この特集について
ボートレース特集 > THEピット――ドリーム戦を見逃すな!
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

THEピット――ドリーム戦を見逃すな!

 ボートファンの皆様、明日のドリーム戦は必見ですぞ!
①今村豊
②松野京吾
③日高逸子
④大嶋一也
⑤古場輝義
⑥西田靖
2011_0418_0625  メンバーを見て、進入が面白そうだな、と想像がつく方は多かろう。そのとおり、大嶋と西田が外枠にいるのだから、間違いなく進入は激しくなる。何しろ、日高はこう証言しているのだ。「スタート練習から進入が厳しくて、起こし位置がバラバラになって、ぜんぜんスタートがわからなかった」。前検のスタート練習からバッチバチ!
 ドリーム戦共同会見で、いちばん最初に登場した今村は、そのことを聞かれて「どこまで大嶋君が来るか……自分でもわからないっすよ」と吐き捨てたりもしつつ、「ピット離れで抑え込まれなければ、できる限り行くつもり」と、イン死守を表明している。
2011_0418_0334  名指しされた大嶋は、もちろん「獲れればインまで行きたい」と、手を緩めるつもりはいっさいないようだ。「去年の名人戦準優では、相当悔しそうにしていたからねえ」と1号艇の今村からインを奪った(スタ展では獲らなかった)ことを振り返って、大きな苦笑いも見せている。もちろん、そんなことで怯んではいない。
2011_0418_0259  もう一人、西田も動く気はマンマン。ただし「常滑のピットは特殊なので、ピット離れ専門のペラは1枚しかもってこなかった」とのこと。「ある程度行って、ダメだったらダッシュもあるかもしれません」と言いながら笑ってもいた。しかし本音はやっぱり違う。「お祭りなんだから、そういうの(ピット離れのいいペラ)を使いたいよね」。前付けしないはずがないのだ。
 この進入争いに参戦する意欲を見せているのは、松野だ。「ぼくも内が好きなのでね」外枠ならともかく、2号艇を手にして、やすやすとコースを譲る気などさらさらない。こうなると、「本当はスローからのほうがわかるんだけど、5カドってのもあるでしょうね」と言う日高の選択はむしろ賢明。「ひとつでも内のほうがいいですけど……でも、ひとつでも内は無理ですね(笑)」と笑う日高は、深くなるはずの内を飲み込む算段を始めているだろう。
 えっ、ここまでは想定の範囲内だって? ではこれはどうだ。古場だ。
2011_0418_0455_2 「6コースでしょ(笑)。今日はチルト3度しかやってない。明日の水面が荒れたりしたら別だけど、3度にペラを合わせていきます」
 5艇まるごと飲み込んでしまうつもりでいる! ドリーム戦のメンバーが発表になってから、古場はさまざまなことを考えただろう。出した結論はチルト3度。今日はあまり伸びなかったようで、前検タイムもトップにはなっていないが、会見を終えたあと、ペラ室にこもって懸命の調整を行なっていた。もしズバリ合わせることができれば……。
 内寄りがもつれそうなうえに、チルト3度の登場。どうですか、明日のドリーム戦、見逃せないでしょ! 勝つためにはあらゆる手管を使おうとする名人世代の執念には、改めて尊敬する次第であります。

2011_0418_0041  ピットでは、微笑ましいシーンをいくつか見かけた。エンジン吊りのため、ボートリフトの前で待機する佐藤勝生。静かに、仲間の帰還を待っていた。その後ろから、そーっと忍び寄る影が。ドリフだったら、「佐藤、後ろ後ろ!」と子供たちが叫ぶところだ。その影の正体は、今村豊。忍び足で背後に回って、脇の下をツン。驚きとくすぐったさで、ピョコンと跳ね上がる佐藤勝生。そして、嬉しそうに大笑いする今村豊……って、何をしてるんでしょうか。
 SGでの今村はといえば、後輩を相手にして同じようなイタズラをしては、楽しそうに笑っている。そうして後輩との壁をなくしてしまおうとしているのか、それとも単にイタズラ好きなのか、ともかく今村は常に後輩とじゃれ合っている。それと同じことを、先輩を相手にもやっているのだ、この人は。SGでも名人戦でも、何一つ変わることのないミスターがそこにいる。きっと今村は、この名人戦のメンバーがバリバリでSGを走っていたころにも同じようにじゃれつき、ピットの空気を変えていったのだろうなあ、などと想像した。ボートレースを変えた男と表現されることのある今村だが、陸の上でも今村は変革者だったのだと思う。ま、本人はそんなつもりもなく、ふざけてるのかもしれないけど。
2011_0418_0459  昨年は、もっとも登番が若く、せっせと雑用をこなす姿を毎日見かけていたのが、亀本勇樹である。開会式では「雑用で一節が終わりそう」とぼやいていたっけ。新たな48歳たちが参加する今年、ひとつ年上となった亀本も雑用から解放されるか……というと、そうはいかない。今年は登番が下から2番目、去年の大差ないのだ。1年経って結局、亀本より若い登番の選手は田上晋六しかやって来なかった。ということで、今年も雑用に駆けずり回る亀本なのである。
2011_0418_0563  前検6班には、広島の先輩はいなかったが、岡山と山口の先輩がいた。亀本は、山口のほうに回って、吉本正昭のエンジン吊りに加わる。モーター架台を持ってきて、吉本のモーターを整備室に運ぼうと待ち構えていた。その亀本から、強引に架台を奪おうとする男がいた。松野京吾である。松野は吉本の直接の後輩。まあ、亀本の仕事を引き取る理由はある。だが、支部こそ違え地区は同じで、もっと後輩の亀本としては、松野を動かすわけにはいかない。だから「大丈夫です、大丈夫です」と言って松野の申し出を断わるのだった。だが、松野は怯まない。「いいから、いいから」といって架台を引っ張る。こうなると亀本も負けられない。「いや、いいですいいです」と架台を引っ張り返す。そこにはにわかに架台争奪戦が始まったのだ。
 この勝負、勝ったのは松野。「おっさんを働かすわけにはいかんよ~」。もっとも若い部類なのにおっさんと言われた亀本が、ついに笑い出した。その瞬間、松野が架台を強奪。吉本のモーターを積んで、なんだか嬉しそうに大声で何事か叫びながら、格納庫へと向かったのだった。呆れ笑いの亀本に、今村がさらにじゃれついていく。山口の陽気な先輩たちに、亀本はたじたじとなっていたようだった。
 それにしても……今村にしろ松野にしろ、はしゃいでいるのが選考勝率1位と2位ってのが、またイカしてますね。
2011_0418_0610  ちなみに、もっとも登番の若い田上は、それはそれは献身的にピットの中を駆け回っていた。実は田上に会うのは初めてなので、最初はお顔を存じ上げていなかったのだが、実はレース場入りの際、中尾カメラマンのトンチキズボン(右が原色の赤、左が原色の黄色という恐ろしい配色)を「それ、凄いっすね~。門を入った瞬間にそれが見えて(中尾カメラマンの撮影していた場所とは200mくらい離れている)、びーっくりしましたよ~」と口を開くや絶叫している。「どうせなら、クツも片方ずつ赤と黄色にしたほうがいいっすよ」とファッション指南も。あれが田上さんでしたか~。応援します。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
コメント
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません