリットからの行き足いい辻が3カドのような隊形から攻め、とんでもない大穴も想定できる。筋違いの穴目もバラ券で押さえておきたい。
3連単★1-35-全、大穴236BOX

 もし私の本線通りの決着なら、明日の優勝戦は①菊地②白井③徳増④坪井⑤湯川⑥森永みたいなメンバーになるのですが。ではでは、GOODLUCK!


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“本紙予想”オーシャン準優勝戦

 ども。Kです。一般戦はオール1コース◎でありましたが、準優も同様になってしまいました。ということは、本日はオールイン! イン主体どころか、ってヤツですね。すみません。

9R 準優勝戦  
白井が外を寄せ付けない逃げ。濱野谷が展開突いて追走。。
◎白井 ○濱野谷 ▲田中 △藤丸 
3連単1-435-全

10R 準優勝戦
重成が今度こそ1着で連続2着をストップ。吉川、湯川が上昇中。
◎重成 ○吉川 ▲湯川 △徳増 
3連単1-452-全

11R 準優勝戦 
西島、石川の動き警戒も、菊地の逃げは盤石。西島もいいアシだ。
◎菊地 ○西島 ▲坪井 △辻
3連単1-532-全


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THEピット――始動

   ナイターは夜と昼で気候条件がぐっと変わる。それもあってだろう、やはり準優組の始動は比較的遅めとなる。できるだけ似通った条件のもとで手応えをつかみたいと考えるのは当然。したがって、ナイターSGの準優の朝(というか昼)にベスト18の姿はなかなか装着場では見られないものである。
 というわけで、ここではあえて、朝のうちに姿を見かけた選手についてのみ、記す。エンジン吊りで見かけた選手は除く。これを含めれば18人全員を確認しているが、書く内容はおおむね似てくる。だから、名前があがらないベスト18は、朝のうちはエンジン吊り以外はゆったり過ごした選手と思ってほしい。ちなみに、ピットを後にしたのは3Rが始まる直前である。
2009_0720_0333  もっともよく姿を見かけたのは、坪井康晴である。試運転係留所にボートがあって、試運転をこなすと、2R前には装着場に引き上げて、もろもろの点検を始めた。おもにペラをチェックしている時間が長いようで、丹念に確認作業をしている様子である。
2009_0720_0370 その坪井との絡んでいたのが、辻栄蔵だ。辻は1R後に装着場にあらわれると、軽く点検したあと、水面に向かっている。試運転係留所を経由せず、いきなり試運転で走りだすと、数周してすぐに装着場へと戻ってきてしまった。おそらく、はじめからそのつもりだったのだろう。上がってくると、足合わせのパートナーであった坪井と手応えについて情報を交換し合った。内容はほとんど聞き取れなかったが、辻のほうが坪井のアシを絶賛するような内容がわずかに聞こえてきた。それについて坪井が二言三言返すと、辻は「ガハハハハハハハハ!」と大声で笑った。辻自身も、悪い手応えではないのだろう。
 辻と同様の動きを見せていたのは、徳増秀樹だ。辻より少し先に水面に出て、少し先に戻って来た。淡々とした表情は、準優への気合を感じさせるものだった。
2009_0720_0249  ひとつの場所でもっとも長く姿を見たのは、白井英治。整備室前に陣取って、慎重に時間をかけて、モーターをチェックしているようだった。整備室の前ということは、選手の往来も激しい場所。それもあって、白井にはいろいろな選手が声をかける。長岡茂一が声をかけて、整備室入口に貼り出されている出走表を眺めつつ、話し込んでいるシーンは印象的だった。長岡との組み合わせが意外であったのと同時に、将棋好きの白井が長岡とともに戦略をじっくり練っているようにも見えたのだ。SG制覇への詰み筋は、見えているのかどうか……。後輩の吉村正明に、アドバイスを送っているシーンもあった。やっと6着地獄から脱け出た吉村は、白井が何か言うたびに、おかしそうに笑っていた。吉村の笑顔は今節ほぼ初めて見るもの。白井の言葉はさらに苦悶する吉村をほぐしたに違いない。
2009_0720_0328 係留所に目をやると、中島孝平の姿があった。寡黙な表情で、淡々とチェック作業をこなす。やがて吉川元浩があらわれて、点検をすると水面へと飛び出していった。かなり早くから係留所に艇を置き、作業をしていたようである。3R前にはいったんボートを装着場に引き上げて、ペラを外していた。朝の手応えをもとに、勝利への道筋をペラに叩き込んでいくのだろう。
2009_0720_0519  2Rのエンジン吊りが終わった後、控室に戻らずに自艇のもとに向かったのは田中信一郎。しゃがみ込んでペラを装着すると、そのままリフトへと向かった。先にリフトに入って着水を待っていた仲口博崇を一瞥すると、リフトへと乗り込む。彼も辻などと同様に水面に飛び出し、試運転をこなしていた。昨日はいちばん遅くまで整備をしていた田中、今日は比較的早めの始動となっている。
2009_0720_0324 3R直前、たてつづけに装着場にあらわれたのは、石川真二、重成一人、そして森永淳。こちらも徐々に動き出して、準優への準備を着々と進めていく。予選1位の菊地孝平もペラを手に装着場に登場。光にかざして翼面をチェックし、たまたま近くにいた木村光宏と言葉を交わしながら笑顔でふたたびペラ室へと戻って行った。
 さあ、準優勝戦。夜の海王へと王手をかけるのは誰だ!?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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H記者の『穴・極選』5日目

 複雑な心境のHです。1R、観ていただけたでしょうか。メイチダービー勝負駆けの松本-木村のワンツーで3連単42720円。この3=4-全は極選にしたいほどのフォーカスでした。極選にせずとも、昨日までの私ならこのフォーカスを鼻息荒く買っていたことでしょう。が、今日は舟券を買わずにケンした。なぜか……? 私が守田俊介LOVEだからなんです。
★昨日までのダービー勝率ボーダー付近。
52位 松本勝也 7・30
………ボーダー………
53位 守田俊介 7・30
54位 木村光宏 7・28

 そう、ここで松本、木村が活躍すると、尼崎(今日は12R準優1号艇1回乗り)で必死に頑張っている俊介の立場が苦しくなってしまう。SGは2点増しだし。昨日までは「それはそれ、これはこれ」と割り切っていましたが、この土壇場にきてこれほど競っていると、もう気持ちに余裕がなくなっている。昼から私は何度も電卓を叩きました。この3人の成績と勝率の推移を。そして、あれほど「ダービー勝負駆けを狙え」と言っていた男が、ダービー勝負駆け選手を買えない男になってしまったのです。一貫性がなくてすいません。でも、俊介も奮闘してこんな大接戦になるとは思っていなかった。こうなった以上……今節の極選ミッション「ダービー勝負駆けを狙え」は中止します。
 でもって今日の極選は、ダービー勝負駆けとは無縁の8R。ちょっと肩の力を抜いて紅一点のあの方を狙ってみます。

 8R
 ①太田和美
★②池田浩二
◎③横西奏恵
 ④田村隆信
★⑤長岡茂一
 ⑥原田幸哉

進入123/456

 惜しくも予選突破できなかった奏恵ちゃんですが、パワーは準優でもソコソコ戦えたはず。初日のようにスリットからの行き足がしっかりくれば、いつでもS一撃がありえますよ。1号艇はF持ちではあまりS行かない太田だし。池田は出足が弱いし。腹をくくって一気まくり。相手はやや無理筋ですが、万太郎を召し取るには池田(差し粘るかも)と長岡(伸びは人並み)を狙うっきゃない。

3連単★3-25-全

 で、もしも奏恵ちゃんが大敗したとき、私は12Rでもしつこく追いかけます。配当的にはこちらのほうがGOOD。パワー上位だけど人気一息の森高、川﨑への5-46-全に倍プッシュ勝負。(8Rで奏恵ちゃんが勝ったのに不的中だった場合は、悔しいけど今日のミッションは終了)
 準優予想は7R頃にアップします。昼の気配がやたらとよかったのは、菊地、吉川、中島の3人。


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本日の“本紙予想”オーシャン5日目

 ども。Kです。準優勝戦でございます。昨日の流れは、超大雨の影響もあったでしょうから、参考外。本日はまたインが強くなる流れに戻る気がするなあ……。気がするだけですが、ともかくイン主体予想……って、一般戦はすべてイン◎になってしまった……。

1R 
このメンバーなら金子が逃げ切れるアシ。木村に上昇気配あり。
◎金子 ○木村 ▲飯山
3連単1-46-全

2R 
伊藤がなんとか逃げ切る。太田の強力なアシが怖い。
◎伊藤 ○太田 ▲今垣
3連単1-63-全

3R 
原田が意地の逃げ切り。カドから服部が自在に続く。
◎原田 ○服部 ▲池田 △今村
3連単1-453-全

4R 
角谷のアシは準優クラス。次点・中野のウップン晴らしにも期待。
◎角谷 ○中野 ▲田村 △柏野
3連単1-635-全

5R 
川﨑のアシも準優でも見劣りしない。カドから山崎も迫る。
◎川﨑 ○山崎 ▲木村 △中尾
3連単1-436-全

6R 
飯山がイン速攻決める。森高も上昇気配。
◎飯山 ○森高 ▲瓜生
3連単1-23-全

7R
笠原がインから押し切る。服部との師弟ワンツー期待。
◎笠原 ○服部 ▲高沖
3連単1-35-全

8R 
太田のアシがここでは上位。横西のマクリ差しも注意。
◎太田 ○横西 ▲池田 
3連単1-32-全

※準優は後ほど

12R
中野が踏み込んで逃走。森高が自在に迫る。
◎中野 ○森高 ▲高沖 △川﨑
3連単1-426-全


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5日目! 準優勝戦です

おはようございます。オーシャンカップも準優勝戦を迎えました。いやはや、昨日は大変な一日。大雨は各方面に影響を与えたようで、被害にあわれた方にはお見舞い申し上げます。今日は雨が上がり、太陽も顔を出しているのですが、水面が泥水のように茶色いのは昨日のなごりなのでしょうね。

2009_0724_0360 雨の不運に見舞われたのは今垣光太郎。どうも今節はツキがなかったですね。ここまでの勢いが止まってしまった感もありますが、あと2日で悪い流れをふっ切って、また力強く踏み出してほしいものです。(PHOTO/中尾茂幸)


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若松オーシャンカップレース回顧(担当・H記者)

 雨、豪雨、雨、雷、雨、豪雨、雨、雷……予選を突破できなかった者の涙雨か、はたまた大敗して失踪した姫園記者の号泣雨か。風も5分ごとに追い風→横風→向かい風→無風みたいにころころ変わった。こんな中での勝負駆け、選手はほんとに大変だなぁ。舟券的には、今日は「4」の日だったか。

【1R】
 石橋がただひとりゼロ台のSを決めて逃げきり、嬉しい水神祭となった。姫園記者が「石橋の足は悪くない……」との呟きを残して失踪したそうだが、今日はSを張り込んだこととスリットから覗いた川﨑が握らずに差したせいで、パワー不問の楽なイン逃げだった。姫園記者の最期の言葉を信じて石橋をBランクに据えておく。2着の木村はダービー勝負駆け?の気合がみなぎっていた。機力はCでも、やはり競艇は気力もでかい。道中の足では、この1Rともなると川﨑が断然(←最後方から追い上げての4着)。回り足はAで、全体的にもAに近いBだと確信した。惜しくも準優からは漏れたけど……。

【2R】
 大熱戦。逃げた吉田と差した山本の1=4一騎打ちかと思いきや、バック4番手の角谷が2マークで絶妙の小回りターン。一気に抜き去り後半戦へ希望をつないだ。この回り足はGOOD。もとより上位と思っていたが、回り足Aで全体的にはBとみる。2着争いも混戦を極めたが、さほど見るべき足はなかった。みなCからE(吉村、伸びが人並みな他は全部ひどすぎる)。

【3R】
 西島が動いて1523/46。で、インの柏野がスタートで遅れ、西島が1艇身近く覗いたからさあ大変。その外の横西、伊藤は西島が握るのを待っている。が、2着で準優安泰の西島はじらしにじらして差しハンドルを入れた。「ありゃ?」という感じで外のふたりが立ち往生している間に、1着勝負駆けの中野が5カドから一気にまくってみせた。パワーというより展開と気合のまくりだったが、それでも次郎クン、やればできる。結局は6・00で次点に終わったのは残念無念だったけど……。序盤戦は順調に得点を伸ばした横西も失速して落選。ただ、足は最近のSGではいちばん切れている。Bランクの評価で、明日以降も要注意だぞ。

【4R】
 メイチ勝負駆けの今垣がアウトから果敢に握ったが、インまで届くパワーはなかった。何艇かを握り潰した分だけインの白水が楽になり、1マークを回って圧勝態勢に。展開の助けもあったがコンマ38のスタートで逃げきった足は評価できる。明日も注意。差して2着の坪井も徐々に仕上がってきた。間違いなくBはあるが、ピット離れで何度も遅れているのが気になるところ。このレースで今垣の今年はじめてのSG予選落ちが決まった。

2009_0724_0260 【5R】
 どんどん天候がひどくなる。夏の嵐。そんな中、白井が冷静に逃げ切って予選トップにぐっと近づいた。52位のワースト機でこの戦績は立派の一語。見た目に派手な印象はなく、B評価が妥当だろう。とにかくリズムが抜群で、ターンの判断が的確だ。このまま予選トップを取り切れば悲願のSG初Vにも手が届くのだが……(11Rにつづく)

2009_0724_0117 【6R】
 パワー評価のしにくい展開一本のレース。ピット離れが抜群の寺田が3コースを奪い、Sもしっかり決めて果敢にまくった。「自力で勝負駆けを決めたか!?」思った瞬間、そのまくりが風雨で流され、6コースの菊地がズッポリの最内差しを決めてしまった。まくった寺田は2マークで木村と山本にも交わされ万事休す。もうひと足が不足していた感も否めないが、さすが歴戦のツワモノ。素晴らしい気合に拍手を贈りたい。菊地は展開に恵まれたものの、「アウトから差してバック突き抜け」の芸当は低調機には不可能。スリットからの行き足は初日から◎で、全体でもAに近いBだと思う。
 ちなみに、もつれにもつれて250倍ほどになった舟券を、私はうっかり仕留めてしまった。ダービー勝負駆けの木村&山本にパワー上位の菊地を絡めたボックスで……全国6人ほどの極選ファンの皆さん、出し抜けしちゃってごめんなさい>< 当たった自分がいちばんびっくりしましたです、はい。

【7R】
 ここから4号艇フィーバーがはじまる。すでに準優に赤ランプが点っている原田が、4カドから狂気じみたトップS怒涛まくり差しを突き刺した。これもパワーというより気合一本の勝利。かねがね「勝負駆けデーの原田は怖い」と口にしてきた私だが、予選の当落に関係なくいつでも大仕事をやらかす男だと痛感した。不思議な男だ。パワーで目立ったのは田中の回り足。3、4番手から鋭い2マーク差しで2着に浮上した足はウムムと唸らせるものがあった。不振に喘いでいた田中だが、光明が射したか? とりあえずCからBに評価を上げた。

【8R】
 辻栄蔵、この男もここ一番で突拍子もないことをやらかすことが多い。会心のトップSから有無を言わさぬ4カド一気まくり。こういうレースはまくった本人も含めて、パワー評価はしにくい。ただ、このレースで妙に引っ掛かったのが「スタート展示とまったく同じような隊形から、まったく同じように辻が伸びていた」という部分。スタ展では辻から外の3艇がFだったのだが、とにかく辻だけがヒュン!と伸びていた。そして実戦でも……。あのスタート展示を見て「よし辻のアタマだ」と決め撃ちした人は博才があると思う。単にSを行っただけでなく、行き足が上昇していたのである。準優は2号艇の辻だが、あの足は脅威だ。

【9R】
 4カド祭りは続く。インの平田が凹み(今日はインのSがまるで届いていなかった。土砂降りの日は、インがいちばん苦労するのかもしれない)、その外の今村と松井が揃ってぶん回し。内がポッカリ開いて坪井が楽々差し抜けた。このレースではピット離れも普通で、回ってすぐの足もGOOD。いつでもどこでも噴く「坪井仕様」になりつつある。かなり怖い存在だぞ。Aに近いBランク。

2009_0724_0021 【10R】
 このレースはさすがに重成が逃げるか、それとも1着条件の智也が攻め潰すか、と思いきや、内の3艇がとんでもなくターンマークを外している間に、4号艇の太田がこれまた簡単に差し抜けてしまった。内3艇が揃ってターンミス(と言い切っていい)をしたのは、やはり嵐のせい? もう、わけがわかりません。とにかく視界が霞むほどの雨で、パワー評価も難しいレースではあった。とりあえず「豪雨になれば4号艇が来る」と肝に銘じておこう。根拠のないオカルトだけど。

【11R】
2009_0724_0044  これも嵐のせいなのか?? 進入からして15642/3というとんでもない想定外。で、インの濱野谷が当たり前のように凹み、前付けした⑤角谷、⑥白井がズップズプと差し抜けてゆく。「よっしゃ、5-6!!」と極選の予想目を叫んだ瞬間、私の2艇がコツーンと接触してともにバランスを崩した。完全に差されたはずの憲吾が、「どもーー」って感じで外からするする先頭に立つ。5=6態勢が、ものの5秒で崩れ去った。この接触でエンジンに変調をきたした白井は徳増に抜かれ、中尾に抜かれ、角谷にも抜き返されて5着。白井にとってこの不運は大きい。予選トップのはずが、3位まで落っこちてしまったのだから。この得点差が優勝戦でどう響くのか。響かないことを祈るぞ。で、終わってみれば4号艇の徳増がちゃっかり2着を取りきっていたのだった。徳増のパワーはAだが、この2着はラッキーだったというべきだろう。

【12R】
2009_0724_0215  このレースは、まあ今日1日の中ではまともなレースだったと思う。今垣が逃げ、菊地がまくり差し、湯川が追走して……しっかりレースになっていた。が、嵐は最後まで安泰を許さない。3-1-5で決まったかに思えた3周バック、フル被っていた2番手の今垣が「あれ、あれ?」という風情で上体を起こした。明らかに異変。5艇身ほど離れていた湯川がみるみる今垣に近づく。今垣の艇は亀のようだ。最終ターンマーク、2着条件の湯川は楽々と今垣を交わして準優のチケットを手に入れた。見た目には滑稽にも思える逆転劇だったが、勝負駆けとしては奇跡だ。まさか、今垣のプロペラが浮遊物を巻き込んで……?(断言はできないが、それしか考えられない)だとしたら、それも嵐のなせる業なのだ。9Rあたりから、豪雨がレース水面にさまざまなゴミを垂れ流していた。2艇の清掃艇がせっせとそれらを捕獲していたが、レースの合間にも土砂崩れならぬゴミ崩れ現象は続いている。そして、そのゴミが……。湯川にとっては「恵みの雨」だったのかもしれないな。(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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THEピット――雨、明暗、魔物……

2009_0724_0794  大変な1日だった。土砂降りの雨は12Rを迎えても止む気配を見せず、5R時に見舞われた初日夜のような豪雨はその時だけだったけれども、まるで壊れたシャワーのように振り続けた。水面をたたく雨音は途切れることなく大きな音をピット内に響かせており、水面際ではつい空を見上げてしまう者がたくさんいた。
「気にしないです。だって、みんな同じ条件でしょ」
 笠原亮はそう言って笑ったが、その同じ条件が過酷なのだ。時計も見づらいだろうし、水面も荒れる。12Rの今垣光太郎は3周2M、浮遊物を巻き込んで失速したようだが、そうした不測の敵も水面にはあらわれる。勝負駆けだというのに、こんな条件で戦わねばならないなんて……。まったく手を緩めようとしない雨空が恨めしく思えてくる。
2009_0724_0256  11R、白井英治は準優当確でこのレースを迎えている。だが、気を抜くわけにはいかなかった。予選1位の可能性がおおいに残されていたのだ。1Mを回って舳先が前に出る。1着なら文句なく予選1位だ。しかし、白井は他艇と接触するなどして後退、最後は5着でゴールすることになってしまった。
 ピットに引き上げてきた白井は、やるせない表情をして、心を占める悔恨をあらわにしていた。単にミスをしたとか、展開がなかったとかなら、無念に思うだけだ。しかし、不慮の事故に近いかたちでずるずると後退しただけに、その悔しさをぶつける場所がない。
 白井のボートの左側のカウリングは大きくヒビ割れしていた。艇修理担当の方がワイヤーを何度もチェックしていたし、白井もハンドルを回すような手振りをしていたから、操縦に難があったのだろう。ハッキリとわかるように溜め息をつく白井英治というのは、本当に珍しい。彼らしさが消えてしまうほど、不条理な敗戦。それでも明日は1号艇が転がり込んできているだけに、今日のネガティブなメンタルが響かなければいいのだが……。
2009_0724_0043  その11Rを1着で切り抜けたのが、濱野谷憲吾である。レース後、ボートリフトに収まって、出迎えた関東勢を見上げた時に、憲吾はにっこりと目を細めた。今節、初めて見る憲吾のスマイルのような気がする。ボートの後部に回って、装着場へと押していったのは山崎智也である。関東ツートップが肩を寄せ合うような格好になる。2009_0724_0047 智也が憲吾に耳打ちする。憲吾は、ピットじゅうに聞こえるくらいに声を張って、「ありがとうございまっす!」。ツートップの笑顔が並んだ。このところどうにもリズムが悪かった憲吾だけに、嫌な流れを吹っ切ったような気分になったのかもしれない。憲吾の穏やかな表情を見ていると、なぜかこちらも心穏やかになっていくのだった。
2009_0724_0318  対照的に、表情が冴えなかったのは徳増秀樹である。2着で予選突破を果たしているというのに、ずっと首をかしげている。服部幸男が「どうした?」とばかりに、微笑を浮かべて歩み寄ると、徳増は心中を吐き出すようにして服部に何事かをまくし立てた。微笑を維持し、腕組みをしながら、服部は耳を傾ける。ふんふんとうなずきつつ、最後に服部が一言耳打ちすると、徳増は「はぁ。疲れた」。とりあえず、服部に鬱憤を晴らしてもらったといったところか。静岡軍団の強さは、服部幸男がそこに存在していること、であるのに間違いない。

2009_0721_0372 12R、見ていられないほどに悲しげな表情を見せていたのは笠原亮だ。実はレース直前、笠原は僕に指を2本立てて見せている。そのとき僕はピット2階バルコニーにいて、笠原を見下ろすかたちになっていた。笠原のアクションは「2着でOK?」。得点状況を言えば、2着で6・00に到達するものの微妙な様相で、中島孝平の5着以下という条件がついていた。ただ、笠原にとってそうした状況は意味のないことだ。だから、まず「微妙」と声を出さずに口の動きだけで伝え、僕は1本指を向けたのだった。「1着でスッキリいこう」という意味を込めて。笠原は力強くうなずいて、意志をもった視線をまっすぐ前に向けて、待機室へと消えていった。
2009_0724_0278  そんな笠原を見ていたから、レース後の脱力し、かつ凍りついた表情は痛々しかった。泣きだしてもおかしくないのではないか、とまで見えた。それを見て歩み寄ったのは、やはり服部だった。まごうことなき師弟関係にある二人だから、笠原の顔を見ただけで何を思っているのか感じ取れるのだろう。その会話の中で、笠原の表情が癒えていくのを見て、服部の偉大さを再び知ったのだった。ちなみに、もう一人、笠原を心から慰めたのは原田幸哉である。そっと背中に手を回して、何度か軽くぽんぽんと叩く。それもまた、笠原の気持ちを鎮めるのに一役買っていたことだろう。
2009_0724_0081  歓喜の大逆転をやってのけた男もいた。湯川浩司だ。3周2M、今垣に不運もあって、まさかの2着浮上。湯川は、3着で6・00ながら、笠原と違って完全に18位には届かない状況だったのだから、最後の最後で準優への切符をもぎ取ったことになる。
 レース後、ボートリフトに収まった瞬間、湯川は先にリフトに収まっていた菊地孝平に何かを確認するような仕草を見せている。さらに、出迎えた太田和美にも疑問形の視線を向けている。最後に、ついさっき抜き去った今垣にも同様のアクション。ただし今垣には申し訳なさそうに頭を下げてもいた。
2009_0724_0372  エンジン吊りに駆けつけた松井繁が「乗れたのか?」と周囲に確認している様子が見えた。山本隆幸が嬉しそうに声をかけるところも見かけた。だが、湯川は周囲の控え目な祝福の言葉に、どちらかといえば苦笑いを返している。今垣に申し訳ない思いもあったのだろう。
 だが、最後まで諦めずに追いかけたからこそ、あの逆転劇があったのではなかったか。僕は、湯川の大逆転をカッコいいと思った。湯川は、エンジン吊りの面々が引き上げても、一人リプレイを確認していた。これはチャンスだ、と思い、リプレイを見終えた湯川に声をかける。
「ツイてただけや。今垣さんが巻き込んでしまっただけやから」
2009_0724_0791   湯川の苦笑いは収まらない。でもカッコ良かったと思う。そう伝える。湯川の笑みがちょっとだけ深くなった。
「俺、魔物をもってるのかなあ」
 もちろん、ジョークである。だが、ジョークが飛び出た湯川は、怖い。メンタルが仕上がりつつあるということだからだ。もちろん、このツキも怖い。ともかく、だ。湯川が笑みを向けてくれたのは久々である。グラチャンを超えて、一皮むけたのだと僕は確信している。
2009_0724_0210 湯川と別れて、ふと前を見ると、3周2Mまでは18位だった中野次郎がとぼとぼと歩いていた。湯川の逆転劇は、中野を蹴落とす結果となったのだった。その時点で中野がそれを理解していたかどうかは知らない。彼の天然ぶりを思えば、知っていようと知らずにいようと、表情や歩き方は変わらなかっただろうと思う。だが、そこに生じた大きな明暗の差に、ちょっと切ない思いになった。
 本当は、雨が降り続けたことなど、結果には何も関係ないかもしれない。だが、なんて罪作りな雨なんだ、と思った。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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“本紙予想”オーシャン4日目後半

7R
服部が逃げて意地示す。笠原との師弟ワンツーに注目。
◎服部 ○笠原 ▲藤丸 △吉川
3連単1-536-全

8R 
飯山が伸びて予選突破に望みつなぐ。池田のイン残しを本線に。
◎飯山 ○池田 ▲辻 △瓜生 
3連単3-142-全

9R  
平田が地元の期待を背に渾身逃走。坪井がカドから自在に続く。
◎平田 ○坪井 ▲松井 △丸尾 
3連単1-436-全

10R 
重成が2着続きに1着でピリオド。太田が伸びて迫る。
◎重成 ○太田 ▲山崎 △柏野 
3連単1-423-全

11R  
濱野谷が逃げて勝負駆けをクリア。徳増のカド戦怖い。
◎濱野谷 ○徳増 ▲白井 △中尾
3連単1-463-全

12R 
今垣が意地の逃げ切り決める。菊地が全速戦で応酬。
◎今垣 ○菊地 ▲笠原 △森永
3連単1-326-全


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THEピット――仲間

 午後イチくらいには不穏だった雲行きが、あっという間にドス黒くなり、1Rが始まる頃には雨が降り出した。雨足は勢いを増しており、空はぐんぐん暗くなる。4Rで早くもナイター照明がついたほどである。風も強く、追い風になったり向かい風になったり。水面際に立っていると、風に乗った雨が屋根などゆうゆう乗り越えて、顔を濡らす。初日夜のような豪雨ではないが、なかなかに厄介な雨だ。
20090722_0161  それもあってか、係留所にボートは少ない。松井繁と服部幸男が隣同士で調整をしていて、わけもなく嬉しくなったりもしたが、その2人を含めてもほんの数艇しかない。3R前にチェックすると、64期コンビのほかは田中信一郎、山崎智也、魚谷智之、中島孝平。やけに豪華であるな。
20090722_0800  いちばん左端で黙々と作業をしていたのは魚谷智之。ここは追い風が吹いていると、雨が吹き込んでくる場所。それほど大量に魚谷を襲っているわけではないが、体を濡らさないはずがない。それでも魚谷は、雨など気にせず作業を続ける。完全に一人の世界に入り込んで、細かいチェックに余念がない。魚谷の言葉を借りれば、力を出し切っているのだ。
2009_0723_0204  その2つ置いて右の係留所に山崎智也。その隣に中島孝平。この2人、実に仲が良さそうなのだ。つながりはちっともピンと来ないが、楽しそうに談笑している姿をよく見かける。中島は基本的に寡黙で物静かな感じなのだが、智也といるときにはよく笑顔を見せているな。ともかく、不思議な組み合わせである。
「智也ーーーっ! ありがとーーーっ!」
 そのとき、控室の入口から大声が響く。角谷健吾だ。
「おっつかれーーーーっ!」
20090722_0311   そうか、智也と角谷は71期、同期生だ。なんとなく、山崎智也とゆかいな仲間たち、という言葉が浮かんだ。

 さてさて、今日は勝負駆けデー。1R、川﨑智幸が4着で6・00。いちおうのノルマはクリアだが、昨日の時点では辻栄蔵が6・00で19位。1着のない川﨑は、まだ予選突破と言い切れない状況にある。
20090722_0822  それにしても、1R1回乗りで、きょうはもう作業をする様子のない川﨑。長い1日になるのではないかと心配してしまった。予選突破が絶対的であるなら、のんびりしていればいいけど、残り11レースの結果いかんによって自分の運命が決まるのだから、気が気ではないだろう。1R1回乗りというのは、なかなか残酷だよなあ、と思った。
 とは言いつつも、川﨑はそんな状況を意に介したふうがないのだから、さすがである。2R以降もエンジン吊りには姿をあらわしているのだが、まるでゆったりと流れる運命の時間を楽しんでいるかのように、のんびりとした足取りなのであった。まあ、川﨑の場合、こういう歩様のほうが気合が入っていたりするんだけどね。
20090722_0790  一方、2Rでまたもや6等をとってしまった吉村正明のことも、別にそういう立場ではないんだけど、心配になってしまった。レース後はさすがに冴えない表情で、遠目にも溜め息が聞こえてきそうな雰囲気を感じる。もともと表情豊かなほうではないけれども、オール6着に頬の肉が動こうはずがない。今節に限らず近況最悪の吉村は、ボートを装着場の奥に運びながら、ひそかに悔しそうに顔をしかめていた。
 白井英治が吉村に寄り添い、タオルでボートの水分を拭いてやりながら、優しい笑顔で語りかけていた。吉村は何度かうなずきながら、白井の顔をじっと見つめていた。いちばん奥のほうにいた二人、何を話していたのかはまるっきりわからない。だが、先輩が後輩の心をほぐそうとしているのは間違いなかった。最後まで吉村の頬はゆるまなかったけれども、白井先輩の言葉は一服の癒しにはなったに違いない。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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H記者の『穴・極選ブラック』4日目

 昨日の8Rあのスリット隊形から、まさかキクティ(4カドからコンマ03)が差し回るとは……!? と、言い訳交じりに敗因を分析しているHです。皆さま、すいません。これもひとえに憲吾どの(仮名・35歳)が私の運を……もう聞き飽きましたか。ええ、本場に辿り着いた今日から本格的な勝負っす!!
 1Rからダービー勝負駆け選手が大暴れしてます。
1R 木村が全速まくり差しの2着で、1号艇がアタマなのに170倍超の万太郎(←だから、こ~ゆ~のを極選にしろっての! )
2R 角谷-山本のダービー勝負駆けコンビがワンツーで6890円(これはバラ券をゲット)
 いよいよ〆切り(7月末)も迫り、少ない選手は残り3、4戦、多い選手でも残り8、9戦ほどになりました。それだけ対象選手も狭まり、メイチ勝負は松本、柏野、木村、角谷。彼らが直接対決、または尼崎のテラッチや守田(私の最愛の選手だけに気持ちは複雑なんですけどね)、多摩川の吉田コーブンあたりとガチンコ勝負をしているわけです。
 そして今日の極選は、“ケンゴ”の連勝に期待します!

 11R
 ①濱野谷憲吾
 ②伊藤 宏
 ③中尾 誠
★④徳増秀樹
◎⑤角谷健吾
★⑥白井英治

 進入123/456

 今日のアップが遅れたのは移動していたからではなく、2Rをじっくり見ていたため。角谷の回り足、ちょっとときめきました。前半で勝ってしまったのは舟券的には?ですが、このレースも人気薄でしょう。F持ちの本家・憲吾はになんちゃって憲吾どの(仮名)に運を吸い取られそうだしw そうでなくても、2号艇に獰猛なまくり屋・伊藤、3号艇にS行けてる中尾、4号艇に超抜宣言の徳増と、イジメのようなイン戦なんです。逃げたら褒めるとして、ここは穴狙い。センター勢が握って、角谷の高速回転まくり差しが炸裂します。ケンゴはケンゴでも、スミケンだ~~っ!! 内水域がもつれるとみて、パワー凄い徳増とリズム凄い白井へ。

3連単★5-46-全


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本日の“本紙予想”オーシャン4日目

 ども。Kです。相変わらずインが強い若松オーシャン。ということで、昨日の後半はやっすい配当が立て続けに当たっております。やっすい配当ですが……。

1R 
石橋が逃げて水神祭。アシは川﨑が抜けている。
◎石橋 ○川﨑 ▲今村
3連単1-36-全

2R 
平田が動くか。太田に絶好のカドが巡って来るかも。角谷は悪くないアシだが。。
◎太田 ○角谷 ▲山本 △吉田俊
3連単3-241-全

3R 
西島の前付けで深くなれば、横西に展開利ある。柏野の逃げ残し本線。
◎横西 ○柏野 ▲西島 △瓜生
3連単2-156-全

4R 
今垣はピンピン勝負だが……白水の逃げが優勢か。
◎白水 ○今垣 ▲坪井 △石川
3連単1-623-全

5R 
白井が予選1位も見据えて渾身の先マイ。山崎の勝負駆けに妙味あるか。
◎白井 ○山崎 ▲中島
3連単1-53-全

6R 
中尾の足なら逃げ切れるはず。菊地が全速戦で続く。
◎中尾 ○菊地 ▲山本 △寺田
3連単1-536-全

 後半は後ほどアップします。


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4日目! 海王への第一関門

おはようございます。オーシャンカップ4日目、若松競艇場は不穏な雲行きとなっております。朝は雨降ってたし……非常に涼しくていいんですけどね。本日は予選最終日、勝負駆けデー。水面はアツいですよ!

2009_0723_0238 ペラ室で語らう松井繁と原田幸哉。2年前の笹川賞を思い出すと……なんかいい感じですよね。彼らは一流の勝負師! そういうことです。(PHOTO/中尾茂幸)


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若松オーシャンカップレース回顧(担当:K)

 姫園は舟券で負け倒して若松から逃亡してしまった。H記者は本日まで東京にて居残り特訓、明日からの参戦。というわけで、現場では本日は孤軍奮闘のKなのである。
 えっと、何を言いたいかというと、ピットを行ったり来たりしつつ、原稿も書いたりしていると、12Rすべてを完全に追いかけるのは不可能なんですよーーー、という言い訳である。つまり、全レース回顧などという壮大な企画を始めた姫園の遺志を引き継ぎはしますが、機力診断についてはやや心もとないことをお断りし、お詫び申し上げておきます。明日は、H記者がきっちり見立ててくれるはずです。

【1R】
 濱村芳宏のイン逃げ。他の5艇に決定力が欠けていたことが大きかったように見え、濱村自身の機力もそれほどではないか。差して引き波にズルリと乗っかった原田幸哉はやや苦しいか。その原田を交わしつつ外を回り、濱村に迫った辻栄蔵がこのなかでは上位だった。

2009_0723_0442 【2R】
 田中信一郎が動いて2コース。ただし、内がそれほど深い進入にはならなかった。3コースからコンマ12のSでややのぞいていた飯山が、スリットから伸びてマクリ一閃。飯山の行きアシから伸びは上位級と言っていいだろう。ただ、常に突き抜けるだけの爆発力があるかどうかは微妙なところ。明日の8R3号艇は、とにかくスタートがカギになりそう。
 2着に粘った田中は、上向き気配だと思う。川﨑智幸は1Mで行き場がなくなったのが不運だった。

【3R】
 徳増秀樹がツケマイ一発。インの松本勝也がややヘコんだとはいえ、一撃で後続を6~7艇身も突き放すパワーはド迫力。間違いなくトップクラスのアシである。
 注目したいのは2着の重成一人。1Mでは6コースから最後に差して出口では5~6番手だった。しかし、引き波をまったく苦にせずバックに出ていったし、そこから最内をグングン伸びて2Mは先マイを果たしている。しかも、サイドがしっかりかかったターンで、一気に2番手に浮上しているのだ。相当な仕上がりになっていると言っていい。

2009_0723_0434 【4R】
 西島義則が2コースで、インを主張した横西奏恵は100mを超える起こし。そして、素人目にもハッキリわかるほどに、起こしが遅れた。というわけで、ゼロ台決めた西島のマクリ一発は、展開勝ち。西島本人はアシはいいと言っているが、なんとも判断はしにくいところ。素晴らしいハンドルワークでマクリ差しを放った濱野谷憲吾をバック入口から突き放しているが、濱野谷の出足関係が物足りない可能性がある。
 遅れて回った横西と絡んで後退した森高一真は、4番手までなんとか追い上げたように、ターン足に力強さが生まれてきているように見える。ただし、展開が見えていないのではないか……。

【5R】
 松井繁がピット離れで遅れた。後半もややもたつき気味で、どうにも仕上がり切れていない印象。それでも準優当確なのだから、機力よりも選手の実力か。
 イン逃げ決めた石川真二は、悪くはないと思うがここはスタート勝ち? それよりも、2コースから果敢なツケマイを放ってしっかりと2着に追走した丸尾義孝が、バランスとれたアシとなっているように見えた。
 スリットから伸びたのは笠原亮だが、叩き切るまでには至らず。4コースの吉田俊彦が握ったため、差しに転じたが、やや落としすぎた印象だ。しかし、バック5~6番手争いから、3着まで押し上げた道中のアシは力強い。3周2Mで吉田をツケマイで沈めたアシにも迫力はあった。上位級の少し下、といったところか。

【6R】
 スリット横一線で、中野次郎は展開勝ちといった趣き。ツケマイ連発の山崎智也は、機力というよりは力任せといった雰囲気で、まだ上昇の余地がかなりありそうだ。
 明らかに仕上がってきていると見えたのは吉川元浩。バック併走の相手だった平田忠則が弱い可能性はあるが、気配は確実に上だった。ただ、引き波を超える際に舳先が少し浮いていた。

【7R】
 全艇がゼロ台、うち5艇がしかも前半という、壮絶なスリット合戦となった7R。そこから伸びていった飯山は、やはり行きアシが鋭い。もっとも、内が放った可能性もあるのだが……。ただし、インの田村隆信を叩き切るまではいかず。あともう少しの伸びがあれば、超抜クラスになるのだが、そこまでではないということか。
 田村は、正直苦しいと思う。飯山をブロックし、逃げたのはパワーより腕。山本隆幸に差を詰められているあたりが、正味のパワーをあらわしていると言えるのではないか。その山本は追い上げが利くアシ。ただし、モーターメンバーを考えれば、上位級とまではいかないか。
2009_0723_0346  常に超抜に仕上がる坪井康晴が、今節はやや厳しそうだ。

【8R】
 藤丸光一のアシはやはり上位級。中島&菊地のW孝平もかなりいい部類だと思うが、インから寄せ付けなかったのだから、仕上がりはいい。
 W孝平では、菊地が上位か。行きアシも悪くないし、ターンのかかりも絶好。菊地の全速戦に反応するアシ色だと思う。ともかく、この8Rはパワー上位で順当に決まったレースといえそうだ。

【9R】
 田中信一郎がやはり上向いている。Sで湯川浩司にのぞかれながら伸び返し、先マイ押し切り。湯川が兄弟子に遠慮したという感もなくはないのだが、仮にそういう気持ちが湯川にあったとしても、一気に伸び切っていればさすがにマクリで沈めていたはずだ。それを許さないくらいの行きアシが田中についてきたということではないだろうか。
2009_0723_0064  その湯川は、ストレート系は軽快に見えるが、ターン回りはもうひとつか。握って攻めれば見どころはあるが、だから逆に2コース差しは向いていないように思えた。逆に、辻栄蔵はストレートよりもターン系に分があるか。
 濱野谷憲吾も、1Mで本来の鋭さとまではいかず、完調ではないだろうが、引き波に負けるようなことはなくなっている。あと少し上向けば、憲吾らしいターンが爆発する可能性はある。

【10R】
 外が攻め切れなかった分、寺田祥は楽なイン逃げ。機力的には判断が難しい。
 前半上向いたと見えた森高一真だが、回ってから押す力がやや落ちているような気がした。1M、差した川﨑智幸をいったんは外から交わしているが、すぐに追いつかれて2Mで捌かれている。むしろ、川﨑の軽快な足色は注目に値する。
 3着に逆転浮上の松井繁は、やはり機力より選手の実力という印象。ただし、腕を発揮できるだけのアシにはなってきている。

2009_0723_0446 【11R】
 吉川元浩の気配が完全に上向いた。バックでは森永淳に迫られたのだが、これをすーっと突き放して競り合いにもちこませなかった。おそらくかなりいい部類のアシに仕上がっているはず。
 森永もターン系は相当にいい。1Mでの差しは吉川の引き波を完全になぞっているのに、これを力強く乗り越えて、吉川に迫ったのだ。明日の12Rは6号艇だが、決して軽視はできない。最内を差してバックで伸びるシーンは充分に考えられる。
 石川真二と高沖健太はほぼ互角か。悪くはない。

【12R】
 1Mで太田和美と絡み、瓜生正義と接触した今垣光太郎が、2Mでターンできずにコースアウト。選手責任外ながら、失格となってしまった。操縦不能になった様子だが、明日に影響が出なければいいのだが……。
 目についたのは、まず白井英治の行きアシ。スリットからジワジワと伸びてマクるアシは破壊力を感じた。2コース太田和美も行きアシは悪くないと見えたから、白井のパワーは上々。ただし、それでも超抜と言えるかどうかは難しい。
 一方、この勝利で予選トップを決めた丸尾義孝のマクリ差しはお見事の一言。スリット後は白井についていけているし、白井の引き波を超えるのも実にスムーズだった。やはりバランスがとれている。
 もう一人、横西奏恵のマクリ差しも、3着までだったとはいえお見事だった。ターンの出口でちょっとバウンドしたあたり、あと少しの上積みが欲しいところだが、展開を突けるだけのアシはきている。明日の3Rはまた西島義則と一緒だが、2号艇で登場、西島を入れて3コースなら充分に展開利は望めそうだ。

2009_0723_0272  個人的に明日の注目は森永淳。あと、吉川の上昇ぶりがどうにも気になるのだが……。ベストパフォーマンスは徳増秀樹の豪快ツケマイ一発で決まり!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/K)


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THEピット――深い

2009_0723_0259_2  整備室を覗いたら、今村豊が本体整備中。ただし……不思議なポーズを取っている。モーターを触りつつ、うなだれて下を向いているのだ。体調に異変? しかし寄り添っている整備士さんは、むしろ明るい表情で今村を見つめている。今村のモーターに触れている手をよくよく見てみると、両手の人差し指がゆっくりと上下に動いていた。触っている場所は、モーター本体とキャリアボディーの接地面と思われる場所。その微妙な感触を指先でチェックしているようなのだ。うつむいているのは、指先に神経を集中しているということなのだろう。本体とキャリアボディーの接地面は少しでも隙間があるとモーターのパワーはダウンすると聞いたことがある。そうしたあたりを、今村はゴッドフィンガーで確認しているということなのか。
 そのチェックが終わると、すぐに三つ割の整備をし始め(クランクシャフトですね)、いつまで経っても終わらなかったため、確認することはできなかったが、競艇選手は五感を研ぎ澄ませて戦っているのだと改めて知った次第だ。

2009_0723_0402  7Rで、田村隆信が先頭を走りながら、妙に内側を走っているなあと感じた。トップを走っている選手は直線ではおおむねコースの中心からやや外寄りを走るものなのに、田村は反対の水域を走っていたのである。
 なぜなんだろう?
 田村を捕まえられたのは、10R終了後。機力に不満を残している田村は、レース後も必死でペラ調整をしていた。チャンスはエンジン吊りの後しかないと、同期同地区の森高一真が出走していた10R後を狙い撃ちしたのだ。
 話を切り出すと、一瞬キョトンとしたので、こちらの見間違いかと思ったが、田村は「ああ、そう走ってたと思いますねえ」と言った。これって何かをチェックしながら走ってたのですか? そう訊くと、田村は優しげに笑った。
 以前にも聞いたことがあるのだが、先頭を走っている選手には仁義のようなものがあるという。もう逆転されることはないほど盤石な先頭の場合、後方を走る選手になるべく引き波を残さないよう走ることがあるそうなのだ。ターンマークでは仕方がないが、直線なら走る場所によっては後ろを走る艇に余計な引き波を与えずにすむ。どうやら田村は、そうした走りを心掛けていたらしい。
「後ろが山ちゃんだったでしょ」
 2番手を走っていたのは、同期の山本隆幸。だからなおさら、自分の引き波にハマって山本が後退することは避けたかったに違いない。もちろんそれは、田村の超一流の腕があってこそできるもの。トップクラスのレーサーは、我々には想像の及ばないところまでさまざまな目配りをしながら走っているのだと、改めて知った次第だ。

2009_0723_0076  10R前、白井英治が手早くペラをつけて、水面へと向かった。12R出走の白井は、あたりが暗くなってから本格的に試運転をしようというのだろう。遅い時間帯のレースに出走する選手にはよくある姿である。
 ところが……白井は1周しただけで再びボートリフトに収まり、陸の上に戻ってきてしまった。えっ、もう終わり?
 白井はさっきつけたばかりのペラを外して、ペラ室へと直行。おそらくは、水面に出てみて、期待通りの手応えを得ることができなかったのだろう。その行動には、わかりやすい理由付けができる。
 しかし、レースの時間が迫っているというのに、あえて陸に上がってしまう必要はない。係留所でペラの取り外しをしているシーンなど当たり前のものだし、10Rが終われば展示ピットにつけなければならないのだ。引き上げてくるほうがずっと面倒くさいに決まってる。
 それでも白井は、自分のスタイルとして、いちど陸に上がったのである。選手は我々には測り知れないこだわりをもっているのだと、改めて知った次第だ。

2009_0723_0164  SG初出場の石橋道友。いまだ初1着はあげられていないが、懸命な走りで最高峰の舞台に食らいついている。今日も、11R発売中まで試運転を続け、なんとか成績をあげようともがいている様子だった。
 だが、石橋の仕事は走るだけではない。登番が下から2番目ということは、いわゆる新兵である。もっとも登番が若い吉村正明とともに、雑用も大事な任務である。
 石橋の足合わせのパートナーは、笠原亮だった。二人は情報交換をしながら、レースの合間には試運転を繰り返す。笠原もさまざまなアドバイスを石橋に送っているようだった。11R前、笠原が係留所への渡り橋を颯爽と降りていく。それを見た石橋が「リョーさーーーーーん!」と叫びながら走り寄った。
「すぐ行っちゃいます?」
 石橋は困ったような顔でそう呼びかける。石橋には、モーター架台をリフトのそばに運ぶなど、次のレース後のエンジン吊りがスムーズに進むよう準備をする仕事があるのだ。自分の試運転はそのあと。だから、リョーさん、ちょっと待っててはもらえませんか、ということなのだろう。笠原は一足先に係留所に降りて、石橋が仕事を終えるのを待った。選手たちは自分のことだけ考えるような利己的な性格では務まらないのだと改めて知った次第である。

2009_0723_0416  その笠原亮は、明日、勝負駆けである。ボーダーを6・00とするなら、14点=2着3着が必要となる。モーター室の入口に貼り出されている前夜版を眺めていたら、笠原が「あとちょっとですよ」と笑顔で声をかけてきた。あとちょっと、とは、自分の求めるアシが仕上がるまであとちょっと、というほどの意味である。明日は2着3着ですね、と言葉を返して、少し後悔する。笠原にとって、ポイントを積み重ねて勝負駆けを成功させる、なんてことは小さいことだ。目指すは1着のみ。そして、自分らしいレースをすることこそが重要、なのである。しょっちゅう言葉を交わしているのに、僕もまだまだ甘い。
 並んで笠原の明日のレースを探す。7Rと12R。これがまた、なかなか脂っこいメンバーである。7Rは1号艇に師匠の服部幸男がいる。12Rはそもそもエンジンメンバー上位のレースだ。あらぁ、これはキツいところに組まれたなあ、と顔をしかめていると、笠原自身は変わらずニコニコしているのだった。そうなのである。笠原にとって、メンバーがどうこうというのも、小さいことなのである。どんなメンバーであろうと、全力を尽くして1着を目指すのみ。自分好みのアシさえ来れば、どんなレースであろうと楽しんで勝利を追求できる男なのだ。僕も本当に甘いな。
 実際、笠原は明日のレースに思いを馳せて、それを楽しみにしている様子だった。この男のピュアなレーサー魂は日々磨きがかけられているのだと、改めて知った次第である。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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明日の勝負駆け情報! 予選トップは伏兵が!

 予選3日目を終了し、明日は勝負駆け。現時点での予選1位は、伏兵・丸尾義孝であります。久々のSG出場で、充分に存在感を発揮しているあたりはさすがの百戦錬磨であります。
 ボーダーは6・00と想定します。当確は6名。機力劣勢でありながら、きっちり当確を出している王者はさすがでありますね。ボーダー付近にはなかなか脂っこいメンバーが。勝負駆け、苛烈になりそうですぞ。
 なお、以下の順位において、6・00に届かない選手は割愛します(ただし1点足らずの場合は相手待ちとして掲載)。

1 丸尾義孝  当確
2 白井英治  5・5着
3 中島孝平  5・5着
4 重成一人  当確
5 菊地孝平  4・5着
6 藤丸光一  当確
7 森永淳   当確
8 吉川元浩  当確
9 松井繁   当確
10 石川真二  5着
11 高沖健太  5着
12 徳増秀樹  4着
13 川﨑智幸  4着
14 寺田祥   3着
15 田中信一郎 3着
16 西島義則  3着
17 湯川浩司  3着
18 山崎智也  3・3着
19 辻栄蔵   3着
20 濱野谷憲吾 2着
21 中尾誠   2・3着
22 横西奏恵  2着
23 瓜生正義  2・3着
24 笠原亮   2・3着
25 森高一真  2着
26 坪井康晴  2・3着
27 平田忠則  2・3着
28 太田和美  2・2着
29 山本隆幸  2・2着
30 中野次郎  1着
31 金子龍介  1着
32 飯山泰   ※1着相手待ち
33 伊藤宏   1・2着
34 平尾崇典  1・2着
35 角谷健吾  1・2着
36 柏野幸二  1・2着
38 今垣光太郎 1・1着
40 白水勝也  1・1着


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“本紙予想”3日目後半

 昨日と同様、イン主体というよりインだらけの後半戦“本紙予想”であります。また薄目が引っかからないかなあ……。

7R
伸び鋭い飯山のカド戦が炸裂する。連動する坪井が相手本線。
◎飯山 ○坪井 ▲田村 △平尾
3連単4-513-全

8R 
エース機・藤丸が逃げて今節初勝利。菊地がカドから自在に続く。
◎藤丸 ○菊地 ▲中島 △柏野 
3連単1-435-全

9R  
田中が弟弟子を壁にして逃走決める。湯川との同門ワンツーが本線。
◎田中 ○湯川 ▲濱野谷 △角谷 
3連単1-246-全

10R 
寺田が今節2本目のイン逃げを決める。王者よりアシいい川﨑に妙味。
◎寺田 ○川﨑 ▲松井 △森高 
3連単1-243-全

11R  
吉川が踏み込んで外を封じ込む。魚谷が全速戦で続く。
◎吉川 ○魚谷 ▲高沖 △森永
3連単1-532-全

12R 
瓜生のイン戦は盤石。伸び戻れば、今垣のダッシュ戦が怖い。
◎瓜生 ○今垣 ▲太田 △白井
3連単1-523-全


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THEピット――朝(本当は午後イチくらい)

 今日は普段より1時間ほど早くピット出勤。記者席を出る頃には水面では朝のスタート特訓をやっていたから、1R開始まではまだまだ間がある時間帯だ。
 ピットに着くと、装着場は閑散としている。理由は簡単で、スタート特訓のために着水している選手が多いからだ。すなわち、試運転用係留所はボートで埋まっている。その分、陸の上には選手は少ない。
20090722_0559  係留所を見渡すと、やはりレースの時間帯が早い面々が目立つ。3R出走組の徳増秀樹や魚谷智之、重成一人がエンジンを鳴らして回転数を確かめていると、その隣に森高一真や横西奏恵といった4R組が同様のチェックをしていたりする。ちょうどスタート練習をしているのが、笠原亮、服部幸男、松井繁ら5R組。1R組と2R組がいないなあ、とさらに見渡してみると、彼らはすでに本番ピット、展示ピットに係留しているのであった。ということで、そちらのほうに原田幸哉や中野次郎、飯山泰らの姿が見かけられる。
20090722_0820  なるほどなあ、と装着場に目をやると、白水勝也がモーターを装着中。4R出走だ。平田忠則、丸尾義孝、長岡茂一といったあたりも続々とモーターを装着し、彼らは5~6Rに出走。彼らはモーターを装着すると、着水のためにボートリフトに向かっていった。
20090722_0509   さらにその後、山本隆幸や菊地孝平、柏野幸二、池田浩二らが装着場で点検に取り掛かる。このあたりは、7~8Rに出走するメンツ。ピットに4年半も入っているのに、今まで気に留めたことがなかったが、出走時間帯の順番に選手たちは動きだす、ということである。当たり前っていえば当たり前だけど、妙に感心するのだった。
 よくよく考えてみると、湯川浩司や森永淳、白井英治らをまったく見かけない。なるほど彼らは、午後6時以降の出走である。こんな時間帯からドタバタする必要など、まったくないのであった。ちっちゃなことだが、新たなる発見である。

20090722_0232  もちろん例外はある。今垣光太郎は12R1回乗りだというのに、朝から整備の鬼と化していた。1Rのスタート展示が始まる前には整備を終えて、ボートに装着しようとしており、声をかけてみる。朝から熱心な整備ですね。今垣は、いちおう笑顔でハイッと返してきたのだが、まるで心ここにあらずといった雰囲気。彼の好人物な性格が笑顔を向けはしても、気持ちは完全にモーターに占領されているのである。
2009_0721_0853  同じく12R1回乗りの瓜生正義も、今垣と入れ替わるように整備室へと吸い込まれていった。その直前、いったん装着したモーターを外す際、松井繁が走って架台を取りにいっているのを見て、ちょっとのけぞりそうになったが、ともかく瓜生はモーターを整備室に持ち込んで、整備開始。覗いてみると、本体を外していた。
20090722_0931  太田和美も、12R1回乗りながら、かなり早い始動をしていた。水面に下ろすところはピットにいる間には見られなかったが、装着場で汗をかきつつモーターと向き合い続けていたのだ。昨日の太田は、2R1回乗りながら、11R前まで試運転。そして今日は12R1回乗りながら朝から作業。もしかしたら、今節もっとも仕事をしている時間が長い選手かもしれない(もう一人の最長仕事時間候補は松本勝也か)。

20090722_0331  13時45分にスタート特訓が終わり、ピット内には「試運転時間、残り約17分です」というアナウンスが響く。すなわち17分プラス数分で、1Rのスタート展示が始まるのである。係留所にいた面々は、一斉に水面に飛び出すのか……と思ったら、そうでもなかった。回転数をチェックすると、そのままいったん引き上げる選手のほうが多いくらいだった。ペラを外してペラ室へと向かう選手もいた。重成一人や森高一真といったあたりである。不思議なもので、特訓が終わると全体的な動きはむしろゆるやかになっていった。
20090722_0841  今節この稿に初登場? 気になる山崎智也が、係留所から上がると喫煙所に。智也はスモーカーなのです。私もスモーカー、このご時世にともに抗ってまいりましょう……てなことはともかく、朝の作業を終えていったん休憩といったところだろう。一服つけると、喫煙所の10mほど先で横西奏恵と中野次郎が話し込んでいるのを発見。そーっと近づいた智也は、横西の背後に回って両ひざの裏にヒザカックン攻撃(笑)。奏恵ちゃんは大げさにのけぞって、何すんのよ的な笑顔を見せた。智也は目だけで笑って、去って行った。
20090722_0636  ふたたび智也が装着場に姿を現わしたのは10分後くらいか。中野次郎が1Rの展示準備のため、待機室に向かおうとしているのを発見した様子だった。何やら不穏な目つきになる智也。奏恵ちゃんの次は次郎にちょっかいを出すつもりか(笑)。ところが次郎、智也のそんな一瞥にまるで気づく様子もなく、暢気な表情で待機室へスタスタスタ。智也は仕掛けるタイミングを完全に逸したようだった。次郎の天然ぶりには智也もかなわない、ってとこか。智也がちょっと寂しそうな表情になったように見えたのは気のせいだろうか。

20090722_0631  そうこうしている間に、ピットの空気はいったん完全に止まったように感じた。14時6分、1R出走選手にスタート展示乗艇準備のアナウンスがかかる。そして3分後、スタート展示が始まった。選手控室のある競技棟のほうを何気なく見やると、水面際で高沖健太と吉田俊彦がしゃがみ込んでくつろぎつつ、スタート展示を眺めていた。何はともあれ、本日も戦いは始まった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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H記者の『穴・極選ブラック』3日目

 700kmほど離れた我が家までK記者の高笑いが届き(妄想?空耳?)、一睡もできなかったHです。憲吾どの(仮名)のオノロケも妙に耳(目)障りだし……w ジャンクどの、れいこさま、すいません。昨日の私の運をすべて吸い尽くした憲吾どの(仮名)に怒りの矛先を向けてくださいね。
 昨日は、またしても選択ミスというべきでしょうか。1Rの伊藤-松本30880円はマンマの「ダービー勝負駆けセット舟券」でしたね。もちろん事前にそうとは知りつつ、極選をシコシコ書いている間に1Rは終わっておりました。
 今日も3R(松本&伊藤&重成の3点セット)が気になりつつ、後半戦から選ぶとしましょう。今年10年ぶりにGIウイナーになったカッシーノで勝負!

 8R
★①藤丸光一
 ②仲口博崇
 ③中島孝平
★④菊地孝平
◎⑤柏野幸二
 ⑥池田浩二

進入123/456

 今節の菊地の気合S&スリットからの行き足は鬼気迫るものを感じます。ここも4カドから強引に攻めるはず。ならば、狙うべき穴選手はひとり。菊地に連動する柏野しか考えられません。昨日までのダービー勝率はジャストボーダーの52位! ただでさえ勝ちたいところに、菊地という美味しい仕事人が内に鎮座ましている。S決めてマーク差しに徹すればバックで突き抜けるはず! ヒモはもちろん必殺仕事人と地元のエース機へ。

3連単★5-14-全

 これを当てて、K記者からうりちゃんを奪還するど~!


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本日の“本紙予想”オーシャン3日目

 ども。Kです。ふむ、昨日の11R、マンシュウが的中ですな。だはは、H記者ファンの皆様すみません。イン主体でも、時々薄目がが突っ込んで、こうした事態になりますな。極選よりマンシュウ的中数は多いような……。

1R 
原田が差してバック抜け出す。辻との一騎打ちか。
◎原田 ○辻
3連単2=3-全

2R 
田中が動けば、飯山に展開向くはず。川﨑が機力上位。
◎飯山 ○川﨑 ▲田中 △長岡
3連単2-461-全

3R 
松本が意地の逃走劇見せる。差す魚谷が相手本線。
◎松本 ○魚谷 ▲徳増 △重成
3連単1-236-全

4R 
横西は西島の前付けにどう対処するか。イン獲り切るとみて、逃げ切りを狙う。
◎横西 ○森高 ▲濱野谷 △石橋
3連単1-236-全

5R 
松井&服部の同期コンビの進入難解。それでも石川が逃げ切ると見る。
◎石川 ○笠原 ▲松井 △服部
3連単1-456-全

6R 
中野が渾身の逃げ切り見せる。山崎との仲良しワンツーが濃厚か。
◎中野 ○山崎 ▲吉川
3連単1-34-全

 後半は後ほどアップします。


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3日目! 夏空です!

おはようございます。オーシャンカップ3日目でございます。今日も晴れ上がって、夏の空が広がっております。暑くなる一方の時期、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。

20090722_0102 選手紹介で、40代を選手生活のピークにしたい、と宣言した柏野幸二。これが40代突入後の初SGなんですね。取材班はアラフォー世代が多いので、親近感が沸くというものです。そうです、男は40から。柏野選手、そして全国のアラフォー競艇ファンの皆様、ともに頑張りましょう!(PHOTO/中尾茂幸)


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若松オーシャンカップレース回顧(担当・姫園)

【1R】
 スリット同体から3コースの金子龍介が強引にまくりにいく。インの吉村正明はそれに抵抗。2コースの白水勝也が小回りを選択して、差しを狙っていた4号艇の石橋道友は行き場をなくす。
 内2艇、外に2艇と、ポッカリ開いた隙間を、悠然と抜け出していったのが5号艇の伊藤宏。2日目オープニングカードは地元の伊藤が飾った。
 展開がむいて勝てた伊藤宏に対して、人気を背負っていたもう一人の地元選手・白水勝也はズルズルと下がっていく形での5着。機力的にキビしい面があるのかもしれない。

【2R】
20090722_1058_2  吉田俊彦がピット離れでやや遅れ、そこに太田が回りこみ123/546の進入となる。昨日もピット離れが悪かった吉田だが、まだなおっていない模様。
 レースは1号艇イン戦の高沖健太がコンマ21のスタートから押し切って、嬉しい水神祭を飾った。機力的に注目すべき選手は、太田和美と濱野谷憲吾。太田はスリット通過後の足がなかなか鋭かった。テクニックが上位とはいえ、濱野谷は展開のない6コースから、よく3着にまで追い上げている。

【3R】
 6号艇の西島義則が回りこんでくるも、1号艇の森永淳がインコースを死守。90m付近からの起こし位置ながら、コンマ16のスタートを決めて押し切った。見事なイン逃げで、昨日書いたとおり機力も良さそう。
 2着に入った藤丸光一は、前検でみた素晴らしい足からは遠のいている感触があった。ペラ交換が上手くいかなかったのかもしれない。西島の機力はキビしそう。3着に入った吉川もあまり良くは感じない。

【4R】
20090722_0489  菊地の十八番、スタート一撃が炸裂。スリットでインに3分の2艇身先制できれば、まくれるのも道理だ。1マークでのサイドのかかりも良く見えた。まだ暑い時間であったにもかかわらず1分47秒台が出たのは、モーターがいい証明といえるのかもしれない。
 湯川はチルトを1.5にハネて2着。たしかに伸びたが、一気に1マークを陥落するまでは及ばなかった。6号艇ならチルト1.5を使うかもしれないが、他艇ならチルト0に戻すかも。もともと伸びがあったエンジンなので、チルト0でも戦えるようには思う。仲口はかなりキビしそうな足だった。

【5R】
20090722_0950   重成一人、山崎智也、丸尾義孝の3人が2周以上にわたって1着を争う激しい見ごたえのあるレース。本日のベストレースといってもいい。重成がいったん先頭に立つも、道中で丸尾が逆転して1着になった。
 この3人のなかなら、機力が一番上なのは重成一人か。勝った丸尾義孝は展開が向いた面が大きく何ともいいづらい。善戦した山崎智也だが、機力的には一枚落ちるか。

【6R】
 3号艇の寺田祥が奇襲を仕掛ける。選手とファンの意表を突くピット離れをみせて、インコースを奪い去り、そのまま逃げ切る離れ技をみせた。鮮やか。

【7R】
 6号艇の松井繁が回りこんで内をうかがう。それに対して2号艇の今垣光太郎は枠を主張せず引いて4カドを選択。この作戦を見ても、今節の今垣のエンジンに伸びがあるのがよくわかる。
 ただ今垣のその後のレースはいまひとつだったように思う。スリット同体から伸びていってまくりを打とうとするが、1マーク手前で躊躇して差しに切り替え。最内に進路をとったものの、回り足が弱いのか他艇に離されていき6着に敗れた。
 1着は原田幸哉。コンマ07スタートからの押し切りだけに足の判断はつかず。直感的にはそう弱くはない気がしたが、明日の1レースで判断がつのではないだろうか。

【8R】
 5コース平田忠則の気合が目立ったレース。4カドの横西がコンマ22のスタートであったのに対し、平田がブチ込んだスタートはコンマ07のトップスタート。一気に横西を絞って内を攻めにいくが、インの徳増秀樹にまでは及ばなかった。
 1着は徳増。2着に平田。スタートで後手を踏んだ横西だが、1マークで展開むいて3着に踏ん張った。

【9R】
20090722_0805   電撃スタート4カドまくり。ホワイトシャーク、白井英治の魅力が思う存分つまったような一戦。風向き的にも、潮目的にも、そうまくりが有利な水面ではなかったように思うが、それでも1マーク一発で決めてきた。
 2着の中島孝平は白井のまくりに乗り、1マークではいったん突き抜けそうな場面も見せたが、艇がバウンドした分だけ少し失速。突き抜けるまでにはいたらなかった。

【10R】
 エースモーターを引いた博多ん大将・藤丸光一が、4コースからコンマ07のトップスタートを決める。それに対して内3艇のスタートは「23、21、26」。スリットで一艇身のリードがあれば、藤丸のモーターなら一気に攻められる。1マークに到達するまでに2・3号艇を絞って、1マークでも豪快に外を回る。
 藤丸が切り開いた道に続いたのが、福岡のエース・瓜生正義。バックで藤丸とのラップ状態に持ち込むと、2マークで逆転(決まり手はまくり差しになっていが)。5号艇6号艇の福岡選手がワンツーフィニッシュを決め、地元のファンに2マンシューという大きな配当をプレゼント。
 前半レースではいまひとつの競走だった藤丸は、ペラを戻して正解が出たのかもしれない。

【11R】
 3対3の枠なり。4カドの田村隆信がコンマ55のドカ遅れ。それ以外の5艇はほぼ横一線に並んだスタート。
 1マーク手前で3コースの湯川がまくりにいこうとするが、それを2コースの西島義則が強烈にブロック。開いた差し場に飛び込んできたのは、好エンジンを引いていた川﨑智幸だが、差し切るまではいかず、山崎智也が逃げ切り勝ち。
 展開一本のレースだったので、機力の判断は難しい。が、山崎智也の勝ちタイムは、そう早くない。

【12R】
20090722_0208  3号艇の坪井康晴がよもやのピット離れ失敗。6コースに追い出される。
 コースがひとつ内になった6号艇の菊地孝平がコンマ11のトップスタートを決めるが、松井を脅かすまでには至らず。勝利者インタビューで本人もコメントしていたとおり、松井のモーターはあまり良くないのだが、それでも貫禄で逃げ切り勝ちをおさめた。
 機力が光っていたのは坪井康晴。1マークを回ったときは4~5番手争いが濃厚だったのに、そこから追い上げて最終コーナーでは2番手の重成一人にあと一歩というところまで迫ってきていた。現在の予選順位はボーダー付近だが、坪井を侮ってはいけない。
 


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THEピット――10R直前

2009_0720_0681  試運転からいったん係留所に帰投した吉田俊彦が、ボートから降りると猛ダッシュ! 向かった先はボートリフト。足合わせのパートナーだった金子龍介が試運転を終えて、ボートを引き上げていた。吉田はキンリューめがけて全力疾走。そしてボディアターック!……というのはウソで、キンリューのエンジン吊りを手伝ったのだった。時は10R前、すでに装着場は閑散とし始めており、リフトの周囲に選手の姿は見当たらなかった。それを係留所から視認した吉田トシが猛ダッシュ! という次第である。トシは11R発売中にも試運転をしており、陸の上でも水の上でも走りまくっていた夕暮れ、であった。
2009_0721_0540  吉田トシとは対照的に、ゆったりゆったりした足取りで装着場をうろうろしていたのは、伊藤宏である。ゆったりというよりは、とぼとぼ、といった感じで、手持無沙汰そうにうろうろうろ。途中、すれ違った寺田祥に何か声をかけて、ワイルドなひげが印象的な口元を緩めたりもしていた。よくよくあたりを見渡すと、伊藤のボートは係留所に。すでに10R前の試運転タイムは終了していたから、11R前の試運転を待つ間、ちょっと手が空いたということなのだろう。人口密度の薄い時間帯のピットでは、そのたたずまいはよく目立っていた。
20090722_1016  そこに、10R出走の瓜生正義が控室のほうからあらわれた。軽快な歩様で出走待機室へ。その途上で、伊藤宏と顔を合わせる。76期同期の二人、ごくごく自然に会話が始まった。伊藤のヒゲは相変わらずゆるやかで、瓜生の瞳も明るい。レース直前とは思えないリラックスした瓜生の表情は、伊藤のヒゲ……いや、人徳がもたらしたものなのか。ともあれ、同期というのはいいもんなのである。
20090722_0153  10R出走組といえば、木村光宏が不思議な動きを見せていた。展示を終えて、出走待機室に収まった木村は、10分ほど経って室外に出てきた。レース直前でもないのに、塩をとって足もとに撒く。そして、ボートリフトへと歩み寄ると、脇に貼り出されている出走表を覗き込んで、数分動かなくなった。出走表は、何もそこに見に行かなくても、選手はたいがい持参しているものだし、出走待機室にだって置かれているはず。しかも、展示の後ということは、いくらなんだって対戦相手はわかっているし、スタート展示で進入の動向もある程度は見えているだろう。なのに木村は、あえてリフト横の出走表を覗き込む。もちろん木村なりの理由はあるのだろうが。
 木村はその後、いったん控室へと戻って、締切7~8分前に出走待機室へと改めてやって来ている。そして……その途中でリフトに寄り道し、ふたたび出走表を覗き込んで、1~2分考え込んでいた。変幻自在の木村だけに、こうして何度も何度も作戦を練り直す、ということだろうか。
2009_0720_0544  同じころ、服部幸男も控室のほうからあらわれた。まっすぐに視線を据えて、確かな足取りで歩く服部は、まさしく哲人。と、途中でなぜか軌道を外れて、整備室に顔を出す。そこには菊地孝平がいて、腕組みをしながら談笑。菊地と別れた服部は、笑みを残したまま、また腕組みをしたまま、待機室へと歩き出した。その笑みは、待機室前まで浮かんだままで、実に珍しい光景となっていたのである。なんかいいもん見た、と思った。
20090722_0405  締切5分前となり、集合合図がかかると、池田浩二も早足であらわれ、すすすすっと待機室へと消えていった。ん? 藤丸光一を見ていないな。展示から戻って待機室に入り、そのまま発走までの時間を過ごしたのだろう。
20090722_0796  魚谷智之の姿も見ていないが、これはいつものことである。魚谷は展示を終えると、待機室に入って、いっさい出てこないのがルーティンなのだ。それがレース前の精神統一のスタイルなのだろう。だから、レース直前の魚谷の表情はまず確認することができないのである。
 ともかく、こうして10R出走メンバーが待機室に揃った。締切1分前に整列、敬礼して出走ピットへ。そのシーンは、この10Rに限らず、予選とか優勝戦とか一般戦とかにかかわらず、見ているこちらも緊張する瞬間である。
20090722_0373 その10Rは、瓜生が6コースから突き抜けて、藤丸が2番手追走。地元のワンツーフィニッシュとなった。神妙な表情で戻って来た瓜生と藤丸は、しかしボートリフトに並んで収まると、顔を見合せてニコッ。充実感あふれる、爽やかな笑顔だった。そして……伊藤宏は瓜生を笑顔で出迎えていた。ヒゲがやっぱり素敵だった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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本日の水神祭 銀河系のニュースター!

 水神祭、出ました!
 本日2RでSG初1着をあげた高沖健太。遅れてきた銀河系戦士が、SG2走目で見事な初勝利であります。
 水神祭は、2走目である11R終了後。池田浩二、徳増秀樹、石川真二が待ち構える中、着替えを終えた高沖は、ハツラツとボートリフトにあらわれました。しかし3人は少ないなあ……ということで、まず池田が原田幸哉を呼びに行く。4人じゃまだ少ないよなあ……と、近くを通りかかった飯山泰が助っ人として馳せ参じました。さらに、12Rの展示を終えた菊地孝平と坪井康晴も急ぎ参戦。人数的には揃ったのですが……肝心な人たちがいないんじゃないの?
「待って~~~~」
20090722_1046  真打登場。湯川浩司、田村隆信、森高一真。そう、銀河系軍団がいなけりゃ、始まんないでしょ! 恐縮しつつあらわれた銀河系に、「やっぱり同期が前に出なきゃ」とポールポジションを譲った原田幸哉。う~ん、いい先輩だ。その様子を見て、そーっと輪を離れて遠くから見守ることにしたのは飯山泰。せっかく来たんだから参加すればいいのに……とお思いでしょうが、この奥ゆかしさが信州人なのであります。同郷人として、その気持ちわかるなあ。
20090722_1053  それではいきましょう。ワッショイスタイルで持ち上げられた高沖は、ほとんど何の前フリもなく、1、2の3でドッボーーーーーーン!と投げ捨てられた。空中で一回転して腹から落ちた高沖、まさしくムーンサルトプレス! ん? 高沖の名前は健太。ケンタのムーンサルトプレス? お前は小橋建太か! ということで、これから高沖のことをオレンジクラッシュと呼ぶことにいたしましょう。
20090722_1060  高沖選手、おめでとうございます。同期の何人かはずいぶんと先を走っており、SG初出場に思うところももろもろあったことでしょう。しかし、この舞台に来たからには、もう負けていられない。この喜びをステップボードに、一気に追いつき追い越せで頑張ってください!

 そうそう、高沖を投げ捨てた後、リフト上では「あぶねっ!」との悲鳴があがった。声の主は湯川、そしてどさくさ紛れに湯川を落とそうとしていたのは原田幸哉でありました。ポールポジションを譲ってたのは、こういうことだったのね。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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THEピット――静

 妙に静かなのである。天候一変の2日目、さぞかし選手たちは調整に追われてるだろうなあと想像しつつピットに入ったのだが、これが完全に肩透かし。装着場も整備室もしーんとしている。
2009_0721_0841  もっとも、早い時間帯には慌ただしい空気だったことを示す痕跡のようなものはある。試運転係留所が満艇状態なのだ。手早く調整して着水し、実際に走って手応えを確かめる。そうすることで今日の環境に適合させようとしたのであろう。そんな係留所をしばし眺めていたら、王者が走って係留所に降りていった。松井繁も走る、夏の晴れた昼下がり、である。
2009_0721_0135  整備室には一人だけ、選手がいた。辻栄蔵である。静まり返った広い整備室に、辻栄蔵が独りぼっち。選手紹介では「気合入れてしゅーしゅー言いながら」と言っていたが、整備室での辻は別にしゅーしゅー言ってなかった。当り前か。3R前には整備を終えて水面に出ていった辻と入れ替わるように整備室に入っていったのは田村隆信。2009_0721_0852 今度は田村がしばし独りぼっちでピストンを外すなどしていたが、すぐに松本勝也もやって来て、さらにレース後の格納作業を行なう選手も数人、整備室は少しずつ賑わいを増していった。
 2Rで高沖健太が水神祭をあげている。SG初参戦で、2走目の勝利。ところが、これまた静かなレース後、であった。湯川浩司や田村隆信ら同期もエンジン吊りでボートリフトには来ているのだが、声をかけるチャンスはなかなか生まれない。東海勢が高沖を出迎えるものの、三重支部は他におらず、それもあってか歓声も拍手も発生しないのである。真っ先に出迎えた笠原亮がニコニコと笑顔を向けてはいたが、SG初1着の祝祭ムードはそこにはない。高沖も小さく笑みを浮かべるのみ、だった。エンジン吊りが終了したあとに湯川が祝福の声をかけて、高沖はようやく特別な笑顔を見せたが、水神祭らしい雰囲気といえばその程度であった。やっぱり妙な静けさである。

2009_0721_0879  3R発売中、ふたたび静寂に包まれた装着場。そのなかで一人、丸尾義孝がモーター装着作業を始めた。黙々と、そして微細な部分まで丁寧に、モーターをボートに取り付けている姿には、ベテランらしい風格がある。この作業には、けっこうな時間を費やしていた。それほど、丁寧に慎重に装着していたのである。このあたりの作法というのは本当に人それぞれで、素早く装着して水面に飛び出す者もいれば、ミリ単位にこだわる者もいる。丸尾はまさに後者のようで、他に音のない装着場で着々と自身の仕事を続けるのであった。
2009_0720_0433  水面際に向かおうとすると、えらく静かな雰囲気の男とすれ違った。森高一真だ。森高がこういう空気を醸し出す時は、とてつもない気合を腹の底にたたえているときだ。普通なら、すれ違いざまにちょっかいを出してくる男なのだから。こうした森高を目の当たりにするのは、清々しい気分にさせられるものだ。4R前には、ペラを手に装着場へと降りていく姿も見かけている。そのとき、横西奏恵がちょっかいを出した。森高の進路に立ちはだかって通せんぼをしたのだ。ところが森高は、口元に軽く笑みを浮かべただけで、横西の肩をちょこんと払って、静かに係留所に降りて行った。横西も、ちょっと肩透かしを食らったような表情になっていた。
 静かな闘志。森高一真には、それが似合う。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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“本紙予想”オーシャン2日目後半

ども。後半は気づけばイン主体どころかインだらけになってしまいました。

7R
松井の進入がカギとなるが、それでも原田が押し切る。
◎原田 ○今垣 ▲松井
3連単1-26-全

8R 
徳増が充分に逃げ切れるアシ。差して追走の濱野谷が本線。
◎徳増 ○濱野谷 ▲笠原 △横西 
3連単1-234-全

9R  
カド白井が攻めて師匠のイン戦を撃破。今村が残して追走。
◎白井 ○今村 ▲吉川 △田中 
3連単4-123-全

10R 
魚谷の逃げ切りが濃厚。コース動いて藤丸が捌く。
◎魚谷 ○藤丸 ▲服部 △瓜生 
3連単1-625-全

11R  
山崎が速攻押し切り。湯川が自在に続く。
◎山崎 ○湯川 ▲川﨑 △田村
3連単1-354-全

12R 
松井が盤石の逃げ見せる。坪井のマクリ差しが脅威。
◎松井 ○坪井 ▲菊地 △重成
3連単1-362-全


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H記者の『穴・極選ブラック』2日目

 昨日の極選・山本はさっぱりでしたね。憲吾どの、れいこ様、ジャンクさん、すいません! で、ダービー勝負駆けの選手たちの初日(ダービーランキング推移も記しておきます)はというと……

★ボーダーよりやや上=連続大敗は禁物
45位→45位 山本隆幸③⑥
49位→51位 松本勝也⑤⑤ガチボーダー付近へ
★ガチボーダーライン付近=予選突破でダービー当確?
52位→53位 木村光宏②⑤※減点7
53位→52位 柏野幸二②
★逆転ダービー狙い=とにかくピンを量産だ!
56位→56位 角谷健吾②⑤
58位→58位 平尾崇典①④
60位→59位 石川真二①※3連単33360円!!!
63位→65位 伊藤 宏③⑥
71位→68位 重成一人②※3連単30510円

 う~ん、石川を極選に指名していれば……(涙)。とにかく今日もこの選手たちから目が離せませんぞ。特に、ボーダー52位の前後には松本、柏野、木村がほぼ横一線で並んでいます。今日はこの中から極選レーサーをピックアップします!

 10R
 ①魚谷智之
 ②服部幸男
◎③木村光宏
 ④池田浩二
★⑤瓜生正義
★⑥藤丸光一

進入162/345

 たったひとつの着順でダービーの当←→落が推移する木村。さらに-7の減点を食らって今節そのものも2日目にして勝負駆けとなりました。はい、オーシャンカップ&ダービーのWメイチ勝負駆けなんです。このレースで気合が入らないわけがない。
 木村も内志向の強い選手なので進入は微妙ですが、ここは藤丸を入れての4カドが理想的。ならばマクリ屋の藤丸や服部のマーク差しも可能だし、自力のS一撃もありえます。とにかく、どのコースでも捨て身の攻めに出ると信じてアタマ決め撃ち勝負。パワーもギリギリ勝てるだけの水準にあると考えています。相手は展開次第で誰でもありですが、地元の意地に期待してエース機・藤丸とエース瓜生を添えてみましょう。「レースは機力ではなく、選手の気力で決まる」そんなロケンロールなレースが見たいぞ~!

3連単★3-56-全


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本日の“本紙予想”オーシャン2日目

 ども。Kです。昨日は後半がボチボチでしたね。1コースが7勝をあげていますが、本日は果たして……。もちろん、イン主体であります。

1R 
白水が差し抜けて地元の意地示す。伊藤が全速で続く。
◎白水 ○伊藤 ▲松本 △石橋
3連単2-564-全

2R 
高沖が逃げて水神祭。アシいい太田が迫る。
◎高沖 ○太田 ▲池田 △濱野谷
3連単1-526-全

3R 
西島動いて内深くなり、藤丸に展開向きそう。吉川が捌いて追走。
◎藤丸 ○吉川 ▲森永 △西島
3連単2-516-全

4R 
山本が渾身の逃げ切り。菊地の差しが本線。
◎山本 ○菊地 ▲服部 △湯川
3連単1-256-全

5R 
瓜生のマクリ差しが鋭く決まる。伸びる飯山がうまく立ち回る。
◎瓜生 ○飯山 ▲重成 △山崎
3連単3-546-全

6R 
角谷が先マイ決めて押し切る。寺田の差しに注意。
◎角谷 ○寺田 ▲田村
3連単1-42-全

 後半は後ほどアップします。


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2日目! 日食の日に……

おはようございます。オーシャンカップ2日目でございます。いやはや、昨日の雨はすごかった。そして、今日は皆既日食でしたね! 取材班はホテルから少しだけ見ることができました。月というのは、地球上にさまざまな影響を与えます。もしかしたら、今日の若松は磁場が狂って、大穴連発……!?

2009_0721_0311 進入から波乱を巻き起こすのは、もちろんこの人、西島義則。朝特訓では、80m起こしを練習してましたよ! 3Rは6号艇。……行く気マンマンです!(PHOTO/中尾茂幸)


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THEピット――豪雨

2009_0721_0190   11R前に振り出した雨が、11Rが終わると土砂降りになった。そのとき、係留所には松本勝也、田中信一郎、太田和美、原田幸哉のボートが。エンジン吊りを終えた彼らが駆け足で自艇に向かうと、雨はいっそう強くなる。試運転OKの緑ランプが点滅して、水面に飛び出していった4名。そのときは、こんな遅くまで、しかもめちゃくちゃな雨の中、若手の時期などとうの昔に過ぎ去った実績者が走っているのを見て、心の中でひれ伏していた。
 試運転タイムが終了して、手早くボートとモーターを片づけている彼らを眺めている間も、こちらはただただ敬服の念を抱いている。偉いなあ、この努力が報われるといいなあ……。そのとき、係留所の屋根となっている幌を叩く雨音が、強烈な音を立て始めているのに気づいた。
2009_0721_1103  な、なんだ、この暴力的な雨は!
 ゲリラ豪雨だぁ、とか、スコールだぁ、とか、関係者は口々に言っていた。でも、そんなレベルの雨ではない。何しろ、対岸のビジョンが見えないのだ。まるで世界中から集めてきた水を、北九州の空の上からマシンガンで猛乱射しているかのような殺人的豪雨。水面は激しく波立ち、雨音はドラムを叩いたかのような轟音。全員が巨大なシャワールームに閉じ込められたかのように、視界はぼんやりとしていた。
2009_0721_0531  思い立ってペラ室を覗きに行く。若松のペラ室は、水面側に大きな窓が設置されていて、コースの様子が見えるのだ。ところが、さすがの猛者たち、ペラ調整に集中していて、窓の外を見ている選手は一人もいない。試運転を終えた原田幸哉と横西奏恵は、展示を終えてペラ室に顔を出した瓜生正義と大口を開けて大笑いしている。ペラ室にはカンカンと木槌の音が響いているから、雨音も届かないのだろう。なんとなく感心して、ペラ室の前を離れた。
2009_0721_0268  すると、ドリーム1号艇の菊地孝平が、空を見上げている姿を発見した。目が合うと菊地は、思い切り顔をしかめてみせる。そりゃそうだ。こんな天候の中、菊地は人気を背負ってドリーム戦を戦わねばならないのだ。大時計が見えるかどうかすら懸念される状態なのだから、不安になるのが当然というものだ。まあ、この状態のまま発走させるとは思えないけれども、いずれにしてもドリーム出走組にとっては胸騒ぐ雨に違いない。
2009_0721_0123  菊地が出走待機室に入っても、まだ雨の勢いは衰えない。ひゃあ、えらいこっちゃ……と一向に止む気配のない雨を見つめていたら、ニコニコ顔の石川真二があらわれた。水面際にしゃがみ込んで、水面を眺める石川。……なんだか嬉しそうである(笑)。「なんか、綺麗ですよねえ」と笑う石川。そう言われて照明灯に目をやると、わぁ、ライトに照らされた雨が、なんかオーロラみたいだぁ……。思わず我を忘れて、石川とともに不思議な景色を眺める。だはは、我々はこの雨の中で走るわけではありませんからな、まったくもって気楽なもんである。
2009_0721_0351  それにしても、ドリーム戦はいったいどうなってしまうのだろう。このままなら発走時刻が遅れるかもしれないし、しかしいつになったら殺人的豪雨は勢いを弱めるのだろう。引き続き水面を眺めていると、装着場に選手の気配を感じる。角谷健吾だった。角谷は、関係者が大騒ぎしている豪雨など気にするそぶりも見せず、ひたすら濡れたボートをタオルでこしこしと磨き続けていた。レース後に相棒をいとおしむかのようにボート拭きしている選手はよく見かけるが(今節でいえば、今垣光太郎や笠原亮など)、角谷もその一人だったか。それにしても、周囲の空気との間に見えない殺人的豪雨を降らせているかのように、集中して相棒を愛撫する角谷には、どこか神々しいオーラが見えたものである。
2009_0721_1111 と、角谷に感心している間に、雨は少しずつ勢いを弱めていた。視界も開け、雨音は小音量となり、まだ雨粒は大きく見えるけれども、レースに支障はなさそうだ。やがて、乗艇の合図がかかり、ドリーム戦士たちは出走ピットに向かい、発走の合図で水面へと飛び出していった。待機行動中にまた雨音が大きくなったりもしたけれども、スタート事故もなく、ひとまず無事にレースは終わった。菊地孝平は1Mで差されたけれども、2Mで逆転。レース前のしかめ面は、杞憂の中に溶けていった。
2009_0721_0599  レース後、ピットに引き上げてきた6名は、全員がびしょ濡れだった。後方を走る選手が先行艇の水しぶきをあげて濡れているのは毎レース見られる光景だが、先頭を走った菊地も、いったんは先頭に立っていた松井繁も、同じようにびしょ濡れ。つまり、土砂降りの雨に打たれた姿だ。1Mは差し抜けながら、2Mでまさかのターン漏れ、菊地に逆転を許している松井は、なぜかニコニコ顔でピットに上がってきた。勝とうが負けようが、レース直後にこんな表情を見せる王者を見たことがない。その笑顔は、前検では苦しかったアシ色を戦えるまでに仕上げてレースに臨めたことの満足感だったのか、それとも2Mで差されたことへの苦笑だったのか。あるいは、どえらい環境でレースを無事終えたことへの安堵を含んだ「マジかよ?」的な笑いだったのか。なんとなく一番最後が正解のような気もするが、ともかくヘルメット越しの松井の笑顔には驚かされた。もちろん悔恨がないはずはないが、松井が笑ってるんだからこちらも笑えばいい。ひどい水面状況できっちりとレースを成立させた彼らへの敬意とともに、また安堵とともに。
 ともかく、真夏の大椿事でありました。ドリーム6戦士よ、ご苦労様!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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フェニックスホール 植木通彦記念館!

お疲れ様です~~と記者席に元気一杯でやってきたのは……おぉ、艇王! 植木通彦さんであります。若松といえば、植木さんの純地元。艇王はここで育ち、競艇の歴史に偉大なる足跡を残す選手になったわけです。そんな植木さんを称える施設が若松競艇場にはある。ちょうどその撮影に向かおうとしていた中尾カメラマンは、艇王の腕を取って言いましたね。「一緒に行こっ!」。艇王も「うんっ!」と快諾。同じ昭和43年生まれ、福岡県出身の二人は手を取り合って向かったのであります。

2009_0721_0114 フェニックスホール 植木通彦記念館!

そうです、若松競艇場には、植木さんの功績を称えるメモリアルホールが常設されているのであります。このホールには、植木さんが獲得した数々のトロフィー(02年若松オーシャンカップ優勝のものもあります!)、植木さんSG10Vの軌跡を記したパネル、さらには現役時代に実際に使っていたプロペラやグローブなどが展示されています。開催時にはいつでも見ることができる、これら艇王の歩んできた道のり。競艇ファンなら一度は訪れたい場所であります。そう、このオーシャンカップはそのチャンスですね! 若松競艇場にご来場のファンの方はぜひ、足を運んでくださいね!

2009_0721_0121 というわけで、植木さんを連れ出した中尾カメラマンは、ホール入り口、ホール内でばっちり撮影。すると、植木さんの姿を植木通彦記念館に発見したファンの方が殺到して、臨時記念撮影会に! 艇王人気はいまだ健在、ファンの方たちの笑顔が実に眩しくありました。このあとは、大急ぎでやまと競艇学校に向かった植木さん。多忙の中、ありがとうございました!(PHOTO/中尾茂幸)


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“本紙予想”オーシャン初日後半

ども。前半はイン4勝。予想はヌケたりしておりますが……。

7R
好調・今垣が初日から飛ばす。木村のイン残しが本線。
◎今垣 ○木村 ▲柏野 △今村
3連単3-124-全

8R 
前半大敗も太田がインなら逃げ切る。山崎のカド戦が脅威。
◎太田 ○山崎 ▲川﨑 
3連単1-43-全

9R  
西島がイン戦盤石の逃げ。服部も好調だ。
◎西島 ○服部 ▲白水 △中島 
3連単1-346-全

10R 
坪井が人気に応えて逃げ圧勝。怖いのはセンター勢より笠原。
◎坪井 ○笠原 ▲飯山 △中尾 
3連単1-632-全

11R  
湯川がインからきっちり逃げ切る。今垣の4号艇は相当に恐い。
◎湯川 ○今垣 ▲白井 △角谷
3連単1-453-全

12R ドリーム戦
菊地がS踏み込んで逃走劇だ。相手本線は地元の瓜生。
◎菊地 ○瓜生 ▲濱野谷 △田村
3連単1-456-全


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THEピット――歩様

   ピットに帰還→エンジン吊り→控室へ向かい着替え、というのがレース後の一連の流れ。だが、そのまま控室に閉じこもっているわけではない。モーターにはペラがついたままだし、作業を行なわないつもりならモーターを格納しなければいけないし、2回乗りの選手や試運転に出る選手は準備がある。というわけで、着替えを終えた選手はほぼ確実にふたたび装着場に姿をあらわすわけだが、控室に消えてからの所要時間は約20分というところだろうか。
 控室は当然、我々は立ち入ることができないから、そこで何をしているのかは知らない。この時期は汗だくで引き上げてくるのだから、服を着替えるくらいはしているだろうし、一息ついて休憩をとっていたりもするのだろうが、詳しくは知る由もない。だが、不思議なもので、この所要時間はどんな選手もほぼ変わらない。ということはつまり、ある時間帯には前のレースを走ったメンバーが装着場に集結するわけである。
2009_0720_0255  たとえば2R直前。1Rを戦った仲口博崇が装着場にあらわれて、7Rに向けてペラを外し始める。その横には松本勝也もやって来て、モーターを点検している。その後ろから森永淳が登場、報道陣に取材を受けている。2009_0720_0689 ほぼ同じタイミングで整備室から吉村正明が出てきて、小走りでペラ室へと向かっていった。勝利選手インタビューに出演したはずの横西奏恵も同じ頃に装着場に登場、明るい表情でモーターからペラを外した。申し合わせたわけもないのに、そこに顔を並べるライバルたち。ピットではいつも見ている光景なのに改めて、ふ~~~~んと感心したのであった。
2009_0720_0989  もちろん、例外もある。高沖健太があらわれたのは、3R直前。ちょっと長い休憩でもしていたのだろうか。2Rには同県同地区が出走していなかったから、エンジン吊りに出てくる必要もないし、少しのんびりしていたのだろうか。その割には、小走りで装着場にあらわれて、小走りで出走待機室付近に置いてあった工具を取りにいった。まあともかく、控室の様子を我々は何にも知る由はない。

2009_0720_0221 横西と目が合い、にっこりと微笑んでくれたことにポーッとなっていると、目の前をえらく深刻な表情の平田忠則が通り過ぎた。平田といえば、すれ違ったり目が合ったりすれば、たいていひまわりのような笑顔を向けてくれるのだが、今日の平田はうつむき加減で眉間にシワを寄せながら、思索の森に迷い込んだかのように深く考え込んで、こちらには気づきもしない様子であった。
 歩様も、異常といえば異常であった。スピードがものすごく遅いのだ。さすがに亀よりは速いが、ウサギには10艇身ほど差をつけられるくらいの遅さ。かえってわかりにくい喩えになってしまったが、ようするにピットではまず見かけないほどに、ゆっくりゆっくりと歩いていたのである。
 で、平田がどこに向かったかというと、試運転係留所。奥のほうに係留してあった自艇まで、たっぷりと時間を費やして歩いていったのだった。
2009_0720_0078 これと対照的だったのは、2R終了後の金子龍介だ。5着大敗に、ボートリフト内ですでに憮然たる表情を見せており、装着場に上がってからもなお、不機嫌な様子を隠さなかったキンリュー。エンジン吊りが終わると、周囲に礼を言ってから、さっさと控室へと歩いて行ってしまったのだ。ややガニ股気味の、不機嫌さ満載の歩様で歩きだしたキンリューは、もうその場にいることすら腹が立つといった感じで、えらい早足。だいたい人間というのはイライラしているとこうなるもので、キンリューの仕草は実に人間臭いものであった。もし平田と並んで歩いていたら、瞬く間にぶっちぎっていたことだろう。

 そんなこんなの初日前半のピット。気温29℃、湿度85%、気圧998hPa。相変わらず蒸し暑い空気のなか、海王バトルがスタートした!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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H記者の『穴・極選ブラック』初日

 3日目までは東京で居残り特訓、4日目から本場で大暴れする(←希望的観測)Hです。今節のテーマも「ダービー勝負駆け」。7月末の〆日まで大詰めですからね。ボーダー付近の選手から目が離せませんぞ。
 では、メイチ勝負駆けの選手たちは誰か? いつも重宝させてもらってる奇跡の競艇データサイト「ひまひまデータ3」さんの昨日までのダービーランキングは……。

★ボーダーよりやや上=連続大敗は禁物
45位 山本隆幸
49位 松本勝也
★ガチボーダーライン付近=予選突破がノルマ
52位 木村光宏
53位 柏野幸二
★逆転ダービー狙い=とにかくピンを量産だ!
56位 角谷健吾
58位 平尾崇典
60位 石川真二
63位 伊藤 宏
71位 重成一人(ほぼ絶望的な位置だが……優勝がノルマ?)

 おお、さっそく2Rで重成(2着)と伊藤(3着)がガンガンやり合ってましたね。今日の極選は早々にダービー当確ランプを点したい山本狙い!
 10R
 ①坪井康晴
 ②中尾 誠
★③飯山 泰
★④平田忠則
◎⑤山本隆幸
 ⑥笠原 亮

進入123/456

 6月の当地周年を制した坪井が一本カブリの大人気。当然ですな。が、今日は「強い向かい風」(K記者)との情報もあり、さらに稀代のマクリ屋・メッシー飯山と地元でのSG初制覇に燃える平田(ちなみにダービー勝率93位)がセンターに構える。強い坪井でも盤石のイン戦とはいえません。この血の気の多い飯山か平田のどちらか(または両方)が狂ったように攻めれば、ダービー45位の山本に美味しい展開が生まれます。最近のGI優勝戦で悔しい逆転負け2連発を喫している山本ですが、絶好調は間違いないところ。当たっているペラで一気に突き抜けてみせましょう。坪井の逆転差しを喰らった津GI優勝戦も5号艇だったな、山本クン! 相手はもちろん飯山と平田です。

3連単★5-34-全

 さあ、今節もよろしくお願いします!


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若松オーシャンカップ 選手紹介!

 大仰な趣向を凝らせるわけでなく、かなりシンプルな構成で行なわれた若松オーシャンCの選手紹介。派手なパフォーマンスをする選手も少なく、文字に起こすとありきたりな言葉が多かったのですか、言葉の奥から各選手の気持ちと気合がジワジワと伝わってくる選手紹介だったと思います。
 そんななか、若い力でウケを狙いにいったのが森永淳。

2009_0721_0021  (森永淳)
「早く名前を覚えてもらうために『じゅん』って10回言います。じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、ジュワーッ!」

 正確にカウントしていなかったので、ここに書いた「じゅん」の」回数が合っているのかどうかは不明。ちゃんと10回言ったんでしょうか。でもそんなに名前を連呼して……、選挙じゃないんだから。
 自分の持ち味がじゅわ~っと溢れるレースを期待しております。

 

2009_0721_0031 (中尾誠)
「ガッチガチも親分もいませんが、佐賀魂でがんばります!」

 ガッチガチやぞ! でおなじみの峰竜太はオーシャンカップ出場圏内にいたが、先の規定違反の影響で出場を辞退。長きにわたり佐賀支部を支えてきた親分こと上瀧和則も、今回は点数が足らずに出場できず。今回は森永淳と2人で佐賀魂を、思う存分発揮してほしいところです。

 

2009_0721_0035 (柏野幸二)
「40代最初のSGになりました。40代を競艇人生のピークにしたいと思います」

「男は40から」と発言したのは、たしか同じ岡山支部の小畑実成。小畑と同じ支部の柏野幸二も、「40代を競艇人生のピークにしたい」宣言です。実際、40歳になった途端、下関周年記念で10年ぶり2度目のGⅠ制覇を達成。その後も4連続優出。40代の柏野幸二は一味違うのかもしれません。

 

2009_0721_0080 (田中信一郎)
「最近元気がないけど、今節はがんばります!」

 当社比(?)で一番元気のある選手紹介だったのが田中信一郎。
 3月末以降、記念での予選落ちが続き、前節の多摩川一般戦では優勝戦1号艇でまさかの4着敗退。たしかに最近は調子があまりいいとはいえません。この悪い流れを払拭するためにも、気合を入れて声を張っていたのでしょうか。

 

2009_0721_0093 (湯川浩司)
「打倒、角谷健吾でがんばります!」

 なんで、角谷健吾?
 理由はわかりませんでしたが、湯川と角谷は本日の11レースで激突します。

2009_0721_0075 (山崎智也)
「ナイター大好きです。いいレースを見せます。がんばります。」

 本日の山崎智也は8レース1回走り。ちょうどナイター照明が本格的に灯る時間でしょうか。成績が良ければ良いほど、早い時間(ナイター照明が入る前)のレースは減ります。夜の帝王、山崎智也がどのようなパフォーマンスをみせてくれるか乞うご期待です。

 選手紹介も終わり、いよいよオーシャンCがスタートです!

 


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本日の“本紙予想”オーシャン初日

 ども。Kです。今節も“本紙予想”を担当させていただきます。どうぞよろしく。
 さて、この“本紙予想”がイン主体なのは毎度のことでありますが、少しだけ能書きを。BOATBoy8月号の「舟券大作戦」によると、追い風=イン有利、向かい風=イン不利とセオリー通りでありながら、その数値に10%もの開きがある極端な傾向をもつのが若松水面であります。したがって、風向きは考慮に入れねばならぬ。ちなみに今日は今のところ強めの向かい風です。さらに、西日本スポーツ・森大輔記者によれば、インを信頼しすぎるな、とのこと。というわけで、イン絶対視は危険。“本紙予想”もそれをふまえて、調整してまいりたいと思います。

1R 
前検タイムいい仲口が逃げてオープニング飾る。横西のマクリ差し注。
◎仲口 ○横西 ▲松本 △高沖
3連単1-324-全

2R 
今村が全速Sから抜け出す。重成のターン力を本線に。
◎今村 ○重成 ▲伊藤 △中尾
3連単3-516-全

3R 
エース機・藤丸が強攻見せる。笠原がイン残して追走。
◎藤丸 ○笠原 ▲白井 △木村
3連単4-126-全

4R 
森高が気合満点の逃走。山本との銀河系ワンツーを本線。
◎森高 ○山本 ▲白水 △原田
3連単1-235-全

5R 
魚谷がカドからマクリ差し一閃。中島が残して追う。
◎魚谷 ○中島 ▲辻 △平田
3連単4-123-全

6R 
田中がカドから自在戦。坪井が強烈な差しで迫る。
◎田中 ○坪井 ▲平尾 △池田
3連単4-613-全

 後半は後ほどアップします。


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初日! 海王は誰だ!?

おはようございます。オーシャンカップ、開幕です! 09年ナイターSG第1弾、若松競艇場で開催されます。本日より、海王決定戦をアツく楽しみましょう!

2009_0720_0139 丸尾義孝選手とSGのピットでお会いするのは初めて。今節は、なかなか新鮮な顔ぶれのSGになっていますね。久々に会う選手もいるし。こうした選手の大爆発にも期待したいところです。(PHOTO/中尾茂幸)


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THEピット――湿気

 蒸し暑い! 梅雨空に支配された若松は、湿度も高く、気温も30℃弱。不快指数満点である。立っているだけで汗がにじむ、いやはや、ムシムシする。
 これは取材者の愚痴ではない。いや、ちょっとは愚痴だけど、この湿気はモーターの動きを左右する重大な要素なのだ。
 ドリーム記者会見に登場した6名すべてが、申し合わせたような同じ言葉を述べる。
「回転が上がっていない」
2009_0720_0702  菊地孝平は「想像したよりずっと」と付け加えたし、吉川元浩は「びっくりするくらい」と修飾している。田村隆信は「みんな言っている」と証言。とにかく皆が、足りない回転数に頭を悩ませている様子だ。湿度が高いと、モーターの回転数が抑えられる。つまり、おおむね出足が弱くなる。単にムシムシして不快だということではなく、モーターパワーに影響するから不快になる。湿気は大いなる敵なのだ。
 ということで、前検の今日は必然的にこうなる。
 整備室、大盛況。
 もちろん今日はあくまで前検、本格的な調整は明日からということになる。それでも、今日のうちにできることはやってしまいたい……そう考える選手たちは、前検航走が終わると、整備室に駆け込む。格納作業をする選手も整備室には鈴なりになるから、整備室は満員御礼となるわけだ。
2009_0720_0590 もっとも人口密度が高いのは、ギアケース調整のテーブル。これはまあ、今節に限らず、前検の日常的な風景である。外したギアケースを手に整備室を移動している選手は山ほどいるし、だから整備テーブルは常に誰かが占拠している状態となる。書き出していけばキリがない。とにかく、ここで姿を見る選手は多い。ギアケース調整は、いわゆる「外回り」に含まれる整備。みな自分なりのセッティングがあるわけである。いちおう、今日見かけた名前を2人だけあげておくと、横西奏恵と原田幸哉。二人は並んで、調整していた。76期はやっぱり仲がいいのであった。
2009_0720_0533  リードバルブを調整していたのは、服部幸男と白井英治。服部はやや意外であった。多くの場合、服部を見かけるのはペラ室だからだ。ふと思い立ってペラ室を覗きに走る。ガラガラだった。服部ですら整備室にいるのだから、ペラ室が空いていてもおかしくない。ちなみに、菊地孝平と石川真二がいた。菊地とは目があって、微笑を返してくれた。
 それにしても、ペラだろうがリードバルブだろうが、調整中の服部からはとてつもない集中力が伝わってくる。カメラマンがレンズを向けても、少しも動じることなく、いや、まったく視界に入っていないがごとく、リードバルブから目を離さない。ベストを尽くすという姿勢は、こんなところにもあらわれているのである。
 白井には、整備を終えたあとに声をかけられた。「どこで会おうが、存在感ありますねえ」。いや、デヴなだけです。目ざわりですみません。そう言ったら、白井はニカッと笑った。
2009_0720_0643  早くも本体を開けている選手もいる。平尾崇典、角谷健吾。間近で整備していた平尾は、おそらくは点検程度で部品を交換している様子はなかったが、飄々とした風情で整備している姿には、なんとなく目を奪われた。
2009_0720_1021  奥のほうでは、西島義則がやはり本体整備。西島にSGで会うのは久しぶりだが、そういえばいつだって前検からテキパキと動いていたなあ、と思い出す。気になる箇所があれば、すかさず整備を始めるのはまさしく西島スタイル。その変わらぬ姿勢を目にして、なんとなく嬉しくなる。
 もう一人、本体を整備していたのは松井繁。そう、王者が早くも本体に手を入れているのだ。ドリーム記者会見でも「良くない」を連発していた松井は、会見後すぐに整備を始めた様子。部品室の前で整備士さんと話したりもしていたから、明日の直前情報は要チェック。ひとつ言えるのは、松井にしては珍しい姿ということ。気になる動きではある。
2009_0720_0632 本体整備といえば、今垣光太郎……と言いたくなるのだが、今日の今垣はキャリアボディーを交換していた様子であった。もちろん、光ちゃんのことだから、そのあと本体に手をつけることになるのだろう。真摯な表情で新しいキャリアボディーを取り付けている姿は、いつもの今垣光太郎、ではあった。

2009_0720_0305  最後に、ピット取材での特注選手を。湯川浩司だ。前回のグラチャンとは明らかに様子が違う。そりゃあ、背負うものが今回はないのだから、様子が違って当たり前だが、それでも気になるゴキゲンな表情。ピットからは足色はまったくわからないが、もしアシが仕上がったら、このメンタルはかなりの武器になるはずだ。あ、あと濱野谷憲吾もなんか違う雰囲気だったなあ。最近はリズムが悪い憲吾だが、ここから逆襲が始まる……かも。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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オーシャンカップ・前検気配

 ドリーム組と登録番号の古い順から重成一人までが前半練習組、それ以降の選手が後半練習組になり前検が行なわれた。

2009_0720_0893  前半組でもっともたくさん足あわせを行なっていたのが今村豊。で、今村豊はほとんどの選手に対して、足あわせで優位に立っていた。とりあえずは中堅ありそうな足である。
2009_0720_0888  その今村に足あわせで明確に勝った選手が2人いる。エースモーター25号機を引いた藤丸光一と、2号機を引いた川﨑智幸だ。
「モーター勝率のイメージに騙されているのではないか?」と思いながら、目を凝らして見てみたがやはり出ている。また名前を確認せずに、「この選手いい足をしてるな」と思った選手が、藤丸や川﨑だったりもした。さらに前検での行き足から伸びも間違いなく上位にある。穴党には何とも面白くない結果かもしれないが、好モーターを引いた2人を侮ってはいけない。そのままストレートに横綱級と評して良いのではないだろうか。

2009_0720_0598  ドリーム組では濱野谷憲吾がいい感じである。向かい風だった影響もあるかもしれないが、ダッシュに入ったときの伸びはドリーム組の中では一枚上に感じた。あとは田村隆信も悪くない。飛びぬけた選手がドリーム組にいないだけに、配当を考えても外枠2艇は押さえておいたほうが良さそうな気配である。
 濱野谷と並ぶ関東の雄、山崎智也は、足合わせで圧勝することも惨敗することもあった。おそらく合っているペラと、まったく合っていないペラがある状況なのだろう。本日出ているペラを調整してくれば、明日にはそれなりの足に仕上がりそうに思う。

 穴っぽいところでは木村光宏が面白い。豪快にドカーンと伸びる足を持っているわけではないが、スリット付近でキュッと伸びる足がある。器用な足は木村のレーススタイルにも、しっくりくるのではないだろうか。

 前半組で悪くみえたのは、石川真二と平田忠則の2人。このままではかなりキビしい戦いを強いられそう。服部幸男ももう少しがんばりたいところだ。

2009_0720_0763  後半組では、ダントツで湯川浩司がいい。足あわせはすべて圧勝。とにかく伸びが強烈である。さらにスタート練習でインに入ったときの出足も良かった。
 後半組が登番が若くSGでのキャリアが浅いメンバーということを差し引いても、湯川の足は際立っていた。直接の足合わせがないので判断できない部分はあるが、藤丸、川﨑に匹敵する、いやそれを凌駕する足を持っているといえるかもしれない。超抜かどうかはわからないが、少なくとも上位級はある。

2009_0720_0233  とにかく伸びの強さが目立ったのが飯山泰だ。まくりが身上の飯山にとっては、いいエンジンなのではないだろうか。もっとも、本人はまだまだ納得いっていないのかもしれないが……。
 寺田祥はバランスが取れている印象を受けた。これもさばきが身上ともいえる寺田にとっては心強いエンジンであるはず。

 後半組で悪かったのは笠原亮。足あわせはほぼ全敗。スタート練習でもいいところなし。おそらくペラが合っていないのだろう。
 笠原は明日3レースの1号艇で登場。それまでにペラを合わせきることができるか? しかもエースモーターの藤丸や、穴で面白そうな木村とブツかることになる。明日前半の穴はココを狙いたい。

 姫園が見立てたモーター診断は以上。

 と、ここで前検タイムが手元に届いた。

1位 飯山泰  6.68
2位 川﨑智幸 6.69
2位 仲口博崇 6.69
4位 湯川浩司 6.71
5位 菊地孝平 6.72
5位 重成一人 6.72
7位 吉川元浩 6.73
7位 今村豊  6.73
7位 田中信一郎6.73
7位 原田幸哉 6.73
7位 金子龍介 6.73
7位 山本隆幸 6.73
7位 森永淳  6.73

 ちなみに前半組がバック追い風6m、後半組がバック追い風4mでのタイム。前検タイムはアテにならないとはいえ、そう間違った見立てではないようにも思うのだが……。

P.S れいこさま
タイミングをハズして言いそびれておりましたが、姫園とH記者は別人ですよ。

(TEXT・姫園淀仁 PHOTO・中尾茂幸)


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オーシャンカップ・モーター抽選

 オーシャンカップの行方を占うモーター抽選が、16時すぎにはじまった。

 今節の注目モーターは?

 BOATBoy8月号で西日本スポーツの森大輔記者が、6月の若松周年記念を基に「素性S(S~Eの6段階で評価)」と評価したモーターは、2号機、25号機、36号機の3機である。

2009_0720_0181  現在の若松のエースモーターが25号機。

 若松周年記念では清水敦揮が使用していたモーターである。清水は成績こそともなわなかったが、エンジンはかなり出ていた。25号機は周年後の一般戦では結果を残している。
 この誰もが欲しがる25号機を引いたのは、なんと選手班長の藤丸光一であった。引いた順番はたしか36番目。
 それまで粛々と進んでいた抽選会場に選手たちの声があがる。
「おおっ!」
「え~!
「ホンマにぃ!? (抽選機に入れず、手に)持っとったんとちゃうん!?」
 みなに冷やかされ、藤丸は照れ笑いを浮かべていた。

2009_0720_0157  25号機と双璧を成す優良機が2号機。
 こちらは若松周年記念で優出した古場輝義が使用していたモーターである。伸び良し、回り足良し、出足良し、の三拍子そろったエンジンで、前節の一般戦でも野澤大二が使用して、1着を量産した優良機である。
 この2号機を引いたのは、藤丸と同期の川﨑智幸。選手班長の藤丸が少しジラしたあとに「2番」と読み上げると、同じ中国勢の西島義則が「川﨑、やったのう!」と歓声をあげた。
 ちなみに西島義則が引いたのは2番違いの27号機。数字的には中堅ありそうだが、西島は少し首をひねったあとで苦笑していた。

 36号機を周年記念で使用していたのは矢後剛。こちらは複勝率こそベスト5に入っていないが、周年ではかなりの伸びを誇っていたし、前節の一般戦でもB1選手が操って準優出を果たしている。数字以上に素性は良さそうである。
 この36号機を引いたのは重成一人。2号機や25号機のときのような周りからの歓声はなかったが、重成自身は少し嬉しそうな表情をみせていたように感じた。前々節で地元丸亀の記念を制し、前節の徳山の記念でも準優出を果たしたように、重成は調子を上げてきているように感じる。現時点での評価は伏兵だろうが、明日のレースはいきなり勝負してみても面白いかもしてない。

2009_0720_0144  推奨3機以外を引いた選手も、少し紹介しておこう。
 まず、いま競艇界一調子がいいといっても過言ではない今垣光太郎。彼が引いたのは60号機。2連対率33.8%の中堅機だが、現在の今垣はどんなエンジンでも上位級にまでは仕上げてくる。とりあえず、明日の競走で様子を見てみたい。

2009_0720_0189  逆に最近はエンジンがいまひとつ仕上がらないものの、腕とテクニックで成績を残してきているようにみえるのが松井繁だ。松井が引いたのはラッキーセブンの7号機。これまでA1選手が2人しか乗らずに2連対率が37.9%あるのだが、BOATBoy誌上での評価はC。ディフェンディングチャンピオンが、どのようなパワーを引き出してくるかも見ものである。

 と、ここまで書いたところで足あわせがはじまったので、ここらあたりで抽選リポートは切り上げる。

 若松の天気はどんよりした曇り空。少し前に照明が灯り、しかも午前中には雨が降ったり、晴れ間が出たりで、ピット内は相当蒸し暑い。不快指数MAXといったところである。このうっとおしい天気を、明日からの好レースで吹き飛ばしてもらいたい。

(PHOTO・中尾茂幸 TEXT・姫園淀仁)

 


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不思議な選手入り

 梅雨が明けた関東→いまだ梅雨明けせずの北九州という、なんだか不思議な移動でやって来た若松は、どんよりとした空にムシムシした空気で、季節をさかのぼったようなやっぱり不思議な気分。ただし、今日は風が強いため、うんざりするような暑さは感じない。おおよそオーシャンカップがもっとも酷暑のなかで行なわれるSGなだけに、よく考えればやっぱり不思議な感覚なのであった。

2009_0720_0020  不思議といえば、選手の入り傾向も不思議であった。これまでの印象からすると、ナイターSGではおおむね2時半過ぎから選手が到着し始め、3時半から4時くらいまでバラバラとやって来る、だったものが、今日は違っていたのだ。想定通りに2時半にピットに行ってみると、すでに荷物検査を終えたらしき丸尾義孝がペラ調整用具を手にペラ小屋へと向かう姿を発見。早っ!と後を追いかけてみると、濱村芳宏まであらわれた。早くからピット入りしていた関係者に訊いてみたところ、横西奏恵も含めた徳島勢(田村隆信はそのあと森高一真とともに登場)はかなり早い時間に競艇場入りしていたらしい。ほかでは、西島義則や徳増秀樹、平田忠則も相当に早い入りだった模様(山崎智也も早い部類だったが、入り待ちファンとのふれあいがかなりの長時間になったため、ずっと遅い時間に顔を合わせている)。こんなに前がかりな選手入り、特にナイターではあまり記憶にない。

2009_0720_0071  というわけで、我々がピット入りしてからの最初のご到着は今垣光太郎&中島孝平の福井支部コンビ。絶好調で乗り込む光ちゃん、「肩の力を抜いていきます」とかなりリラックスした表情だった。近況の良さに気分が暗かろうはずがない。
2009_0720_0002  で、その後は……これまた不思議というか何と言うか、続々と選手が登場し、こちらのメモも追いつかないほど。田村&森高の銀河系に「おはようっす」と挨拶をしていると、白水勝也が奥様が運転する自家用車で登場。カッコいいアルファロメオに見とれていると、山本隆幸が助手席に乗ったタクシーが到着。兵庫勢が到着かぁ……と眺めていたら、最後に降りて来たのが松井繁で、背筋がピーンと伸びる。王者を見るとSGって感じがするよなあ……などと感慨に耽っていたら、2009_0720_0059 やはり自家用車で今村豊がやって来て、再びピーンと背筋が伸びた……といった具合に次々と選手があらわれるのである。
 3時くらいにざっと確認したところ、未到着は残り数人になっており、これほど集まりが早いSGはやはりあまり記憶にない。やっぱり、不思議なSG前検、なのである。

2009_0720_0117  そんななかで目についたのは、地元のエース・瓜生正義。これも奥さん運転の自家用車での到着だったが、颯爽とベンツから降りてくる姿にはやはり風格がある。笹川賞で2度目のSGを制覇し、ふたたび乗り込む地元SG。この男がいなければ始まらない! ということで、瓜生の姿を見て、若松オーシャンの幕開けをひしひしと実感したのでありました。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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若松です!

Cimg4542 こんちわ! 取材班、若松に到着いたしました。オーシャンカップ、いよいよ開幕です! 09年一発目のナイターSG。本日が前検、明日から熱戦がスタートします。ここ若松より、取材更新してまいりますので、今節もどうぞよろしくお願いします!

もうしばらくすると選手も続々と乗り込んでまいります。その選手入り取材から、本日は前検日の模様をリポートいたしますので、お楽しみに。最初の更新は16時頃になるかと思われますので、今しばしお待ちを。

それでは、今節もどうぞよろしく!


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ナイターSG開幕!

暑中お見舞い申し上げます。

毎日暑い日が続きますが、明日から競艇界はアツい1週間が始まります! 09年ナイターSG第1弾、オーシャンカップであります!今年の舞台は若松競艇場。宵闇を切り裂いて、夏の夜の艇王に輝くのははたして誰か。

取材班は明日の前検から最終日まで、現地より取材更新してまいります。昼間開催と違って、更新が午後から夜にかけてとなりますが、今節もどうぞよろしくお願いいたします。というわけで、出発準備真っ只中の取材班でした。では~!


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