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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――聖なる戦い、聖なる朝

2011_1224_0615  今朝、やっぱりどうしても気になったのは、重成一人である。昨日の余韻は、まだ残っている。
 インに入ったときにスタンドからとどろいた大歓声は、もちろん聞こえていたそうである。そして、嬉しかった、とも。
「今節、住之江を盛り上げよう。ボートレースを盛り上げよう。それをテーマにして僕は住之江に来たんですよ」
 アクション付きで重成は言う。重成は「プロフェッショナル」として、賞金王決定戦に乗り込んできたのだ。それをまっとうした。しかも結果まで出した。重成にとっても昨日の12Rは大きなものとなったし、何よりもボートレースにとって、今日という特別な日を盛り上げるためにも、また今後への教訓という意味でも、とてつもなく大きな名場面となった。
 ちなみに、重成はスタートに絶対の自信があったから、コースを取りにいったそうだ。フライングを切らずに速いスタートを行ける確信があった。つまり、本気で勝ちに行ったのだ。その気持ちがファンにも強烈に伝わったから、我々は興奮した。やはり尊き前付けだったのだ。公開インタビューを聞く限り、今日は前付けに動くことはなさそうだが、どのコースからだろうと、重成は昨日と同じ気持ちを、最高の舞台の水面に叩きつけようとしてくれるだろう。

_u5w8383  決定戦組で、真っ先にボートを水面に下ろしたのは、佐々木康幸だった。1Rが始まる前には着水し、試運転や調整の準備に取り掛かっている。実は、シリーズ戦で記した服部幸男への挨拶の際、すぐ後ろに佐々木もいて、連続で頭を下げることになっている。ところが、佐々木は目でうなずいただけで、足早に去っている。ふだんは、好青年の柔らかな表情を向けてくれるのに、今日は深刻にも見える表情だったのだ。服部との違いは明らかで、愛弟子のほうには余裕のようなものが少しも感じられないのであった。
_u5w6865 同じ頃に、松井繁がモーターをボートに装着していた。「ペラに迷っている」という松井は、さっそくその迷いを取り払うために、水面に出ようとしていたわけだ。点検と検査を終えると、さっそく松井はボートをリフトに運んでいる。2Rの発走時刻が迫っていたため、すぐには着水することはできなかったが、使える時間は目いっぱい使って、忙しい一日を送ろうとしているようだった。
2011_1223_1002  その少しあとに、瓜生正義がモーターを装着。ところが、すぐに整備士さんや検査員さんが瓜生を取り囲んでいる。7~8人の輪が瓜生の周りにできたのだ。そして、モーターを何やらチェックし始めた。瓜生のモーターに異変? 瓜生の顔には微笑が浮かんでいて、大きな問題とは思えないのだが、最強戦士がそうした囲まれ方をしていると、異変としか思えないではないか。
「大丈夫!」
 整備士さんの一人が宣言すると、瓜生は「あ、そうですか。ありがとうございます!」と笑顔。懸念が完全に取り払われて、瓜生はファイナルに臨む。
2011_1223_1012  同じ頃に、田中信一郎もモーターを装着。JLCのテレビカメラが3台も取り囲んだ。すると田中は、そのうちの一人のカメラマンに声をかけて、ときおりカメラ目線まで向けている。装着作業を雑談しながら、という体になっていたのだ。もちろん、ゴキゲン。同時に、この舞台で戦う高揚感も伝わってくるのだった。たぶん、テンションがもっとも上がっているのは田中だろう。それが自分を見失わせる場合もあるだろうが、百戦錬磨のこの男にとっては、むしろ好材料のように思えた。
_u5w8199  もっとも遅い動き出しは、ポールポジションの池田浩二! とはいえ、整備室に姿はあり、調整に取り掛かるのにそう時間はかからないだろう、という雰囲気だった。ちょっと気になったのは、昨日まで頻繁に見かけた笑顔をいちども見かけなかったこと。あえて先入観を取り除かずに言うと、いちばん緊張感を感じさせられるのは、池田である。レース前の池田がどんな表情となっているのか、今はかなり気になっている。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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