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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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■THE ピット――強き男の勝利!

_mg_0582  波乱なき結果、といえば、たしかにそうだ。
 ピットの様子を見ていても、“波乱”を期待したい要素はいくつかあったが、それを打ち消すだけのものを池田浩二は持っていた。それほど今日の池田は、自信に満ち溢れているようにも見えていたのだ。
 10R前、選手会副会長の上瀧和則がピットに現われたが、それに気づいた池田は上瀧に近づいていき、普通にニコニコ!
 上瀧がSGなどで活躍していた頃から、2人は支部の垣根を越えた師弟のようにも見える関係だったが、優勝戦前に再会しても、池田は言葉もなくニコニコしただけだった。
 そんな池田に対して、上瀧もただニッコリ笑って肩をポンポン! そうされた池田は、再び笑い返すだけだったのだから、ある意味、不思議な光景だ。それを見ている限り、池田には優勝戦1号艇のプレッシャーといったものはまるでないようにも感じられたのだ。

_mg_0665  波乱があるとしたら、それを期待したかったのはまず九州勢か!?
「(状態は)よろしくないですね」といった言葉も峰竜太の口からは漏らされていたが、朝にくらべれば、リラックスした表情になっていて、個人的には逆に期待度を上げたいという印象を受けていた。

 また、ボートを展示ピットに移動させる時間が近づいていた頃、瓜生正義が、篠崎元志のボートを雑巾で拭きだしたのにも驚いた。

_mg_0681  そして、瓜生がその雑巾を片づけようとしていると、傍にいた峰が何かの声をかけ、瓜生はさらに峰のボートまでを拭きだしたのだから2度ビックリだ!
 そのとき峰は「ちょっとだけ(お願いします)」と言ったようにも聞こえたが、この最強の男にそうしてもらうことで、ゲンをかつぎたいというような意味もあったのかもしれない。
 そんなやり取りのあいだ、瓜生は終始、ニッコニコ! 篠崎と峰も、ちょっと申し訳そうにしながらも、やはりニコニコ。
 そんなリラックスした様子を見ていると、九州勢の一発は充分あるとも感じられたのだ。

_mg_0610  波乱の立役者となるべき可能性を持っていたのは九州勢だけではない。
 9R後のスタート特訓のあと、峰と篠崎が屋外ペラ作業場で並んでプロペラを叩いていると、その横では井口佳典が、黙々とプロペラを叩いていた。
 今日のピットにおいて井口は、ややもすれば、その存在を忘れそうにもなりかねないほど、目立ったところを見せてはいなかった。しかし、常にそうして、存在感を薄くしながら、一人ペラを叩いている様子は、とにかく“雰囲気”があるものだった。

_mg_0619  午前中から変わらず、自然体での作業を続けていた太田和美と須藤博倫も、また違った雰囲気を持っていた。
 池田が上瀧のもとを離れたあとに、上瀧のもとにやってきた太田は、それこそ茶飲み話でもするように上瀧と話を始めた。
 その様子を見ていると、そこが近所の公園ではないかと錯覚されそうなほどだったのだから、太田の精神状態も普段着そのものだ。怪物モーターの手応えを得ていながら、そうして優勝戦に臨もうとしていたわけなのだから、怪物くんが久しぶりにSGを制することも現実味のあることだった。

_u5w6595  須藤にしても、はじめてのSG優勝戦でありながら、朝から変わらず、自然体を貫けていた。
 6号艇ということでは、どうしても展開待ちの立場になるが、それでも期待をかけたくなるような“仕上がり”を見せていたのだ。

_u5w6926  波乱はあるのか、やはりないのか……。
 そんな思いで見守った優勝戦だが、全艇、好スタートでありながらも内2艇がコンマ11まで踏み込めば、波乱が起きる要素は少ない。ピットでレースを見守っていた選手たちは、レース中、ほとんど歓声も悲鳴もあげることはしなかった。
 優勝戦としてはかなり珍しいそんな様子は、この結果がそういうものだったことを物語る。
 レース後、池田はまずTVインタビューを受けて、その後にあらためてボートをピットに上げている。そうして、いったんインタビューを挟んでいたこともあり、池田がピットに戻ってきたとき、誰も池田を迎えようとしなかったことも、この優勝の性格を物語っている気がしたものだ。
 しかし、池田のボートが上がってくると、それに気づいた赤岩善生と原田幸哉が走って駆けつけ、原田が池田とグータッチ!
 それもやはり日常的な光景といえるだろうが、そこに意外性が見つけられないのは仕方がない。それだけの高みに、今の池田は達しているということなのだから。
 池田は強い!
 だからこそ、“実力日本一決定戦”ザ・ダービーを制することができたのだ。
(PHOTO/山田愼二+ 池上一摩=ラスト2枚  TEXT/内池)


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