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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――SGとGⅠ

2010_0923_0243  SGとGⅠの違いとは何か。
 ……などと考えて、そうした物件を探してしまう。浜名湖GⅠ参戦はもはや恒例化しているので、GⅠのピットはもちろん初めてではないのだが、なぜか今日、改めてそんなことを思ってしまったのだ。
 出場メンバー? たしかに違う。というか、SGだって52名がまったく同じなんてことはありえない。これまでSGでお目にかかったことのない選手もいるにはいるが、それでもみな、同じA1級ではないか。
 前検の雰囲気? ここでふと立ち止まる。モーターを受け取ったあとの慌ただしさ、タイム測定などを終えたあとの調整の忙しさ、整備室の混雑具合、エンジン吊りに飛び回るテキパキとした動き……それらに何の違いがあるだろうか。SGよりはピリピリしてない? 先入観としてはそういうことになるが、しかし意識して様子を観察していると、そうした認識はどんどんと薄れていく。というより、SGだってそんなにナーバスな空気になっていたっけ? そう思う。
2010_0923_0467  そんな心持で赤岩善生を見てしまったりすると、さらに迷う。少なくともこの男は、SGとはまったく違いのない動き、空気感でいるのは間違いないからだ。触ると切れそうな鋭い表情。タイム測定を終えると整備室にこもって、時間一杯かけて調整する姿。その真剣なまなざし。エンジン吊りの際などに目が合ったりすると、今は声かけんなとばかりに一瞥して去っていくスピード。この男、SGだろうがGⅠだろうが、おそらく一般戦だろうが、やり方や姿勢を変えるということを知らないのだ。
 やっぱりSGとGⅠに違いはないのかなあ……。
2010_0923_0627  辻栄蔵も、ここがSGのピットかと錯覚させてくれる一人である。オーシャンカップ優勝戦でギリギリのギリギリまでペラ調整をしていた姿を書いたが、GⅠの前検だって辻は同じ動きをしているわけである。つまり、試運転から帰ってきて、スタート練習のピットアウト直前まで整備室へこもり、「1班乗艇」というアナウンスとともに係留所へと走ってくる、という動き。あの熱帯夜をまざまざと思い出して、やっぱりSGとGⅠの違いって……などと考え込んでしまった。
 ようするに、超一流選手はどんな舞台であっても手を抜かない、ということなんでしょうけどね。しかし人間たるもの、潜在意識が自然と雰囲気を変えてしまうことだってあると思うわけで(オンとオフの使い分けは決して悪いことではないですよね)、そう思うと赤岩と辻の姿にはやはり考え込んでしまうというものである。
2010_0923_0112  菊地孝平も同様だった。この人は“モード”に入ると、人を寄せ付けないほどの険しい表情で思考回路をフル回転させるわけだが、前検からそうした菊地孝平が見られたのだから、唸ってしまった。まあ、機力に不満があったりするのだろうし、地元GⅠはSG並みに特別な舞台だったりするのだろうけど。
2010_0923_0397  そうそう、坪井康晴の柔らかい表情も、SGで見かけるものと変わらなかったな。特にその日のレースを終えたあとなど、坪井は穏やかに、微笑さえ浮かべつつ挨拶してくれたりもするのだが、今日も同じ。ただ、訝しく思わざるをえないのは、坪井はいきなり本体を割って、大きな整備をしていた、のである。実際に部品交換があるかどうかは直前情報を確認してほしいのだが、三つ割を始めたのもちらりと目に飛び込んできたのだから、機力にはかなりの不安を抱えていると思われるのだ。三つ割とはようするに、クランクシャフトの整備である。それでもSG時と変わらぬ表情を見せられる坪井は、ようするに精神力も一流なのであろう。
 
2010_0923_0256  SGレーサーたちを見ていても答えは見つからんか、ということで視線を別に移す。たとえば、自分レベルではたしかにSGとGⅠの違いっつーか、お初にお目にかかりますっつーか、ようするに藤生雄人や須藤隆雄。大変申し訳ないのですが、最初はお顔とお名前が一致しなかった方々です、はい。群馬支部同士だけに、一緒にいるところもよく見かけたが、藤生は深川真二や鳥飼眞らと談笑しているのを見かけたりして、そこに違和感などは少しもない。SGでよくお目にかかる九州男児との絡みが、もちろん新鮮ではあるけれども、まったく自然なのだから、ここがSGのピットといわれても、藤生はSG初出場なのね、と納得してしまうであろう。うーむ、SGとGⅠの違いって、やっぱり……。
2010_0923_0238  というわけで、SGだろうとGⅠだろうと彼らは最高の戦いを見せてくれるであろう、なんていう陳腐でありきたりな結論で強引に締めくくってしまうわけであるが、一流の勝負師ってのはそういうもんなんだろうな、というのは正解であろうとも思う。選手たちはよく「負けず嫌いじゃなきゃ、選手なんてやってられないよ」などと口をそろえたりするのだが、そこに勝負がある以上、彼らは本気を出しちゃうわけだ。もちろん、懸かっている賞金額や名誉は差があるから、大勝負になっていくと緊張感は変わってくるのであるが、ひとつひとつの勝負にかける思いはたしかに変わらない、と改めて思った……とこれまた強引に締めてしまうのである。
 ともあれ、浜名湖賞は明日開幕! SGにも負けない熱戦必至であります。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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