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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――レースの準備

2011_0701_0297  なんとなく、湯川浩司に元気がない。昨日あたりから少し気にはなっていて、どことなく覇気が感じられないのだ。いや、初日もそんな気配はあったかな。同期の井口佳典や桐本康臣あたりと話していると、笑顔は見える。1R後、山本隆幸のエンジン吊りで、敗れた山本にからかわれるような言葉をかけられて、満面の笑みも見せている。だが、それがもっとも元気なときの笑顔とは思えない。一言で言えば、冴えがないのだ。
 今日は4Rという早めの出走なので、2R前には準備を始めている。すれ違った際に挨拶をすると、目を伏せて会釈を返すだけ。普段なら笑顔を見せてくれるし、おとといは湯川のほうから競輪話を振ってきているのに、明らかに普段の湯川とは違う雰囲気だ。もちろん今日が準決の寬仁親王牌の話をレース前にしたいなどとは考えていなかったが……。
2011_0701_0813  もっとも、レースの準備は誰もが粛々と行なうのであって、それまで笑顔であろうとも、モーターやペラと向き合えば誰もが表情を戦士のそれに変える。湯川もそうであった可能性はもちろんある。平本真之が2R前にギアケースを外して整備室に飛び込んでいったが、僕の目の前数cmを通過しても、こちらに視線も向けないのは当然である。その1分ほど前、ギアケースを外しに自艇のもとに向かったときには、平本のほうから丁寧に挨拶をしてくれているのだ。だが、いざ作業へと取り掛かろうとする際には、全身がレーサーモードに入るというわけである。
2011_0701_0175  そうそう、レースの準備といえば、初日から目にしていた光景がある。宮武英司だ。展示から戻り、出走待機室にいったん入ったあと、宮武は水面の見える場所に出てくる。手には、分厚いメモ帳のようなものが握られていて、宮武はページを繰りながら水面を見つめている。宮武が立っているポジションから考えれば、見つめる先にはおそらく空中線や吹き流しがあるはずで、また水面の様子も観察しているかもしれない。そして、新しいページに書き込んでいく。これが、ここまですべてのレースごとに見られているのだ。選手はさまざまなデータを自分なりにまとめて、整備やレースの指針にしているのである。こんなにも見える場所で、しかもレース前に分厚いノートを広げて、というのはあまり見かけないけど、この積み重ねが宮武をこの舞台で走らせているというわけなのだ。
2011_0630_0249  ちなみに、そういうメモ関係がすごいのが、横澤剛治だそうだ。三羽烏の仲間たちからの伝聞です。だから、実物を見たこともないし、メモをとっている姿も目撃していない。だが、かなりの理論派であることに間違いはない。

2011_0701_0710  さて、1Rで古賀繁輝が転覆してしまった。我々とは相性が悪いんでしょうか、古賀がフライングしたり転覆したりというシーンをよく見かけるような気がしてならない。疫病神になっていたとしたら大変申し訳ないのだが……。
 ただし、古賀は元気! ピットに戻ると、駆け足で着替えに向かっている。古賀はピットでは6~7割方、走って移動しているのだが、転覆後でもその姿に変わりはないのだから、まずは安心だ。
2011_0701_1018  九州勢の結束もすごい。まあ、転覆艇の引き上げやモーター転覆整備のヘルプなどは、支部ぐるみ、地区ぐるみでやるのが当然なのではあるが、それにしても一糸乱れぬ九州勢(とくに若手)の動きは見ていてお見事。やまと世代を中心に福岡勢はどんどんと勢力を増している昨今、こうした結束力(とくに精神的な)がその原動力なのであろうと想像される。これが刺激となって、まだGⅠで目立った結果を残していない古賀らも意気上がっていくのだろう。
2011_0701_0806  あ、ちなみに、その1R、2マークで差されてしまった森秋光に、今村豊が親身なアドバイスをしている場面も目撃したぞ。九州の結束はたしかにすごいが、他の地区だって決してバラバラだというわけではないのだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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