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ボートレース特集 > THE ピット――みんな、頑張ってるのだァ!!
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE ピット――みんな、頑張ってるのだァ!!

2010_0120_0531 「ボクだって、頑張ってるのだァ!!」
 装着場で作業をしている選手はあまりなく、静寂が訪れていた午後のピットに、突然、バカボンのパパのようなイントネーションの大声が響いた。
 声のする方向を見てみると、声の主はやはり西山貴浩で、自分の傍から離れていった選手の背中に向けて(誰なのかは確認できなかった)、その声を掛けていた。
 それに続けて西山は、言った。
「あ~あ! みんな、景気がいいですなあ」。
 周囲の笑いを取ろうとしている話しぶりではあったものの、はっきりいってしまえば、泣きのコメントだ。
 西山はこれまでまだ2走しかしておらず、成績は5着&2着。決して悲観するような成績ではないのだが、足に対して納得ができていないということなのだろう。
 2日目というと、成績や足の具合次第では、気持ちが切れかかるかどうかの最初のポイントとなるところでもあり、西山の言葉は、筆者にもそれを強く意識させた。
 しかし、今日のピットを見ている限り、気持ちが切れてしまったような選手は一人もいなかった。
 そんな大声をあげたり、鼻歌をうたったりもしていた西山自身も、もちろんそうだ。過去の新鋭王座においても、西山は泣きの言葉を発したあとにも「ねばりの努力」を続けていたが、今日にしても、誰より長く、プロペラを叩いていたのだ。

2010_0120_0554_2  また、そうして西山が笑いを取ったりしているのも耳に入っていないかのように、真庭明志はその隣でペラを叩いていたのだから、その集中力は高かった。
 昨日と今日の前半戦では、3着、4着と来ていたが、なにせ所持しているのがエースーモーターだ。
 リング交換、ペラ交換をして6レースに出たあとも、休まず作業……。今日一番の働き者としては、迷わず真庭を挙げておきたい。
 6号艇に乗る12レースでもなんとかしたかったのだろうが、その方向性が10レース前頃に見つかったのかもしれない。
 それまでは、すぐ隣にいる西山を無視していたようだった真庭だが、その頃から、西山の言葉に笑みを見せたり、自分から声を掛けていったりするようになったのだ。
 そうして臨んだ12レースも3着だったが、その足は上向いてきているようにも見えたものだ。
 ……海野康志郎もまた、西山と同様、過去の新鋭王座では足に恵まれずにいた一人だが、今節もここまで2走で5着×2本。結果だけでいえば西山よりも厳しいが、ボートごと整備室に入れて、チェックをしたあと、すぐに試運転に出ていくなど、その動きと表情からは、なんとかしたいという気持ちの強さが感じられた。

2010_0120_0136  今日一番の働き者は真庭と書いたが、もう一人、ちょっと地味目に働き続けていたのが、濱崎直矢だ。
 午後の整備室で、床に落とした何かの部品を、仲間に手伝ってもらいながら探しているところがまず見かけられた。
 雰囲気的にいえば、ピンなどの本当に小さな部品であるのだろうと想像されたが、そんなに大事なピンなどがあるものかどうか……。
 それを確認してみようと思っていたのだが、その後も濱崎は、とにかく手を止めない。
 整備室の中でも、ペラ修理室→工作室と動き回って作業を続けていたので、そんなつまらない質問をするタイミングを掴むことは、結局できなかった。
 濱崎の成績はここまで4・3・5着。こちらも現在は微妙なポジションだが、ここからの巻き返しを期待したい。

2010_0120_0252  パパ西山が、またまた大声を発したのは何時頃だったろうか。
「記者の皆~さん」と、周囲の記者陣を呼び集め、「明日は山口修路がぶち込みますので、二重丸をつけてもらうようにお願いします!」と、突然の大プッシュ!
 当の山口修路は、隣りで困惑顔を見せていたが、パパ西山は「双子でどっちかわからんのやから、ここで名前を売っとけ」(山口修路は山口隆史と双子レーサー)とアドバイス!?
 そんな話をしながらも、その前後にはペラ調整を続けていたのだから、とにかく西山は個性的な選手だ。
 ……名前を覚えておきたい山口修路の写真も、もちろんUPしておきます。

2010_0120_0857  微妙な成績といえば、BOATBoyでプッシュしている古賀繁輝もそう。
 初日ドリーム戦が4着で、今日は4号艇4着→5号艇3着。得点率5.67で、現在20位となっている。
 初日の午前中に声を掛けたときには、「前検とは全然、変わりました!」と、明るい表情を見せていたのに、初日の午後には、思いつめた表情でペラを叩き続けていた。今日にしても、寡黙に作業をしている時間が長かったので、レースを終えたあとに、調子はどうかと声を掛けてみたのだ。
「この前来た浜名湖(1/7~1/11)より7度くらい温度が上がりましたんで。昨日も、朝は良かったのに、午後には少し落ちてきていたんです。自分の調整ミスがあったのかもしれませんが、温度が上がるとパワー差が出るようになりますから」
「でも、今日はこの枠で大崩れはしなかったことをいい方向に考えて、ちゃんと準優に乗って、そこで勝負ができるようにしたいです」とのことだった。
 古賀も言うように、この時期の気候は変化しやすく、それが及ぼす影響も相当に大きい。
 そんな中で、懸命に調整や試運転を繰り返し、120%の力を発揮しようとしている選手たちみんなを応援したい。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/内池久貴)


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