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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THE ピット――作業をする選手たちの個性

2010_1007_0256  1レース前の整備室は静かだった。中央のテーブルでリードバルブの調整をしていたのは“マラソンマン”重野哲之だ。じっとリードバルブを眺めてながら作業をしている様子は、いかにも「熱心」という感じのものだった。
 整備室では他に、平尾崇典と柏野幸二が並んでプロペラを見ていて、奥のほうで安田政彦が何かの部品を扱っていたただけだ。
 昨日のように本体整備をする選手は出てこないのかもしれない。

2010_1007_0379  一方、ペラ小屋はあいかわらずの大繁盛。気になる光景としては、峰竜太と吉田拡郎が向かい合って作業をしていたところ(見ていた範囲では2人とも無言だった)と、濱野谷憲吾と池田浩二がプロペラを見せ合いながら意見交換をしていたところなどが挙げられる。
 その後、濱野谷がペラ小屋を出て行くと、入れ替わりにペラ小屋に入った今村豊が池田の横に行き、「ガハハハ」と池田を笑わせていた。
 今節はこの二人の掛け合いがよく見られる気がする。
 前検日のドリーム選手共同会見においても、今村が会見を受けている途中で池田がやってくると、「池田選手が待ってるんで、どんどん質問してください(どんどん自分に質問して池田を待たせてください)」と言っていた。あれが事の始まりだったのかもしれない。

2010_1007_0053  また、ペラ小屋の脇となる艇庫の入れ口には作業ができるシートが敷かれているが、その場所では辻栄蔵がペラ調整をやっていた。
 一般戦などではどうなのかはわからないが、SGなどでは毎節何人かは少し暗いこの場所で作業をしている。だが、今節は、いまのところ、昨日から辻がここで作業をしているのが見かけられているだけで、他の選手は見ていない。
 普段の辻は、同県の山口剛などと意見交換しながら作業をしていることが多い気がするが、どこかで心境の変化があったのだろうか。
 エンジン吊りの際などには、山口ら広島勢と笑顔で話しているところが目撃されるが、そうでないときは孤独にこの場所での作業を続けているのだ。

2010_1007_0380  1レース。期待どおり地元の江口晃生が逃げ切った。
 だが、そのレース中にピットのスタッフは「1レースから危なかったな」と呟いているのが聞こえてきた。これは江口の勝利がやばかったということではなく、スタートが危なかったということだ。
 江口のスタートはコンマ03で、2コース=日高逸子と3コース=三井所尊春がコンマ04。5コース=海野ゆかりは07だったのだ。レース後ピットに貼り出されたスリット写真には、「スタート厳重注意」という赤札も貼られていた。
 そんなきわどいスタートの勝利だったためか、レースから引き揚げてきた江口も、少し引きつったような表情をしていた。
 カポック脱ぎ場で隣りに日高が来ると、「危なかった~」とひと言。その言葉に日高も同調し、事故なく済んだことを慰めあっていた。
 この日高は今日が49歳の誕生日となるが、1レース一回乗りの今日も、当然ながら“働く1日”だ。
「今日はプロペラとリードバルブをやります」と話してくれたが、誕生日であっても、“いつもの日高スタイル”は変わらない。女子王座にいてもSGにいても、誰より働き者なのである。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/内池久貴)


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