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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――それゆけ若者たちよ!

_u4w1713 「瓜生さん、留めてください」
 カポックをかぶった篠崎元志が、瓜生正義に留め具をはめてくれと頼んでいる。先輩に留めさせる!? 瓜生はもちろん、嫌な顔ひとつせず篠崎に歩み寄って、パチンとはめた。な、なんだ、このシーンは!?
 よく見ると、篠崎はカポックの中に両腕を突っ込んでおり、留め具をハメたことで上半身を縛られたような格好になっていた。カポックが黒いことから、その姿はまるでペンギン。両腕の自由を自ら利かなくさせて、篠崎は左右に体を揺すりながら、小さくぴょんぴょんと跳ねてみせた。やっぱり、何なんでしょう、このシーンは(笑)。
_u4w1720  篠崎がそうした目的はさっぱりわからんちんだが、瓜生がゲラゲラとおかしそうにしている姿を見ると、大好きな先輩を笑かそうとした、ってことだろうか。ちなみに、10Rのエンジン吊り終了直後のこと。このあと篠崎も瓜生も12Rの展示準備に向かうことになるわけで、レースまでいくらも時間が残されていないというのに、何をしているんでしょうか、篠崎は(笑)。
_u4w1729  そのシーンを見逃さなかった先輩が一人いた。鳥飼眞だ。近くの喫煙所でタバコを吸っていた鳥飼の瞳が、キランと光る。タバコをもみ消すと、悪戯っ子のような顔をして立ち上がった鳥飼は、嬉しそうに篠崎のもとに歩み寄るのだった。カポックを引っ張ってバランスを崩す。カポックを上にずらして、視界をふさぐ。ジャミラのような格好になった篠崎を左右に揺らしてまたバランスを崩す。篠崎を完全におもちゃにしていた鳥飼であった(笑)。
_u4w1732  鳥飼も篠崎も楽しそうに笑っていて、先輩を笑かすのが篠崎の目的だったとしたら、これは大成功。ただ、両腕が利かない篠崎はだんだんとにっちもさっちもいかなくなって、さりげなく留め具を外してあげたのは、これもまた鳥飼。なんだかんだ言って優しい鳥飼眞なのであった。
 もし事故など出てしまえば、余計なことするからだと言われかねないわけだが、篠崎は12R、2コースから差してきっちり連対確保。やることはしっかりやる男だし、ピットでは時にはしゃいで周囲を楽しませる若者でもあるわけだ。岡崎恭裕がここにいたら、そんな姿に拍車がかかるんだろうなあ。岡崎くん、早くSGに帰ってきてね。

2011_1007_0369「めっちゃ楽しいです!」
 峰竜太が顔をほころばせて、声をかけてきた。全部SGならいいのに、と思うくらい、SGを戦うのは楽しいというのだ。たしかに相手は強い。思う通りにはいかないし、勝つことはとっても難しい。しかし、レベルが高い戦いだからこそ、全力を注いで戦うことが――勝つことはもちろん、力の差を痛感させられて悔しい思いをすることも――充実感を峰にもたらしているようなのだ。まったくもって大舞台向きの性格だし、またトップクラスになるべくしてなれる資質である。
 たとえば、昨日の11R、峰は1号艇1コースから太田和美に差されている。さらに、3周1マークで須藤博倫に2番手を奪われてもいる。3周2マーク、峰は強烈なツケマイで再逆転。「どうしても逆転し返さなければならなかった。転覆しても仕方ないというくらいの気持ちで攻めました。ただ、その直前に、レバーをちょっと落として外に開いて、差しの気配を出したんですよ」。相手の須藤は自分よりレベルが高い。ただ握っただけでは逆転が難しいから、もうひとつ手段が必要だったというわけだ。その駆け引きが、楽しくてたまらないのだ、と峰は言う。うまくいったからではない。そこまでの仕掛けが必要とされる戦いが、峰の心を満たすのである。
 実は、オーシャンカップの準優後にも峰は「楽しい」と言っていた。そのときは正直、準優で敗れた悔しさをまぎらす言葉かもしれない、とも思っていた。だが、そうではなかった。今節はパワー的には決して優勢ではないと言うが、そのメンタリティがきっと爽快なレースを作り上げてくれるだろう。

2011_1007_0946 「整備が当たったと思います……わかりませんけどね(笑)」
 昨日までは大苦戦していた平本真之が、今日の7Rで1着。初日にリング(レース後)、2日目にピストンを換えて、それが正解を出したようなのだ。「よっ、整備巧者!」とからかうと、でへへへへと照れ笑いしていた。で、「わかりませんけどね」と付け加えて謙遜するあたりが、なんともはや好青年である。
 部品交換が劇的に結果に結びついたのだから、これは嬉しいはずだ。平本も、それを肯定していた。努力が実るということは、大きな充実感をもたらすものである。顔を合わせればいつもにこやかに接してくれる平本の、その笑顔が大きく深く見えた。
 準優進出は厳しい状況である。さすがに昨日までの這いっぷりが響いている。しかし、戦える足を手にし、さらにメンタルも上昇した今の平本を、2日目までの平本真之と思ってはならない。明日は6号艇1回乗りだが、決して侮ってはならないと思うのである。
 それにしても、平本は本当に好青年。その後も中尾カメラマンを交えて、おっさんとの会話によく付き合ってくれた。今節は愛知支部4人が同室、「赤岩さんは朝早いんですよ。それより早く起きてなきゃいけないか? いや、そんなことはないです」なんて宿舎話も。強大な先輩3人と顔を突き合わしているわけだが、気づまりはストレスは特に感じていないようだ。

_u4w1701  最後に、がんばれ山口達也。今節の最若手である山口は、当たり前かもしれないが、誰よりも働いている。初めてのSGで、必死に己の役割をこなしつつ、奮闘しているのだ。明日は2走ピンピンで相手待ちとなる。可能性がある以上は、これを目指してほしい。実現すれば、もちろん水神祭。ずぶ濡れの山口達也を見せてほしいぞ。(PHOTO/中尾茂幸=峰、平本 池上一摩=篠崎&瓜生&鳥飼の一連、山口 TEXT/黒須田)


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