この特集について
ボートレース特集 > 賞金王トライアル第1戦 私的回顧
この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
ライタープロフィール
カテゴリー
関連リンク
競艇サポーターズ
関連書籍

 ボートレース特集

賞金王トライアル第1戦 私的回顧

本番オトコ

11R
①池田浩二 19
②重野哲之  12
③田村隆信  23
④松井 繁  14
⑤峰 竜太  09
⑥重成一人  11

2011_1222_r11_1072  逃げた池田については、多くを触れる必要もないだろう。いつものように、強かった。スリット、田村が凹んで怪しいムードだったが、それを得意の快速インモンキーで蹴散らした。あとは、ターンマークごとにぐいぐい腰を持ち上げ、美しいモンキーの連発。3戦目に同点だったケースを考えて、タイムアタックをしていたに違いない。ゴールまで手抜くことなく、艶やかな流線型の航跡を描き続けていた。時計は1分44秒7。シリーズ戦も含めて、節間2位タイのスピードで駆け抜けた。
2011_1222_r11_1078  ここで書くべきは2着の峰竜太だろう。開会式ではカチッカチならぬコチッコチに緊張し、モーター抽選会でもありありと緊張の表情を浮かべ、今日の9R前のスタート特訓では1マークを回って勝手に落水してしまった。足合わせならともかく、スタート練習の合間のターンで、なぜ落水する、峰リュー!?
「緊張しすぎやろ」
 記者席から落水の瞬間を目撃した中尾カメラマンが、こう言って苦笑した。もちろん、私も同意する。緊張によるターンミスでもなきゃ、説明がつかないじゃないか。
「11Rは、消し、だな。練習でコレなのに、本番でハンドルが入るはずがない」
 私は呟いた。足合わせでも、乗りにくそうに見えたし。
2011_1222_r11_1116  そして本番、長身から繰り出される峰のモンキーターンは完璧だった。4カド松井のまくり差しに連動し、松井よりひとつ内の隙間を冷静的確に差し抜けた。引き波を超えるパワーも上々だ。
「ハンドル、完璧に入るやんか~~~!!」
 私は泣きべそ顔で、水面の峰リューに詫びた。この若者は今まで何度もポカをやらかしてきたが、勝負駆けや準優など、ここ一番では底知れぬ力を発揮してきた。だから、このトライアルの場にいるのだ。緊張をパワーに変えるのが、峰リューという男の最大の武器ではなかったか。
 明日も6号艇という厳しい試練を与えられた峰だが、私はもう二度と先入観でこの男を切り捨てることはしない。たとえ明日、彼がスタート特訓で沈没したとしても……。

水上の格闘技

12R
①瓜生正義   16
②太田和美   17
③篠崎元志   21
④今垣光太郎 14
⑤佐々木康幸 15
⑥田中信一郎 27

2011_1222_r12_1159  今垣のことを書きたい。レースから3時間が過ぎた今、彼は反省しているだろうか。悔いているだろうか。
 その必要は、ない。
 私は、断固として今日の4カド絞りまくりを支持する。これが1億円を賭けた男たちの勝負のあり方だろう。
 今垣はスリットで半艇身ほど覗いた。今日、これくらいの“覗き”は何度もあったし、11Rの松井はさらに覗いていた。だが、誰一人として、イン選手を本気で攻め潰しに行ったセンター選手はいなかった。イン10連勝になるはずである。

2011_1222_r12_1210  今垣は行った。トップSとはいえ、1、2コースとはほぼ同体。それでも、やや凹んだ篠崎を迷うことなく絞り込み、瓜生を上から叩き潰そうとした。篠崎はこの煽りで艇が左右にバウンドした。さらに玉突き状に太田が弾かれ、戦列から離脱した。今垣はそうして内2艇を潰しながら、イン瓜生にも襲い掛かる。瓜生が抵抗し、波乱が生まれた。今垣マークの佐々木が、ズッポリ差し抜けた。

2011_1222_r12_1203  そして今垣本人は……瓜生に弾かれ、体勢を立て直すべくハンドルを入れた瞬間、バランスを失って転覆した。転覆は残念だったが、これが今垣光太郎という男なのだ。
 今垣とは走りたくない、と思っている選手は多いだろう。嫌っている選手もいるだろう。
 だが、誰のための競艇(ボートレース)か??
 多くの選手が、この命題の答を見失いはじめている。競艇が「水上の格闘技」と呼ばれた時代、ファンは水上での魂と魂のぶつかり合いに一喜一憂していた。だから、人々は競艇場に足しげく通い詰めた。そこに、つらい日常を忘れさせるドラマとエンターテイメントがあった。そのニーズを知り尽くしている選手たちも、進入から命がけで戦った。もちろん、それは己のためでもあった。
 そして、「水上の格闘技」の最高峰が賞金王決定戦だった。
2011_1222_0925  もちろん、今日スタンドがもっとも沸いたのは、スリットからの「あの瞬間」だった。ダントツの盛り上がりだった。歓声と悲鳴が入り混じり、大音響になる競艇にこそ未来がある。それが失われつつある昨今、今垣光太郎が獰猛に果敢にその道標を記してくれたのだ。
 やられたら、やり返せ。
 格闘技の原則だ。明日からのトライアルも、例年よりエキサイティングなものになるだろう。そうなってくれ。目の前に1億円と栄光の二文字がぶら下がっている水面で、無為無策にインを勝たせるレースを見せるのは、その1億円を支払うファンに対する冒涜だと私は思う。(Photos/中尾茂幸、text/H)


| 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (1)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
『しげ爺の賞金王決定戦予想 (4日目)』 2011/12/23 【しげ爺の競艇予想】
管理人のしげ爺じゃ。 当ブログは、『人気brogランキング』 『ブログの殿堂』 『くつろぐ ランキング』 に参加してるぞ。 読者の皆さんの協力が必要なので、下記画像のリンク先をポチっと頼むぞ。 わしの予想で楽しめた方は、是非応援クリックをお願いするぞ。... 続きを読む
受信: 2011/12/23 3:33:54
コメント

レースが終わって、光太郎勘弁してくれーっと思っていましたが、記事読んで、感動?というか、なんか熱くなりました。 ありがとうございます(^-^)
やっぱり競艇っておもしろいです☆取材班の皆さんもお疲れだとおもいますが頑張って下さい♪

投稿者: 燃える男 (2011/12/22 20:17:22)

あれ光太郎の良さであるところ
本場で観戦していたが12レースが1番沸いた
ダラダラとイン逃げのオンパレードつまらん
予想屋の人も、そう思っているだろう
予想する必要ないし 1からの相手探しだし
12レースの予想が1番盛り上がってたし「穴ーーー」
1マークも盛り上がった
誰も光太郎を責めてなかった、ヤジもなかったと思う
優勝戦に乗って欲しいなぁ 超厳しいけど
奇跡おきんかな 

投稿者: レディ・加賀 (2011/12/23 9:37:59)

すばらしい文章ありがとうございます。
光太郎がなぜファンから絶大な支持があるのか?
ほとんどの選手が解っているのですが様々な理由の為気づかないふりをしています。
登番の若い選手ほど差し場を探している今の艇界の状況は暗いと言わざるを得ませんね。

投稿者: たか (2011/12/23 19:24:33)
コメントを書く




※メールアドレスは外部には公開されません