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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――寒風の中の勝負駆け

2011_1121_0608  今日は気温が低下。ピットに吹き込む横風が、昨日以上に冷たい。寒い! 1Rをアリーナで観戦していた太田和美が、肩をすぼめて震えていたが、太田より贅肉という服を3枚か4枚重ね着している僕でも、相当に寒い。選手たちには、風と波とこの寒さが、今日の大敵となるだろう。
 しかし、寒い寒いと愚痴ってるだけではすまないのが選手たち。太田も震えながら係留所に降りていき、ボートに乗るとまるで寒さなど忘れてしまったかのように、懸命な調整に没頭している。いざ仕事にとりかかれば、速攻で集中力が高まっていくのが、トップレーサーなのである。
 勝負駆けの選手はなおさらであろう。予選3日目を迎え、今日の成績は賞金王への道を広げも狭めもする。閉ざされてしまう場合だって、もちろんある。初日も2日目も油断などできるわけはないが、今日はさらに勝負の度合いが増すのだ。だから選手たちは、寒風などに怯むことなく、忙しそうにピット内を動いている。水面にも次々と飛び出していく。
2011_1123_0166  動きが目立ったのは、松井繁だ。ペラ室で作業をしていた松井は、やはり作業に没頭して、準備を進めていた。やがて1Rが始まる。それでも松井は調整をやめない。大時計の12秒針が動き出す。そのとき、松井はペラ室を飛び出て、アリーナ席まで走って駆けつけた。艇団が1マークを回る。バックを6艇が疾走する。それを見届けると、松井は踵を返してダッシュでペラ室へ。レースのゆくえは見守らねばならない、しかし一刻をも惜しんでペラ調整もしなければならない。その一連の行動が、王者の気合をあらわしているもののように思えた。
2011_1123_0846  似たような動きをしていたのは、実は原田幸哉だった。3R出走ということで時間があまりなかったこともあるが、ギアケース調整を大急ぎで行なって、装着場内を移動する際にはダッシュしていた。昨日は余裕すら見えていて、ゆったりとした動きだった原田が、今日は対照的な動きを見せている。もちろん腹の底に気合がたぎっている証だし、ここぞという場面では瞬発力を発揮する男なのだ。
 だが、その思いは空転してしまう。3Rは、まさかのフライング……。賞金ランク15位の原田は、これで賞金王への道を自ら閉ざすこととなってしまった。真っ先にピットに戻ってきて見せた硬い表情は、賞金王うんぬんよりも単純にFを切ってしまったことへの悔恨が大きかったはずだが、それがベスト12入りの可能性を無にしてしまうことに気付いたとき、原田は何を思うだろう……。フライングに気付くのが遅れ、2周2マーク手前まで2番手争いをしてしまった原田は、飯山泰、菊地孝平が戻ってくるのを待って、お詫びの言葉をかけていた。飯山も菊地も、原田の気持ちは痛いほどわかる。むしろ笑みを返していたのは、原田への気遣いだったか。

2011_1123_0282  松井や原田とは対照的にゆったりとしていたのは、田村隆信である。2日目はまくり2連発でピンピン激勝。気分よく今日を迎えただろうし、12R1回乗りだからジタバタする必要もない。エンジン吊りから控室に戻る際の足取りは穏やかにして優雅。その意味で、松井や原田とは違った意味で、雰囲気を醸し出していた一人だった。
2011_1123_0326  また、赤岩善生も、顔つきこそ闘志を感じさせる凛々しさをたたえているが、動き自体は落ち着いたものだった。1R発売中に着水し、係留所での調整をひととおりすませると、整備室に戻ってきてスターターロープの調整(?)。ひっかかりが悪いのか、先端を整えているようであったが、赤岩に限らずあまり見ることのない光景だ。赤岩だからそこまでするのか、あるいは調整が順調だからそこにまで手をつけたのか。いずれにしても、焦ったり切羽詰まったりした様子は見られなかったということになる。今節の赤岩は、やっぱり比較的冷静に見えるな……。

2011_1124_0184  さてさて、西山貴浩が3RでSG初1着! おめでとう! エンターテイナー西山だけに、どんなパフォーマンスを見せつつ戻って来るかと楽しみに待っていたが、原田のFがあったからなのか、それとも別の理由なのか、意外とおとなしい帰還であった。もちろん、ニッシーニャ・スマイルはふりまいていたけれども。というわけで、このあとに水神祭の様子もアップします。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)


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