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ボートレース特集 > 浜名湖新鋭王座決定戦・準優勝戦私的回顧
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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浜名湖新鋭王座決定戦・準優勝戦私的回顧

10R 1384走目の……

①松田祐季
②馬場貴也
③毒島誠
④平本真之
⑤岡崎恭裕
⑥渡辺浩司

2010_0123_r10_0575  岡崎恭裕と渡辺浩司が回りこむも、松田祐季はインを譲らない。進入は、松田、岡崎、渡辺の3人が、100mポールに横一線に並ぶ「156/234」に落ち着いた。

 スタートで仕掛けたのは6号艇の渡辺浩司だった。3艇が横一線に並んだ起こし位置にもかかわらず、少しだけ早く渡辺の艇尾から白い水泡が出てくる。
 渡辺は隠れスタート巧者である。平均スタートタイミングはコンマ17と特筆すべきものではないのだが、デビュー以来6年以上にわたって一度もフライングを切っていないのだ。スタートが速い選手というのは、往々にしてフライング本数も多いもの。デビュー以来スタート無事故で平均STがコンマ17というのは、ある意味でスタートが得意な選手であるといるだろう。

2010_0123_r10_0577  内3艇が45m線を過ぎた。この時点でも、まだ渡辺が約半艇身ほどリードしている。渡辺が速いのか、それとも岡崎と松田が遅いのか。どちらにしろ、このままの体勢だと岡崎や松田は渡辺に捲られる。スタートタイミングが速くとも、前を行く渡辺が目に入ると、なかなか引くに引けない。どのみち捲られてしまえば、優勝戦進出の目が薄くなるのだから。

 結局、内3艇は落とし切ることができなかった。松田がコンマ02、岡崎がコンマ01、そして渡辺がコンマ06のフライングである。渡辺は、デビュー以来1380走目(※選手責任外失格を含むと1384走)、はじめて乗ったGⅠ準優勝戦で、はじめての勇み足となってしまった。

2010_0123_r10_0602  勝ったのは毒島誠。スタート展示ではスローを選択するそぶりをみせていたが、本番では5コースに引いた。結果論だがコースを主張せずに引いたのが正解であった。これまで数多くのGⅠを走ってきた経験が生きたのかもしれない。最後の新鋭王座決定戦で、自身三度目のGⅠ優出切符をつかみとった。2着は馬場貴也。こちらはGⅠ初優出となる。

 大波乱の結果に終わった10レース。新鋭王座決定戦準優勝戦は4年連続フライングが発生することとなってしまった。
 もちろん、フライングは出ないにこしたことはない。しかし、新鋭王座決定戦は誰もが勝ちたいと願い、卒業してしまうと二度と獲ることができないタイトルである。入れ込む選手が出てきて、ときに勇み足が出るのも否めないものだと思う。
 惜しくもフライングに散った三人。彼らに与えられた課題はひとつだけだ。その課題とは、この経験を糧にして、強い選手に育つことだ。

11R 勝負のあやは前走のF

①新田雄史
②古賀繁輝
③大峯豊
④坂元浩仁
⑤安達裕樹
⑥長尾章平

2010_0123_r11_0805  10レースのフライングが勝負のあやだった。あのFを見て、各選手がひるんだ。
 連日コンマ15~20のスタートを入れて昨日はコンマ01のスタートを決めた長尾章平がコンマ37に遅れる。坂元浩仁もコンマ32。そして過去に2年連続で新鋭王座準優勝戦でフライングを切っている古賀繁輝も、コンマ32と立ち遅れた。
 11レースから優出を果たしたのは、この状況にも怯まず、スタートを決めた選手たちである。
 1着の新田雄史はコンマ14のトップスタートを入れてきた。上位級のエンジンでインからあのスタートが決まれば、やすやすと逃げ切れるのも当然。ただ、絶対にフライングを切れない状況下のイン戦で、あのスタートを決められるのは、新田の強さである。GⅠウイナーの貫禄といってもいい。
 2着の大峯豊もコンマ19の2番手スタート。スリットでヘコんだ古賀を叩くと、あとは楽に2番手を確保した。

2010_0123_r11_0833  やや淡白に1着・2着が決まったレースだったが、3着争いは面白かった。古賀繁輝、安達裕樹、坂元浩仁、3人が入り乱れる大激戦となったのだ。知らずに見ていると、「ひょっとして優出権利は3着まで?」と勘違いしてしまうような火花散る激突。権利があろうがなかろうが、ひとつでも上の着順を目指す姿は、若々しい。

 

12R リカバリー・ショット

①小坂尚哉
②篠崎元志
③今井貴士
④西川真人
⑤中越博紀
⑥藤岡俊介

2010_0123_r12_0904  中ヘコミのスリット。コンマ08のトップスタートを決めた中越博紀が、スリット通過後すぐに内を絞っていく。中越の艇はほぼ1艇身出ていた。しかしカド受けの今井貴士の舳先がわずかに引っ掛かってしまう。
 それでも、中越は強引に絞った。今井が内へ内へと押し込められていく。今井よりもスタートで後手を踏んでいた西川が行き場をなくし、舳先が今井の艇尾に乗り上げた。あわや転覆かという危ないシーンとなった。

2010_0123_r12_0926  見どころはその後である。あわや転覆という状況ながらも、今井は極めて冷静だった。中越に絞り切られたとほぼ同時に、今井はハンドルを右に切って外へと開いて、差しに構えたのである。
 今井は5艇を行かせた後、三番差しで最内を突く。中越らが外へと膨れるなか、ターンマークぎりぎりの場所を差して2着をキープしてみせたのだ。
 すぐに外へと開いた俊敏な判断には驚かされる。中越に絞られたとほぼ同時に、内に差し場が開く、差しを狙わないと2着はないと判断したのだろう。
 新鋭世代の選手が、あそこまでスパッと戦略を切り替えれるものではない。ピット離れで遅れ、スタートで遅れと、重なったミスを、一発のリカバリーショットですべて帳消しにした。今井の判断力には末恐ろしさを感じた。

2010_0123_r12_0935  1着の小坂尚哉は完勝。もし中越が今井に引っ掛からなくても、逃げ切っていたように思える。エンジンパワーもさることながら、スタートが安定しているのが何よりも強みだ。焦点は、明日もインからあのスタートが切れるか。同じことができれば、優勝できると思うのだが。

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/姫園淀仁)


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