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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――柔和すぎる賞金王

2010_1219_0994 「おはようぅっす!」
 松井繁の柔らかな笑みにたじろいでしまった。1Rの展示が終わった頃にピットに入り、最初に顔を合わせたのが王者。ペラを手に控室のほうから歩いてくる松井とすれ違いざまに挨拶をすると、松井はふっと表情を緩めて、挨拶を返してきたのだ。
 賞金王のピットで、こんな表情はほとんど見たことはないぞ! いや、挨拶をすれば、厳しい表情のままペコリと会釈を返してくるのが普段の松井である。そりゃ、たじろぐってもんでしょ、小心者の取材者としては。もちろん、持っていたペラをモーターに装着するときには、すでに険しい目つきに戻っていた松井。そこにはいつもの松井がいる。しかし、今朝の松井は明らかに肩の力が抜けていて、これまでの賞金王以上に自信に満ちた様子がうかがえるのだ。
 松井がそうした穏やかな雰囲気だから、というわけではないが、今朝のピットは全体的に落ち着いた空気が漂っている。賞金王らしいヒリヒリ感が、あまり肌に伝わってこないのだ。
2010_1219_0919  整備室では瓜生正義が本体整備をしていて、トライアル初日の本体整備はたいがいが焦燥感のなかで行なわれていたりする。短期決戦だけに、パワーアップあるいは立て直しを急がねばならないからだ。しかし瓜生は、柔和そのもの。整備士さんと談笑しながら本体に手を入れているのだ。そんなわけはないのだが、まるで整備士さんと会話をするために、本体整備をネタにしている、というふうにすら見える。
2010_1219_1210  今垣光太郎も、ルーティンとも言うべき本体整備。こちらは、エンジン吊りに向かうときは走り、いったん休憩をするために喫煙所に向かうときも走り、タバコを吸い終わって整備室に戻るときも走り……と、急いだ様子は見受けられるのだが、表情にはまったく焦りはない。むしろエンジンが出まくっているときの光ちゃんのような柔らかさがあり、ぼけーっと突っ立っていると後ろから駆け足中の光ちゃんに挨拶をされるほどである。
2010_1219_0598  湯川浩司も、まったくもって余裕だ。決定組のほとんどがまだ陸の上での作業をしている段階で、湯川は早くもボートを係留所につけてニードル調整をしていたのだが、それは早急な調整が必要というわけではなさそうで、ピットをゆったりと逍遥したりしている。そのまま係留所に向かうのかと思うとそうではなく、ぶらりと控室へ戻って行ったり。マイペースでトライアルの時を迎えようとしているとしか思えないのだ。

2010_1219_0915  ペラ室にこもりきりで、ほとんど姿が見えないのは、濱野谷憲吾と今村豊。エンジン吊りにも姿を見せないときもあったので、これはかなり焦り気味の調整? と思ってペラ室を覗くと、今村は寺田祥らといつもの笑顔で話しこんだりしているし、濱野谷も特に表情は険しくはなく、だからだろうか背中が妙に頼もしく見えたりもするのである。
2010_1219_0222  池田浩二はエンジン吊りの際に赤岩善生と大笑いしながら話しているし、山口剛も西島義則、辻栄蔵ら強大な先輩に囲まれて笑ってるし、中島孝平はいつも通り淡々とふるまっているし、石野貴之は男前だし……はあまり関係ないけど、ともかくとっても柔らかい、いや、柔らかすぎる賞金王初日なのである。あ、岡崎恭裕はまだ何にもしてませんでした。岡崎といえば、終盤レース1回乗り(優勝戦とか)のときには昼過ぎくらいから動き出すのがルーティン。初めての賞金王でもまったくのマイペースを貫いているあたり、大物である。
2010_1219_0797_2   で、そんな様子のなか、妙なところに気が向いてしまって、中島孝平が入っていった整備室奥の「洗滌室」。実は私、ド近眼&乱視で、これが読めなかったため、チャーリー池上を呼んで、読んでもらった。で、「洗滌室」というわけなのだが、これ、なんて読むの? ということで今調べたら、「洗浄」という意味ですね。洗浄より、薬品などを使って洗うという意味が強いようで、住之江の長い歴史が刻まれてる文字に見えたのでした。中島、何かを洗っていたんだな、きっと。……あ、そういえばまだ菊地孝平の姿を見てないぞ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)2010_1219_0568


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