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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――2日目午後の出来事

2011_0420_0560  競技棟(選手控室や競技本部が入っている建物)と装着場の出入口は、人が一人か二人通れるほどの自動ドア。その真ん前で、北岡淳と山口俊英が立ち話をしている。顔つきは真剣。北岡は身振り手振りを加えている。10mほど離れた場所からは内容はまるで聞こえてこないが、仕事に関する話であることは明らか。ちょっと近寄りがたい雰囲気である。
 うむ、困った。装着場にはもはや選手の姿はなく、整備室はモーター格納作業をしている選手のみ。ペラ室を覗いてみたら誰もおらず、ピットは実に静かな時間帯を迎えていたのである。ちょっくら一服するべえ、とメディアの控室(これも競技棟内にある)へ向かおうとしたとき、北岡&俊英の姿を発見したのだ。まるで競技棟の門番に見えた。
2011_0420_0942  まあ、いくら体重100kg弱(最近、何もしてないのに体重減少中)の巨体だからといって、二人の脇をすり抜けられないほど狭いというわけでもないし、二人が出入口をふさいでいるわけでもない。静かに通り抜ければ二人は何も気にしないだろうし、失礼しまーすと小声でつぶやけばパーフェクトだろう。しかし、どうにも足が向かないのだ、北岡と俊英の顔つきを見ると。お二人はなーんも意識してないに決まってるんだけど、こちらは妙に気遣ってしまう。
 4~5分ほども会話をつづけ、二人は別れる。ほっとして僕はそそくさと競技棟に入り、喫煙所に向かったのだが……つまり、ここは戦場、SGやGⅠでもこうした結界が張り巡らされたかのような、緊張感を漂わせるシーンは常にある。そして、タバコすいたいよーとか思いながらも、そんなムードに静かな興奮を感じる自分もいる。

2011_0419_0562 ま、とにかくタバコ吸おうっと、と喫煙所の階段をとことこ上っていたら、中西宏文に声をかけられた。BOATBoyだよね、と手を引かれて、踊り場の隅っこへ。えっ、なんかまずいこと書いたっけ? シュー長ことH記者が変なこと書いた? ついさっきとは別の緊張感を覚える。
「名人戦から中一日、また被災地支援の募金活動をするんですよ。今度は我々と競輪、中央競馬の騎手が共同でね。滋賀のJRの駅でやるんだけど……大津とか草津とか栗東とかね。よかったら、取材に来てください。支部に電話してもらえばわかるから」
 3月21日、滋賀支部の面々はやはりJR大津駅などで募金活動を行なった。実はチャーリー池上カメラマンが撮影に駆けつけており、今回もぜひ、ということなのだ(業務連絡:チャーリー、どうぞよろしく)。中央競馬の栗東トレーニングセンターは滋賀県にあり、びわこ競輪は先月で廃止になってしまったけれども、選手は滋賀にも多い。公営競技が盛んな県なのだ。その3競技が共同で行なう復興支援活動。名人戦から中一日といえば、4月26日(もし間違っていたりしたら、またここでご報告します)。お近くの方はぜひ、足を運んでみてください。募金もよろしくお願いします。

2011_0420_0143  タバコを吸い終えて、ふたたびピットへ。装着場から対岸のビジョンでレース観戦。レースが終わって、選手が帰還。エンジン吊りが行なわれる。おっと、万谷章と原由樹夫がなんだか楽しそうだ。二人ともニッコニコしながら、軽口を飛ばし合っている模様である。
 毎年、この二人がじゃれ合っている姿を見かけている。じゃれ合ってるってのもヘンだな。二人はとにかく仲が良さそうなのだ。というか、ハラユーがオヤビンのことを常に気にかけていて、そばに寄り添っているというか。開会式では“男は黙って”系の硬派な男気を表現し、一方でピットではにこやかにひょうきんな姿を見せるハラユー。同県の大先輩に対して敬意を抱き、だからこそそばにいて笑わせているのだろう。そして、オヤビンもそれに居心地の良さを感じている。本当に微笑ましいのだ。
2011_0420_0808 「ガーッハッハッハッハ!」
 とハラユーが笑えば
「ホーッホッホッホッホ」
 とオヤビンが笑う。
 長い年月の間に築き上げられた巨大な信頼感が、二人の笑い声からは発散されている。きっと明日も、この光景は見られる。

2011_0420_0782  話がとっちらかってきたので、最後に。11R、川名稔が転覆した。3周2マークで占部彰二と接戦になり、一歩も引かない競り合いのなか、川名が振り込んでしまったのだ。幸い大きなケガはなく、レスキューに乗ってピットに戻ると、川名はびしょ濡れではあったけれども自力で普通に歩いていた。表情も実に淡々としていた。
 川名がちょうど競技棟に入ろうとした頃、エンジン吊りを終えた占部が川名の姿に築き、背後から駆け寄った。追いついたのは、カポック着脱場。占部はすぐに謝罪の言葉を口にしている。
2011_0420_1104「川名さん、すみませんでした」
「ああ、大丈夫」
 川名は変わらず淡々と、占部に右手をあげて礼を返した。そのときの川名の胸の内は表情からは読み取りにくかったけれど、占部に対する険悪な思いは少なくともまったく感じられなかった。レースで起きたことは仕方がない、こんなことはお互い様だ……とはちょっと翻訳しすぎかもしれないけれど、そんな雰囲気があったのは確か。彼らはそうした信頼感と覚悟を携えて、真っ向からぶつかり合うのだ。
 今村豊も「あの水面で接戦になっちゃったもんなあ」と占部を気遣う様子を見せていた。川名が無傷だったから、ということもあるだろうが、選手から見ても仕方のないシーンだったのだろう。選手の腹の据わり方、とでもいうものを見せつけられたような気がした。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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