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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――余裕とは何か

 もう何度も書いているが、最終日も暑いぞーーーーっ! ピット内の温度計は34℃。これが、夜になると気温がぐっと下がり(28~29℃とか)、その代わりに湿度が上がる(57~58→74~75%)というのが今節のパターン。優勝戦の頃は、前半戦とは気象条件が変わってしまうわけである。
 というわけで、早い時間帯には優勝戦メンバーは目立った動きを見せていない。全艇が装着場にあるし、選手の姿を頻繁に見るというわけでもなかった。
_b8e0594  いや、一人だけしょっちゅう目撃したな。平本真之である。地元の最若手である平本は、すべてのレースを終えてモーター返納などに忙しい選手たちのヘルプをしなければならず、カポックや勝負服を運んだり、先輩の返納をサポートしたり、整備室周辺と控室を行ったり来たり、走りまわっていたのであった。いわゆる新兵は、同期の2人(篠崎と新田)を含めて何人かいるけれども、一般戦を走る彼らは自分のレースの準備に忙しい。もっとも時間がたっぷり残されているのは平本、ともなれば、平本が飛びまわるのは当然なのであった。
 その合間に少し話した。優勝戦について、というよりは、雑談だ。いつもの笑顔ではあるが、しかしどこかカタさも感じないではない。まあ、当然だ。まったくの平常心でいられるほうがおかしい。この一日を経験することが何より大きな意味をもつのだから、雑用に追われ、緊張感と戦うハードな時間をおおいに“満喫”してほしいと思った。
_b8e0568  そうした経験を山ほど積んできたのが、今村豊である。四半世紀以上も、こんな時間を送る日が今村には訪れてきた。それがどれだけ凄いことか、今日の今村のリラックスぶりを見ているとよくわかる。1号艇だろうが何号艇だろうが、時間の使い方を知り尽くしている証であろう。
 自艇のもとで作業をしていると、まず寺田祥が歩み寄る。さらに同期の池田浩二もやってきて、後輩二人にミスター競艇の“講義”が始まった。今村はハンドルをガッチガチに堅くセッティングすることで知られているが、その堅さがどれほどのものかを、今村は二人に説明し始めたのだ。真剣な面持ちで聞き入る池田と寺田。これ、優勝戦1号艇の人の周囲の様子ですかね、ほんとに。きっとこんな会話、こんな時間も、今村の優勝戦モードを作り上げることに一役買っているのだろう。
_b8e0910  中島孝平も余裕の面持であった。というか、普段とまるで変わらないんだ、この人も。中島とはほぼ毎日、前半のピットで顔を合わせて挨拶を交わしているが、トーンも表情も口調も、まったく一緒。優出を逃していたとしても、同じだったんだろうなあ、今日の中島孝平は。もちろん、なかなかできることではない。
2010_0828_0192  今垣光太郎は、昨日まで以上に余裕が生まれているような気がした。表情が明るく見えたのだ。優出を果たして、まずはホッと一息といったところだろうか。ただし、作業の緻密さ、徹底ぶりは昨日までと同様。いや、昨日までというより、いつ見たって同じである。
_b8e0026  仲口博崇も、ひとまずは余裕をうかがわせる顔つきであった。SG初制覇が現実的になってきて、少しはプレッシャーを感じさせる様子かと想像していたのだが、そういうことはなかった。前半の時点では。上瀧和則が肩を揉む場面も見かけており、きっと周囲の後押しが大きいんだろうな。優出メンバーの中では、ただ一人、ギアケースを外して整備室にこもっていた。
_b8e0613  余裕なのか、それとも……。濱野谷憲吾である。3R終了後まで前半のピットにいたのだが、ついにモーターを装着しないままだったのだ。チャーリー池上カメラマンによると、僕がピットを去った5分後に装着したそうだが、ともかく、そんな時間帯まで素っ裸のボートのままだったのは濱野谷の2号艇だけなのだ。ペラ室で作業しているところは見ているが、その意味は……。あ、そんなこと書いてたら、濱野谷が足合わせしてるじゃないか。これは優出メンバーの一番乗りなのだが……。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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コメント

それにしても最近、私が敬愛する内池先生はどうしちゃったんでしょう。今シリーズも登場されてませんし。もしかしてサイトウキネンオーケストラを聴きに、松本まで行かれているのでしょうか。内池先生の原稿がない「BOAT RACE特集」なんて、個人的には意味がないんですよ。小澤征爾や、ジェイムズ・レヴァインのような華麗な復活を望みます。

投稿者: ヤヨラー (2010/08/29 17:04:07)