この特集について
ボートレース特集 > THEピット――仁義なき戦い!
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

THEピット――仁義なき戦い!

 3R、先頭争いを繰り広げたのは古川健と西野翔太。広島同士の競り合いだ。
 圧巻は2周1M。二人は一歩も譲らずに1Mに突っ込み、結果大競りとなって古賀繁輝に逆転を許している。
 仁義なき戦い!
 昨日は山口裕太が、今日は麻生慎介が、広島勢では1着を獲って、水神祭を達成していた。古川にしても、西野にしても、ここで勝てば水神祭。二人とも同じ重さで、勝利を渇望していただろう。古川も西野も準優はかなり厳しくなっているだけに、何としても水神祭は達成したかったはずだ。
 だから、同県とかそんなことは関係ない! ただただ1着を目指し、相手を競り落とさんとして、ガチンコ勝負を繰り広げた。そんな二人に大拍手だ!
2010_0121_0426  レース後は、まず先輩の古川のほうが先に西野に歩み寄って、右手を掲げて謝意をあらわしていた。西野も軽くうなずく。隣同士でボート内に入った水のかき出し作業をしている間は、古川も西野も、ヘルプしている仲間も、無言のままだった。ただ、その直前に馬場貴也が同期の古川をからかうように「ケーン」とニコニコ顔で声をかけている。そして背中をポンポンと二度ほど叩く。惜しかったな~、という思いと、でもあそこは仕方ないよな、という思いの両方が、馬場の頭にはあったようだった。
2010_0120_0849  カポック脱ぎ場に先に着いていたのは古川のほう。遅れて合流した西野に、古川はもう一度、右手をあげている。ヘルメットを脱いだ西野は、やはり軽くうなずいている。着順の差なのか、それとも西野のほうが先頭に立っていた時間が長かったからなのか、古川は申し訳なさそうな表情を見せたりしていたのに対し、西野はただただ悔しそうに硬い表情をしていた。
 もちろん、後腐れなどあるわけがない。このレース後に行なわれた麻生の水神祭には、二人ともニコニコ顔で参加。嬉しそうに協力し合って、麻生を水面に投げ込んでいる。水の上では先輩も後輩もない! そして陸の上では仲間は仲間! 若き二人の真っ向勝負は、浜名湖に確実に爽やかな風を送り込んでいた。

2010_0121_0120  ちなみに、この二人以上に申し訳なさそうな表情を一瞬見せたのは、勝った古賀繁輝である。陸に上がると、古賀はまず古川と西野のもとに向かって、頭を下げている。すみませんは、勝者のレース後の慣習的挨拶の言葉だが、大競りの間隙を突いて勝った分、その2人に対しては「勝たせてもらいました」的な思いも生まれてくるのだろう。元気一杯に挨拶をして回る古賀には、もちろん古川も西野も妙な感情など抱いてはいなかった。
 また、古川と西野以上に悔しそうな表情を見せていたのは、濱崎直矢である。2着2本が予選突破のノルマだった濱崎は、4着に敗れたことで事実上の終戦を迎えている。何が起こるかわからないのが競艇だとはいえ、自力でベスト18に残る手だてはほぼなくなってしまった。他の5人がとっくにカポックを脱いで控室に戻った後にようやく戻ってきた濱崎は、やるせなくヘルメットを脱ぎ、憮然とした表情を隠そうとはしなかった。最後の新鋭王座を不完全燃焼で終えねばならない濱崎の心中を推し量れば、その顔つきの奥に込められた悲しさを感じずにはいられなかった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません