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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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オーシャン準優 私的回顧

連覇への序章

9R
①毒島 誠(群馬) 19
②湯川浩司(大阪) 17
③濱野谷憲吾(東京)23
④今村 豊(山口) 18
⑤新田雄史(三重) 18
⑥池田浩二(愛知) 17

2010_0718_r09_1055  湯川の自作自演のワンマン劇だった。第一幕は「やんちゃツケマイ編」。2コースの湯川はよくまくる。それは熟知していたが、2着OKの準優での2コースまくりはかなりリスキーだ。インとの無理心中になる危険があるから。スリットほぼ同体の隊形を見て、「湯川は差しか、だったら毒島も残せる」と思った。が、自慢の行き足をフル稼働して半艇身ほど覗いた湯川は、迷うことなく毒島を絞りはじめた。
「ヒィィィ、アンタって人は、やっぱ行くのかーーーっ!?」

2010_0718_r09_1061  必死に抵抗する毒島。が、勢いと足色が違いすぎる。ズルリと湯川の内から零れ落ち、新鋭王のSG初挑戦初Vの夢は終わった。相手が悪かったよ、毒島クン! ピンロク勝負の優勝戦ならともかく、準優で2コースからあんなにゴリゴリ攻める人はそうはいないんだから。
 で、この2コース強ツケマイ&インの悲壮な抵抗を見て、3コースの濱野谷は内心ニンマリしたはずだ。「ごっつあんですっ!!」という風情で得意の鋭角俊敏ハンドルを突き刺した。湯川は横に、憲吾は縦に走っているのだから勢いが違う。一瞬で先頭に立った。このまま独走するかに見えた。
2010_0718_r09_1076  が、ここからの主役もやはり湯川だったのだ。第二幕「超抜パワー編」。毒島を自力でやんちゃに斬り捨てた湯川は、外からぐんぐん憲吾を追い上げてゆく。2マーク、憲吾のターンにぬかりはない。的確なターンだったのに、差した湯川の舳先が近づいてゆく。2艇身、1艇身……舳先が入ったと思ったら、もう同体になっていた。総理杯優勝戦の憲吾VS岡崎によく似たパワー逆転劇だ。2周1マークを制した湯川がぐんぐん引き離し、それで大勢は決した。
 憲吾の5艇身後方では毒島と新田が競りになっていた。新鋭王座ファイナルを彷彿させる熾烈さだったが、今日は栄光とは無縁のバトルでしかない。はるか前を走る湯川の背中が「新鋭王座のバトルなんて、SGではその程度のレベルでしかないんだぜ」と嘯いているように見えた。
 監督、脚本、主演・湯川浩司。この芝居のタイトルは『連覇の夜』でどうだろう。もちろん、明日が第三幕・最終章だ。

やまとの進軍は続く

10R 進入順
①石野貴之(大阪)16
④木村光宏(香川)26
②松井 繁(大阪)25
③辻 栄蔵(広島)15
⑤高沖健太(三重)22
⑥作間 章(千葉)22

2010_0718_r10_1235  辻がまくりきるかに見えた。2コースの木村と3コースの松井ががっつり凹んでいる。「前付けした艇と前付けされたスロー艇はS勘を補正しにくい」という現象か。それとも木村には「地元SGでFは切れない」、松井には「ここで2本目のFをきったら今年の後半がなくなる」という思いが働いたか。とにかく、2、3コースの凹みは、4カドの辻にとって最高の隊形だ。一気に松井を置き去りにして絞りはじめた。私の目には勢い的に石野の舳先まで届くように見えた。その外には高沖がしっかり連動している。3-5の穴舟券を持っていた私の心はそぞろときめいた。
2010_0718_r10_1241  が、石野の伸び返しはどうだ。1マーク手前で辻とまったく同じ足色になり、それを見た辻が呆れたようにまくりから割り差しに切り替えた。この判断は正しかったと思う。あのまま辻がまくりに行ったら、2艇でどこまでもぶっ飛んでいったはずだ。石野はかなり無理な態勢から先マイしたので、まだまだ3-5の目がある。
 そのまま、2艇して突き刺されーーー!!

2010_0718_r10_1252  私の祈りは、これまた石野の凄まじいパワーの前に砕け散った。他を寄せ付けぬレース足で1艇身抜け出し、ツインカムターボのようなセカンドの足でぐんぐん引き離していく。2マークで焦点は2着争いだ。辻と高沖のくんずほぐれつの優出バトルは最終ターンマークまで続き、高沖が転覆するという壮絶な形で決着が付いた。1着・石野、2着・辻。コースの差ではなく、パワーの差がこの着順になった。初日から「辻が節イチだ」と頑固に言い張ってきた私だが、実は石野がそれ以上だということは気づいていた。そして、今日の直接対決ではっきりとその訂正を迫られたわけだ。
 やまと卒業生の進軍は続く。山口から岡崎へ、岡崎から石野へ、今年だけで3人目のSG戴冠の報が、福岡・有明の干拓地に届けられるのだろうか。

超個性派たちの饗宴

11R 進入順    
③西島義則(広島) 16
①今垣光太郎(石川)06
②萩原秀人(福井) 05
⑥服部幸男(静岡) 09
④菊地孝平(静岡) 02
⑤寺田 祥(山口) 04

2010_0718_r11_1342  このレースが進入からスタートから展開からいちばん難しい。昨夜からうんうん頭を悩ましていたのだが、やはり、とんでもないレースになった。スタート展示のインは萩原で、本番は西島。今垣は2度に渡ってインを奪われた。あえて譲ったわけではない。「光ちゃんの進入下手」は舟券オヤジの間でも常識であり、それが今日も出てしまった。「あちゃーー」という風情で2コースの構える今垣。が、そこでもう、気持ちを切り替えたのだろう。コンマ06まで踏み込んで一気に西島を叩いてしまった。何度も目の当たりにした光太郎パターン。「進入の失敗をまくりで取り返す」というのが定番の選手なんて、ちょっと他にはいないぞ。まあ、それがどうにも人間臭くていいんだけど。
2010_0718_r11_1349  が、インを奪われたツケは別の形で回ってくる。2コースのジカまくりは差しの餌食にもなりやすい。9Rの湯川も濱野谷の一撃差しを浴びた。同じように3コースの萩原が勇躍、鋭角の差しハンドルを入れた。バック中間で今垣を2艇身突き放す。9Rでは突き抜けた濱野谷が湯川に逆転されたが、萩原は違った。むしろターンごとに今垣をどんどん置き去りにしていく。

2010_0718_r11_1365 濱野谷とは、回ってすぐのレース足が違いすぎるのだ。石野の足が全部Sランクだとするなら、萩原の足は回り足レース足がSSで行き足・伸びがAという感じか。総合力では甲乙をつけるのが難しいトップ足だ。萩原はこの素晴らしい回り足を武器にSG準優の常連になり、今やSG優勝戦の常連になろうとしている。超個性的なパワーが萩原に自信を与え、その自信が萩原という人間をどんどん強くしている。そんな気がする。ハートとパワー、頂点に立つべき要素は揃った。

2010_0718_r11_1393  エース39号機でシリーズを盛り上げてきた寺田は、3度目のアウト大まくりを決めることができなかった。阻んだのは、菊地のコンマ02デジタルスタートか。寺田も04まで踏み込んではいるが、調整ミスかアジャストしたのか。昨日までのスリットからの破壊力はなかった。
 西島のイン強奪、今垣ならではの「コース獲られリベンジまくり戦法」、SG準優をモノともしない菊地のコンマ02韋駄天S、そして内々をくるくる回って突き抜ける萩原のちょっとクラシックなレースぶり……超個性派レーサーたちの魅力がこれだけてんこ盛りになるのも珍しく、なかなかに素敵なレースだったな。予想は本当に難しいけれど。(photos/中尾茂幸、text/H)


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コメント

辻選手、優出おめでとうございます!
そういえば、7年前のオーシャンも5号艇でしたね。
場外で応援してます!がんばってください!

投稿者: UKmanazo (2010/07/18 23:58:31)
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