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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――仲間との対決

 準優勝戦は、なかなか興味深い組み合わせになっていた。
 8R。大阪支部から湯川浩司と吉永則雄。山口支部から寺田祥と谷村一哉。もちろん、それぞれにワンツー決着を願う一戦。しかし、優出は湯川と寺田。それぞれから一人ずつがワンツーを形成していた。
2011_1223_0823  谷村は惜しい3着。レース後、寺田がまず駆け寄ったのは、やはり谷村であった。二人並んで、語り合いながら控室へと戻る。SG初出場の谷村であるが、だから準優3着で上出来などとは思っていないだろう。宿舎に戻ってひとっ風呂浴びた今頃にはそう思えていたとしても、レース後の谷村は悔しそうに溜め息をついていた。同支部で同世代の寺田とは和やかに接してはいても、だからこそ寺田の踏んできた修羅場の数というものを痛感したはずである。
_u5w8600   寺田は、いつものとおりにクールな装いを崩さなかった。優出への歓喜も、2着に敗れたことの悔いも、ほとんど伝わってくることはなかった。まあ、それがテラショーの自然体。ということは、明日の優勝戦も自然体で臨めるということのはずで、それが大舞台では脅威になることは言うまでもない。
_u5w7229  1着となった湯川は、派手なオーバーアクションで出迎えた鎌田義に応えてハイタッチをするなど、笑顔あふれるレース後となっていた。会見では淡々と受け答えをしていて、ジョークのひとつも飛ぶことはなかったが、しかし節イチであることを否定しないなど、仕上がりの良さに気分は悪くなさそうだった。メンタルの良さは、しっかりと伝わってきた。
2011_1224_0139  一方の吉永のレース後は、湯川とは正反対に、ただただ顔を歪ませていた。結果的には、ほぼ見せ場を作れなかった一戦で、外枠であったとしても、それが敗れた悔恨を癒す理由にはなりえていないようだった。
 大阪も山口も、明と暗を味わったレース後。もちろん明日は、それぞれが先輩たちの最大の応援団となることだろう。
_u5w8746  9R。1~3号艇が兵庫支部。三つ巴の同支部決戦となっていた。もちろん願いはワンツースリー。だが、これはなかなか複雑な状況でもある。ワンツースリーが実現したとしても、スリーは優勝戦に駒を進められない。一人は必ず脱落してしまうのだ。そして、実際にワンツースリー決着となった。涙を飲んだのは、もっとも実績の豊かな魚谷智之であった。
_u5w8726  このレースで、6号艇の森高一真が前付けに出て、2コースに入っている。レース後、森高はまず魚谷のもとに向かい、ヘルメットを取り直立不動で数回、頭を下げていた。魚谷は2号艇だった。前付けはもちろん誰にも責められる必要のないれっきとしたルール(ボートレースのアイデンティティ!)。それでも、コースを奪った者は内枠の者にこうして礼を尽くす。それがあるから、ガチンコ勝負に打って出られるという一面もあるのだろう。魚谷も、森高に対しては逆に気遣いを見せていた。
 ただし、魚谷の表情が晴れていたわけではもちろんない。兵庫勢でただひとり優出を逃したことではなく、自分が敗れたことが悔しいのだ。一方で、仲間の優出をたたえる姿も見かけている。そこでは、やや引きつっているようにも見えはしたが、爽快な魚ちゃんスマイルも見せていた。
_u5w8754  優出を決めた吉田俊彦は折り目正しい受け答えで会見に臨んだ。人柄があふれ出ていた。外枠でも前付けはしない方針だと言うが、それでも「勝つつもりで走らせてもらう」と野望をにじませている。
2011_1224_0103  結果的に優勝戦1号艇となった勝野竜司は「出足、行き足、かかり、ターン回り、すべてがいいです」と、ようするに全部すごいのか!?と突っ込みたくなる景気のいい発言をしている。よく見ると、伸びが含まれていないのだが、1号艇に不可欠な要素は確実に揃っている。今日の勝利で瓜生正義との最多勝争いでも肩を並べた。SG制覇が瓜生を逆転する一戦になる可能性はおおにある。
_u5w8838  10R。1号艇と2号艇に岡山支部。3号艇と5号艇に群馬支部。インが強すぎる今節なのだ。岡山勢は二人揃ってのSG初優出を願っていただろう。しかし、彼らはこの準優でもっとも悔しいコンビとなってしまった。揃ってまくられてしまったのだ。
_u5w8824 特に悔しさをあらわにしていたのは、もちろん1号艇の吉田拡郎である。予選トップの準優進出。間違いなく、大仕事の大チャンスだった。それをフイにしてしまったのだ。レース後の表情はあまりにも沈痛で、正視するのもはばかられたほどだった。荒井輝年ももちろん、悲しさをあらわにしていた。泣き顔に見えた瞬間もあった。
_u5w8811  一方、群馬支部からは山崎智也が優出を決めた。予選道中は苦しい戦いを強いられたりもしたが、気づけば優出を果たした前年度覇者。レース後はもちろん、智也スマイルが爆発している。
_u5w8806  勝ったのは、このレースでは同支部がいなかった服部幸男! 豪快なカドまくりで、内の岡山支部&群馬支部のもうひとり=秋山直之を沈めていった。レース後は静岡支部が大熱狂。服部はピットで真っ先に出迎えた菊地孝平に、両人差し指をキュイッと突き立てて、会心を表現していた。ヘルメットを脱いだ表情は、神々しくもあった。
2011_1224_0443  たまたまなのだが、僕の5mほど横では、中里英夫が観戦していた。端正で落ち着いたたたずまいの中里は格別に高揚した気配は見せなかったが、このワンツーは同期と同支部の後輩のワンツーなのである。きっと、胸の内には喜びがあふれていただろう。服部と山崎がピットに戻ってくると、中里は2つの祝福をそれぞれに送ることになった。それは中里にとっても、幸せなことだったに違いない。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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コメント

メリークリスマス?

お仕事頑張ってね…

投稿者: 鳴門の竜 (2011/12/24 20:31:25)
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