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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――がんばれ湯川

 2人のSG初出場による水神祭に沸いた夕刻のピット。こうして水面に投げ込まれるのは、本当に微笑ましいもの。立ち会った者すべてを笑顔にする。しかし……。
2010_0824_1472  同じ水面に投げ込まれる(投げ出される)のでも、こちらは多くの人の顔を暗くさせる。転覆だ。9R、まくった服部幸男に乗ってまくり差しを狙った湯川浩司がターンマークに激突。ボートは壮絶にひっくり返り、湯川は水面に投げ出された。
 もちろん、転覆は少しも珍しいことではない。1R転覆の石野貴之が元気に戻ってきたように、何事もなく引き上げてくるケースは少なくない。だが……田中信一郎、太田和美が猛ダッシュでレスキュー係留所に走って行ったとき、ピット内は一瞬にして緊張に包まれた。検査員さんなどの職員さんも後に続き、水面に目をやるとレスキューはレース終了を待たずしてピットに戻ろうとしていた。湯川、負傷か……。
2010_0824_0821  レスキューがピットに到着すると、黄色いカポックが横たわったまま、陸に運びあげられた。担架に横たわる湯川の姿に、心臓がきゅーっと掴まれたように痛む。気がつけば、松井繁や石野貴之、そして田村隆信も駆けつけていて、担架の左前方をもっている田中らと険しい顔で目くばせしている。湯川は担架の上で軽く首をもたげて、痛みに耐えているようだった。
 10数分後だろうか。着替えを終えて控室を出た湯川とバッタリ顔を合わせた。ひとまず大丈夫だったのか。顔をしかめながら湯川は「まあ、大丈夫っす」。そう言いながらも、足を軽く引きずってるではないか。「足、いった~~~~い」。苦笑を浮かべつつ、湯川はおどけてみせる。足は痛むのだろうが、それほどたいしたケガではないということか。
2010_0824_0284  そこに、10Rの展示を終えた井口佳典があらわれた。やはり心配で仕方なかったのだろう。とはいえ、自力で歩いている湯川を見て、井口はホッとしたのだと思う。「えらい角度で突っ込んでったな~。モロ(激突)やで~」、からかうように井口は笑った。銀河系のメンバーは、仲間が負ければボロクソにけなし合うという、キツい切磋琢磨をモットーとしている。だから、たいしたことがなかったのなら、まずはからかう。それが彼ら流の気遣いなのだ。湯川も、やっちまったよ~という感じの笑顔を返す。そして、わざとふらついて見せたりした。痛めた足がもつれていた。体を張った冗談である。
2010_0824_1108  先に転覆整備を始めていた先輩たちは、合流した湯川を見て、ひとまずほっとしていたようだった。ただ、兄弟子である田中信一郎はなかなか険しさを消さず、壊れたかもしれないペラをチェックしたりしていた。優しい男なのだ。ともあれ、帰郷しなければならないようなケガではなかったことは、多くの人に安堵の表情を浮かべさせた。大減点(マイナス12点)で準優戦線はかなり厳しくなったが、明日からも元気に走ってほしい。

 湯川にかなり気を取られてしまったので、駆け足で。
2010_0824_0229  暗くなってからも試運転を続ける選手は少なくなかったが、大時計を回したスタート練習で、矢後剛が6コースの位置から練習を繰り返していたのが気になった。言うまでもなく、チルト3度の練習である。スタート練習を終えて陸に上がると、即座にペラ室にこもった矢後。そっと覗くと、鬼気迫る表情でペラをにらみつけては、木槌を振り下ろしていた。明日は1R6号艇で登場する(7R5号艇も)。直前情報、あるいは高橋アナの実況に、ぜひとも注目してもらいたい。
2010_0824_1069 試運転組には、辻栄蔵と前本泰和の広島コンビもいた。足合わせを何度かしていたが、一足先に試運転を切り上げた辻が「前本さんにやられっぱなし」的な言葉を口にして、ガハハハハと笑っていた。その前本は、辻が試運転を終えてもまだ引き上げる様子はなく、ペラ室と水面の往復を繰り返す。今日のレースではハイパワーぶりを見せていたが、さらに向上させてくるかもしれない。
2010_0824_0497  整備室では、今井貴士、重成一人が本体を整備。こちらも明日の直前情報は要チェックだが、今井の表情がもうひとつ冴えないのが気になった。また、初日ピンピンの好発進だった新田雄史も本体を調整中だった。不思議といえば不思議、しかしパワーにはまだ不満げなコメントを残してもいるから、当然といえば当然。整備が当たれば、下剋上の風をさらに強く吹かせる存在になるかもしれない。
2010_0824_1082  最後に、やるせない表情が実に気になった山崎智也。9Rは服部幸男にまくられているが、レース後、その服部と顔を合わせて、物憂げな顔つきになっていた。それを見た服部がおかしそうに話しかけていくが、智也の表情は変わらない。せっかくの1号艇をフイにしてしまったことは、あの智也から笑みを奪うほどに深刻なことなのだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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頑張れ湯川

投稿者: ゆりあLOVE (2010/08/25 0:32:02)
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