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ボートレース特集 > 名人戦 準優ダイジェスト
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

名人戦 準優ダイジェスト

大競り

10R 進入2011_0423_r10_0425
②大嶋一也(愛知)16
③新良一規(山口)35
④鈴木幸夫(愛知)26
①田上晋六(東京)11
⑤中村裕将(東京)16
⑥日高逸子(福岡)19

2011_0423_r10_0435 波乱のスタート。2コース新良と3コース鈴木がダダ凹み。当然、4カドからトップSを決めた田上が、絞るまでもなくナチュラルにまくっていく。田上にとって絶好の隊形だったか。いや、実はそうともいえないのだ。インの大嶋はそれなりにしっかりスタートを決めていた。艇を寄せてくる田上の姿が、早い段階ではっきり見えていたはずだ。見えないところから飛んでくるツケマイとは真逆の「さあ、このままガンガンまくるぞ~」という敵の姿が。大嶋には、己の態度を決する時間があった。まくらせて2着を死守するか、敢然と抵抗するか。

ほとんど迷わず、後者を選択した。身体が勝手に動いていたかもしれない。それが、イン屋の男気なのである。
2011_0423_r10_0444  1マーク、捨て身で飛びついた大嶋を、抱いて交わすだけの余裕は田上になかった。流れながら、なんとかふりほどく。その間隙を、くるり小回りした新良とまくり差した中村が突き抜けてゆく。バック先頭は、コンマ35ドカ遅れの新良。それが、大競りの凄まじさを如実に物語っている。

2011_0423_r10_0453  その後もレースはもつれにもつれる。2マークでは日高の突進を交わそうとした新良が大きく流れ、差した中村が先頭に。さらに息を吹き返した田上が必死に2着を狙いにきたが、2周1マークで引き波に揉まれて万事休す。今節、はじめての混戦で超抜パワーの欠点を露呈する形になった。大競りでぶっ飛んだ大嶋は、道中5番手から懸命に追い上げたが大差の3着がやっとだった。1着・中村、2着・新良。

2011_0423_r10_0413  いやぁ、凄いレースだった。1号艇ながらインを捨ててカドを選択した田上。この潔さには拍手拍手。最近の記念レースは「自力で1号艇を勝ち取ったたんだから、死んでもイン」と徹底主張するケースが多い。それはそれで気持ちのいい態度だとは思うが、昔ながらの「コース云々より、勝ちたいところから行く」という確固たる競艇道を田上は魅せてくれた。そして、その方針通り自力で勝ちに行った田上を、イン屋の大嶋が激しく迎撃した。これぞ競艇、これぞ名人戦、文句なしの名勝負だった。

冷徹

11R
①北川幸典(広島)03
②今村 豊(山口)06
③久間 繁(愛知)06
④欠場
⑤西山昇一(愛知)16
⑥占部彰二(福岡)16

2011_0423_r11_0534  スリット、スロー3艇が踏み込んだ。この段階で外の脅威は薄れ、私は「1-2で決まり」と思った。そして、わずか数秒でこの考えが大甘だったことを気づかされる。目を奪われたのは2コース今村の動き。今村は外の久間と同体だったにも関わらず、すぐに艇を内に寄せはじめた。これだけ早くに方針を示せば、3コースの久間がフリーになる。まくり、まくり差し、差しの選択がしやすくなる。

2011_0423_r11_0541  それでいいのか、ミスター??
 などと思っていたのだが、おそらく今村はそれでも久間は抑えきれると判断したのだ。ターゲットを北川ひとりに絞った。あっという間に北川の真横まで艇を寄せた今村は「まくるかもよ~~」みたいな素振りを見せる。準優のイン選手にとって最大の敵は、大敗につながる強ツケマイだ。ただでさえイン戦では強めに握って回るタイプの北川が、1マークの手前でエンジンを噴かした。

2011_0423_r11_0549 そのとき今村は……? もう差しハンドルを入れていた。寄せて煽って差して、その一連の行動がすべて計算されているような決め差しだった。そして、外の久間が強引に放ったまくりは、この今村の初動の速さにまったく追いつかなかった。1周2マークで準優としての大勢は決した。1着・今村、2着・北川。

2011_0423_r11_0561  そう、これが、ミスター競艇の“怖さ”なのだな。今村はハンドルだけでなく、明晰にして冷徹な頭脳でボートを操り続けてきた。爽やかな笑顔とクリーンなレースの陰で、激辛の頭脳プレー(駆け引き)をもって艇界のトップに君臨し続けてきた。それを一言で表現するなら「天才」。最近そんなことを思う同い年の私なのだが、今日も凄まじい天才ぶりを見せつけられたな。今日の今村は、2コースから勝利だけを狙い、自作自演の差しハンドルでそれを実現してみせた。真に強い勝ち方だった。

激パワー

12R 進入順
①岡   孝(徳島)19
②森脇 徹(山口) 11
③古場輝義(富山) 16
⑥山﨑昭生(香川) 10
④山口哲治(長崎) 15
⑤亀本勇樹(広島) 21

2011_0423_r12_0635  森脇の自慢の行き足が、大本命・岡を一瞬にして呑み込んだ。私はダメダメ予想で「1艇身覗かない限り、岡にとって絶好の壁になる」などと書いたが、スタートで半艇身覗いた森脇がさらに1艇身出切るまでに100mとかからなかった。そのままナチュラルなジカまくりで、あっさり勝者が決定。

 2011_0423_r12_0660

こうなると2着争いはもつれそうなものだが、ジカまくりを食らった岡がこれまた自慢の回り足ですぐに立て直し、危なげなく2番手を取りきってしまった。う~ん、どっちも惚れ惚れするような行き足&回り足だったな。それぞれの持ち足を十二分に生かしたという意味で、この12Rは「パワー決着」だったといえるだろう。

2011_0423_r12_0696  そして、私は読者に詫びなければならない。3日目から節イチに指名した古場は、まるで回り足が足りなかった。2コースジカまくりという恵まれた展開で、森脇のマーク差しを狙いながら引き波に喘ぎ、2着争いに持ち込むことすらできないとは……。この場を借りて見立て違いを認め、謝ります。すいませんでしたっ><
 1着・森脇、2着・岡。

2011_0423_r12_0692  この結果、大本命の今村豊に必勝ともいうべきファイナル1号艇が転がり込んだわけだが、これはこれで面白いファイナルになった気もする。行き足トップ(田上がいれば違ったが)の森脇は、明日も同じ2号艇。同県のヒーロー今村に、どこまで自慢の行き足が通用するか全力で立ち向かうだろう。一方の岡は、今節、面白いように1マークの展開が見えている。自慢の回り足が入りたいところに舳先を突っ込ませてもくれる。つまり、森脇が敢然と2コースジカまくりを打てば……どちらかにGIの初タイトルが輝く可能性も十分にあると私は思うぞ。(photos/中尾茂幸、text/H)

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