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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――和

2010_1010_0089_2  係留所から整備室に向かっていた平尾崇典を、山本泰照さんが呼び止める。JLCの中継でピットレポートを担当している泰照さん、もちろん取材である。といってもこの二人、叔父と甥の親戚関係であることは周知のとおり。平尾も心安い叔父さんの質問に、気軽に応えている。
2010_1010_0561  その様子を訝しく思った男がいた。濱野谷憲吾である。二人のすぐ近く、ほんの1~2mのところで装着作業をしていた濱野谷は、平尾が泰照さんにタメ口を利いているのを不思議に思ったらしい。というか、大先輩になんて口の利き方してるんだよ、と驚いたのだろう。濱野谷はいてもたってもいられずに、平尾にツッコミを入れた。
_u5w7054  当然、周りは大爆笑。そして濱野谷は爆笑の意味がわからない。え、何? どしたの?
 平尾が苦笑いしながら泰照さんとの関係を説明すると、濱野谷はえーっ!
「マジで? ぜんぜん知らなかったよ!」
 あまりに今さらな驚きぶりに、周囲はさらに大爆笑だ。濱野谷選手、準優の日にひとつ知識が増えましたね(笑)。平尾や我々に突っ込まれて濱野谷も、おかしそうに大笑いしていた。

2010_1010_0145_4   その頃、装着場の奥のほうでは、今村豊が今坂勝広と向き合って何事か語り合っていた。今村が身振り手振りをしながら今坂に説明をしていて、その今村が何をしていたかといえば、モーターの装着。ハンドルとモーターはワイヤーでつながれており、今村といえばそのつなぎをかなり絞って、ガッチガチに堅くハンドルをセッティングしている。
2010_1010_0131  となるとこれは、MB記念の優勝戦でも見られた「今村ガチガチハンドル講座」ではないか! MB記念の際の講習生は池田浩二と寺田祥だった。そして今日は今坂。おっ、今村がハンドルを勢いよく左右に入れて、ハンドルの堅さを見せつけているぞ。やっぱりそうだったか。今坂は、ちょっと驚いたふうに何度かうなずき、今村はさらに得意げにハンドルを何度か回してみせた。
_u5w7142  そこに辻栄蔵も加わった。今村のハンドルの堅さを見ながら、信じらんない、みたいな感じで首をひねる。今坂も、隣の隣に置いてあった自分の艇のハンドルを何度か回して、今村との差に感心したように首をかしげた。そんな今坂を一瞥して、今村はさらに得意げ! 次のチャレカでも、この講座は別の選手を相手に開かれるのかなあ。

 とまあ、なんだかとっても和やかな準優の昼下がり、である。装着場はわりと閑散としており、時間もゆっくりと流れてる感じ。そうしたなかで、準優組が和やかなシーンを見せてくれているわけだ。
_u5w5933  森高一真と吉川元浩なども談笑をしており、耳を澄ましてみると、森高のまっさらな靴の話題のようだった。たしかに、森高の靴は妙に真っ白。どうやら今日、下ろしたようだ。準優に向けて、気分一新ってことかな。それを吉川が「白いなあ」と笑っていて、森高もそれに笑顔を返していたという次第。その後、森高と顔を合わせて、いろいろ聞きたいことがあったはずなのに、僕もつい「靴、真っ白」とか言ってしまった(笑)。「おぉ、買うてきたんやで!」と得意げに去っていく森高を見送りつつ、肝心なことを聞き逃した自分を呪うのであった。
2010_1010_0523  おっと、装着場のど真ん中で、瓜生正義と沖島広和が談笑しているではないか。単独でいるときの沖島は、正直カタさを感じたものだった。SG初出場で、昨日SG初1着を獲ったばかり。その1着でベスト18に滑り込んで、SG初出場初準優出。多少の緊張があるのが当然である。それをどうやら、瓜生がほぐしているようであった。瓜生としてはそんなつもりはなく、単に後輩とアドバイス混じりの会話をしていただけかもしれないが、沖島の顔がどんどんと柔和になっていくのを見て、瓜生の人柄の最高さを改めて痛感するしかなかった。今年のSGでは不調に苦しむことも多かった瓜生だが、こうした瓜生を見られることはやはり幸せというものである。
2010_1010_0175_2  そうそう、カタいといえば、峰竜太もやはりカタく見えますね。モーター架台を準備している峰に声をかけて、「緊張は?」と問うと、「ぜんぜん」。
「転覆してから、いい具合に力が抜けてる感じがします。今日も大丈夫ですよ」
 口ではそう言うのだが、本当にそうだろうか? とてもそうは思えないんですけどね。しかし、峰にとっては悪いことでもないと思う。6号艇だから気楽に、なんて姿は峰には似合わないからだ。6コースだろうと、思い切りのいいレースでアタマを狙う。だから、レース前はカタくなる。それが峰竜太の魅力のひとつだと思う。優出すれば地元チャレカが見えてくる。頑張れ!

2010_1010_0434  さて、和やかななかで、必死さを隠せないのは、言うまでもなく江口晃生である。1R展示後から試運転係留所には江口のボートがあって、ペラ室とここを何度も往復している姿を見た。思えば、予選道中はすべて昼間のレースだった。今日、初めて夜を走るのだ。しかも、ベスト18のなかではおそらくもっとも機力が苦しい。それだけに、今日は昨日まで以上の必死な調整を強いられるのは当然ともいえる。江口は大変だろうけど、見ているこちらとしては感動的である。だって、カッコいいもん、今日の江口。途中、今村豊に装着場のど真ん中で話しかけ、長い時間、アドバイスをもらっているようだった。今村は優しげな笑顔を浮かべながら、江口に語りかけている。江口もうんうんとうなずきながら、別れ際には江口らしい穏やかな笑顔を見せていた。この思いが結実するのかどうかは、神のみぞ知る。だが、この思いが今日の準優に彩りを与えるのは間違いない。やはり、準優最大の注目は、江口晃生がどんなふうに地元の意地を見せてくれるか、であろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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