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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE――帰還を待ちわびて

 イベント広場が開会式で大盛り上がりになっている頃、喧騒を横目に見ながらピットへと向かった。ピット担当班としては、誰もいないと分かっていても何かが起こっているかもしれないと信じてピットに足を運ぶ。
 まあ何もなかったわけだが、ただピット内は昨日の前検日とは様子を変えていた。係留ピットや装着場のあちこちに赤いマットが敷かれている。今節の大村ピットはどうも足元が滑りやすい状態で、昨日はある選手が装着場で思いっきり転んでヒヤリとするシーンを目にした。それに対処するために前検の途中から選手代表の藤丸光一が指揮してあちこちに毛布のようなものが敷かれたのだが、今日はそれが赤い滑り止めマットに代わっていた。まるでレッドカーペットに彩られたような装いで、SGの雰囲気がより一層増した。さすが企画レースの宝庫・大村、どこまでも機転がきいている。

2010_0621_0607  誰もいないピットでは、整備室で3基のモーターが主人の帰りを待ちわびていた。モーター番号は18、26、39。持ち主は魚谷智之、萩原秀人、今垣光太郎だ。
 魚谷の18号機は2連対率29.4%で44位。4月の周年記念で中野次郎が乗り、優勝戦でフライングを切っている。そういえばそのレースで魚谷も……。萩原の26号機は2連対率25.0%で50位。今節のワースト3に名を連ねる低勝率モーターだ。今垣の39号機は2連対率39.5%の20位。中堅に位置するが、おそらく今垣にとってはまだまだ手の施しようがあるのだろう。
2010_0621_0543  10時になって選手たちがピットに帰ってきた。装着場に真っ先に姿を見せたのは西島義則と辻栄蔵の広島勢。まず西島がモーターを外して整備室に入り、そのあと辻もモーターを整備室に持ち込んだ。そうこうするうちに魚谷智之と萩原秀人も戻ってきて整備を始めている。この4人が飛び抜けて早い動き出しを見せていた。きっと彼らは開会式の間も頭の片隅にモーターが浮かんでいたことだろう。

 10時20分ごろになってようやく39号機の主が帰ってきた。今垣光太郎だ。いや、ようやくという表現は正しくない。ドリーム戦インタビューが終了したのが10時20分ごろのはずだから、終わるやいなや今垣はすっ飛んできた計算になる。
2010_0621_0533  そんな今垣は整備の途中で装着場に出てくると、ボートを修理室の前へ移動させた。そしてボートをひっくり返し、底面を手のひらでなぞっていく。修理担当者に何やら説明し、細かなデコボコを直してもらうように指示したようだ。近くに行って見てみたが、肉眼では凹凸は確認できなかった。しかし担当者が研磨を行なったあとのボートを見ると、たしかに修理前より滑らかさが増した気がする。今垣という選手はこんなところにまで気を配ってレースをしているのか。驚きを通り越して絶句してしまった。

 しばらくすると他のドリーム組もピットに姿を見せた。松井繁は整備室に寄って機歴簿を確認してからボートを水面に降ろした。早々と試運転の開始だ。菊地孝平と坪井康晴はギアケースを外して整備室へ向かった。朝の試運転の感触をもとにセッティングを煮詰めていく。
2010_0621_0501  湯川浩司と岡崎恭裕はずいぶんゆっくりした動き出しで、姿を確認できたのは1Rが始まる直前だった。岡崎にいたってはまだボートにモーターが装着されていない状態。彼の56号機は架台に乗ったまま整備室に佇んでいた。これは果たしていつも通りのマイペースなのか、余裕がもたらすスローペースなのか。岡崎の戦績を調べてみると、たしかにそれほど本体整備の多い選手ではないが、2月の九州地区選では初日1走目からリング4本を交換したという実績もある。それから考えるとどうやら彼は56号機にまずまずの感触を得ているらしい。6コースで1年近く白星がない岡崎だが、ドリーム戦6号艇で何を魅せてくれるのだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/森喜春)


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