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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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蒲郡オーシャンカップ 私的回顧

悲願への共闘、そして……

優勝戦12R
①赤岩善生(愛知)  21
②瓜生正義(福岡)  33
③佐々木康幸(静岡)22
④白井英治(山口)  16
⑤今垣光太郎(石川)19
⑥湯川浩司(大阪)  23

2011_0718_r12_0724 「行ったーー! 白井ぢゃーーー!!」。
 スリットを通過する前に、こんな叫び声が聞こえた。いや、白井◎の私も、同じような言葉を叫んでいただろう。ピットアウトで出遅れながら4カドを死守した白井が、凄まじい行き足でスリットに向かっている。スリット通過。瞬く間に1艇身躍り出た。先の浜名湖周年ファイナルと同じ展開。このまま一気に絞りきって、待望の、悲願のSGタイトルを鷲づかみにする。浜名湖の記憶も手伝って、私は1マークのはるか手前でそう確信した。
2011_0718_r12_0735_2   だが、浜名湖と大きく違う点がふたつあった。あのときは強い向かい風、今日は強い追い風。まくらんかな、という気持ちを強い追い風が外へ外へと追いやっていく。私の目にも、浜名湖ほどの迫力は感じられなかった。
 そして、もうひとつはイン選手が地元・蒲郡のエースだったこと。インからジリジリと伸び返した漢(おとこ)赤岩は、ターンマークを捨てて山口からの刺客に飛びつこうとした。まくられたら一巻の終わり、一旦は差されても仕方がない、と決意した渾身の握りマイだ。まくる気満々だった白井が、ならば、とまくり差しに構える。
2011_0718_r12_0743  この軌道修正が届くのか、白井師匠?? とドキドキしているその内で、とっくの前にまくり差しだけを狙っていた男が突き抜けた。やはり、悲願のSG初制覇に燃える佐々木だった。スリットで白井に1艇身出し抜かれた瞬間、佐々木は白井への働きかけを捨てて2コースの瓜生を攻める決断をしたのだ。まくられながらのまくり差し。この判断の早さが、結果的に佐々木をSGレーサーへと誘ったことになる。「誰かに差されても仕方がないから、まくりを阻止する」と握った赤岩と、「まくりきられても仕方がないから、差しハンドルを入れる」と決めた佐々木。この真逆の思惑から生まれたのは、佐々木が突き抜けるに申し分のない空間だった。
2011_0718_r12_0755  37歳81期の佐々木康幸と34歳80期の白井英治、同じ思いを抱くふたりが同じ水面空間に舳先を入れ、“後輩”の佐々木だけが突き抜けていった。その空間を作った白井は、佐々木の悲願をアシストするに留まった。白井師匠には、かけるべき言葉もない。
 2マーク、外から必死に追いすがる赤岩をしっかりきっちり振り切って、新しいSGレーサーが誕生した。かつてスリット一撃を主武器としていた佐々木だが、今は出足と回り足も重視するオールマイティなレーサーに変貌した。

2011_0718_r12_0810 正直、まくり屋・佐々木のファンだった私としてはちと寂しい変貌ではある。だが、今日の優勝はまさにその意識変革がもたらしたものだとも理解している。スリットから2マークまで、臨機応変なハンドルに対応できる柔軟なパワーが佐々木に初のSG戴冠をもたらしたのだ。
 1116111。
 佐々木選手、美しいシンメトリー着順でのSG初優勝、おめでとう!

2011_0718_r12_0844  あ、それから……スタートでまさかのドカをやらかした瓜生には、あえて「喝!」の一文字を贈りたい。私は今節から勝手に瓜生を「新・艇王」と呼び、今後は基本的にアタマ舟券を買わないことに決めた。いつでもどこでも人気になるスーパースターになったから。かつて、植木通彦氏が艇王として無敵に近い強さを誇っていたときも、私は彼のアタマ舟券を買わずにいた。一般戦でもw いつも艇王にボコボコにされながら、それでもなぜかワクワクしながら不毛な大穴舟券ばかり買い続けていた。
 あれから10年ほど、私はすっかりそのことを忘れていたのだが、今節の4日目だったか「う~ん、瓜生の舟券、売れすぎてもう買えねぇかも」と思った瞬間、あの植木氏との勝手な宿命のライバルごっこを鮮明に思い出したのだ。なんだかひどく懐かしく、そして瓜生を蹴り飛ばした舟券を買った瞬間、「ああ、このワクワクだよ!」なんてひとりで勝手に興奮したものだ。「これこれ!!」みたいな。
 だから瓜生正義よ、キミは正義のヒーローとしていつだって強くなくてはならない。少なくとも、SG優勝戦でドカるような無様な姿を見せてはいけないのだ。今後はしっかりと、ヨロシクッ!!
2011_0718_r12_0818   と、締めるつもりだったが、嗚呼、やっぱり白井師匠に一言……。
 師匠、なでしこジャパンは25回目の挑戦で、宿敵のアメリカを破ったのです。それもワールドカップの優勝戦という世界一の大舞台で。世界中の人々を感動させる、奇跡的なレースで!! これからも、メゲずに挑戦挑戦、挑戦あるのみでっせ~っ!!!!!! うう、やっぱ何の説得力もないか。(Photos/中尾茂幸、text/H)


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