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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――選手の輪っ!

2011_0701_0940  山地正樹は「ミスターショッキングピンク」である。乗艇着が、目にも鮮やかなショッキングピンクなのだ。ズボンも同様で、レース前には上下ともにまぶしいピンクマン。これがまた、なかなか似合っているのである(写真はレース後のものなのでズボンしか見えませんが、カポックの下がピンクなのです)。
2011_0701_1072  81期はおそろいのロゴが入った乗艇着をもっているが、山地はこれもまたピンク(池田浩二は黒で、寺田祥は青ですね)。というわけで、ピットでの山地はめちゃくちゃ目立っているのであった(ただし、浅見昌克もピンクなので、ときどき見間違えたりする。写真→です)。
2011_0701_0801_2   そのミスターショッキングピンクは今日、さまざまな選手と話し込んでいた。エンジン吊りを待つ間には、平本真之と言葉を交わす。地区が違うので、それほど親交が深いようには思えないのだが(実際、平本はかなり恐縮しているように見えた)、しかし笑顔で優しく言葉をかける山地に、平本はお礼を言うような感じで何度か頭を下げていた。グラチャン絡みかな、話は。
2011_0701_0101  その後、山地は整備室で本体整備をしていた古賀繁輝のもとに歩み寄って、古賀の整備の邪魔にならないよう、会話を始めている。古賀はときどき愉快そうに笑っていたぞ。そこに、峰竜太も加わって、3人で談笑が始まった。峰もなんだか楽しそうに、山地に話しかけたりしていた。
2011_0701_0866  思えば、地区がまるで違う若手の輪に何の違和感もなく溶け込んでいる山地なのだ。その後、徳増秀樹に親しそうに声をかけている場面も見かけたが(あ、徳増もピンクだ!)、ものすごく気さくな人なのかもしれないな。今週の月曜日、岡山から新大阪まで新幹線でご一緒させていただいたのだが、そのときも実は山地のほうから声をかけてきたのであった。話するのは初めてなのに。

2011_0701_0366  似たような動きをしていたのが、三嶌誠司である。午前中、赤坂俊輔とペラを一緒に叩きながら、あれこれと情報交換をしていたのを見かけていたのだが、二人はその直前に足合わせをしており、その流れでともに作業をしていたのだと思っていた。午後、三嶌と長尾章平が一緒にペラを叩き始めた。これは10R後のことであり、長尾はレースを終えたばかり。三嶌はすでにレースを終えて、ボートもとっくに陸に上げていたから、赤坂とは明らかに過程が違う。
2011_0701_1063 12R前、三嶌が艇旗艇番の準備を始めたので(なんと、今節は四国は宮武英司と二人だけなので、三嶌が“地区新兵”なのです)声をかけてみると、赤坂も長尾も彼らがやまと学校にいたころ、選手招聘訓練などで教えたことがあったのだそうだ。それもあってか、同県同地区の選手が出走していなければ、彼らは三嶌のエンジン吊りを手伝ったりするそうで、その逆もあるとか。「安岐真人さんがバリバリのころは(若手が先輩と談笑するなど)考えられなかったことだけど、時代が変わりましたからねえ。章平たちも素直だから、僕も刺激になるんですよ」。
 山地も三嶌も、若手の輪に入ることで何かを感じ、若手たちは、山地や三嶌と触れることで学ぶことがある。地区はぜんぜん違うけど、レース場には(特に記念には)こんな刺激的な空間があるのだ。先輩たちと素直に接する若者たちも、若手と構えずに触れ合う先輩たちも、実に素敵だと思った次第だ。

2011_0701_1161  予選の前半戦を終えて、得点率トップは毒島誠! 無傷の3連勝で折り返し、シリーズリーダーに躍り出ている。この3連勝はただの3連勝じゃないぞ。昨日が4号艇、今日が5号艇と6号艇。そう、外枠での3連勝なのだ。「足して7」の編成が廃止されて以来、このように偏った枠番が回ってくることはちっとも珍しいことではなくなっているが、序盤で外枠を振られて無傷で乗り切るとは最高の流れであろう。
「外枠で3連勝、それで内枠で3連敗、だったりして(笑)」
2011_0701_1115  そう言って笑った毒島だが、それも気分の良さが口にさせるジョークである。これは完全優勝のチャンスでしょ! などと煽っていたら、平石和男がやってきて「やりすぎだよ~」と笑って毒島の尻を叩いたのだった。11R、平石が1号艇、毒島が6号艇でしたね。毒島は先輩の“賞賛”に嬉しそうに笑っていた。
2011_0701_0492  平石も気配上々、予選5位につける好調ぶりだから、やはり気分もよさそうである。だが、どうにも不本意な選手たちの表情はやはり冴えない。開会式でもパワーのなさを(冗談に変換しつつ)語っていた山口剛は、どうにも元気がないように思える。先輩の上平真二と語り合いながら、苦笑ばかりがこぼれているのは致し方ないことなのだろう。上平ももろもろとアドバイスをしているようだが、表情はやはり心配そう。選手にとって成績や機力はメンタルを大きく左右するものである。
2011_0701_0312  10R前まで試運転をしていた岩崎正哉のしかめっ面も見た。足合わせをしていた石野貴之とピットで顔を合わせた瞬間、苦笑い含みだが、首を傾げて顔を歪ませる。選手の顔に笑みを浮かばせるのは、レース場ではまず、相棒のゴキゲンなパワーなのである。
 9R1着の白井英治は、レース後は整備室で調整に明け暮れていた。勝ったのに? などと思うのは外野の気楽な考えであって、気になるところがあれば成績にかかわらず、原因究明と好転のための作業に取り掛かるのがトップレーサーである。

2011_0701_1046_2   12R直前になって作業を終えた白井に、内容をちょいと聞いてみようと待ち構えていると……白井の顔つきが険しいのであった。実は機力の手応えは相当に悪い? それとも9Rの内容に納得いってない? 鮮やかなまくり差しだったけれども……。というわけで、声をかけるのを一瞬ためらった。
 ところが、声をかけてきたのは白井のほうだった。
「畠山さんは?」
 H記者と呼ばれる男と白井は親しく、将棋の師弟関係をも結んでいる(白井が師匠)。おとといの前検日には、新幹線でばったり出会って、一緒に浜名湖に向かったりもしていたのだった。
「スタンドの記者席にいますよ。レース担当ですから」
 ふーん、と白井。で、一言付け足した。
「舟券、買い散らしてますけどね」
 白井の目がニヤリと緩んだ。口元も。そして、ふふふんと歌うような白井の一言。
「ヘタクソなのに」
 よく御存じで! と笑っていたら、白井は風のように控室へと消えていったのだった。ゴキゲンなのか、それともまだ機力に不安があるのかは結局よくわからなかったのだが、H記者の舟券ベタが白井に癒しを与えたのだとしたら、嬉しい限りである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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