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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――シリーズ組と決定戦組

2010_1219_0210  決定戦組とシリーズ組、というのは、あくまでも“こちら側”の見方である。松井繁は決定戦組で服部幸男はシリーズ組、なんてことを本人たちは考えているのだろうか。だって、ここが暮れの住之江のピットでなかったら、SGに参戦した同期のソウルメイトの組み合わせである。今日からの5日間だけは自然とかかってしまうフィルターが“こちら側”にはあって、当人同士はそこまで気にしてないのかな、と思ったりするわけである。
2010_1219_0578 SGでは毎度のように見られる、64期の最強同期コンビ。もちろん今日も何度か目撃するのであって、そのたびごとに普段と違う目で見ている自分に気づく。この二人が一緒にいると、時に松井が服部を頼りにしているように見えることもあるのだが、今日などは「決定戦組のトップが、シリーズ組を頼りにしてる」なんて頭の中で勝手に変換している。単に友人同士が一緒にいるだけなのかもしれないのに。
2010_1219_0955  スタート特訓&タイム測定のあとも試運転を続けていた菊地孝平が、係留所でプロペラを装着している。その横に座り込む井口佳典。二人は笑顔で会話を続けながら、菊地の目はプロペラに注がれ、井口はそれを温かいまなざしで見つめていた。決定戦Vの経験もあるシリーズ組が、決定戦組の心をほぐそうと気を遣っている……などと、やっぱり脳裏で変換している自分に気づいて、いかんいかんと打ち消す。二人は先輩後輩ではありながら、非常に仲は良く、半ば対等の付き合いをしている間柄だ。ならば、今日になってピットに合流した先輩と積もる話に興じるのは当然のこと。だというのに、ね。
 うーむ、朝の“残酷な”様子に少々感傷的になったからか、妙な意識をもってピットの風景を眺めているなあ、今日は。

2010_1219_0233  整備室を覗くと、日高逸子が整備をしていた。その近くでは、松井繁がモーターの格納作業をしている。トビラが閉ざされているときには、当然彼らの声は聞こえてこないが、誰かが整備室を出入りするときに一瞬だけ開いたときに、漏れ聞こえてくる声がある。それによれば、会話の主導権を握っているのは、日高のほう。日高が繰り出す言葉に、松井がいちいち感心しながら、相槌を打っている様子であった。さすがグレートマザー! とこちらが感心。王者にとっては、畏敬すべき先輩ということになるのであろう。
 で、次に漏れ聞こえてきた声によれば、話題は日高のウェアの背中の文字について、だったようです(笑)。もちろん詳細は聞き取れていないが、ようするに雑談を交わしていたわけである。グレートマザーと王者の整備室での雑談……。
2010_1218_0316 そのすぐ隣では、平本真之が本体整備をしていた。日高と松井の会話は聞こえていたのかなー。なんだか、それどころじゃないってな顔つきで、必死にモーターと向き合っていたので、耳から入っては抜けていっていたかもしれないけれど。暮れの住之江初登場の平本にとっては、こうした空気に触れられること自体が、大きな糧となることだろう。
 それにしても、平本の顔つきは、やけに悲壮感がうかがえるものだったな。その険しさとここまで残している成績には、ギャップがあると言わざるをえない。選手は、時に結果を過剰に信奉しながら、しかし一方で機力の満足感のハードルを高くしては、結果にかかわらずそこに近づけようと努力する。今日の平本がまさしくそんな感じで、それをSGの舞台でも実践しているわけだから、完全にSGの顔の一人になったのだな。初めてSGの空気に触れたのはほんの4カ月ほど前でしかないのに、たいしたものだ。甘い童顔の奥には、けっこうな勝負師魂が隠されているのである。

2010_1219_1414  さて、山崎智也だ。今日も今日とて、いい雰囲気。12Rは、持前の2コースまくりを放って、辻のイン逃げには届かなかったのだが、流れることなく2着に残したのだから、アシはいいはずである。
 そうしたあたりも表情に出るのか、変わらぬ柔らかい表情。決定戦組との絡みは目撃していないが、12名が合流しても特に何の変化も見えなかった。内心、そっちにいない自分を悔しがってはいるのかもしれないけど。たった2日しか終わっていないシリーズ戦。しかし昨日も感じた「強い智也が帰って来ましたよ~」という感覚は今日も変わりはない。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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