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ボートレース特集 > THEピット――F後だろうと惨敗後だろうと
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――F後だろうと惨敗後だろうと

2010_0304_0471 「わはぁ~~、放って正解ぃ~~」
 寺田千恵が11Rのスリット写真を見て、声をあげる。周りには……誰もいないのに、テラッチは声をあげる。う~ん、素敵だ。声をかけたくなったけれども、前半に続いてテラッチ劇場だとお叱りを受けそうなので、スキップするように控室へと向かっていく背中を見送るにとどめた。いずれにしてもテラッチ、完全に場の空気を華やかに作っているな。

「いや~、嬉しかったわ!」
 テラッチが控室に消えて、我らが長嶺豊師匠の登場だ。師匠は何をそんなに喜んでいたかというと、7Rの道上千夏の1着である。
2010_0304_0412  今朝、長嶺さんはひたすら道上のFに同情していた。「ほんまにかわいそうでな~、F休みを30日に短縮してあげたいくらいや(道上はF2)」。朝イチで道上に会ったとき、声をかけたかったができなかったそうだ。心中を思えば、おいそれと話を聞くわけにはいかぬ。長嶺さんの問いかけを嫌がる後輩なんているとは思えないが、師匠も現役時代はFが多かったわけで、その胸中を誰よりも理解している。そして、師匠は底抜けに優しい。
 だから道上の1着は、長嶺さんの心をも軽くした。「さっき、話しかけましたわ~」ということだから、道上もその心遣いに感激したことだろう。
 というわけで、長嶺さんと別れると道上の姿を探す。ペラ室での作業中には表情はほとんど見えなかったが、調整を終えて控室に戻る姿を発見。あくまで淡々としてはいたが、長嶺さんの話を聞いた後だったせいか、少し表情に明るさが戻っているような気がした。僕も嬉しくなった。

2010_0304_0690  その頃、水面を独占していたのは若手たちである。西村美智子、魚谷香織、松本晶恵、今井裕梨、藤崎小百合らがその面々だ。そう、こちらもFを切ってしまった藤崎が、そのメンバーに加わっていた。彼女はいったいどんな気持で、水面を駆けていただろうか。もちろん、勝負を捨ててしまったはずがない、と思う。そうでなければ、曇天模様の薄暗い水面を、遅い時間帯まで走る必要などない。しかし、心に抱えた重いものが、ほんの数時間で完全に消えてしまったとも思えない。陸に上がってキビキビと動き回っている藤崎の姿を見ながら、僕はそんな余計なことを考えてしまったのだ。ともかく頑張れ、藤崎小百合。初めての女子王座、挫折の思いだけで終わってほしくない。
2010_0304_0355  で、この若手たちの試運転を熱く見守り、彼女たちが揃って陸に上がってくると率先してエンジン吊りを手伝っていたのが、五反田忍である。五反田は昨日も同様の動きを見せており、これがもう実にかいがいしく、また健気なのだ。う~ん、五反田忍もめちゃくちゃ頑張れ!

2010_0304_0562  というわけで、最終12R。今日の横西奏恵はピンピンである。ヘルメットをとっても淡々としていた横西、一見すると昨日とそれほど表情が変わってないようにも思えるが、貼りついていた悲壮感のようなものは完全に消えた。三浦永理とレースを振り返る様子も、貫禄たっぷりである。やっぱり横西奏恵はこうでなくっちゃなあ。言うまでもなく、もう一人、場の空気を作れる存在なのは、この人。3日目の薄氷を乗り切ったことで、また彼女らしい空気がその周囲に出来上がっていくのだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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